※この作品はR-18です。

婬堕絶叫ノイズギア   作:長之助

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活路

「く、ああああ!!」

 

「無、無理……だよ。か、数だけなら……ぎ、ギアの数はす、数百個はくだらない……も、もしかしたら千を超えてるかも、しれない……

そ、それの絶唱……ほ、本当なら即座に死んでる、よ。」

 

ジーンノイズは、ジーンノイズのコアであってもその身に吸収させる。ギア4つ分を吸収しているコア1つを砕いて残りに吸収させ、数だけを増やす。

同じギアで重複してるとはいえ、力だけはそれで上げられるのだ。吸収したコアを1つ砕いて全体に、また1つ砕いて全体に……を幾度となく繰り返してきた。

一体、どれほどのギアが一体のジーンノイズに含まれているのだろう。それら全てで行われる絶唱は、どれほどの威力だろうか。

 

「ギア、の力が相手ならァ……!」

 

響の両手のギアが変形していく。そして、両の拳を前に突き出す。一瞬、血迷ったのかと音女は思った。

しかし、違う。立花響の、ガングニールの特性……それを思い出して、音女はなりふり構わず、ジーンノイズのコアを投げた。

だが、一瞬だけ遅れてしまった。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal』

 

「絶唱…!全員巻き込むつもり……!?」

 

『Emustolronzen fine el baral zizzl』

 

ジーンノイズ達は、襲いかかるが響の腕のギアの内部パーツが回転し、その力を全て巻き込んでいき始める。その余波で、灰になる者もいた。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal』

 

「やばっ……!」

 

『Emustolronzen fine el zizzl』

 

「S2CA!!トライデント……バースト!!」

 

収束されたエネルギーが、ガングニールの姿を変えていく。黒と金、そして白色のオーラが吹き出てガングニールそのものを変質させていく。

最早、ガングニールはガングニールでは無くなっていた。

 

「S2CA……!?け、けどあれは他に装者がいないと出来ないって……!」

 

「ダインスレイヴの呪いと……賢者の石の力…それに、ギアの力。貴方の作り出したノイズの絶唱が、ガングニールを進化させた!!」

 

「ギア……シンフォギアが、進化……!?」

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ジーンノイズ目掛けて、響は拳を向ける。まるで豆腐に箸を指すかのごとく、ジーンノイズは一瞬で崩れ去る。

だが、あくまでもそれは一体だけである。既に音女はその場から離れており、ジーンノイズ達はそれの護衛の為に下がっていた。

 

「……ふん!!」

 

だが、ジーンノイズを逃がすほど響に甘さはない。突如腕のパーツが高速回転し、そのまま勢いよく発射される。

その腕のパーツはまるで敵を狙うためだけの、死神の腕。

 

「ロボットじゃないんだから……!」

 

遠隔操作も可能なのか、音女の周りにいたジーンノイズのコアだけを器用に壊しながら全て貫いていった。

そして、それはまた響の腕に装着される。

 

「……観念してください。」

 

「無、無理!!」

 

ティキには、一応突貫で作った地下室に無理やり詰め込んでいた。そのおかげで、心配する必要はないのだが……ティキが壊されるとまずいし、かと言って降参してもバレるのは明白だった。

故に、逃げ出す。そばにあった部屋に飛び込み即座に扉を閉める音女。

 

「また……!」

 

響が扉を壊しながら入ると、その瞬間に大量のジーンノイズが襲いかかる。

 

「くっ……!?」

 

「この隙に……」

 

窓から逃げ出す音女。しかし、外には負けていない限りは翼がいる。ある意味悪手であろう。

そして、響に差し向けられたジーンノイズの軍団も━━━

 

「ふきとべえぇぇ!」

 

腕のパーツが、少しだけ前に飛び出す。そして、上下に広がって高速回転を開始する。

吹き荒れるは、豪風の嵐。生まれた竜巻でジーンノイズはバラバラになっていく。触れただけで切られるかまいたちの竜巻である。

 

「……?どこに…」

 

外を見るが、音女は既に見る限りは見当たらなくなっていた。因みに、外は校庭なのだが、足跡すらも見当たらなかった。

 

「……まずは降りてみよう。」

 

響もまた窓から飛び降りて、地面に着地する……と、その瞬間に頭に衝撃が走る。

 

「ぐっ……!?」

 

しかし、衝撃が来ただけであり……目立ったダメージは入ることは無かった。

響の頭に衝撃を入れたのは、ジーンノイズだった。トンカチの形をした巨大なジーンノイズが、響の頭を殴っていたのだ。

 

「はぁっ!!」

 

吹き飛ばされ、ジーンノイズは一瞬にして灰となる。コアもバラバラである。

 

「……下じゃなくて、上か。」

 

響は軽く力を込めて、一気にジャンプする。一気に屋上まで飛び上がり、そして飛び越していた。

 

「見つけた……!」

 

ギリギリの中で、誰かが屋上の扉から校内へ入っていくのが見えた。こんな状況で動いているのは、音女だけである。

 

「……っ!」

 

即座に着地してから一瞬で近づいて、ドアを蹴破る。また視界に少しだけ映る。

かなりアグレッシブに動き回っているようだった。

 

「一体どこに向かって……」

 

そう呟きながらも、響は壁に向かって跳び出して、壁を使ってさらに跳び出す所謂壁キック方式で距離を劇的に縮めていった。

しかし、距離を詰めていったとしてもすぐにまた離されてしまう。やけに動くのが早い。

 

「けど……!この先は行き止まり……!!」

 

学園は、自分の庭である。少なくとも、占拠したての音女には分かりきってない部分が多いだろうと思っていた。

実際、この先は行き止まりであり、しかも窓はあっても扉ない。人がギリギリ通れるサイズの窓しかないので、絶対に追いつくと響は思っていた。

 

「追いつい━━━」

 

「E(・)N(・)D(・)だ(・)。」

 

「え……クリスちゃ━━━」

 

いたのは、音女と同じ髪色のカツラを被ったクリスだった。そして、ジーンノイズを体に直接纏わせてから服を着ていたらしく、袖からノイズが見え隠れしていた。

クリスは、ジーンノイズから生み出された武装の引き金を引いた。当然、油断した響にそれを防ぐ手段はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……案外バレないもんだね。」

 

地面の中から、音女は現れた。正確には……砂と布を吸収させたジーンノイズを使って、擬似的な地面のカモフラージュをしただけなのだが。

 

「……ま、地面に穴開けさせたから、その隙間に潜り込めたんだけど。おかげでかなりいいカモフラージュが出来た。」

 

ジーンノイズに穴を無理やり掘らせて、そこに潜り込む形で音女はばれずに済んでいた。

調は避難させていたが、どうやらクリスが動いてくれたらしい。頼んでないにしても、感謝はすべきだろう。

 

「……さて、じゃあ行こっかな。防人さんは、まだ壁の内側で戦ってるみたいだし……って剣が消えて……」

 

翼が、ジーンノイズと響を分けるために作り出した壁。10体ほどが内側にいたはずだが、その区分けされている剣が今消え去った。

 

「……」

 

そこには、ジーンノイズを突き刺している翼の姿があった。だが、どうにも様子がおかしい。

ただジーンノイズが全滅しただけならば、すぐさま音女の方か校舎の方に向かうだろう。

 

「……動か、ない?」

 

音女は近づくことなく、警戒しながら傍観を続ける。少し経つと、最後に残っていたであろうジーンノイズが灰になり、その直後に翼が倒れる構図となった。

 

「……負けたんだ。へー、負けたんだ。

イグナイト・フィロソフィカスの力を持ったジーンノイズが、負けるなんて思ってもみなかった。」

 

倒れたのを確認してから、ポケットの残っていたジーンノイズに翼を回収させる音女。気絶したのか、倒れたと同時にギアが解除されて彼女の私服があらわになっていた。

 

「後輩の足を……引っ張ってもらいますよ。先輩。」

 

リディアンの生徒では無いので、後輩でもなければ先輩でも無い音女。しかし、そういう冗談を言うほどには気が浮かれてしまっている、ということだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ!」

 

「……よけられると思わなかった。ほぼゼロ距離だったってのに。」

 

響は、クリスからの攻撃をギリギリで避けていた。ガードするよりも、後先考えずに避けた方が早いと考えたのだ。

おかげで、弾丸を避けることは出来たものの、勢い余って壁にめり込むハメになってしまっていたが。

 

「……けど、そんな偶然はもう終わりだ。あんたに勝ち目はない。」

 

「なんで……どうして!!」

 

「あ?あんたもあいつと同じこと言うのか?あたしはあんたなんて知らない。だから、困らせないでくれ。あいつも、あんたも……そんな悲しそうな顔をすると、妙に心が痛くなる。」

 

少しだけ唇を噛みながら、クリスは手足に武装を生み出していく。手には丸鋸、足には鎌だった。

クリスは遠慮無しに響を倒すつもりだった。だが、響は何故クリスが自分に敵意を向けているのか、全くわからずに困惑しきっていた。それが、響の大きな隙となっていた。

 

「おらおら!逃げてばっかじゃああたしは倒せないぞ!?」

 

武装を次々と生み出していきながら、クリスはあっという間に響を追い詰めていく。

それは、響が手を出さないからなのもあるが、それ以上にノイズギアの出力が響のイグナイト・フィロソフィカスを用意に上回っていたからだ。

 

「なんで、なんでクリスちゃん!!」

 

「あたしの名を呼ぶな!あんたのその声!その目、見てると頭が痛くなる!あたしを怖がらせるな、怯えさせるな!

『あたしの心に入ってくるな!!』」

 

「っ!!」

 

心にひとつ、亀裂が入った感覚を響は味わった。響は、悲しそうな顔をしているものや、困っている者に手を伸ばすのを半ば義務と言うべきほどに行っていた。

だが、目の前の友だと思っていたクリスに、その心に入ってくるなと言われた。それが、積もり積もった響の心の闇に拍車をかけ始めていた。

 

「わ、私はクリスちゃんを助けようと…」

 

「あたしに助けはいらねぇ、あたしが救われるのはあの人がいる時だけだ。

あんたは、モヤモヤするしイライラする。そんなやつに、あたしは助けられたくねぇ。というか、真の意味で助けられるはずがねぇ。」

 

「え……」

 

「確かに、あんたのやり方で救われるのはいるんじゃねぇか?けど、入ってきて欲しくない部分にまで入り込むやり方は……自分勝手だ。」

 

「自分勝手だなんて、そんな!」

 

クリスは大きくため息をつく。そして、同時にこう思っていた。『自分は何をしているのだろうか』と。

 

「調子悪ぃからって、『敵』に話すことでもねぇな。あたしはあたしだ、知らない奴に踏み込まれて堂々とできるほど……心は強くねぇ。」

 

「敵……」

 

「隙だらけすぎるな、力だけを持った自分を恨むこった。」

 

「ぁ……」

 

クリスは、ジーンノイズのコアを1つ投げる。それは、響のギアにコツンと音を立てて軽く当たる。

しかし、それが響の圧倒的な敗北であり、音女の決定的な勝利の確定であった。

 

「や、やっ……!?」

 

「知ってるよな?ジーンノイズは無機物を食らう。あんたの纏っているシンフォギア……それが無機物じゃないなんて言わせないぞ。」

 

「そん、な……私は……!」

 

響の体を段々と覆っていくジーンノイズ。それと同時に、響の纏っているシンフォギアが段々と溶けていく。

力が、誰かを守るための力が溶かされる。その恐怖に、響は声を出しそうになる。

 

「むぐぅ!?」

 

「今、ジーンノイズにあんたを犯すように命令した。これであんたは力を奪われながら、新しいジーンノイズを生み出し始めるってわけだ。」

 

それだけを言い残して、クリスはその場を去っていく。手を伸ばそうと、動かそうとする響。

だが、その手は届くどころか動かすことさえも許されない。その声は、誰かを呼ぶどころか発することさえも許されない。

その辛さに、絶望に沈みながら……響はその意識を手放したのであった。




補足
・イグナイト・フィロソフィカス・エクスドライブ
ラピス・フィロソフィカス、イグナイト、エクスドライブの力が複合されたモード。1人でS2CAを行った今回の場合でようやく行使できる力。
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