※この作品はR-18です。

小夜啼鳥の箱庭   作:ペンギン隊長

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何日か後


籠の小鳥2

 

 

 

「そういえば、三日月さんが言ってたんだけど、審神者って、遠征出陣の指示?とかもしないといけないんだよね。…俺、ちゃんとできるかなぁ」

「不安なのでしたら、主さま、それらの采配は私にお任せください。主さまは、慣れるまでは刀剣たちと仲良くなることに力を注いでいただければ良いのです」

「わかった」

 

 

 

「小鳥さんは、鍛刀をしないんですか?」

「鍛刀、した方がいいんですか?」

「僕、一兄たちに会いたいです」

「ぼくも、できたらいわとおしにあいたいです」

「何振りか、まだこの本丸にいない兄弟もいますから…」

「じゃあ、その"いちにい"さんとか、"いわとおし"さんとかが来てくれるかはわかりませんが、鍛刀してみますね」

「本当ですか?」

「はい」

 

 

 

短刀たちを連れてやってきた鍛錬所には、四つの炉が設置されている。

「この式神さんたちに資材と依頼札を渡して鍛刀をお願いするんです」

「それじゃあ、お願いしてもいいですか?」

小鳥が尋ねると、式神たちは任せろ、というように胸を叩いた。

四つの炉に火が入る。完了までの残り時間として表示された時間は、順番に5:00、4:00、4:00、2:30。どれも長時間と言えるものだ。

「主さま、何をされておいでですか?」

「ふぇ?五虎君たちが、"いちにい"さんとか"いわとおし"さのかに会いたいって言うから、試しに鍛刀してたんだよ」

くろのすけは表示を見て瞠目した後、難しい顔をして言う。

「主さまは、自ら喚んだ刀と未だ契約を結んでいない刀とを分け隔てなく接することのできる自信はございますか?」

「・・・」

小鳥は困った顔をする。当然だろう、間違いなく小鳥は唯一、自分の刀である江雪を特別に扱っている。強い信頼を見せている。それが他の刀剣にもできるかといえば当然否だ。だが、これから喚ぶ刀は当然小鳥の刀となる。ならばそちらは江雪に準ずる扱いになっても不思議ではない。

「審神者に通常課せられるノルマの中には、日に三度の鍛刀というのもございますので、鍛刀そのものを否やとは申しませんが、顕現するのでしたら、せめてこの本丸の全ての刀剣と仮契約を結んでからにしてはどうでしょうか」

「…うん」

しょぼんとしてしまった小鳥に、短刀たちは困惑した様子でくろのすけを見る。彼らが契約をきちんと結んでいないのは、くろのすけの妨害も大きいのだ。呪で厳重に守られた小鳥とは、簡易契約を結ぶことができない。突然いなくなった主が戻ってくることを諦めきれない彼らには、小鳥との契約はハードルが高かった。それを選ぶことは自ら主との縁を断つことに等しい。小鳥に対して好感を持っていても、簡単に割り切れるものではないのだ。

「ちなみに、主さま、表示されている時間からして一口は確定、二口は少なくともこの本丸にいないものが一口来ることは確定になります。…ええ、一口は岩融でしょうが、一期一振は今回は来なかったようですね」

「時間でわかるものなの?」

「ある程度は。今回の場合、5:00は薙刀、4:00は太刀で確定、2:30は大太刀になることが多いですね」

「…太刀より大太刀の方が大きい刀なのに、かかる時間は太刀の方が長いんだね」

「経過時間で確実にわかるのは打刀までですよ」

 

 

 

 

短刀たちから事の顛末を聞いても、政府の思惑に全く気づかない程、刀剣たちは愚鈍ではなかった。だからこそ、彼らは悩むことになった。

政府が、小鳥を正式な審神者が寄越されるまでの繋ぎとして配置したことは疑いようがないだろう。問題は、いずれ現れる審神者が何者かということだ。…それが、元の審神者である可能性はゼロではない。自分たちを放っていなくなってしまうような主でも、主は主。刀剣たちが主を慕うのは刷り込みにも近いものがある。

主が戻ってくる可能性に思い至れば、小鳥との契約には消極的にならざるを得ない。元より、刀剣男士は主替えに意欲的にはならない。どうしようもない主に愛想を尽かすことがあっても、それならば本霊に還ることを選ぶことが多い。他の審神者と契約を結びなおすことを望むものが全くいないわけではないのだが(全くないのであれば引き継ぎ審神者など成立しないし、主をなくした本丸は全て刀解解体されているだろう)、円満に行われることは稀だ。

小鳥が善良であろうと(あるいは、だからこそかもしれない)軽率に主替えに乗り出すことはできなかった。小鳥がそういった思惑に全く気づいていないようだとしても。

「…どうするのが、一番いいんだろうな」

それは、誰にとって、と思うかで変わる問いだった。自分たちが何を大切にするのか。何を良しとするのか。

 

 

 

 




まあぶっちゃけ、此処で正式契約してたらただの円満引継ぎエンド
二つ目以降では仮契約は結べるようになっている
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