それは爛れながらも平穏な日々 作:メキシカンX
カーテンの隙間から朝日が差し込む。
「ンッ……」
ベッドの上で横になっている裸の男女。その男の方、織斑一夏は顔にかかる日光から逃れるように寝返りを打った。
「……もう朝か」
一方の女性の方、織斑千冬は眠気が残る風もなく眼を覚まし、身体を起こした。
IS草創期の軍隊めいた育成環境は、千冬の身体を何時如何なる時でも臨戦態勢になれるよう育て上げた。これを便利と思う時もあれば、不便と思う時もある。
「う~ん……ちふゆ、ねえ……」
まだ微睡の中にいる一夏が寝言を呟く。
その呑気な寝顔を見て千冬は笑みを浮かべると顔を近づけ、頬に軽くキスをした。裸のままベッドから降り、立ち上がる。
「……たまには、私が作ってやるか」
そう呟くと、千冬は部屋を出た。
「……あれ?」
一夏が目を覚ましたのは千冬が起きてから約30分後、朝日からとうとう逃れられなくなった頃だった。
「千冬姉?」
きょろきょろと周囲を見回す。部屋には誰もいない。
一瞬、一夏は昨日の一連の事が夢だったのではと思った。学園の応接室で説明を受けてから千冬と交わるまでの全てが余りに現実味に欠ける出来事だったからだ。
だが───
「……現実、だよな」
汗でべたつく体。
シーツや部屋に残る匂い。
そして何より精液などの液体の残渣が残る自身の股間が、昨晩の出来事が全て実際にあった事の証明だった。
初めての挿入で早々に気をやってしまった後、結局二度も千冬とは交わった。そのまま気絶するように眠りに落ち、今に至る。
傍らで寝ていたはずの千冬の姿は既に無い。規格外の体力と身体能力を持ち合わせる彼女だけに、もうとっくに起きているのだろう。
時計を見ると7時半。学園寮であれば、箒の朝練に付き合っている頃だろうか。
「……ああ、畜生」
昨晩の自分がした事を思い起こし、一夏は頭を抱えた。
やってしまった。幾ら政府からの要請で、相手も合意していたとはいえ実姉とセックスしてしまった。
やるだけやっておいて今更後悔するのも手前勝手な話ではある。おそらくこれは「賢者モード」という状態なのだろう。それは一夏にも分かってはいたが、それでも後悔の念はあった。
「……ハァ」
ため息をつくと一夏はベッドから身を起こした。今後どうするかはさておき、まずは朝食前にシャワーを浴びて汗を落とさなくては。
学園側の手回しで今日から数日は自宅に居てよい事になっている。シーツも今日中に洗濯しないといけないだろう。
「(この手の染みって普通の洗濯で落ちるのか? 揉み洗いしないと駄目かもな……)」
そんな事を考えつつ、裸のまま自室を出てリビングに向かう。流石にこのベタベタのまま肌着を着ける気にはなれなかった。
「……ん?」
何かを炒める音が聞こえる。千冬がキッチンを使っているのだろうか。
「千冬姉?」
階段を下りリビングのドアを開けると、キッチンでフライパンを手にしていた千冬が振り返った。
「起きたか。随分と遅いお目覚めだな」
「ああ、おは……」
朝の挨拶をしようとして、一夏は動きを止めた。
「朝食は作らせてもらっている……しかし、慣れていないと駄目だな。目玉焼きがスクランブルエッグになってしまった。トーストは二枚で良かったか?」
「………」
豊かな臀部から覗く茂み。
「お前も汗をかいたままだろう? 先にシャワーを浴びるといい。それまでに用意はしておく」
「………」
白い布地に収まりきらない横乳。
「……どうした?」
「ち、千冬姉……それは?」
「ん? ああ、悪いがお前のを借りているぞ」
裸に白いエプロンだけを身に着けた姿で千冬はそう答えると、再びフライパンに視線を戻した。
“GREAT”
何故かそんな言葉が一夏の脳裏に浮かび、過去の他愛ない記憶が蘇った。
中学生時代、悪友との猥談で「好きな制服やシチュエーションは?」という話題が出た事がある。
その時に誰かが言った「裸エプロン」について、当時の一夏は正直なところピンと来なかった。前が隠れているだけではないのかと。缶ビール片手にスポーツブラ姿でくつろぐ千冬が当時から間近に居た事も無関係ではないだろう。
しかし、今の一夏はその友人に対して全力で謝罪したくなった。
昨夜何度も肌を交えた女性が、その名残を残したままエプロンのみを付けて当たり前のように日常に戻っている。
それは一夏に否応なく昨晩の千冬の乱れる姿を思い起こさせ、その相手が実姉であるという背徳感と合わさり強烈な興奮を引き起こした。
大人しくなっていた股間の肉棒は瞬く間に充血し硬さを取り戻し、臍に貼りつくほどに屹立する。
「(ヤバすぎだろ、千冬姉……!)」
咽が鳴る。一夏はつい先ほどまで抱えていた後悔と決意が早くも崩れ始めるのを感じていた。しかしここで仮に千冬に抱き着きでもすれば、今度こそ一夏は──既に一度ならず射精している以上、もう手遅れかもしれないが──完全に戻れなくなるだろう。
そう内心で懊悩する間も、一夏の視線は背を向ける千冬の身体に釘付けになっていた。
シャワーを浴びた直後なのだろうか。濡れる黒髪から覗くうなじ、姿勢よくすらりと伸びている背筋ときめ細やかな肌、引き締まったくびれから一転して豊満さを見せつける尻肉。千冬が料理で身体を動かす度に、ふるりと一夏を誘うように揺れる。
数秒の僅かな時間。一夏は悩み、悩み、悩み──
「(……ええい、ままよっ!)」
──欲求に屈する事にした。
「……“千冬”」
一夏は千冬の背後に近づくと、あえて呼び捨てつつ肩に手を置き身を寄せた。ぴくりと反応し、手を止める千冬。
「どうした、一夏? 料理中だ、危ないぞ」
既に一夏が何を求めているのかは千冬も分かっている筈だ。
しかしそれを当人から言わせたいのだろう。千冬は何気ない口調で答えた。
一夏はもう一度唾を呑み込むと、掠れた声で言った。
「ごめん……今の千冬を見てたら、堪らなくなって……物凄く、したい」
こういう時、経験豊富な男ならもっと洒落た言い回しをするんだろうか。そんな事を頭の片隅で考えつつ、一夏は自分の情動のままを口にした。
「そうか……」
千冬の鼓動が胸板越しに届く。その鼓動は速い。おそらく一夏の早鐘のような鼓動も、逆に伝わっているだろう。
「……仕方のない奴だな」
そう言うと千冬は、コンロの火を止めた。
「千冬……っ!」
それが合図だったかのように一夏は千冬のエプロンの横から手を差し込み、両の乳房を揉みしだいた。ずっしりとした重みと弾力が掌から伝わってくる。
「ンッ、ち、千冬、千冬……!」
「一夏、あっ、も、もっと舌を出せ……んはっ……」
千冬の首をこちらに向けさせ、背中越しにキスを交わす。一夏の伸ばした舌にまるで蛞蝓の交尾のように千冬の舌が絡みつき、次第に吐息が熱く、荒くなってゆく。
張り詰めていたエプロンの胸の部分が更に張りを増し、両の乳房の先端を形作る。乳首が勃起し始めているのだ。
同時に一夏の腰はその肉付きのよい尻に擦り付けられていた。尻の谷間を硬く熱い肉棒が前後し、次第にそれは汗と先走りで滑らかさを増してゆく。張りのある肌は押し付けられる一夏の亀頭を押し返しつつも柔らかな弾力で包み込む。
「千冬のお尻、柔らかい……!」
「そっ、そういう事を、言うな……ああっ!」
乳首を捏ねるように触られ、千冬は喘ぎを漏らした。一夏は痺れるような快感を味わいつつも昨晩千冬から教わったように自身の尻に力を籠め、簡単に達しないよう耐える。
後ろから抱き着いたまま、一夏は片手を千冬の前に回すと下半身に向けた。エプロンの裾から手を入れると、じっとりとした湿気と陰毛の感触が伝わってくる。更に指を進めると、千冬の女陰は既に濡れていた。
「(千冬姉……!)」
自分が千冬を濡れさせている。その事実に一夏は堪らない満足感を覚えた。
千冬は両手をキッチンに置き、身体を支え腰を突き出す格好になっている。一夏は片手で千冬の乳房を掬い上げるように揉みつつ、もう一方で濡れる女陰を弄る。ひくつく孔に指を差し入れると、待ち侘びたように襞が指に絡みつく。
「うあっ! ま、全く、こういう事だけはっ、覚えが早い……っ!」
「教えてくれる人が、ゆ、優秀だから……っ!」
全身に汗を浮かべつつ千冬が言う。一夏は今にも射精しそうな快感を堪えつつ、それでも強がりの笑みを見せて言い返した。
下半身を弄る一夏の指を濡らす愛液の粘度が増し、グチュグチュという淫らな水音が次第に大きくなってゆく。
「ンッ、い、一夏っ! ああっ……!」
千冬は快感に脚を震わせ、崩れそうな身体を懸命に支える。切なそうに瞳は潤み、濡れた髪が肌に貼りついている。
一夏は自身の限界がじわじわと近づいている事を感じつつ、腰の動きを一度止めた。
「千冬……挿れるよ?」
「………」
千冬は顔を赤くしたまま俯いた。一夏に視線を合わせず、小声で言う。
「は、はやく……しろ……っ!」
「……!」
挿入を小声で求める千冬に、一夏は感情のままに張り詰めた肉棒を突き入れた。
「ああっ! い、一夏ぁっ!」
「ううっ、千冬っ! 千冬のここ、熱いっ!」
身悶えする千冬の膣内は熱く、そして潤っていた。一夏はその肉棒全体を包む快感に危うく射精しそうになり、咄嗟に自身の身体を
「んっ! んくっ! んはぁっ! も、もっと、もっと、動いていいぞっ、一夏っ!」
「そ、そんな事言ったって、千冬の、良すぎてっ!」
「奥まで、思い切り突き入れろっ! ふああっ! そこっ、擦れて……ああんっ!」
朝のキッチンに互いの肉を打ち付ける音と喘ぎ、淫らな水音が響く。結合部からは激しい結合による愛液の飛沫が弾け、床にポタポタと落ちる。
背後から覆い被さるような姿勢で一夏は千冬の腰を掴み、夢中で腰を振った。時折亀頭の先にこつんと当たる感触。これが子宮口だろうか。
昨晩に交わった形とはまた異なるこの獣めいた姿勢は擦れるところもまた違うようだった。反り返る一夏の肉棒が膣内の襞を擦る度に千冬は悶え、更なる快感を求めて亀頭から竿まで全体を締め付けようとしてくる。
「(千冬姉の身体……もっと、もっと感じたい……っ!)」
そう思いつつ、一夏は更に肉棒を突き入れた。勢いだけに任せた荒々しい動き、しかし千冬の身体はそれに応え、肌は火照りを増してゆく。
汗を吸ったエプロンの布地はうっすらと透け、胸元の布地は中央に寄り千冬の両の乳房を外気に晒させた。先端の桜色の乳首は固く尖り、窓から差す朝の光が乳房を濡らす汗を照り光らせる。その美しくも淫猥な千冬の巨乳を一夏は捏ねるように揉んだ。
やがて、一夏の背にぞくぞくと耐えがたい快感が昇り始めた。堪えようとしても抑え切れない。限界が近づいてきたのだ。
「ごめんっ! 千冬、もう、俺……!」
「っ!? あ、あと少し、我慢しろっ! わっ、わたっ、私も、すぐ……っ!」
喘ぎの合間に一夏を制止しようとする千冬の声は上ずり、膣の締め付けが一際強くなる。
千冬も絶頂が近い。それに気付いた一夏は歯を食いしばり、何とか千冬が達するまで耐えようとした。
腰を止めて少し興奮を治めようかとも思った。しかし、そう考えても一夏の身体は言う事を聞かず、ひたすら千冬の女陰に肉棒を突き入れ、快楽を貪った。
そして、遂に限界が来た。
「だっ、駄目だっ、千冬っ、千冬ぅっ!」
「いっ、いいぞっ! 出せっ! 思い切り、お前の精液っ、私に吐き出せっ!」
「うあっ、うああっ!」
「一夏っ、いちかぁっ!」
切なそうな声と同時に、千冬の膣内はとどめとばかりに肉棒を締め付けた。
獣めいた声と共に一夏は達し、大量の精液をその中に送り込む。
どくどくと濃い白濁液が注ぎ込まれ、溢れた精液は床に白い水たまりを作った。
「あぁ……熱い、な……お前の、精液は……」
「あ……あぁ……ち、千冬……姉っ……」
「ふぅ……はぁ……お、お前からシャワーを浴びろ……私は、後でいいから……」
キッチンに身をもたれさせつつ千冬が蕩けるように言う。
精液を出し切った肉棒が女陰から抜け、どろっとした精液が零れ落ちる。
互いの鼓動を感じながら、二人は暫く身体を重ねていた。
「……さて、これからの計画だが」
30分後。
お互いにシャワーを改めて浴び、着替えた一夏と千冬は向き合いながら冷めた朝食を食べていた。千冬はワイシャツにスーツという余所行きの格好、一夏はTシャツにスウェットパンツという「部屋着・オブ・部屋着」とでも言うべき恰好である。
「計画?」
先ほどまでの乱れ方が無かったかのような千冬の落ち着いた雰囲気に感心しつつ、一夏はスクランブルエッグをトーストに乗せた。
「無論、子作りの計画だ」
当たり前のようにそう言うと、千冬は湯気の立つコーヒーを飲んだ。一夏がまだ射精後の脱力感が抜けていないので、インスタントコーヒーを自分で淹れている。
「一夏、お前は女性の身体のサイクルを知っているか?」
「まあ……多少は。今の千冬姉は安全日なんだっけ?」
トーストを口に入れつつ一夏は答えた。
「そうだ。個人差はあるが、大体28日周期で女性は排卵から高温期、生理、低温期を経て再び排卵する。私は生理は短い方なので、次の排卵期までは……あと8日前後といったところだ」
何とも朝飯と共にするには生々しい話だ。そう思いながら一夏はトーストを呑み込んだ。
「つまり、来週あたりが千冬姉が一番妊娠しやすい時期って事か」
「そういう事だ。周囲への影響も含めて、早めにこの件は片づけたい。そしてその為にはお前の協力も必要不可欠だ、一夏」
そう言う千冬の表情は真剣そのものだ。
「いや、勿論協力はする……って言うか、もう協力してるけど?」
不思議そうに言う一夏に、千冬は首を横に振った。
「『セックスができる』と『ちゃんと子作りが出来る』は似て異なるものだ。排卵期に入った時に、確実に私を妊娠させられるようになってもらわなければ困る」
「……つまり?」
「幸いお前のフィジカルは同世代の男子と比べて勝っている。一夏、これからの一週間、お前には徹底的に私との性行為に対して馴染んでもらう。IS適合者同士の性行為は過去に例が無い。互いが万全でなければ子は授かれないかもしれない」
「ちょっと待ってくれよ、それって……!」
『この一週間、千冬姉とヤりまくれ』って事か?
真剣な表情の千冬に流石にそれを口に出すのは憚られたが、言外の含みに対してスウェットの中の一夏の肉棒は早くも期待に疼き、むくりと起き上がった。
だが、続く千冬の言葉はその期待を裏切るものだった。鋭利な視線で一夏の瞳を射抜くと、淡々と言葉を続ける。
「何を期待している? 私はこれから学園だ」
「え?」
「篠ノ之たちからの勘繰りを防ぐために休み扱いにしたお前と違って、大人は仕事をそう簡単には休めんのだ」
そう言いつつ千冬は椅子から立つとリビングの棚を開けた。中には何冊もの大判の書籍が収まっており、それを束で取り出し食卓に広げる。
「お前はもともと座学が弱い。邪魔の入らないこの機会に、これをやってもらう」
「……な!?」
それは様々な学科のドリルだった。英語や数学などの高校生らしい科目からIS基礎理論に至るまで、一夏が授業で受けているもの全てが揃っている。
「だ、騙したのかよ千冬姉!」
流石に声を荒げる一夏に、千冬は涼しい顔で答えた。
「学生の本分は勉強だ。それに……『本来の目的』も兼ねている。よく見てみろ」
「……?」
怪訝な顔で一夏はもう一度ドリルの数々を確認した。よく見ると、表紙の右上に小さな付箋が貼られている。
その付箋のひとつを見てみる。
「脚」
続けて一夏は他の付箋も見た。「口」「胸」「尻」「腿」などの身体の部位のほか「スーツ」「IS競技服」などの服装などが書かれている。
「……まさか、これって」
一夏の憶測を、千冬が肯定する。
「踏破したドリルの『事』をしてやろう。それとは別に『基礎訓練』も夜には行うから、夕方には仮眠を取っておけ」
硬直する一夏。その反応を楽しむように千冬は微笑んだ。
「ああ、もう一つ言い忘れていた」
立ったまま、耳元に口を近づける。
「しばらくオナニーは一切するな。全て私の
一夏の心臓が、一際大きく跳ねた。