※この作品はR-18です。

婬堕絶叫ノイズギア   作:長之助

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装者進撃

『クリス君と切歌君の反応が消えた』

 

弦十郎からそう聞かされた装者達。驚きもあるが、それ以上に心配が上回ってしまっていた。

だが、反応が消えた場所……そしてイチイバルとイガリマの起動を確認した本部が、その場所をデータで送る。

それぞれが警戒する中、残った4人の装者達はクリスと切歌の捜索のために、動くことになったのであった。

 

「……地下への階段、ここか。」

 

「待ってて切ちゃん……!」

 

先行する調、切歌の事が心配な彼女は、既に周りが見えなくなるほどに、焦っていた。

 

「待って調ちゃん!!」

 

「調はシュルシャガナの機動力がある……私達も行くわよ!!」

 

「あぁ、月読を一人で行かせるわけには行かない!!」

 

調の使うギア、シュルシャガナは丸鋸が主兵装のシンフォギアである。そして、ギアを使って丸鋸をまるでタイヤのようにして走行することが可能でもある。

おかげでかなりの速度があるが……

 

「……いつも以上に早いな。」

 

「けど一本道!走れば追いつける!!」

 

そう言い、マリアがさらに先行して走り抜けていく。その後を響と翼が追っていく……そんな形だったのだが……

 

「……?ねぇ、幾ら何でもここまで調の姿が見えないなんて有り得るの?」

 

「……あ、あれ?そう言えば……って、行き止まり!?」

 

走り続けた先で、壁によって止められてしまう3人。部屋は幾つかあったが、確認する間もなく来ていた。

 

「……どういう事?調はこの一本道のどこかの部屋に入ったということ?」

 

「で、でも調ちゃんが走った後って私達が走ったあとよりも分かりやすいですよね?」

 

「あぁ……月読は、足のローラーで移動する……丸鋸の後もこうしてこの施設の床に……ん?」

 

丸鋸で付いた傷跡。一本道だったのもあるが、それを追ってここまで来たのだ。

だが、その跡を見て何かに気づいたのか翼はしゃがみこんでじっとその跡を見ていた。

 

「何よ、どうしたのよ翼。」

 

「見てみろ二人とも、そこの跡を。」

 

「跡……壁で途切れてますね。」

 

「……それがどうしたのよ。」

 

キツめの口調で、翼を睨みつけるマリア。切歌がいなくなったことと、調を見失ったことで、彼女も焦りを感じ始めていた。

 

「マリア、少し落ち着け……まぁつまりは、こういう事だ!!」

 

「え、ちょ翼さん壁に向かって技は━━━」

 

『蒼ノ一閃』

翼のギア、天羽々斬から繰り出される斬撃。それはほぼ壁に向かってゼロ距離で放たれる。

が、3人の耳に届いたのは何(・)か(・)と(・)何(・)か(・)が(・)ぶ(・)つ(・)か(・)っ(・)て(・)落(・)ち(・)る(・)音(・)だ(・)っ(・)た(・)。

 

「え、えぇ!?か、壁の後ろに新しい道があるぅ!?」

 

「……まさか、この施設の機能?」

 

驚く響と、驚きで冷静になるマリア。翼は、二人を見て頷く。『この施設にはこういう機能がある』と言わんばかりに。

 

「我々を分断させるために起こしたものだろう……だが、ここで3人まとめて動いては、時間がかかってしまうかもしれない。」

 

「じゃあどうするのよ。」

 

「マリアと立花は2人で暁と雪音を探してほしい。私が月読を探そう。」

 

「どうして!?」

 

「冷静になれマリア、LINKERによって時間制限のある者同士が組んでしまったら、LINKERが切れた時に困るだろう。

それに、暁はお前が助けに来るのを待っているはずだ。大丈夫、月読は必ず見つけてやる。」

 

翼の言葉で下唇を噛むマリア。冷静さを失っていても、何が最善の策かくらいの判断は間違えるほどマリアは愚かではなかった。

 

「……なら、後で上で合流よ。少なくとも、あの子達を倒せるだけの実力を持つ何かがこの施設にいると思う……気をつけてね。」

 

「あぁ、任せておけ。」

 

そう言って、翼は壁の奥に向かって走り出す。それを見届けたあと、反対側に走り出す響とマリア。

一つ一つ部屋を探しながら、クリスと切歌を探し始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、壁破壊されたのは凄く怒りたい……あれ修理でいくらかかるかなぁ……あ、ここ秘密の地下施設だから業者呼べない……」

 

とある部屋で、音女は監視カメラから送られてくる映像を、パソコンのモニターで見ながら愚痴っていた。そして、パソコンを軽く操作すると何(・)層(・)も(・)の(・)重(・)な(・)っ(・)た(・)こ(・)の(・)施(・)設(・)の(・)地(・)図(・)デ(・)ー(・)タ(・)が(・)現(・)れ(・)る(・)。

 

「……ま、地下への階段見つからなかっただけ……マシかな。あれも壁で隠したし。」

 

響達のいるエリアにはB1と書かれており、音女達のいるエリアはB10と書かれていた。

 

「……でも、どうしよう……」

 

音女は、後ろを振り返りガラス1枚を隔てた向こうの部屋に視線を移す。そこではクリスがジーンノイズに犯され続けていた。

 

「……クリスちゃん、心は折れかけてる。けど全く堕ちる様子ない……」

 

切歌がどこにいるのは、音女は知らない。カリオストロが未だに預かっているからだ。

 

「……あそこの階段、そこで下の階層に行けることに気づけなかった。その時点で私は勝ってる。

1人ずつ……着実に。」

 

エンターキーを押して、画面をさらに切り替える。B1.5と表示された改装には、大きな部屋が1つあるだけだった。

その広さはフロアまるまる1つ分、そしてそこには大量のジーンノイズが整列していた。

 

「あの後から、ずっとクリスちゃんに産んでもらったジーンノイズ……500以上。

その全部が……あの一体の戦闘能力を有してる。ギア2個分の力を持ったノイズが500以上……勝ち目なさそう……」

 

画面を見ながらブツブツと呟く音女。他人がいなければ、オドオドすることは無いのだ。

 

「それじゃあ……一人でに別れた月読調ちゃんには……この大量のジーンノイズを上げちゃう。」

 

キーボードを操作して、調の進路上の壁を操作し、B1.5に続く階段を出現させる音女。

そして、ついでに後ろから壁を壊しつつ追ってきているもう1人も、音女は待つことにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「階段……切ちゃん……!」

 

階段を降りる調、そこは先程まで照明の点いていた通路とは異なり真っ暗な階段であった。

 

「……暗い。シュルシャガナじゃあ火花を散らすので精一杯━━━」

 

『な、なんで……真っ直ぐ、一直線に…こ、ここまで来たの?』

 

「誰!?っ!!」

 

調の耳に、唐突に聞こえてくる声。音女の声である。しかし、それが誰かなのかを確認する前に、急に部屋の照明が点灯する。

 

「眩し……っ!?の、ノイズがこんなに……」

 

『わ、私の作ったノイズ……ジーンノイズ。ね、ねぇさっきの質問……』

 

「……走りながら、切ちゃんを探してた。ギアが起動したということは戦ったということ、戦ったのならあんな狭い通路なら簡単に跡がつく……それに、クリス先輩が戦ったら余計に跡がつく。

もし、捕えられたのだとしたら……その階よりも、下のはず。」

 

『……せ、戦闘跡は確かについた…よ?け、けどそれよりも上の階層に捕えられてる可能性も……』

 

「人質なら入った時に見せるはず、見せなくても私達を誘導するくらいの事はする。だって誘導なりすれば、私達は罠だとわかっていても、飛び込まざるを得ないから。

けどそれをしないということは、それはする気がないのか思いつかないのか……そもそもどこにいるのか分からないかのどれか。」

 

『………あ、頭いい、ね。せ、正解……と言いたいけど、わ、私も場所は分からない……』

 

ノイズ達が構える。それに対して、調はジーンノイズ達を睨みつける。倒す以上に、何かを思っているようだった。

 

『ひっ!?』

 

「……こんな、こんなイガリマみたいな見た目のノイズ……すごく、腹が立つ。」

 

強烈な機械音と共に、調のギアの装備が変形して巨大な丸鋸が2つ現れる。目の前のジーンノイズを、倒すのではなく明確な『切り刻む』という意思を音女は感じ取ってビビっていた。

 

『け、けど……その、ノイズは……本当のイチイバルとイガリマ……2つのギアを、取り込んだのを増やした……』

 

「っ!!」

 

目を見開く調。イガリマを身につけた切歌のような、見た目をしたジーンノイズ。

そして奪われたと声の主は言った。それが、調の堪忍袋の緒を切れさせた。

 

「……た…」

 

『……?』

 

「……ちゃ……した……」

 

『な、何を……』

 

「切ちゃんに、何をしたァァァァァ!!」

 

『ひいいいいい!?ごめんなさいごめんなさい!』

 

激昂する調。その勢いと剣幕に音女は怯えるしかなかった。そして、調自身そのままの勢いでイグナイトも起動させる。

 

「邪魔だァァァァ!!」

 

爆走しながらジーンノイズ達を切り刻む調。不意打ちに近い形だったせいなのと、戦闘自体をそこまでこなせてなかったために、ジーンノイズ達は抵抗の仕方すらもろくに知らずに刻まれていた。

 

『あっ!?だ、ダ(・)イ(・)ン(・)ス(・)レ(・)イ(・)ブ(・)起(・)動(・)!!』

 

音女が、そう掛け声をかける。すると、途端に周りのジーンノイズ達が一斉に黒ずみ始めていく。

 

「っ!?色が、黒く……」

 

『あ、貴方達のイグナイト……つ、使わせて……貰った。こ、これで……簡単には切れない……や、やっちゃってみんな!!』

 

そして、音女がそう指示すると今度は先程までとは打って変わって、ジーンノイズ達は調に攻撃を仕掛けていく。

 

「くっ……!?この、ノイズ達……!」

 

『わ、私が指示してるから……連携いいのは……当然。』

 

ジーンノイズ達の連携は、お世辞抜きでいいと言えるものだった。調を縛り付けるために、肩のパーツを伸ばして体の動きを止める。

その上で、両手をガトリングに変形させて四方八方から滅多打ちを行う。

 

『け、けど安心して……五体満足で、捕らえてあげる……』

 

「舐められ、たままで……!!」

 

音女の言う通り、発砲されているものの調の体は銃撃で吹き飛んでる……などということは起きていなかった。

だが、それが調の心に余計に火をつけていた。

 

「……っ!」

 

『む、むだ……だよ。加減してあるとはいえ……1人で、勝てる数じゃない。』

 

「そんな、事……!」

 

「月読ぃぃぃぃいいい!」

 

不意に、調の後ろから聞こえてくる声。音女は驚きはしなかったが、調はその声を知っていた。

風鳴翼、彼女の先輩である。

 

「つ、翼さん……!?」

 

「捕まれ!一気に脱出するぞ!!」

 

「で、でも切ちゃんが!!」

 

「初(・)め(・)か(・)ら(・)暁(・)は(・)こ(・)こ(・)に(・)は(・)い(・)な(・)い(・)!(・)!(・)雪音はいるかもしれないが……助けに行ける人数ではない!!」

 

「切ちゃんが……いない!?」

 

『え、嘘!?』

 

突然の事に、音女もつい素っ頓狂な声を上げてしまっていた。しかし、調はここに切歌がいないのであれば……と、冷静な思考になっていく。

 

「……クリス先輩……!」

 

『……ねぇ、き、君たちが逃げたら……クリスちゃんは、どうなると思ってるの?』

 

「……何だと?」

 

ノイズ達は動きを止めて、翼達も上に登るのを辞める。ここでクリスの名前が上がる事が、嫌な予感を出していたからだ。

 

『い、今クリスちゃんは……ノイズを生み出す……母体になってる。い、いくら精神が強くても……何度もされてたら……すぐに、壊れる。』

 

「何が、言いたい。」

 

『……し、調ちゃんが残ってくれたら……クリスちゃんには、母体の仕事はやらせないように、する……ど、どうする?』

 

「「っ!」」

 

選択肢を突きつける音女。調を選んだ事自体には、ちゃんとした理由はあるが今は関係ないので割愛。

 

「……翼先輩、切ちゃんの事は……任せていいですか?」

 

「月読!?何を言っている!!こんな事に……!」

 

「……クリス先輩を助ける為です。でも……切ちゃんを助けた後は、私達のことも、助けてください。」

 

翼の顔を見あげて、調はそう告げる。相手は調を望んでおり、要望に答えればクリスは一時的にでも助かる。

逆に、これを反故にしてしまえば……クリスがどうなるかが完全にわからなくなってしまう。

 

「っ……!後で、助けに来る……!」

 

そう言って、翼は部屋から1人で脱出する。それを見届けた調は、何も写ってない天井を睨んで……この施設の主である音女を、睨みつける。

 

『の、ノイズ達に、案内させるからギアは彼らに預けて……クリスちゃんは、ちゃんと解放する。』

 

「……絶対に、思い通りになんてなりはしない。」

 

切歌の事を頭に思い描きながら、調は1人音女に向かって歩き始めるのであった。




補足
・雪音クリス
500児以上(ノイズ限定)の母になる
・ジーンノイズ
クリスを犯している個体ひとつを除いて、全てが今までの戦闘データと吸収したギアやその他の力を持っている
・暁切歌
行方不明
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