※この作品はR-18です。

艦娘百夜物語   作:ブラックマンバ

50 / 101
第50夜「提督法師記」

昔々その昔、ブイン基地に大型建造がまだ無かった頃。

本国から最も遠いブイン基地の提督法師は大型建造の書を授かりに、大本営へと旅を始めました。

 

お供に駆逐艦を伴って進んでいったところ、国境で長門型戦艦達に襲われて駆逐艦を全て失ってしまい提督法師は生きた心地がしません。

そこを旅の装甲空母に救われた提督法師ですが、装甲空母にこう言われます。

 

「あの長門型戦艦達は大型建造で出たのはいいが即廃棄されてしまった哀れな妖艦娘なのです。あなたが大型建造を正しく使うことによって彼女達を正しい道へと導くことを期待していますよ」

 

彼女は大型建造四天王の1人大鳳でしたが提督がその正体を知ることはありませんでした。

さらに別れ際にこう言われました。「あなたはこの後に3人の艦娘を弟子に迎えます、それぞれ一騎当千の艦娘です、大切にしなさい」と。

 

そして提督法師は鉄底山へと辿り付きました。

不気味な声が鉄山の底から響きます「私の提督が来たのだな! 早く来い! 私はここだ!」

びっくりして腰を抜かした提督法師ですが、これがあの旅の装甲空母が言っていた艦娘なのだと悟ると、鉄底山に貼ってあった封印のお札を剥がして武蔵を助け出します。

 

「わはは! これで私は自由だ! さあ、さっそくおまんこしようか提督法師……♪」

 

提督と艦娘の交わりは厳禁です(当時はそうだった)怒った提督がイオナイオナと唱えると武蔵のメガネがギリギリと頭蓋を割らんばかりに締め付けました。

 

「ぐわああ! なんだこれは! やめてくれ! もうお前を襲うことなんてしない!」

 

ここは一旦引き下がりましたが、この後もチャンスがあれば武蔵は寝込みを何度も襲いました。

しかしその度にイオナイオナと唱えられてお仕置きされます。

すっかり参ってしまった武蔵は提督法師の元から逃げだそうとしましたが、最後まで旅を続ければメガネが取れるかもしれないと言われ提督法師の弟子になりました。

おまんこ行為の空しさを悟ると書いて悟空という名を与えられ、今後は武蔵悟空と名乗るようになりました。

 

 

 

次に辿り付いたのはミッドウェー村です。

そこの提督さんは新しい艦娘を迎えたのですが、その艦娘は艦載機を独り占めして引きこもり、資源をぼりぼりと貪るばかりと困り果てていました。

提督法師は「よろしい、ならば私達でなんとかしましょう」と武蔵悟空と共に説得にあたりました。

引きこもっている艦娘は赤城といい、軽空母を倉庫に閉じ込めて世話をさせているとのことです。

そこで武蔵悟空は艤装を外して軽空母のふりをして倉庫に入り込みました。

赤城の姿はすぐに分かりました、その名の通り真っ赤な袴を着て口回りをボーキサイトの粉末で汚しています。

 

「お前が赤城か、なぜこんなところに引きこもっている? 艦娘としての使命を果たせ!」

「なんだお前は…お前のような巨大な軽空母がいるか!」

 

赤城は武蔵悟空へと殴り掛かります。

そして戦いは三日三晩続きパラオ村はボロボロになってしまいました。

 

「なかなかやるじゃないか…なぜこの戦力を正しいことのために使わない!?」

「何を…私は来るべき戦いのためにこうやって練度を高めていたのだ!」

 

赤城は戦いのさなかに問われ、握りボーキサイト飯を食べながら答えました。

 

「来るべき戦いとはなんだ!?」

「いずれ来たる提督法師のためだ! 私は提督法師のお供になって大本営まで行くように旅の装甲空母に言われたのだ!」

「なぜそれを早く言わない! 提督法師とは我が師のことだぞ!」

 

こうして赤城は提督法師の弟子となりました。

五戦(ごせん・赤城が装備することを禁じる搭載機のこと。烈風、紫電改二、震電、零式艦戦21型、零式艦戦52型等のこと)、 三資(さんし・赤城が食べることを禁じる資源、油、弾薬、ボーキサイト等のこと)を命じられて八戒という名を与えられ、赤城八戒と名乗るようになりました

 

「お前らもう二度と来るな!」

 

パラオ村の提督に石を投げられながら3人は旅を続けます。

 

 

 

そして最後の弟子となる榛名とはマリアナ大河で出会いました。

榛名は提督法師を見るやいやな襲いかかってきます。

 

「提督! ようやくお帰りになられたのですね!」

「誰だ君は! 私は君のような艦娘のことなど知らん!」

「そうだそうだ、我が師がこの河に来たのは始めてだぞ!」

 

武蔵悟空がさっと2人の間に割って入ります。

しかし榛名の目には提督法師しか映りません。

 

「私はあなたが帰ってくるまで30年も待っていたんですよ!」

「こいつ…頭がイかれてますね、先を急ぎましょう」

 

赤城八戒は呆れながら言い捨てます。しかし提督法師は榛名が首に掛けている9枚の紙切れに目がいきました。

それを良く見てみると古ぼけた婚姻届けで、名前欄には榛名と提督法師の名前が書かれています。

提督法師は知るよしもなかったのですが榛名は提督法師の前世達と9回もケッコンして大型建造の書への旅を失敗させていたのでした。

これは何か縁があると思った提督法師は「旅の装甲空母に何か言付けをされなかったか?」と聞きました。

 

「ああ! ではあなたが提督法師様ですのね! 榛名も旅のお供をします!」

 

こうして榛名は妄執を浄化することを期待されて榛名悟浄と名付けられました。

ついに4人揃った一行は大本営へと急ぎます。

 

 

 

一行の前に旅の難所の一つレイテ山が立ちはだかりました。

その山には翔角、瑞角と名乗る妖艦娘が待ち構えているとのこと。

しかし、ここを避けて通るわけにはいきません。

武蔵悟空は自ら偵察を買って出ます。

髪の毛を抜いてふっと息を吹きかけました。

 

「そうら、この零観の術で周囲の状況はばっちりだ!」

 

髪の毛は零式水上観測機に化けて山の中をくまなく探します、そして洞窟の中に翔角瑞角の2人が寝ているのを確かめました。

 

「提督法師! こっちの山道を通っていけば奴らに気付かれることなく通ることが出来るぞ!」

 

しかしそれは翔角瑞角の罠でした。

2人は艦載機で自分の分身を作って洞窟の中に置いておくと、自分達は山道で待ち構えていたのです!

 

「はっはっは! やはりこの道を通るか!」

「バカな奴らめ! 挟み撃ちだ!」

 

谷間の一本道で一行は、前を翔角後ろを瑞角に挟まれてしまいました。

翔角は赤いひょうたんの栓を抜くとこう叫びました!

 

「提督法師!」

「な、なんだ!」

 

すると提督法師はなんと赤いひょうたんの中に吸い込まれるではありませんか!

これが2人が持つ宝具の一つ菊門の紅葫蘆(べにひさご)です。

持つものに名前を呼ばれて返答すればひょうたんの中に吸い込んでしまうという恐ろしい監禁宝具でした。

 

「はっはっは、これで提督法師は私達2人の物だ!」

「なんだと!」

「提督法師をこんなところで失うわけには…!」

「私の提督法師を返しなさい!」

 

武蔵悟空達はカッとなって殴り掛かりますが、2人の持つ航空戦力は3人を相手にしても互角以上の力を発揮しました。

これではお互いに決着がつきません。そこで武蔵悟空達は一計を案じました。

 

「我が名は武蔵悟空! かつては大本営で大暴れした大戦艦だ! 怖くなければ本気でかかってこい!」

「私は赤城八戒! あなたたちの航空戦力の弱点は知り尽くしているわ!」

「榛名は提督法師のお嫁さんなんです!」

 

翔角はカカカと笑うと3人の名前を呼びます。

そして3人はひょうたんの中へと吸い込まれていきました……

 

 

 

菊門の紅葫蘆の中は豪華な大和ホテルが建っています。

4人はここから出られないことを悟るとみんなで仲良く暮らしましたとさ。

どっとはらい。

 

「ねえ! 本当は出られるんでしょ! 出て来てくださいよ! ねえ!」

「お話がこれで終わりってあんまりじゃない!」

 

 

(了)




というわけで第50夜を迎えて折り返し地点までたどりつきました。
あと残り50夜もお楽しみくださいませ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。