陸奥の様子が最近おかしい。
以前はちょっとセクハラしたら「だから、私の中で火遊びはやめてって言ったでしょ!」とぷりぷり怒ってきたのに
最近では「……私でこんなに火遊びして。ふ~ん。お姉さん、知らないぞ?」と色目を使ってくる、陸奥コワイ。
書類整理しながらケツを触っても怒らないとか一体どういうことなんだ………
「ねぇ提督…いつまで私を無視するのかしら?」
次の大規模作戦のために資源を溜めるモードになっている我が鎮守府では
戦艦の出番は砲塔をさび付かせないために軽めの戦場に出撃させるぐらいしかない。
消費の激しい大和型や長門型に至ってはほとんどが演習ぐらいしか出させていない。
「無視なんかしてないぞ。ところで陸奥よ、整備は…」
「終わったわ、いつもの整備しかする必要ないんだもの」
「じゃあ補給は…」
「そんなのお昼ご飯で十分よ」
陸奥は私の執務のための机に肘をつき、自慢の胸を机の上に乗せて(以前触ったら”吹っ飛ばされた”のに今ではこれ見よがしに見せびらかしやがって…)ニヤニヤと笑いながら私を見てくる。
「あらあら…私は暇で暇でたまらないわぁ」
「私は暇じゃないんだから邪魔しないでくれ」
「邪魔なんかしてないわよぉ? 私は今日の秘書艦だから提督の命令を待ってる・だ・け」
「…………じゃあこの指令書を工廠の妖精さんのところに持って行ってくれ」
「わかったわぁ」
陸奥は私の頬に手を伸ばし…つつつと書類を持っている右腕まで指をなぞらせて書類を受け取る。
ぞくぞくっとしたものが背筋に走るがなんとか表情に出すことは我慢する。
「あら、いつもの建造と…まあ、46cm砲の開発を狙ってるの?」
「ああ、頼んだぞ陸奥」
「ふふふ、ちゃんと出来たら…ご褒美くださいね?」
「ちゃんと出来たらな、期待しないで待ってるよ」
陸奥は色っぽいウインクをするとスキップしながら執務室から出て行った。
さて、この隙に逃げるか。
…………
………
……
…
「うふふ、46cm砲が出来ちゃった♪ 私と提督の46cm砲が出来ちゃったぁ♪」
陸奥はうきうきとしながら廊下を進んでいる。
「提督にはどんなご褒美貰っちゃおうかしらぁ」
陸奥は時折はぁ~と色っぽいため息をつきながら顔を赤らめる。
そして執務室の扉をばーんと開けた。
「提督ぅ!ご褒美くっださ~い…な?…あ、あら?あらあらあら…まあ提督ったらトイレにでも行ったのかしら?」
執務室には誰もいなかった。
一方その頃提督は………
「ふう、ここまで逃げれば大丈夫だろう」
私は釣り竿を持って鎮守府近くの岩場………釣りスポットに来ていた。
少しさぼることになってしまうがよっぽどのことがなければ陸奥が処理してくれるだろう。
「それにしても陸奥は一体何を考えてるのやら…」
釣り糸を垂らし、私はほっと一息つく。
「まさかあいつセクハラを本気にしたってわけじゃないよな…いや、でも陸奥の本気か…」
頭の中を妄想が駆け巡る。
あの長門級の身体を好き勝手にしまう妄想が………
臍丸出しの腹部に舌を這わせ………
スカートをめくりあげてでかいケツを思う存分にまさぐり………
二つの柔らかそうな山に顔を埋める………
15.2cm単装砲をくわえさせて喉奧に発射し………
身体を押さえつけて轟沈するまで砲弾を………
妄想に浸っていたせいか釣り糸が引っ張っているのに気付くのに遅れてしまった。
ぐっと引っ張って見ると…これは大物だ!
「おっ!これは凄い引きだ!さぁさぁ…何が釣れたかな?」
私がぐいと釣り竿を引っ張ると、ぶくぶくと海が泡立ちその下から…
ざぱぁ!
「あら、あらあら、この陸奥を1人にさせるなんて…あらあらあら♪」
”ながときゅうせんかん むつ があらわれた!”
「な、な、なな…何やってんだお前!」
私は思いきり尻餅をつき、海から現れた陸奥をぽかーんとした顔で見つめる。
「何をって…提督を探していたんですよぉ?せっかく46cm砲が出来て急いで戻ったっていうのに提督はいませんし」
陸奥は犬のように水しぶきを振るって陸に上がってくる。
「そしたらほら、妖精さんから提督が釣り道具を持って鎮守府を出ていったって聞きまして………」
ぴちゃぴちゃと海水が地面に落ちる。
「ちょっと驚かせようと思って潜水してきたんですけど…ふふふ、効果覿面でしたね」
「驚かせすぎだろお前!…じゃあ先に戻るからお前はちゃんと身体拭いてから執務室に………」
「待ってよ提督ぅ!それよりもご褒美が先に欲しいのぉっ!」
陸奥が声をあげるが私は無視して釣り道具を纏めると岩場から上がろうとする。
ギャリリリリリギャキィイイイ
突然鋼鉄を摺り合わせるような音がしたと思うと私の身体に何か固い物が巻き付いているのに気がついた!
「わわわ、な、なんだこれはっ!?陸奥っお前かぁっ!」
私に巻き付いていたものそれは…陸奥の艤装…腰から吊しているアンカーチェーンだった!
「お、お前なっ!艦娘による人類や財産に対する武器使用は厳罰もんだぞ!」
「えー、錨は武器じゃないですからー大丈夫ですよー」
「大丈夫なわけあるか!」
私はそのままアンカーチェーンを陸奥に引っ張られ岩場に押し倒されてしまった。
陸奥の顔が私に近づいてくる。
「提督がいけないんですよぉ…私であんなに火遊びしておいてぇ…私を本気にさせておいてぇ………」
「む、陸奥…お前………」
「私、好きでもない相手にお尻なんか触らせたりしません♪」
なんてこった、陸奥はひょっとして…本当の本当に本気だったのか?
「ねぇ…46cm砲出来たら私にご褒美くれるって約束してくれましたよねぇ?」
「あ、あぁ………」
しまった、思わず肯定してしまった。
それを聞いて陸奥はにっこりと笑うと唇を合わせてくる。
陸奥の唇は潮の味と香りがした。
「んっ…んふっ…うふふ、提督のご褒美…もらっちゃいました♪」
陸奥の艶めかしい舌が唇を舐め取る。
その仕草に私の中の何かが限界を突破した。
「オラァッ!何がアトリエかぐや艦陸奥だぁっ!お前なんか対魔忍艦陸奥がお似合いなんだよオラァッ!」
逆切れした私の声が岩場のあたりに響いた。
「やったー提督っ…ついに私に本気に…………あ、ひぃんっ!堪忍してぇっ!」
「何が堪忍してだ!今日は絶対に許さんかんな!妊娠だけは確実にしてもらうかんな!」
その日長門は爆発した。
(了)