音女がビルを脱出する数分前のこと。
サンジェルマンは敗北し、響がジーンノイズに打ち勝ってさらに音女と出会っていた時よりも前の話に遡る。
その頃は、まだプレラーティと翼はジーンノイズ相手に戦っていた。
「はぁ!はぁ……押し切れない…互角…いや、相手の方が1枚上手、というわけだ。」
ファウストローブとシンフォギアの違い。それは、いざと言う時に出る爆発的な出力の差である。
シンフォギアは、特定のものの中から、さらに一部のものだけが使えるというものである。装者だからといって誰もが使えるわけでもなく、2つ以上のシンフォギアを使えるものなんて限られすぎている、と言っても過言ではないくらいだ。だが、代わりにいざと言う時の爆発的な出力や、シンフォギア自体の適応力など、適合する装者が入ればその力は未知数かつ無限大に広がっているのだ。
ファウストローブは、シンフォギア以上に出力の差が出る訳では無いが、それ自体が強力なものであることには変わりはない。
だが、いざそのファウストローブ以上のものと敵対した場合…勝つ確率は低いと言っても過言ではないだろう。
「……こんな時、シンフォギアがあれば……と思ってしまうというわけだ。正反対の性質のものを同時に使用出来るほど、ファウストローブには適応力がない……からな!」
ジーンノイズに渾身の一撃を食らわせるプレラーティ。だが、ジーンノイズは空中で体勢を立て直して綺麗に着地を決める。
「……まるで、何ごともなかったかのように振る舞われると…腹が立つ、というわけだ!!」
自身の武器を振り回して、プレラーティは攻めていく。そして、プレラーティが必死に戦っている頃、翼もまた一騎打ちを行っていた。
「錬金術の賜物……ここまでとは!」
『夢幻ノ落命』
翼のギアに当たらに追加された武装。まるで手甲のようなそれから、幾多もの小さな刃が飛び出してくる。
それら全てが、ジーンノイズを小さく確実に切り裂いていく。
「はぁぁぁああああ!」
その攻撃で怯んだジーンノイズに、翼は一瞬で間合いを詰め、刀を構える。だが、ジーンノイズは入られた瞬間に、刀の攻撃範囲から外れるように、スライディングを行う。
「━━━甘い。」
『閃ノ一光』
そのまま翼は、刀を横に薙ぎ払う。普通に考えれば、真下にいる相手に横に振り抜くなどありえない行為である。
だが、振り抜いたその線をなぞるかのように、光り輝く何かがその場に残っていた。
瞬間。
「……これが、イグナイト・フィロソフィカスの力だ。」
それは勿論、ジーンノイズがいる場所も例外でなかった。
「それにしても……斬撃を増やせるとは、シンフォギア以上に摩訶不思議な力だ、錬金術というのは……」
斬撃が消えたあとに、翼は天井の1部を切り裂いて上に登っていく。天羽々斬の新たな力、その力に少し驚きながらも少しだけ警戒をしていくのであった。
「立花!」
そして、時間が進み翼は響と合流していた。翼は、一々天井を切り裂いて進んでいたので、どうしても響より遅れてきてしまうのだ。
「つ、翼さん……ごめんなさい、逃がしてしまいました。」
「ふむ……逃げ足だけは早い、ということか………立花、何か言われたのか?」
「へ、え?」
響の表情を見て、翼はそう呟く。そんなことを言われると思っていなかったらしく、響はオロオロしているだけだった。
だが、しばらくしてから顔を俯かして、話をし始める。
「……人は、分かり合うことが出来ないんじゃないか、と言われたんです。
意思があるからこそ、真の意味で分かり合うことは出来ない……って。」
「……立花はどう思っているんだ?」
「私は!私は……人は絶対分かり合えると思っているんです。
マリアさんや、調ちゃん…切歌ちゃんも、クリスちゃんとも分かり合えたんです。だから、話さえすることが出来たら……みんな分かり合えるんじゃないか……って。」
「今回の相手、あれはどうだった?」
「…分かり合える、と思います。けどきっと……今のままじゃあ言葉は届かない。」
「……なら、届かせないとな。」
「……はい。」
その言葉は、風に乗って消える。完全な後手後手の装者達、しかし次こそは……と考えるしかないのであった。
「……ここ、にいると妙に頭が痛い……」
「き、きっと気のせいだから……ね。ほ、ほら…撫でてあげる。」
新たに音女が基地に選んだ場所。それは、リディアン音楽院であった。人が少なくなってきたこの街に、当然いる生徒も少なくなっていたが、教師を含めるとそこそこの数はいるのだ。
そして、休日や平日の深夜などではなく真昼間に高い時間帯だったので、その『そこそこの数』がいた。
「いや、いやぁ!!」
「ひ、ぐぅ!?」
周りから聞こえてくる女生徒並びに女教師達の声。ジーンノイズもありったけ持ってきているので、量産するだけの数はいる。
「……あ、きたきた。」
「?お姉様、あの後から来たノイズ達…妙に膨らんでませんか?」
「あ、あの2体の中には……わ、私への貢物が、いる。」
音女よりもあとに来た、2体のジーンノイズ。その2体の図体は、まるで肥満になったかのような見た目だったが、その理由は2体が中身を吐き出すことによって、すぐに判明した。
「この、2人は……」
「…サンジェルマンと、プレラーティ。わ、私のある意味での……希望。」
吐き出されたのは、気絶したサンジェルマンとプレラーティだった。既にファウストローブは解除されてしまっているが、賢者の石だけはきちんと残っていた。
音女は、賢者の石だけを回収してからジーンノイズに、2人を連れていくことを命令させる。
「お、お姉様…どこに行くんですか?」
「じ、実験……と、とっても面白い……ね。」
音女はそう呟いてから、離れていく。残された調は、予め音女に言われていたこの学校の施設化の準備を進めていくのであった。
「……う、ん?」
「お、起きた?」
目を覚ますプレラーティ。即座に、自分の置かれた状況を確認していく。まず、両手足は拘束されて床に磔にされている状態ということ。そして、第2に服は全て丁寧に脱がされており全裸だということ。
そして何より、目の前に音女がいることを確認することが出来た。
「……いたいけな幼女を、床に貼り付けにするのが、趣味というわけだ?」
「も、元男の癖して……そんなこと言えるんだ。」
「ぐっ……!」
音女は、靴を履いたそのままの足で、プレラーティの秘所を踏みつける。無駄にザラザラしている靴が、プレラーティの秘所を否応なしに刺激していく。
「こ、こんなので……濡らさ、ないよね?ふ、踏みつけられて感じるなんてこと……ない、よね?」
「ふん……生理反応は、どんな奴でも我慢ができるわけない、という訳だ。ん、ぐ……!」
少し頬を赤らめながら、プレラーティはなんとか感じるのを我慢し続ける。言葉では我慢出来ないと言い張りながらも、やはり『踏みつけられて感じているというのを目の前の女に見せてはならない……』という気持ちがあるのだろう。
「で、でも……が、我慢はするんだ、ね?こ、言葉の割に、は。」
「踏まれて、感じると言うだけでは…んく……!問題ない、が……お前にだけ、は……見せたく、無い……!」
時折声を漏らしながらも、なんとか唇を噛み締めて我慢を続けるプレラーティ。だが、そんな彼女の様子を見ても音女はやめようとはしない。寧ろ、若干興奮してきているまであった。
「ふ、ふふふ……ふふふふふふふ……!」
「気持ち悪い、笑みと声だな…!お前が……そうだと、友達がいなかったろう、な!」
なんとか我慢しながら、プレラーティは笑みを浮かべながらそう告げる。しかし、音女には効いてないのかずっと靴を擦りつけているだけだった。
「ぐ、ぁ…!」
「あ、貴方は……く、クリスちゃん以下の椅子にしてあげる……ど、奴隷の奴隷……と、どんな扱いを受けるのか……楽しみ、かも。」
音女は、1つ思いついていることがあった。カリオストロと、プレラーティの2人をクリスのさらに下の奴隷にしようと考えていた。
何せ、この2人に対してクリスには鞭打ちの借りがあるのだ。本人が覚えているかどうかは不明だが、それでも音女はさせてみたいと思ったのだ。
「……と、とりあえず靴で踏まれてイクところから……始めよう、ね?」
「くっ……!う、うぅ!!」
グリグリと、音女はプレラーティを踏みつける。その行為には恨みも何も無い。ただあるのは、自分の加虐欲を満たしたいというだけだった。
「楽しみ楽しみ……」
プレラーティが、一体いつどんなふうに折れてくれるのか……楽しみで楽しみでしょうがない音女なのであった。
プレラーティを虐めるのを、一旦休憩することにした音女。個人的な心情の理由は色々あるが、一番の理由としては2つのラピス・フィロソフィカスをジーンノイズに移したかった、というのが大きな理由である。
ただ耐性だけを持つだけでなく、本物をその体に宿すことによって、何か変化が起きるかもしれないと考えたのだ。
「ただ入れただけじゃあ……勝てる気しないしね〜……」
独り言を呟きながら、音女はラピス・フィロソフィカス入りのジーンノイズと、今まで使用していた幾多ものシンフォギアを入れたジーンノイズの配合し始めていく。
「……お、壊れない…?」
ハイブリッドのジーンノイズは、混ぜられても自壊する様子を見せない。耐性だけの場合だと、不安定故に自壊していたのかはたまた今回がたまたまだったのかは分からないが、1つ目は壊れることがなかった。
「……量産出来そうなら、していこう。」
量産が出来れば、向こうに対する切り札が増えることになる。単純な性能差で負けてしまったことが悔やまれるが、次はそうはいかない。
じわじわと……残り2人も捕まえてから、最強のジーンノイズを作り上げる。それが音女が今考えることだった。
ノイズに対する研究を続けていくために、目の前の敵が邪魔なのだ。装者という存在は、本当に邪魔なのである……音女にとっては。
「……とりあえず、また前と同じように量産しながら強くしていこう。賢者の石入れたから、もしかしたら壊れる可能性あるかもだけど………ん?」
ジーンノイズを量産しながら、音女は廊下が騒がしいことな気がつく。無論、急ピッチの作業のせいで廊下自体が苗床場と化しているため、元々喘ぎ声でやかましいのだが、それとは違った声が聞こえてきているのだ。
「━━━デス!!」
「……切歌ちゃん?でも、あの子も拘束してるから元からこの辺にいない限りは、声が聞こえないはずなんだけど……」
気になり、部屋から出る音女。すると、そこでは拘束された切歌が拘束されていないクリスに対して声をかけていた。
「なんで私がわからないんデスか!」
「し、知らねぇよ……誰だよ…声をかけるなよぉ……」
怯えながら切歌を見るクリス。どうにも、あの調教のあとから音女以外の人物には、特別怯えてしまうようになっていた。
別に、音女に怯えていないという訳でもないが。
「……な、何してるの?」
「あっ!」
クリスは音女に抱きつく。気にした様子もないまま、音女はそのまま切歌の方に視線を向ける。
話の流れは、先程の一言でだいたい察せたのでそこは追求しなかった。だが、何故切歌が犯されていないのかだけ気になった。
「く、クリス先輩が外してくれて……」
「……クリスちゃん、気になったのはしょうがないけど勝手に止めるのはやめてね。」
「うん……」
『しょうもないオチだ』と溜息をつきながら、音女はクリスを抱きしめたまま部屋に戻っていく。
無論、切歌は再度犯させるように命令してから……であるのであった。
補足
・新規地
リディアンを選挙