「俺も知ってるぞ、その吸血鬼」
不吉が隣にいた。
「うわっ!」
「そう驚くな、幽霊ではない、はずだ」
「貝木ェ…………」
「まぁヤツはジャン・ドゥ、身元不明死体だった、が、反魂の術をとある事情で学んでいた事により教義を捨てた神父様だよ」
「ジャン・ドゥ?」
「ほら、ドラえもんのモデルに成った土左衛門と同じだよ」
「そんなモデル嫌だ…………」
「大予言って知ってるか?藤子・F・不二雄の短編の1つだが、あれのオチはエネルギー危機、今世紀中にも石油は枯渇、複合汚染、蝕まれる人体、直下型大地震必至、人口爆発、小氷期接近、世界大飢餓、核拡散 保有国増大すれば暴発の歯止めなし………『ひょうしぬけしたような顔だなやっぱり。それがこわい。自分たちの滅亡を予言されて。平気な顔をしてられるみんながこわい!有効な対策もないくせにさわごうともわめこうともしない世界人類がこわい!!』彼は愛する孫を抱きつつこう呟くのである、というオチだ、ここから得られるべき教訓は世界は地雷でいっぱいという事だ、零崎双識の哲学の一説にも出てきたが、普通は素晴らしい、何故ならば自分を騙しながら普通であると錯覚できるのだから、世界は狂って腐った異常なモノだからな」
その言葉に一理ある、がやはり不吉なのがこの男の話術である、不安を煽る、というのはカルトの最初の一歩であり、そこから狂信は育まれる、人間が明日あなた殺されますよ?と言われて護ってあげる、と微笑みかけたらどうだろうか?それも同じ事を一杯集めた半分自警団のように成っている組織の一員に成ることで安心を覚える、というのがカルトだ。
4
つまり、終わりが来る、と言われて本来正気でいられる事は無い。
「クハンダって知ってる?」
何でも知っている臥煙伊豆湖が言う。
ここでいう「クハンダ」とは、 末世の時代に現れる悪鬼のことである。このクハンダにより、日本の大都市・東京は分裂の憂き目に遭うというのだ。
「それがどうかしました?」
「いや、朧君の家系は純血なんだけどそれに対になる一族がいてね、鬼との混血の果てにクハンダを誕生させようという一族がドゥームズディ・カルトをしている奴等でさ」
「…………」
それはつまり霧崎遊騎、ひいては切り裂き幽鬼の正体ではないのか?
「いや違うよ、でもね、アルゴルモアの和風ヴァージョンと思えば分かりやすいだろう?ついでに古代核兵器論を混ぜれば…………」
「古代核兵器論ですか?」
「つまり連中どっちも続いてるなら神話が形成されるより昔の集団なのだよ」