「あら?何してるのー?」
「……見て、分かる通りのこと。」
とある一室で、音女は鞭を振るう。それはクリスの肌を赤く染めて、激しい痛みを彼女に与えていた。
「お前が、これほどのことをするとは珍しい。何か嫌なことでも言われたのか、というわけだ。」
「べ、別にそんなんじゃ…ないけど……」
「んー……あーしらに任せてくれない?邪魔はしないし、貴方の言う通りにするわ。」
「……わ、わかった。」
カリオストロの目を見て、音女は頷く。仮にまた邪魔したり勝手な行動をしたとしても、アダムからの折檻が待っている以上彼女達も無駄な動きはしないだろうと思ってのことだった。
「で、でも……痛くしても、あんまりダメージはなさそうだけど……」
「精神的に…も、駄目そうね。彼女を精神的に追い詰める為には、少し考えた方がいいわよん。」
「と、いうと……?」
「まぁ、少し待っておけ。準備だけ済ませてこよう。」
プレラーティが、嫌な笑みを浮かべる。ある程度、自分の思い通りに進むのであればどうでもいいので、この場は2人に任せることにした音女なのであった。
「……という訳で、準備が出来たから早速調教していこうじゃないか。」
「いくら叩いても無駄だぞ、あたしはそういうのに慣れてんだ。」
「痛みに慣れど、精神的辛さは慣れていない……でしょ?」
カリオストロの言うことに、返事を返さないクリス。だが、それも分かりきっていたのかカリオストロはむしろ笑顔になりながら鞭を持つプレラーティの後ろに回る。
「ただ打たれてるだけと言うのも……味気ないだろう?だから、私達が気を使ってBGMを流そうと思ったわけだ。」
「……?」
頭に疑問符を浮かべるクリス。そして、カリオストロが指を鳴らすと天井から大きなスクリーンが降りてくる。
そして、それに映像が映し出される。
『ひ、ぎぃぃぃ!?やめ、やめてぇ!!』
『やだ、やだぁ!!』
『なんで、なんでこんなぁ!!』
「っ!!」
映し出されるのはジーンノイズに犯される少女達。顔も、名前も何も知らない少女達だったが、犯されている間に出している悲痛な声は、クリスの耳に劈くように響く。
「どうだ?高い声で響く合唱は素敵だろう?」
「やめろ、やめてくれ!!」
クリスは叫ぶ。このような事態になったのは自分の責任だと思っているクリス。しかしその実、それを敢えて示そうとすると耳を塞ぎたくなることには変わりなかった。
「あら、どうして?こんなに綺麗な音色なのに。」
「ま、そちらが何を言おうと私達にはこれを消す理由はないというわけだ。
さて……というわけで続きといこうじゃないか。」
「っ!」
クリスは歯を食いしばる。目を瞑り、なるべく耳にも音が入ってこないようにほかの音に集中しようとする。
だが、どうしても後ろで流れている映像から流れている音声に、耳が集中してしまう。
『やだやだやだぁ!!』
『もう産みたくないぃ!!』
『ふぇ…ひ、う……!』
「う、うぅ!!ひぐっ!いぎっ!!やめ、でぐれぇ!!」
「何をかしら?鞭叩き?それとも貴方の拘束の事かしら?」
カリオストロは、わざとしらばっくれる。彼女にもわかっているのだ、クリスが望んでいるのが映像を止めることだと。
だが、止めるわけにはいかなかった。これが、彼女の精神を追い詰めるための作戦なのだから。
「この、音だよォ!!」
「音じゃあ分からないわ〜どんな映像から流れてる音とか……指定つけてくれないと、わからなさ過ぎてあーし困っちゃーう。」
ウィンクをするカリオストロ。それを聞きつつクリスの様子を見ながら、プレラーティを釣られたかのように笑みを浮かべる。
「う、ぐう……!」
「ほらほら、止めてほしかったらどういうのかしら〜?ちゃんと言ってくれないと、あーし本当にわからないわよ〜?」
鞭を振るい続けられてるが故に、喋ろうとしても自分が反射で出してしまう声で、言いたいことは全て区切られる。
それが、下手をすればずっとシラを切られる理由にされてしまうだろうが……今のクリスには、頼むことしか出来ないのだ。
「う、うぅ……!」
「にしても本当によく効くわねぇ……」
「自分で責任を感じているやつには、その責任をもっと深く押し付ければいい…という訳だ。
自分に対する文句を吐かれるならともかく、ただ悲鳴を聞かせてその責任感を重くしてやればいい…」
自分で責任を感じることはともかくとしても、それを改めて実感させられると自身の心がここまで軋むような感じがするのだ。そこを、カリオストロ達は突いている、のだが。
「では、鞭打ちを再開しよう……といきたいが。」
「どうしたのよプレラーティ。」
「この体では、鞭を振るうには些か身長が足らないという訳だ。
カリオストロ、お前がやれ。」
「しょうがないわねぇ……まぁ私が本気で振るったらどうなるかは、分からないけれどね☆」
勢いよく鞭を振るうカリオストロ。プレラーティの時よりも、しなやかさとキレがある鞭の扱い方を見て、クリスは生唾を飲んだ。
それが、無意識のものだった事もあったが、その生唾を飲んだ後にそれが一体何で飲んだのかが理解出来なかった。
「えいっ!!」
「ひぐぅ!?」
「あら、とってもいい声。ますますいじめたくなってきちゃうわ。」
舌なめずりをするカリオストロ、その様子を見ながらプレラーティはゆっくりとくつろいでいた。
そして、その辺で音女が部屋に入ってくる。
「な、何流してるんですかこれ……」
「何だ、下の部屋に居続けるわけじゃなかったのか。」
「だ、大音量で……悲鳴を、流されたら…な、何事かと思うに…決まってます。」
「……確かにそれもそうだ。まぁ、見ればわかるというわけだ。」
プレラーティが指さした先に、音女は目を向ける。そこでは映像が流され続けている部屋で、鞭打ちされているクリスの姿だった。
「……精神的に追い詰めながら?」
「流石に理解が早い、というわけだ。あぁいう全部自分の責任だ、と思い込んでいるやつには、本当にその罪の重さを量らせなきゃならない。
ならば、追い打ちとして間接的にとはいえ、彼女のせいで捕まった少女達を見せればいいと思ったわけだ。」
「……あ、悪趣味すぎる。」
「その言葉、そっくりそのまま返すというわけだ。第1、本当にそう思っていても、嫌悪してすらいないだろうお前は。」
そう指摘されてから、音女はにへらと笑みを浮かべる。音女の方も、隠す気がなかったようでそのまま笑っていた。
「それで、小さい方の鞭打ちはどうなってる?」
「さ、さっき気絶してた……け、けどこの方法面白そうだか、ら……真似させて、もらう。」
「あぁ、存分に使うといい。この拷問方法は効く奴にとっては、素晴らしい効き目を示すだろう、というわけだ。」
音女は少しだけ考えた。現在鞭打ちを受けているのは2人。1人は目の前で叩かれているクリス、もう1人は調である。
「じゃ、じゃあ早速……」
「気をつけろ、というわけだ。こんなところで階段につまずいて転んで死亡……という死因は笑い話のネタにすらならないのだからな。」
茶化すように忠告するプレラーティ。音女は『そんなこと起こるわけないだろう』と、呆れていたが念の為に階段ではなくエレベーターで降りていくのであった。
「ひ、あぁ……!ふ、太いぃ…!」
「こ、こんな大きなバイブも飲み込んじゃうなんて……き、切歌ちゃって…存外、ビッチ?」
「うっ……そ、そんなことない……デスよ?」
強く否定したかった切歌。しかし、強く否定してしまえばどんな印象を抱かれてしまうか分からないのだ。
それ即ち、調にこれ以上の危険を課してしまうということになる。その可能性がある以上、今の切歌は音女に強く出れなくなっていた。
「ほ、ほんとに?でもこのバイブ……私が使い慣れている、やつなんだけど…わ、私でもこんなにすんなりとは……」
「うぐっ……」
話せば話す度、音女に対して否定の気持ちが大きくなってくる切歌。だが、それもこれも調を守るためなのである。
だから、音女に従うのも仕方ないと思っているのだ。そうやって従っている姿を、利用されるとも知らずに切歌は音女の言うことを聞き続ける。
「ほ、ほら……舌出して?」
「あぇー……」
音女に言われた通り、舌を突き出す切歌。音女はそんな切歌の舌に引き寄せられるかのように、顔を近づけていき……唇を合わせ、舌を吸い上げ始める。
「じゅる、れろじゅる……」
「ん、んんむ……!」
ピンと手足を伸ばす切歌。早く終わってくれと、心の底から思っている事だった。
「んぶ、ぐぅ……!」
「ぷはぁ……うん…こ、こういうのに慣れてない子は……可愛い。」
「はぁはあ……」
『性欲を満たしたいだけの変態』と罵りたかった。だが、それさえも言えないことが、切歌にとっては腹立たしいことこの上なかった。
だがそれ以上に、こんなことをされて興奮している自分に、1番腹を立てていた。
「……」
「…?ど、どこを見てるデスか……」
「な、何も無い、よ……さ、続きを、しよう?」
「……?」
ふと、部屋の隅を見る音女。つられて切歌もその視線の先に目を逸らすが、何も無い。
ついつい聞いてしまったが、音女はいつもの調子でオドオドしているだけであった。
「ふぐ、ふぐっ……」
未だに叩かれ続けている調。既に、息も絶え絶えであり自分の意識すらも虚ろになりかけていた。
狙ってのことなのか、はたまた偶然なのか。皮膚は裂けておらず、また打ち身などもしていなかった。せいぜい赤く腫れているだけである。
『ひ、あぁ……!ふ、太いぃ…!』
「っ!!」
突然聞こえてくる切歌の声。その声で、調の意識は覚醒した。切歌の声が聞こえてきたことが、彼女にとって再び意識を覚醒させるほどのことだったのだ。
「ふぃふぃふぁん!!」
目の前に表示される映像。顔こそ写ってないが、その体つきや聞こえてくる声などからそれが切歌だと、調はすぐにわかった。
もう1人、ちらりと写った髪と服装で理解出来た。音女である。
「ふぐぅ……」
どれだけ叫んでも聞こえない、それは向こうに音声が届かないだけなのかはたまた
「んぉー!んぉー!!んぐぅ!!」
口の中に触手を入れられながらも、調は声を張り上げる。その過程で、叩かれてしまうが、構わず叫び続ける。
犯されているにも関わらず、気にしていないと言わんばかりに。
だが、次第にその声は小さくなってくる。切歌の、喘ぎ声が聞こえてきたからだ。
『ひ、ぐぅ!?』
『お、お尻の穴にも……大きいの、入った…』
「ん、ぐぅ……!」
深くにも、濡らしてしまった。切歌の声を聞き、その体に刺さっている玩具で蹂躙されている切歌の姿を見て、調は興奮していた。
だが、同時に謎の喪失感もあった。好きな人の痴態を見ているのに、興奮しているのに胸にポッカリと穴が空いたかのような……そんな気分に調はなっていた。
「んぐっ!!」
そこを見抜かれたかのように、再び鞭打ち。だが、今度は痛みだけではなく快楽も存在していた。
散々叩かれ続けた皮膚、それに対して調の脳が無意識に痛みを感じさせないようにしたのだ。
そして、興奮していたのも相まって……調は不本意ながら、叩かれて感じる体になりつつあった。
「ふぐ、んぎゅっ!!」
自分の体がわからない。限界を迎えかけていた体が、切歌の声で覚醒して、切歌の声で興奮した。
その時点で、どこか壊れてしまったのではないか……と調は感じていた。だが、限界を迎えかけていただけもあり調の思考力はそれ以上考えることをよしとしなかった。
痛みと快楽を覚えたまま、気絶という形で調は意識を失ったのであった。
補足
・カリオストロ&プレラーティ
わざわざ苗床場にカメラを置いてから映像を流す。悪趣味だとわかっていてもやめられない。
・雪音クリス
精神的に追い詰められながらの鞭打ち、痛みには耐えられるが、悲鳴には耐えられなかった。
・月読調
叩かれすぎて限界突破、痛みがオーバーフローして何かがイカれる。