※この作品はR-18です。

艦娘百夜物語   作:ブラックマンバ

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第29夜「休日の過ごし方」

 

提督の私室に入るのにはルールがある。

 

1.”必ず”ノックをしてから入ること。

2.提督がいない場合は入室してはいけない。

3.駆逐艦(潜水艦)は駆逐艦(潜水艦)2名か軽巡以上の艦娘1名と一緒に入室すること。

4.軽巡以上の場合は軽巡以上の艦娘1名と一緒に入室すること。

5.艦娘が入室している場合はドアを開きっぱなしにすること。

6.21:00から07:00以内の入室は業務連絡以外禁止。

 

これは私室のドアに貼り付けられているもので当時の秘書艦と提督の協議の末に作られたルールはつつがなく守られていた。

しかしケッコンカッコカリ制度が導入され、提督が艦娘と結婚してからはさらにもう一文追加された。

 

7.ただしケッコンカッコカリした艦娘は上記のルールの例外とする。

 

 

 

 

 

日曜朝。

ばんっとドアが開かれると、夕立が部屋に入ってきた。

 

「提督っ、おっはよーございまーすっ」

 

そしてずかずかとベッドの前まで来ると盛り上がった布団に向かってダイビングする。

 

「きゃぁっ!だ、誰ですか!もう!」

「あれ、大淀さん?オールナイトだったっぽい?」

 

提督だと思って布団の上にダイビングしたのに…と夕立は残念そうに唇を尖らせる。

布団から顔を出したのは下着姿の大淀だ、急いでメガネを掛けて相手が夕立であることを確認し、寝ぼけ眼を拭いながら少し恥ずかしそうに答えた。

 

「べ、別にかまわないでしょう?ねえみんな」

「もう、誰ぇ…」

「ふわぁああ…何かあったの…?」

 

かなり大型サイズのベッドから5~6人ほどの艦娘達が素肌にシーツやタオルを纏いながら次々と起き上がってくる。

夕立は思わずクンクンと鼻を鳴らして顔をしかめた。

 

「クンクン…みんな凄い臭いっぽい、朝だしシャワー浴びて来なよ、もう」

「エッウソッヤダッアタシッ!?」

「山城…あなたに提督の臭いが残ってるみたい…」

「姉様の素肌にもいっぱい残ってますわ…」

 

身体中に赤いキスマークを点々と付けた彼女達はふらふらと自分の下着を探して服を着直すとシャワールームへと向かった。

そんな騒ぎにも関わらず、提督は布団を被りぐっすりと眠っている。

 

「提督さん!起きて起きてー!朝の散歩だよーっ!ほら、時雨も連れてきたんだから」

 

夕立はドアの外にいる時雨に入ってくるように手招きする。

そして布団を剥ぐと、提督の顔を舐め始めた。

 

「ぺろぺろれろ…ほら、早く起きないと顔中べたべたにしちゃうぞー」

「あっ…夕立ずるい…僕も提督起こす…ん…ぺろ…ぺろ…」

「うむ…ぐ…んぐぐ…んふぁあああ…」

 

むずむずと顔をしかめた提督がようやく起きる。

そして2人を両手でぐいっと抱きしめると耳元で囁いた。

 

「お、お前ら…何時だと思ってる…?」

「朝6時っぽい!」

「散歩するには丁度いい時間だよ提督…」

「こ、この部屋のルールを忘れたのか?」

「「”ただしケッコンカッコカリした艦娘は上記のルールの例外とする”(っぽい)(だよ)」」

 

ニヤニヤと笑う夕立と少し恥ずかしそうに頬を染める時雨は2人とも薬指のケッコン指輪を見せつける。

さすがの提督もうんざりとした顔になった。

 

「こ、こんなルール付け加えるんじゃなかった…お、俺のプライベートの時間が…」

「もう遅いっぽい?」

「うん…ホントにもう駄目かもしれないね、提督…ふふふ」

 

時雨はくすくすと笑いながら襖の隙間から窺える隣の部屋を見る。

そこには万年炬燵に麻雀パイが散らばり、一航戦と二航戦がぐったりと眠っていた。

休日前夜の夜は大体こんな溜まり場になるのが最近の私室の状況であった。

 

「はい、提督のトレーニングウェアだよ」

「汗流したら一緒にシャワー浴びようね!」

 

勝手知ったるなんとやらというが、タンスから新しい下着とトレパンを差し出してきた2人の手を借りながら提督は着替えていく。

 

「じゃ、いっくよー!」

「ふふふ、遅れてもちゃんと連れていくからね」

 

そうして提督は1時間ぐらいのジョギングを2人と楽しみ、シャワールームでも2人と愉しんだ。

 

 

 

「ふぅ~…いい汗かいたし、もう少し部屋でゆっくりと過ごすか………」

 

提督は濡れた頭をタオルで拭きながら私室に戻っていく。

そして部屋の前まで行くとドアの隙間から誰かの声が聞こえてきた。

 

「だから姉上は少し…」

「…それを言うなら武蔵だって」

「げっ」

 

そっと部屋の中を覗くと大和と武蔵がベッドに腰掛けて提督を待ち受けていた。

2人とも艤装を外してゆったりとくつろいでいるが、どことなく頬を上気させている。

 

「あの様子だと………うん、このままノコノコと部屋に入ったらやばいな…執務室の方に暫く逃げるか」

 

提督は抜き足差し足で部屋の前から逃げて執務室に入ると、そこから電話の内線で艦娘に何事か頼んだ。

 

「ああうん、俺の部屋から軍服一式もってきてくれる?あとそれから………」

 

 

 

 

30分ほどして、五月雨が軍服を持って執務室に入ってきた。

 

「お待たせしました提督、ご注文の品をお持ちしました」

「おお、待っていたぞ五月雨」

 

提督はゆっくりと着替えながら、五月雨の報告を聞いた。

 

「部屋にいた皆さんを全員たたき出してからちゃんと鍵を掛けてきましたよ、ほんとにもう大変でしたよ!炬燵にしがみついて離れないから大和さんと武蔵さんに手伝ってもらいました!」

「そうか、ありがとう。………お疲れ様五月雨」

 

五月雨から部屋の鍵を受け取り、ほっとした表情になる提督。

 

「それにしてもみんな提督の部屋に好き勝手に入り浸りすぎです」

「そりゃあ仕方ないだろう、みんなとケッコンカッコカリしちゃったんだから…」

「もう…前のルール守ってるのって全艦娘の中でもほとんどいないんじゃないですか?」

 

五月雨は頬に左手を当てるとふうっとため息をつく、その薬指には指輪が光っている。

 

「………ねえ提督…私室でゆっくり出来ないのなら、私の部屋に来ません?」

 

その誘惑に、提督は抗えるはずもなかった。

 

 

 

 

(了)

 

 

 




私がケッコンカッコカリしたのは五月雨、明石、大淀、妙高、武蔵です。
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