音女がジーンノイズに命じ、装者達を排除してから行く日もの時間が経っていた。
目立つことは行っていない…とは言えない。人を攫っているのだ、時間が経つにつれて、それは噂となり町中に広がっていく。
そして、その噂は消えた少女達と重なり、事実と黙認されていく。そうすれば、尾ひれはあらゆる付き方をする。
『神隠しにあった』『政府の陰謀に巻き込まれた』等と、都市伝説と言われるレベルの噂が真実を帯び始めていく。
そして、少女立ちの間だけではなく、その保護者等にも噂は広まっていく。そうすれば、まともな親ならば早急に行動を取り始める。その土地から引っ越したり、場合によっては一人暮らしをさせたり……どのような形にしろ、噂に対して確固たる行動を取り始めた者達がいる土地は……簡単に人気がなくなってしまう。
人気が無くなれば、仕事をするべき公共機関も自然とおざなりになっていく。そうなるのは、意外と早いのだ。
「……っしゃーせー。」
「……ん。」
「あー、370円になりやーす。」
やる気のない店員、それを軽く流しながら音女は食料を購入する。味こそついているが、コンビニ特有の妙にもっさりしたパン。美味しいことには変わりないので、それを出た直後に頬張る。
「……唐突に射精とか何言ってんだろ…」
人気のない大通りを悠々と歩く音女。パンを頬張りながら、アジトへと帰っていく。
朝だろうが、昼だろうが、夜だろうが……いつ歩いても、誰もいない。あまりにも寂しすぎる街。
「……あんまり大体的にするもんじゃないとはいえ、流石にこうなると…新しく見つけてくるのはきっついなぁ…」
ジーンノイズが街を支配している!なんて言われようものならば、国連が出動して潰しにかかることが目に見えている。
ならば、今は数を増やしておくだけにかぎるのだ。
「お姉様!おかえりなさい!」
「ん、し、調ちゃんご苦労さま……ど、どうだった?ジーンノイズの生産状況、は……」
「お姉様が出かけている間に30万と215です!!」
「あ、ありがとう……」
音女は、出かけている間に調にジーンノイズの生産状況の確認を任せていた。
もう、記憶に関しての問題はないと判断しての行動である。
「……」
「お姉様?何か心配事でも?」
「う、ううん……なにも、ないよ。」
音女は、装者達のことを思い出す。結局捕まえることはせずに、施設そのものを破壊することを選択した。
場所の判明は、飛行型のジーンノイズを辺り一面に飛ばしていたからだ。バレないように、かなり上空からだが。
「……と、とりあえず…色々実験したいこともあるし……手伝っ、てね?」
「はい!分かりました!!」
『確実に生きている』と音女は思っていた。装者である以上、生身ならば確かにジーンノイズの戦闘能力には叶わない。
だが、もしシンフォギアを纏っていたのならば、今回命じていたことの第一目標は施設の破壊と第2目標である邪魔者の排除、後者が終わっていないと思っているのだ。
「……一体、どこで何をしているのやら…」
「よいしょっと……」
「あぐっ…!」
調、専用の椅子に座る。自分の部屋に用意された、自分専用の椅子。その椅子は、凝ったディテールがある訳でもなく、有名なブランドのものでもなく、通販で売っているような利便性などがある訳でもない。
むしろ逆、真逆も真逆。最早ものですらなかった。それは人、生まれたままの姿を晒して四つん這いになって、調の椅子となっていた。
「……座り心地が、悪い!」
「ひぐぅ!?」
豊満とは言わないまでも、年頃の少女以上に育った胸と金の髪を揺らす。そう、調の椅子になっていたのは切歌であった。
これは、音女が決めたことである。単なる嫌がらせ、今の調を見せる代わりに、音女の性奴隷や苗床ですらなくなったのだ。
椅子になっているのは、ほんの一例……場合によっては、お金を稼いでこないといけなくなってしまう。もちろん、使うのはみ一つである。
「……完全に忘れ去ってる。まぁいい感じかな…ほら、早く次のところに行くよ?」
「は、はい……」
少しだけ怯えた表情をしながら四つん這いになっているのは。クリスだった。だが、音女が上に乗った途端恍惚とした顔になっていた。当然、座られるだけで喜ぶように調教済みである。
とは言っても、調教を始めた時点で既に音女に対して懐いている精神状態だったので、特に何もしてなかったが。
「……調ちゃんとクリスちゃん、切歌ちゃんとマリア…それに風鳴翼と立花響……」
装者達を、ある程度グループ分けしていくとこうなる。完全に音女の味方になった者、まだ屈服していない者、捕まっていない者。
その中に、錬金術師達はいない。数として数えていないからだ。
「対策は……ないし、どうしようも無いけど。」
今生み出されているジーンノイズの数は、下手をすればジーンノイズを超えるほどとなっている。
音女は数ある引越した者達の家を1つ選んで、そこを住居としていた。
今はビルにいるが、ビルで寝泊まりするには少し苗床達の声が騒がしく思えるからだ。
「……でも調ちゃん達普通に寝てるもんなぁ、気にしすぎかな。」
ブツブツと呟きながら、音女は移動する。未だ屈服していない者の所へと。
「よ、ようやく……貴方に手を掛けられ、そう。」
「ふーん…サンジェルマン達にやられたものだと思ってたけど、生きてたんだ。
あーし、少しばかり見くびってたかも。」
「ほ、褒められても……正直…嬉しく、無い。」
部屋に入ると、そこにいるのは服を着ておらず、手を後ろ手に拘束されているカリオストロだった。
嫌そうな顔をしながら、カリオストロは音女を睨みつける。
「……サンジェルマンと、プレラーティを殺したのなら、あーしは絶対にあんたを許さない。」
「し、死んだかどうかは……分からない。死んだ、のかもしれないし……死んで、ないのかも……しれない。
ちゃんと、見たわけじゃ……ない、から。」
「……ふん、今にあんたも局長に捨てられるわ。サンジェルマンを殺しちゃったりしたら。」
「……その、時は…あなたを差し出す、だけだから。」
音女は笑みを浮かべる。オドオドしているくせに、自分は大丈夫だとどこかで思い込んでいるような、そんな調子でいる音女に、カリオストロは心底苛立っていた。
「……」
「さ、さぁ……調教を、しましょう…?」
指を鳴らす音女。それと同時にポケットから、ジーンノイズを取り出す。カリオストロの手足を拘束し、足を広げさせてから移動させていく。
「あーしが、気持ちいい程度で折れると思わないでほしいわ。」
「あ、貴方がいつ…男から女に変わったかは、分からない……け、けど……お、男と女の快楽は…似てるようで、違うって言うのを……教えてあげる。」
ジーンノイズ達の後ろを歩きながら、音女はそう語る。カリオストロには、その言葉がどういう意図を持っているのかは分からないが、嫌な予感だけはひしひしと感じとっていた。
「く、ぁ…!」
「しょ、処女なのに……おしりの穴ほじられて……どんな、気持ち?」
「最っ悪…!」
「……」
「うぐぅ!?」
ニコッと、軽く微笑んだ後に音女は指を鳴らす。アナルに入っている触手が、激しくピストン運動をし始める。
「ひ、ぁ…!」
「お、大きな胸……女に、転生して…こんな胸してるなんて……お、男を誘ってたり?」
「そん、なわけ…!」
否定は、本心からである。しかし、カリオストロは自身でも自分の胸の大きさを自覚はしていた。
そして、それが街ゆく人の…特に男からの視線を集めていることも。
「ふふ……ど、どっちにしても……えっちぃんだー…こん、な胸…普通はいら、ないよ。」
「ふん……あん、たの…貧乳からしたら……皆、そうなっちゃう、わよ?」
「……誰が貧乳だっての。」
音女は、カリオストロの一言で軽く悪態をつく。それと同時に、遠慮と躊躇が更に消えた。
元から壊すつもりだったが、精神的な話である。だが、ここからは肉体的なものも含んでいく。
要するに━━━
「永久に、犯されてて……」
「んぐ、ぼ!?」
「わ、私は……これでもC…ば、爆乳ミルクタンクなんか羨ましく思わない…」
本人も、胸の大きさなどは気にしているつもりは無かったが、どうにも元男であるカリオストロに言われるのだけは、どうにも腹が立つようだった。
「んぶぉ、んぐっ……!?」
「く、クリスちゃんやマリアに言われるのなら……良かったけど、流石に男に言われたくない。」
「んぶおぉ!?」
「……まぁ、もういい。」
ため息をついて、その場から去ろうとしようとした音女。しかし、ふと何かを思いついたのか、カリオストロの方に軽く振り返る。
そして、その大きな胸を見続けてしばらくしてから指を鳴らす。
「んぐ……?」
新たに生えた触手が、カリオストロの胸を覆うように形成されていく。そして、乳輪の辺りを完全に覆いきったあとに、一気に吸い寄せ始める。
「っっっ!?」
「そ、そんなに胸を主張したいなら……ホルスタイン、として…飼ってあげる。し、調ちゃんにも…そう、伝えておく、から。」
そして、それを最後に音女は部屋から出ていく。肉体も酷使させて、壊してしまうと流石にアダムから何か怒られそうな気がするが、それはそれ、である。
「こ、壊さないように…加減、させよう…」
負担をかけながらも、壊れない程度にゆっくりと……である。そうして部屋に戻っていく。
「……暑い。本当に。」
翌日、茹だるような暑さに参りながらも、音女は建物に篭っていた。冷房こそ効いてはいるが、たまに外に出たあとは基本こうなっている。
そんな時である。
『なら、頼み事してもいいかい?一つだけ。』
「…アダム?一体なんの用。」
『迎えに行ってもらいたいんだよ、お姫様をね。』
「……調ちゃんに行かせる。場所だけ言ってくれたら後はどうとでもなる。」
オートスコアラー、アンティキティラ…通称ティキ。アダムの計画に必要な彼女を、取りに行ってほしいというのが彼からの命令だった。
動力源である歯車は、どうやら既に取りに行っていたらしくあとは本体にはめ込むだけとなっている。
『それ以降は、任せておくといい僕達に。有効に使わせてもらうよ、ジーンノイズは。』
それだけを言い、通信は切れる。暑いからこそ、仕事をさせる気の様だ。だが、簡単な仕事ではあるので調に任せておこうと音女は思った。
こんな時、他に動ける人材がいればいいのだが……使えそうなのがクリスくらいのものである。
「……一応、シンフォギアの事もあるし…戦えるだろうけど……」
だが、既に彼女のことも忘れている調は、どうにも他の人物に対しての辺りが妙に強い。その辺も考えると、一人で行かせた方がいいかもしれないと音女は結論づけた。
「使い方わからない…ってこの間言ったけど、割とすぐ慣れてたし大丈夫かな…戦闘までは出来なさそうだから、飛行ユニット扱いにしとこ。」
そうして、部屋から出ていって調と連絡を取り合う音女。調は、音女の頼みということで快く了承した。
だが、戦いになるであろうことは予想している音女。自分がもし、相手の立場なら……サンジェルマンや、プレラーティの立場ならこのタイミングを狙うからだ。
「……めんどくさいなぁ」
溜息をつきながらも、音女はアダムの頼み事を消化していくのであった。
補足
・切歌
調の椅子
・クリス
音女の移動用兼椅子