「さて…っと…ンッ!…ん…んぐ…うーん…ちょっと疲れが溜まってますねえ……」
明石さんは液体を味わうように口の中で転がしてから飲み干すと、感想を言ってカルテに何事か書き込む。
テーブルの上には艦娘達の名前が書かれた検尿コップがずらりと並び、その一つ一つを明石さんは口に含んでいた。
なぜなら彼女の舌は体液を舐めるだけで艦娘の体調やケガの状態、その時の精神状態までをもスキャン出来るのだ。
そしてその能力は通常業務である艦娘の修復作業のために存分に使われている。
私は好きなように艦娘の尿を飲むことが出来る彼女の様子を羨ましそうに眺めていた。
するとその視線に気がついたのか明石さんは手に持っているコップを軽く振って言った。
「これ、誰のだと思います?」
コップには名前が書いてあるのですぐに分かる。私の嫁の五月雨のものだ。
ああ、羨ましい。この時の私の顔はそれこそ子供みたいな物欲しそうな表情だったことだろう。
「五月雨ちゃんのですよ。新婚さんだからってあんまり激しいことしちゃダメですよ?」
「いやいやいや!」
明石さんは意地悪そうなことを言って、よく私をからかう。
私が艦娘の尿を飲みたいのを知っているから尚更だ。
そして明石さんは私のまるで乞食のような顔をじっくりと眺めながら五月雨の尿を飲み干していく……はぁあと思わず溜息が漏れた。
「提督もそろそろお仕事に戻った方がよろしいんじゃないんですか?……ンッ…こっちはちょっと水っぽいかな……」
「今は休憩中なんだ……それよりも明石さん、私にも飲尿させてください!(明石さんの仕事の手伝いがしたいです!)」
「ダメですよ、提督は完全に趣味じゃありませんか」
本音と建て前を逆にしたストレートなお願い事をしたがあっさりと拒否されてしまった。
「はぁ~……少しでも真面目にやる気があるのなら利き汗をしてください、この汗が誰のものなのか分からなかったら執務室に帰って下さいね」
優しい優しい明石さんがそう言って差し出してきたコップの中には一口分よりも少ないくらいの液体が入っていた。
「さあどうぞ、一口でぐいっとやっちゃってください」
私はそれを口に含むとワインの利き酒のように舌の上をころころと転がしてからごくりと飲み込んだ。
「むっ…この塩味の強さと独特の火薬の匂いに絶妙な乳臭さ……長門だな」
「正解です……なんでわかるんです?」
「さっき直接舐めてきたからな」
明石さんのあんぐりと口を開けた呆れたような顔は見物だった。
(了)