提督が懐からお守りを出して匂いを嗅いでいる姿は鎮守府ではたまに見られる光景であった。
母親から送られてきたお守りを大事にしているという説が艦娘達の間では一般的だが妙高だけは真実を知っていた。
「妙高、そろそろ頼んだぞ」
「……はい、今夜伺います……」
廊下ですれ違う時に提督に耳打ちされる妙高。
妙高の隣を歩いていた羽黒が意味ありげな笑みを浮かべるが妙高はその笑みがいやでたまらなかった。
「妙高姉さんも提督に抱かれてるんだ」と言わんばかりの羨ましそうな顔が。
そして夜になって妙高が執務室に行くと提督はすでに用意を終えていた。
お湯を張ったタライに手ぬぐいが入れられ、石けん水とT字剃刀が用意されていた。
「じゃあ始めようか、下を脱いでくれ妙高」
「……はい……」
ああ、やはり今夜もダメだったかと、妙高は諦めにも似た表情をしながらスカートを床に落とし、タイツを下着ごとずりおろして下半身を提督の前に晒す。
外気に晒された妙高の恥丘は濃い熱帯雨林に覆われていた。
「ほう」と提督はため息を漏らすが妙高は自らの恥部を凝視されるのは恥ずかしくてたまらなかった。
そして提督は自分の椅子に妙高を座らせると濡らして温めたタオルを妙高の股間に被せた。
「あ、んっ……!」
「熱かったら言ってくれよ妙高、火傷させるわけにはいかないからな」
優しい声がこの時ばかりは恨めしい。
提督は濡れタオルの上から妙高の恥丘をマッサージするように揉みしだく。
「あっ…ん…く…は…ああっ……」
もっと艶めかしい声でも出してやろうかと思ったがそんなことで提督は誘惑されないことはすでに知っていた。
そう、妙高は幾度となくアプローチをしているのだが未だに抱かれず処女のままであった。
「弾避けのお守りには処女の陰毛が一番だからな」
と、提督は言うが、「弾避けなんか私に任せてくださればいいのに!」といくら言っても「俺は妙高の陰毛がいいんだ!」と言われれば喜んで良いのか悪いのか妙高はいつも頷くしかないのであった。
そしてタオルが除けられるとむわっとした淫臭が執務室に広がる、妙高は丹念なマッサージですでに濡らしていた。
「……妙高は良い匂いがするな……そろそろ石鹸を塗るぞ」
「は、はい…出来るだけ優しく…あ…あんっ!」
泡立てた石鹸を塗られると妙高は今度こそ本当に艶やかな声をあげる。しかしそのたびに「くすぐったいだろうが我慢しろ」と提督に言われ唇を噛みしめるのであった。
「動くなよ…お前の綺麗な肌に傷は付けたくない」
「あぁ、はぁ…はい……」
そしてT字剃刀が妙高の陰毛を撫でていく。じょりじょりと一本残らず陰毛をそり上げていった。
剃った妙高の陰毛は別の皿に盛られる、後でより分けてお守りに入れるらしい。
「それにしても妙高の陰毛は生えるのが早いなぁ」
「そ、それは…提督がこんな風に剃るから…ですっ…んんっ!」
「バカだなぁ、剃ったら濃くなるなんてのは俗説だぞ」
くっくっくと提督に笑われ、妙高は羞恥に耳まで赤くさせた。
股を大きく広げられ、入り組んだ部分まで全部剃られてつるつるになったところでようやく剃毛の儀式は終わった。
「ふう、お疲れ様、一応ちゃんと綺麗に拭いておいたけど心配だったら風呂場使えよ」
「はい…私…部屋に帰りますね……」
上気してふらふらした頭のまま立ち上がると股間からとろりとした物が流れ落ちる。
このまま提督の目の前で思い切り自慰をしたら襲いかかってくれるのかしら?と、そんな衝動に駆られるが、提督はすでに陰毛のより分けにかかっているのを見たらすっかり冷めてしまった。
「……では、失礼します。提督もあまり夜更かししないでくださいね」
「ああ、また明日な」
提督は陰毛のより分けに夢中で顔も上げずに声だけで答えたので、妙高は提督に向かって思い切り舌べろを見せてから執務室を出た。
このまま羽黒との相部屋に帰りたくなかった妙高は鳳翔さんの居酒屋で愚痴を聞いて貰おうと足を向けたところで足柄とばったり出会ってしまう。
足柄は居酒屋帰りなのか顔を真っ赤にして酔っていた。
「あっれぇ……妙高姉さん、提督に……呼ばれてたんじゃなかったの?」
「あー、えっと…もう終わったの……」
「……今夜は剃毛プレイしてたのに? 羽黒から聞いたわよ」
……後で羽黒を折檻せねばと妙高は心に誓った。
「あーもー私も提督に剃毛プレイして欲しいからお手入れ放置してたのに”自分でやれ”って言われてさー…妙高姉さんずるいわ!」
「そんなこと言われても困ります……」
「剃毛プレイされるためになんて言ってお強請りしたの? 教えなさいよぉーっ」
ああ、あの提督は結局妙高以外の姉妹全員と肉体関係を結んでいる。
それだけならばまだいいのだが(いやよくないと妙高は思い直した)問題は妹達全員が「妙高が一番提督に激しく抱かれて愛されている」と勘違いしていることである。
……一番愛されているのは間違いないかもしれないが。
「妙高姉さんばっかり愛されててずーるーいー!」
「……足柄、あなた大分酔っているみたいですね……」
「だってぇっ…今夜は私の番だと思ってたのにぃ…妙高姉さんが横入りして提督独り占めなんだもーん! ずるいずるいずるーいっ! 私にも分けてよぉーっ! 妙高姉さんのビラビラ淫乱マ○コーっ!」
さすがにこの発言には妙高もキレた。
「足柄…ちょっと難しいお話しましょうか? ちょっとそこの部屋で…いいですね?」
空き部屋に引きずり込まれた足柄は大分難しい話をされて酒精を全部吐きながら泣くハメになった。
妙高は妹相手にさすがにやりすぎたと思い、すっかり落ち込んで部屋に帰ると羽黒の心配する声も無視して枕を涙で濡らした。
そして朝起きてもまだ悶々としたものを抱えながら秘書艦として執務室に行くと、提督がすぅーっとお守りの匂いを嗅いでいるのを見てしまい、またまた気持ちが落ち込んでしまった。
……妙高は気がついていなかった。
もやもやしたどんよりした悶々とした気持ちを抱えていると妙高の熱帯雨林の育成速度が早くなるということを。
一週間もすればうっすらとした茂みになり、一ヶ月も経てば伸び放題となり、二ヶ月もすればアナルまで密生してしまう。
そしてほどよく伸びたところで、密林を育成していた提督に刈り取られていたのだ。
だが、そんな提督の陰謀など、深海棲艦との戦争が終わってケッコンカッコガチするまで妙高はついぞ気がつくことは無かった。
(了)