※この作品はR-18です。

艦娘百夜物語   作:ブラックマンバ

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第30夜「金剛に午後ティーを」

 

カチコチと鳩時計は時間を刻み、

カリカリと小気味よく書類を書き進めていくペンの音。

ペタンとハンコを押したところで提督は言いました。

 

「よし金剛、ちょっとお茶にしないか?」

「はーい、了解デース!じゃあさっそく淹れてきマース」

 

私は早速、今日の銘柄を何にしようか考えます。

アッサム?ダージリン?それともこの前買った新茶のアールグレイ?

 

「いや、今日は俺が淹れる」

「ええーっ本気ですカー!?」

 

提督が料理とかしたところを見たことないので思わず上擦った声を出してしまいました。

さすがの提督も苦笑いしてます。

 

「オイオイオイ、お前が来るまではちゃんと自分でやってたんだぞ」

「あはは、そ、そうですよネー…ソ、ソーリー…」

「じゃ、ちょっと待っててくれよ、お茶請けも用意してあるからな」

 

そう言うと提督は部屋を出て給湯室の方に向かっていきました。

それにしても提督が直々にお茶を淹れてくれるなんて初めてです。

うわ、なんだか意識してきちゃった…どうしよう………

 

そして20分ぐらいして提督がポットとティーカップを2つ、それとお茶請けのチーズケーキをお盆に載せて帰ってきました。

 

「や、お待たせ、久しぶりに淹れたからちょっと時間かかったよ」

「あ、ぜ、全然待ってなんかないデース!提督のお茶、すっごく楽しみデス!」

「ははは、そんなに期待されるとちょっと怖いな」

 

そうして温めたティーカップに提督が自ら注いでいきます。

とぽとぽと琥珀色の液体が流れ落ちるところを見ていると、ああ、なんだかどきどきしてきました。

 

「砂糖は?」

「おかわりがあるんでしたら、2つでお願いしマス」

 

そうして角砂糖が2つ。

ミルクはおかわりの時に使います。

提督は甘いミルクティーが好きなので最初からミルクと角砂糖をいっぱい入れてますね。

そして、すぅっと香りを楽しんでから少しずつ飲んでいきます。

 

「んー…ちょっと蒸らしすぎじゃないですカ?香りがちょっと強いですネ」

「え?そうか?…俺の好みで淹れてしまったからな…すまん」

「いえ、かまいまセーン、むしろ提督の好みが分かって嬉しいデース」

 

いつも美味しい美味しいって文句1つ言わず飲んでくれるのも、ちょっと困りものです。

チーズケーキを少しずつ食べながら、疑問に思ったことを聞いてみます。

 

「そういえばなんで今日はお茶淹れてくれたんですカー?別に何か特別な日ってワケじゃないですよネー?」

「うーん、そうだな…なんとなくそうしたくなったから…っていうのはダメか?」

 

うーん、ちょっとがっかりです、思わず眉を顰めます。

ここは”金剛のために淹れたかったんだよ”という台詞が欲しいところです。

 

「理由がない…それはそれで困りますネー」

「え、困る?…そうだなあ、なんとなく金剛に優しくしたくなった、とか?」

「”とか”じゃないデース!もっと酷いデース!」

 

思わず唇を尖らせて抗議しました。

”優しくしたくなった”とかそんな今思いついたみたいに言われるとますます悲しくなります。

 

「ホントにそんなこと言うなら普段から他の子にも優しくしてないと…」

 

私が勘違いしてしまいます。

 

「全然モテないダメダメ男になってしまいマース!」

「いやあ、モテなくてもいいし俺…」

「そんな情けないこと言わないでクダサイ、”俺は艦娘全員とケッコンする”くらい言って下さいヨー!」

「いやそんなことになったらいろんな意味で死ぬから、本気で」

 

…たしかにこの鎮守府にいる面々を考えると普通に誰か一人選んだ時点で大変なことになりそうですね。

 

「それじゃあケッコンしたい相手ぐらいいますよネー?」

「うーん、ケッコンは戦争が終わるまでしないって決めてるから相手なんて全然だよ…ハハハ」

 

手を振って否定する提督の顔色からはそれがホントだということは分かります。

でも戦争が終わった後は?少しだけやる気が出て来ました。

 

「はぁ…そんなんじゃ戦争が終わってもケッコンなんて出来そうにないデース」

 

思い切りバカにするようにやれやれと肩をすくめます、これで挑発に乗ってくれたら少しは脈があるのかな?

でも今のままじゃダメなのは分かります、だから…

 

「だから、今度英国流の女性のエスコートの仕方をたたき込んであげマース!次の休日はいつですカー?」

「えっ!?いきなりそんなこと言われても困るし…ああっこらっスケジュール手帳を盗むなっ!」

「ホホウ…来週の祝日が休みになってマスネー、じゃあこの日の朝10時からお願いしマース!」

「あああっ!勝手にスケジュールを書き込むな!こらーっ!」

 

提督が抗議の声をあげますがちゃちゃっとスケジュールを書き込んだ後、手帳を返します。

 

「イヤー来週が楽しみデース!1日でジェームズボンドばりのプレイボーイにしてあげマース!」

「いやいやいや、1日じゃ無理だからそれ!」

「アーそうそう、服は軍服のままでいいですからネー?それから…」

 

うん、まだデートじゃないから。

 

「これはあくまでTrainingデース!提督がかっこよくりっぱなプレイボーイになるまで何度でも講習しマース!」

「はぁ、まったく強引だな金剛は………分かったよ、それで待ち合わせ場所は………」

 

こうして私は提督と月に1回、一緒に出かけることになったのでした。

提督とデートに出かけると勘違いした妹達が尾行して大変なことになったのはまた別の機会に………

 

 

 

(了)




一人称ではふつーの喋りの金剛です。
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