「ふぅー…暇だ…」
「あのぉ…暇ってことないと思うんですけど…」
窓からぼんやりと鎮守府の様子を見ながらタバコをひと吹かしすると、秘書艦の五月雨が文句を言ってきた。
「いくら出撃とか開発とか出来なくても、やらなきゃいけないことなんて山ほどありますよね?ね?」
「書類整理だの掃除だの後でいいよ…」
「そんなぁ、それこそ後で困るのは提督なんですよぉ、洗濯物だっていっぱい溜まってますし…」
今日は妖精さん一斉の休暇だ…休暇というよりは司令部で新しい任務や航路の設定を貰ってくる…らしい。
らしいというのは提督クラスでも詳しいことは教えてくれないからだ。
兎に角今日は妖精さんが一匹もいない。
妖精さんがいないことには羅針盤も回せないし開発も建造も補給も演習も出来ない。
すでに日課のトレーニングを終えた艦娘達は間宮でトランプ大会したり図書室で読書と決め込んだりしている。
明石さんは寮の布団やシーツを干してるし、港の方を見れば釣りをしているのは長門と陸奥か。
「ねえ、午後からでもいいですからしましょうよぉ…」
「提督のやることなんか決断だけでいいんだよ」
「はぁい?」
俺は掃除などまっぴらゴメンだったので無理矢理話題を変えた。
五月雨はついてこれずに間抜けな声をだす、よし、ペースを握った。
「つまりだ、俺が艦娘を選んで編成するだろ…」
「最近は大淀さんが編成プラン出してましたよね?」
「か、艦隊に適した出撃海域を選んで…」
「それも大淀さんの育成計画に沿ったものですよね?」
「か、改装や改造だって俺が選んで…」
「………提督って他の艦娘達のおねだりに意外と弱いですよね?」
ううっ…たしかに最近は大淀さんに頼りっきりだがここまではっきり言われると辛い。
というかホントによく見てるな五月雨…
「あの、提督が何を言いたいのか全然分からないんですけど?けど?」
唇を尖らせた五月雨の機嫌が段々と悪くなる。
「”提督の決断”さ、たとえ大淀が計画を組んだものでも承認したのは俺だし、その責任は俺にもある」
「ふーん…それで?」
「艦隊が戦果をあげたらそれは艦娘達のおかげだし、万が一轟沈したのなら俺の責任」
「話が本当に見えないんですけど?」
「つまり、俺は掃除をしないという結果による不利益を全て責任を持って受け入れるということだ」
「それって何が何でも掃除をしないってことじゃないですか!いやですよ本当にもう!」
さすがに腹を立てた五月雨は机に置いてあったファイルを掴むとバシバシと叩いてきた。
「いててっ!痛いっ!やめてっ!ごめんっ!ホントにごめんっ!」
「駄目ですっ!許しませんっ!えいっ!えーいっ!」
頭から背中から尻までバシバシと叩かれる、五月雨って意外とストレス溜めてたのか?
「はぁはぁ…叩くのに疲れたからここまでにします。そういえば提督はやったことに対する責任は取るっていいましたよね?」
「うむ、だから今日は掃除しない、明日やる」
「え、えっと…それはいいんですけど…」
うん?俺は妥協案のつもりでそう言ったが五月雨の質問はそういう意味じゃなかったようだ。
「…ですから…提督が私にしたことについても責任とってくれるんですよね………?」
そう言うと素っ裸にタオルケットを羽織っていた五月雨は先程睦み合った跡を恥ずかしそうに晒し、白い下腹部を愛おしそうに撫でた。
ああ、妖精さんが帰ってきたら相談しないとなぁ………
(了)
メンテ中にナニしてんの?ってお話。
あと初めて誤字脱字報告受けました、こういうシステムだったのですね。
報告してくれた方、ありがとうございました。