浄化しきってないけど慣れてきたくらい …一週間ちょいくらい?
NPCは過去セッションで使ったものからの流用
現在、この本丸は出陣遠征を行っていない。審神者の指示で皆に休みが与えられているのだ。肉体的には既に問題ない。今の審神者…小鳥が来たその日の内に、傷を負っていたものは皆手入れを受けさせられた。傷を負っていなかったものも、本体の
顕現してからの内で、今が一番調子が良い。何処も不調を訴える所はないし、それどころか躯が軽いと感じるくらいだ。それなのに、小鳥は戦場に出ずとも良いという。今は心身ともにゆっくり休ませろ、と。
これまではずっと、働きづめだった。暴力を振るわれるものもいた。安心して休んでいられる時間等、なかった。だから皆、最初は戸惑っていたと思う。俺だってそうだ。休めと言われても、どうすればいいかわからない。
そんな俺たちに、小鳥は傷だらけの躯(この本丸に来た時には既にそうだった)で微笑んで「ゆっくりでいいよ。ゆっくり、自分の望みと向き合って決めたらいい」と言った。
「♪~」
俺が小鳥の元を訪れた時、彼女は縁側で外国の唄を歌っていた。その傍らには当然のように彼女の江雪左文字がいて、更に小鳥の膝で、蛍丸が所謂膝枕をしてもらっていた。
この本丸に来派の刀剣は蛍丸一振りしかいない。愛染は折れた。明石はそもそも来ていない。小鳥に休めと言われ、とりあえず兄弟や昔馴染みの刀と過ごしているものが多いが、蛍丸にはそういう相手が特にいないのでこうなったのだろう、多分。
「…あれ、どうしたの、鶴丸さん。そんな所に突っ立って」
「君こそ、何故蛍丸を膝枕しているんだい?」
「んー…話の流れ?」
「俺がどうやって膝枕してもらうことになったかなんて、鶴丸には関係ないでしょ」
蛍丸は俺に視線だけ向けて口を尖らせる。
「鶴丸さんは…退屈にでもなった?」
"鶴丸国永"は何もせずぼーっとするのは苦手だよね、と小鳥が言う。まあ、間違ってはいない。
「やる事が思い付かん。なあ、本当に出陣はしなくていいのか」
「"今は"いいよ」
小鳥は軽く首を傾げる。
「どうしても出陣したいというなら…それが一部隊分いたら出られるよう手配するけども」
単騎出陣はさせられないと小鳥は言う。
「…いや、そういうことでも、ない」
俺はどうすればいいのかわからない。退屈を甘受する気はないが、かといって何もする事が思い浮かばない。このままじゃあ、心が死んでしまうのではないかと思う。
…いや、既に俺の心は、死んでしまっているのではないか?
「鶴丸さん」
小鳥が手招く。
「暇なら少し俺と遊ぼう。そうだな、"ゆうこや"あたりでどうだ」
「おや、クトゥルフやネクロニカなどではないのですね」
「全くの初心者にネクロニカは無茶ぶりって奴だと思うぜ。…江雪と蛍丸君もやる?」
「その、ゆうこや、って何なの?」
「正式には"ゆうやけこやけ"と言って、TRPGの一種だ。まあ、ざっくり言うと参加者全員で話しながら一つの物語を作る遊戯だな。ほのぼの推奨だ」
そこで区切って、薄い板を三枚取り出す。
「
板には、幾つもの視覚と文字が書かれているようだった。
「まあ、ごんぎつねとか、鶴の恩返しみたいな感じかなあ。PCが死ぬ事はそうそうないが」
「…ちょっとばかり照れ臭いが、悪くない遊戯だな」
まあ、遊戯の中くらいは平和なのもいいだろう。短刀にやらせておけ、という気もするが。
「"ゆうこや"はランダム要素がないから事故らないしな。…他の賽を使うものに慣れてると多少物足りないかもしれないが」
「…遊戯でまで賽の目にもてあそばれるのは御免だぜ」
「んー…なんか、刀剣男士とTRPGやると三割増しでクリファン出される気はするんだよねぇ」
碌でもない事になった事があるらしいというのはとりあえず理解した。
「小鳥は、他の"俺"ともこういう遊びをしたの?」
「んー…大体は鶴丸さんとか鶯丸さんとか和泉さんとか清光君とか付き合いの良い人が多かったから、蛍丸君とは初めてかな。少なくとも、ゆうこやをやったのは君が初めてだと思う」
「へー」
蛍丸は少し嬉しそうに笑った。
「…私はピーカーブーくらいの方が好きです」
「ピーカーブーはPLが偶数じゃないとバランスがなぁ」
「そのぴぃかぁぶぅというのはどういう遊戯なんだい?」
「ピーカーブーはPCがお化けか人間の子供で、基本的には二人組を作って遊ぶんだ。お化けと子供でな。スタンダードなシナリオなら、問題を解決するために最後にはお化け屋敷に潜ってそこの主のお化けを倒す事になる」
「…へぇ、意外と好戦的なんだ」
「人死には出ませんから平和ですよ」