※この作品はR-18です。

婬堕絶叫ノイズギア   作:長之助

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アンティキティラ

「……これが、本体。」

 

「こ、これに……動力源をハメ込めば……」

 

目の前にある人型の動かない人形。それこそが、アダムの野望成就のために必要なオートスコアラー『アンティキティラ』通称ティキである。それに今、動力源である歯車がはめ込まれていく。目にバイザーが付けられているため、正確な顔が判断出来ないが、別にしなくてもいいと音女は思っていた。

 

「ん……んー?」

 

「お、起きた…」

 

「……貴方だあれ?アダムはどこ!?アダム、アダムに会いたい!」

 

バイザーを外し、騒ぎ出すティキ。人形だと聞いていたので、ここまで騒ぐとは思っていなかったのだ。

少しだけうんざりしながらも、音女は渋々相手をすることにした。

 

「あ、アダムは…今、忙しいから……これない、よ。」

 

「えー、アダムに会いたい!会いたい会いたい会いたい会いたい会いたいー!」

 

耳を塞ぐ音女。ティキのことは、少しだけアダムから聞いている。恋に恋する機械人形、脳内回路がショートするほど恋焦がれるその姿はまさに恋乙女。

 

「……これ、読んでて。」

 

「何これ!?」

 

「漫画、恋愛する女の子の漫画。」

 

「むぅ……」

 

「……読んでたら、アダムにアプローチする方法が増える。 」

 

「読む!」

 

調が、ティキに少女漫画を渡す。いつ買ってきたのか、なぜ買ってきているのか、なんて諸々気になることはあるが、今回は音女は調に対して感謝しかなかった。

ティキの声は、音女にはなぜか腹を立てるに等しいものだったからだ。

要するに、ティキと音女は徹底的に相性が悪い…ということである。

 

「……し、調ちゃん…取りに行った時、な、何も問題はなかった?」

 

「はい、特には。」

 

「そ、そう……ならいいんだけど。」

 

音女は違和感を覚えていた。なぜ、サンジェルマンたちや装者達が妨害しに来なかったのか。

音女は、彼女達が生きていると思っていた。確信のレベルまで。だが、こちらに攻め込むことがないどころか、調に対して妨害して来なかったのだ。

 

「…本当に、死んだ?」

 

もやもやとした感情が残ってしまうが、仮に本当に死んでいるのだとしたら本当に敵無しなのである。

そう、アダムの邪魔をするものは、もう誰も。

 

「……もう一度、調べ直してみよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音女は、ジーンノイズに潜水艦の玩具を吸収させて潜れるように調整した。

そして、先日戦ったところまで移動させて、遠隔カメラでその場所を確認していく。

 

「……やっぱり、船の破片は沈んでる。けど、これはダミーのはず…あまりにも破片が少ないし…の割には、全然攻めてこない。

一体なんの意図があって……」

 

装者だけが死に、本部だけが残った。その説が有効かもしれないが、だとすれば、少なくとも船の上で戦っていたサンジェルマンが生き残っているはずである。

意図があって雲隠れしているだけならば、その意図が不明である。

 

「……今日はもう少し、深く調べてみよう。なにか分かるかもしれない。」

 

いつもは、確認をするだけで帰ってきていた。だが、これからはその場にあるものを動かしたりすることでより詳しく調べてみよう…音女はそう考えたのだ。

潜水艦のようになっているとはいえ、このジーンノイズ一体だけでも、世界を簡単に掌握できるくらいの力はあるのだ。喰らえば力と耐性を得るこのノイズの前では、どんなものでも無意味と化す。

それこそ、人間の身でミサイルなどを殴り返せる力がない限りは。

 

「……いや、そういえば一人いたわ。それくらい出来そうなの。」

 

風鳴弦十郎、人間なのかどうかも疑わしい何か。あれを人間だと認めてしまうと、自分の中の何かがダメになってしまいそうになるので、音女はすぐさま頭を振って考えないようにする。

 

「……帰ってこさせてから、ご飯食べよ。」

 

溜息をつきながら、音女は指示だけを出してカメラから目を離す。見すぎて彼女の目が疲れてきているのだ。

 

「調ちゃんのご飯は美味しいからなぁ…おかげでご飯に困らないや。」

 

そうやってブツブツ言いながら音女は部屋から出ていく。特に収穫もない、かと言って自分自身やることが特にない。

暇を持て余すとこんなにも退屈なのだ、という事だけをひたすらに認識し続けていく。

 

「姉様、ご飯出来ました。」

 

「あ、ありがとう……調ちゃん。」

 

だからこそ、気にし続けていた。行方のしれない敵のことを。嵐の前の静けさとも言えるほどに、何も起こらないのが不気味で不思議で不安だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━━か、カメラ担当の…ジーンノイズが、やられた?」

 

「はい…」

 

そして、さらに幾日が経過してから。音女は調から報告を受けていた。こっそりと、監視カメラをジーンノイズに食べさせて、それで街中を一気に見張っていたのだが、1区画に配備していた全てがやられていたという。

 

「……う、動き、出した……」

 

「わ、私も戦えるようになってます!」

 

「う、ううん……出なくていい、よ。じ、ジーンノイズだけ…出して応戦する、から。」

 

遂に来た、と音女は思った。カメラ担当だったとはいえ、戦闘能力が無いわけではなかった。

倒せるとすれば、それ即ちシンフォギアかラピス・フィロソフィカスのファウストローブを纏う者達のみ。

 

「……ティキには、戦う能力はない。も、もちろん、私にも……じ、ジーンノイズを使ってもそれは同じ……だ、だから…調ちゃんには、ここの守護を…頼み、たい。」

 

「っ!分かりました!」

 

そして、その場から離れる調。だが、音女は物凄く嫌な気分だった。今の今まで出たこなかったのは、準備が整っていなかったから。

だが、逆に言えば……

 

「勝てる秘策を作られてしまった……か。ジーンノイズも、強くなってるけど……」

 

ラピス・フィロソフィカスを、アダムが作ってくれればよかったのだが、流石にそこまでしてはくれなかった。

勿論、流石にラピス・フィロソフィカスに対しての対策は、万全にしていた。

 

「……賢者の石にやられた個体を、他のジーンノイズに食べさせる。それ自体は出来ている。

けど……」

 

音女は、別途にわけられているコア数個を見て溜息をつく。それが、このしばらくの間にできた『対ラピス・フィロソフィカスジーンノイズ』である。

というのも、ラピス・フィロソフィカスにやられたコアを既に量産済みのジーンノイズに食べさせる、それを行った直後に吸収した側は自壊してしまうのだ。

まるで、不浄を祓う力が呪いのようにイグナイトを拒絶するのだ。それでも、なんとか試行錯誤の後に10個以下とは言え完成した。

自壊率約99.9%、残った約0.1%で出来た呪いと不浄祓いが、偶然両立できた個体。

 

「……ジーンノイズが、1人で勝てないのなら…勝てるようにするまで。質と量を同時に量産できるのが、ジーンノイズの強み……やるしか、無い。」

 

そう呟いて、音女はポケットにジーンノイズを全て入れる。これ以上作ろうとしても、下手に個体を減らす結果になるだろう。

そう考えて、決戦のために動くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の翌日、また区画が落ちた。1区画なんて少ない数ではなく、一本道のようにとある場所まで続いていた。

そう、音女が根城にしているビル。そこまで一直線に伸びていた。

そして今、四人の少女がそのビルの前まで辿り着いていた。

 

「先駆けは、私たちで行かせてもらう。ノイズ達のコアは、手向けとして全て砕いて回る。」

 

「問題は無い、私たちも行ける。」

 

「失敗すれば、全部終わりという訳だ……」

 

「……行きます!」

 

立花響、風鳴翼、プレラーティ、サンジェルマン……4人がビル内に侵入する。

当然、ただで通すほど簡単ではなく、ジーンノイズが敷き詰められていた。

 

「今の私たちの敵ではない!」

 

「はい!!『イグナイト・フィロソフィカス』展開!」

 

*字状になっているペンダント。装者達は、それを胸から外して二つに割る。その後、即座に空中に放り投げる。

放り投げられたパーツは、変形して大きなX字状に合体する。そして、真ん中から巨大な針のようなものが伸びており、それが装者の胸に目掛けて突き刺さる。

 

「「うううううあああぁぁぁぁぁああああ!!」」

 

激痛、負の感情、その感情を塗り潰そうとしてくる真っ白な何か。それらがぐちゃぐちゃに混ざり合い……1つになる。

 

「━━━はぁっ!!」

 

黄金の線が入った、黒いボディスーツ。アームドギアにも似たような装飾が施されており、正に黒金の戦士の姿がそこにはあった。

 

「イグナイトの火力に、不浄祓いの賢者の石………鬼に金棒とはこの事か!」

 

ジーンノイズを一撃で飛ばしていきながら、翼は叫ぶ。どうにも、ギアの力の高まりのせいなのか、気持ちが高ぶってしまうようだ。

 

「これなら、確実に……!」

 

確実に進んでいく四人、それぞれ探す人物のために今は4手に別れて行動することにした。

カリオストロを探すために、サンジェルマンとプレラーティがそれぞれ別れ、ほかの仲間を探すために装者達が二手に分かれて行動する、という形になった。

 

「では、また後で!」

 

「あぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『━━━やらせない。』

 

突如その声とともに、ビル内にシャッターが降りる。それは、サンジェルマン達も分断するものであり、そして分断された先には、それぞれ一体ずつジーンノイズが現れる。

 

「は……!?」

 

『取られるのは、別にいい…どうせ全員助けないのはわかっているから。

けど、またここの設備壊されるのも面倒だし……今ここ荒らされるとあとがめんどくさい。

だから、全員ここで堕ちて。』

 

「……はぁっ!!」

 

その音声を聞いたあとに、響はシャッターを懇親の力で殴りつける。だが、凹むどころかかすり傷ひとつすらついていなかった。

 

『あと、シャッターを壊そうとしても無駄だから……わざわざ、四人全員が別行動してくれて助かった……それの厚さ、mを越えてるから。』

 

「くっ……」

 

『殴り続けてもいいけど……壊せるものなら、壊してみて。その間にジーンノイズに取り込まれるのがオチだから。』

 

「勝つためには……断たなければならないか。」

 

それぞれ構える四人。ほかのメンバーを助けに行きたいが、分厚いシャッターに阻まれてそれも不可能。

そして、シャッターを破壊するのに集中していれば、当然ジーンノイズにシンフォギアとファウストローブを取り込まれる。

ならば、やることはただ一つ。

 

「「「「ここを突破して人質を助ける!!」」」」

 

4人の意思は、1つの目的に集中するためにジーンノイズの妥当に専念するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな、こんなことって……」

 

侵入されて、頭を抱える音女。侵入されることは予想していた。当然、それに対する対策も少ないながらできていた。

実際、装者達に向けたジーンノイズは例の耐性が付いているジーンノイズである。

だが、よりにもよってティキが今いるタイミングで事を起こされたのだ。当然、癇癪を起こされてしまえば本来以上にめんどくさくなってしまう気がするのだ。

あぁいう手合いは、無意識に他人を煽って罵倒するのだ。音女はそう感じていた。

 

「……けど、やるしかない。1番上……調ちゃん達の部屋や、苗床までの道のりは絶対に阻止しないといけない。」

 

阻止しないと、アダムに殺られる。向こうに捕まってノイズの研究ができなくなるのも、音女自身にとっては嫌なことである。

 

「……まぁ、何とかするしかない。」

 

前にはイバラの道、後ろは崖っぷち。それでも音女は、何とかして目の前の少女4人を手に入れようと今の間に策をさらに巡らせていくのであった。




補足
・対ラピス・フィロソフィカス用ジーンノイズ
ラピス・フィロソフィカスの持つ、不浄浄化に対する耐性を持ったジーンノイズ。これによりイグナイトの呪いは無効化されなくなったが、作る時に99.9%の確率でジーンノイズのコアにあるイグナイトの力が浄化され、砕け散る様になった。
おかげで、全く数を増やせなくなってしまっている。
・mを超える厚みの鉄板
わざわざ作って設置してある。5mはある、重い。
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