※この作品はR-18です。

婬堕絶叫ノイズギア   作:長之助

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完全聖遺物

「……あの、お姉様…いいんですか?」

 

「…な、何が?」

 

音女は、調と共に同室に篭もっていた。体を交わらせていたのではなく、ただ単に一緒にいるだけである。

だが、そんな中調が心配そうな声を出していた。音女は、調が何を心配しているのかわからず、聞き返していた。

 

「例の…装者達です。お姉様が言うには、平行世界からやってきた装者達らしいですけど……」

 

「ん……べ、別にいい、よ。放っておいて、も。」

 

「そ、そうですか……」

 

調は音女が言うからには、放っておいても問題ないと判断したが、それでも少しの心配は存在していた。

飲んでいたお茶が無くなったのをいいことに、少しだけ席を外すようにして部屋を出ていった。

 

「……そう、何も問題は無いよ。平行世界から来たのは5人…けど、戦うのはきっと6人ほど。

まだ残ってるもんね……エルフナイン。」

 

部屋から出ていってから、独り言をつぶやく音女。彼女達がどういう行動をしているのかは、ある程度は把握していた。

だが、把握していながらも今は泳がせているだけに過ぎなかった。

 

「別に、何もしなければ手を出すつもりは無いけどね。セレナちゃんの場合は、彼女が手を出したからいけなかった。」

 

届いた情報をまとめていきながら、音女はため息をつく。仲間を増やしているのはエルフナイン、そして次の目的地は残った1人の所……フィーネこと櫻井了子の元である。

 

「別に来てもいいよ……但し、負けたら…また私の奴隷が増えるだけだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フィーネか……また、面倒くさいのを引き入れようと思ったなエルフナイン。」

 

「キャロルを仲間にしようとしていたので、面倒くさいのは慣れています。」

 

「おい待て、どういう事だ。」

 

エルフナイン率いる一同は、ソロモンの杖の反応がある場所へと向かっていた。

だが、その反応があるということは持ち主は比較的限られてくるのだ。使うことだけならまだしも、纏うとなるとそう簡単に全く知らない人物が出てくるとは限らないと考えていた。

 

「……この辺りです。」

 

「……どう見ても飲食店ばかりが立ち並んでいるな。」

 

「本当にこんなところに最後の一人がいるんですか?」

 

「……ソロモンの杖を置き忘れていない限りは。」

 

エルフナインも自信が無いのか、少し声が小さくなっていた。そもそも、この街はゴーストタウンとも言うべきほど人がいないのだ。

店自体は開いているが、店員は誰もおらず電気もつけっぱなし。食料も店の冷蔵庫そのものに入っているとはいえ、ほとんどが調理されていなかったり痛み始めているものばかりである。

 

「まともな店など存在しない筈だがな……移動はしていないんだろう?」

 

「はい……僕達がここに向かい始めている時からずっとこの位置でした。」

 

「んー?あたし達が来るところ間違えた……って訳でもないんだろ?完全聖遺物なんて結構大きいもん置き忘れるかねぇ…?」

 

「僕もそう思いますが……ひとまずは、探してみるとしましょう。ここは特に人が少ないので目立つ人がいれば分かるはずです。」

 

そう言ってから、反応のある建物へと向かっていくエルフナイン達。場所自体は、簡単に見つかった。そしてそれよりも簡単に探し人も見つかったのだ。

 

「……寝てるな。」

 

「寝てますね。」

 

「……起こしますか?」

 

なんと、とある飲食店のソファの上で櫻井了子は寝ていたのだ。しかも、ご丁寧にソロモンの杖を近くに寝かせたまま。

不用心といえば不用心だが、しかし彼女自身が大物である以上案外狙ってやっている事かもしれない。

 

「……おい、フィーネ。起きろ。」

 

「……なんだ、全く…人がいい気持ちで寝ているというのに。」

 

キャロルが少しイライラした様子で、櫻井了子をたたき起こす。少し不機嫌そうな声を出していたが、寝ぼけてもいない様子なのでそのまま会話自体は可能だろう。

 

「……あぁ、お前達が私と一緒に来た平行世界の人物か。1人は違うようだが……この世界の人物か?」

 

「は、はい。エルフナインと言います。」

 

「そうか……それで、いったい何の用だ。」

 

「こんな世界で、装者達が固まっているんだ。分からないわけないだろう?」

 

キャロルが無表情で問いかける。彼女自身も理解しているのか、そのまま真剣な表情を保っていた。

 

「…協力を結びたいというわけか。」

 

「その通りだ。俺たちは帰れる、この世界は救われる。一石二鳥じゃないか?」

 

「……馬鹿馬鹿しい。帰れる確証がどこにある?ギャラルホルンが私たちを返さないということは、つまり帰れる帰れない以前の問題に直面しているということだぞ。」

 

「そんな事は、とうの昔にわかりきっている。だが、少しでも帰れる可能性がある方に賭けているだけだ。」

 

「錬金術師というのは、そういうものか?確証がないことをするのか?」

 

「ふん、確証だけで動いている訳では無い。可能性が高い方に賭けてるだけなんだよ、いつまでもな。」

 

キャロルとフィーネの会話は続いていく。話し続けるのも構わないが、話についていけていない他のメンバーが、少し暇そうにしている。

 

「……まぁ、私もただじっとしている訳にはいかないのは事実だ。

だが、情報が足りなさ過ぎて動けていないだけだ……知っているんだろう?情報を。」

 

「まぁな……俺達の中で、エルフナインだけがこちらの世界出身の人物だ。

この世界に起こっていること、その他諸々……こいつに聞くがいい。」

 

「……で、できる限り答えていきます。」

 

キャロルに話を振られたエルフナインだったが、フィーネと目を合わせて真面目に会話を行おうとしていた。

 

「……ならば、存分に質問させてもらうとしよう。こいつにもわからないようなことを全て、な。」

 

そのセリフの後、フィーネはエルフナインにこの世界のことを根掘り葉掘り聞いていた。

この世界で起こっていることは勿論、音女の事やジーンノイズのことなど出来る限り聞いていっていた。

エルフナインも、答えられないこと以外は事細やかに話していた。話を聞く度に、フィーネは考え込むような仕草を取っていく。時折、必要があれば近くに置いてあった紙にペンを走らせていく。

 

「━━━なるほど、大体の話は聞けた。」

 

「このくらいで大丈夫ですか?」

 

「この世界のことを知れる程度には、大丈夫だな。その女を倒すための作戦が、立てづらいのは問題だかな。」

 

「ふん、だからこそこうやって数だけは集めていっているんだろう。三人寄れば文殊の知恵、というやつだ。」

 

キャロルが辺りを見渡しながらそう告げる。何かがおかしかったのか、フィーネはそれに対して軽く笑みを浮かべていた。

 

「まぁいい、では作戦を立てる前に……情報収集としようか。」

 

そして、一同に告げるようにそう言い放つ。その言葉に、全員が反対の意見を出さなかった。

響、奏、マリアの3人は困っているこの世界を助けたいと願ったため。キャロルとフィーネはこの世界から帰ることと、この世界で得た新しいことを元の世界でも再現するため。

それぞれの思惑が交錯しながらも、今は一同元の世界に帰るために動き始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は櫻井了子としての私服がある。だが、今この場に私服を持っていない奴らがいるのなら、さっさと着替えてこい。

特にお前だ、キャロル・マールス・ディーンハイム。」

 

「なんだと?」

 

「お前は通常の姿の時ははっきりいって子供にしか見えん。しかも、そのように脇も太ももも丸出しの格好など目立ってしょうがない。

幾ら、この世界が世紀末になっているとしても、子供がそのような格好しているのはいささか目立つ。」

 

「……言う通りではあるな、仕方ない……どこかから服を持ってきて着替えてやる。」

 

簡単にフィーネの言うことを聞くキャロル。その事に、エルフナインは内心驚いていたが、顔に出したらキャロルに睨まれるのは分かりきっている答えなので、すぐにその感想を頭の中から消した。

 

「だが、着替えたとしてもどこで情報を得る?奴の協力者は軒並み潰されたという話だが?それでどうやってあいつの情報を得る気なんだ。」

 

「簡単な事だ……パヴァリア光明結社に攻めに行けばいい。アルカノイズとやらをベースにできて居るのなら、恐らくそのジーンノイズを作りだした女の情報もあるだろうな。」

 

「……知っているのか?パヴァリア光明結社の位置を。」

 

「知らん……が、それらしい奴らを探すのには容易とまではいかないが、難問という程でもなかろう。『情報を言うように協力』させればいいだけなんだからな。」

 

「…随分と、脳筋思考なんだな。」

 

「……ちょ、ちょっと待った!!」

 

キャロルとフィーネが話し合っている所に、割り込むようにして奏が声を上げる。

2人は、少し不満そうな顔をしながら奏の方に向く。

 

「も、もしかして今遠回りする話になってないか?」

 

「遠回り?……まぁ、確かに遠回りだな。だが、今無策で飛び込んでも全滅するのがオチだ。

ならば、遠回りしてでも確実に相手への対策を寝ることが大切だろうな。」

 

「む、むぅ……」

 

「…まぁ、正論。」

 

フィーネが言った言葉に便乗するように、響が同意する。奏も、反論出来ないのかそれとも納得したのか分からないが、それから言葉を出そうとしなかった。

 

「……まず、パヴァリア光明結社に行き相手の情報を得る。そこから対抗策を練る……それが、遠回りなようで確実な道だ。」

 

「オレも、その意見には賛成だ。とりあえず、何とかして相手の情報を得ねば話にならん。」

 

「……けれど、どうやって海外に渡るつもりなんですか?私達、別の並行世界からきたから、私達の世界の預金通帳は意味を為しませんよ?」

 

「それに関しては、オレに任せておけ。錬金術で何とかしてやる。」

 

キャロルがそう宣言する。そう言われたからには、任せるしかないと思って一同は何も言うことは無かった。

 

「……では、暫くは情報集めのための準備期間とするか。私は別に問題ないが、1人でいることに問題がある者は誰かと一緒に寝ておくことだな。」

 

フィーネのその言葉に一同はそれぞれ返事を返す。これから、戦の前準備を行うのだ。

その為に、各々が出来ることをしておくことにするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……結構無駄なことしてるんだね。」

 

「ん、ぁ……ひぁ…!」

 

音女は、流れてくる映像を見ながらため息をついていた。既に、バレバレなのだ。

フィーネという存在が、既にこの映像に気づいているのかいないのかはともかくとしても、全てが筒抜けなのだ。

 

「そもそも、無機物と融合できるジーンノイズがいるって自分達で話してるのに…な(・)ん(・)で(・)自(・)分(・)達(・)の(・)い(・)る(・)街(・)の(・)ビ(・)ル(・)が(・)無(・)機(・)物(・)だ(・)っ(・)て(・)思(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)ん(・)だ(・)ろ(・)う(・)。」

 

つまり、どこであろうが全くの無意味なのだ。超巨大な生命体の腹の中にでもいるのならば、映像も音声も音女には届いてこないが、そんなことはありえないのだ。

唯一あり得るとするならば、何も無い空中で話すくらいだろうが、そんなことをすれば周りを見張っているジーンノイズが反応するので、これもありえないだろう。

 

「……ま、もし心の中で会話されてたりしたら全く意味ないけど……それに、日本外にはまだジーンノイズは上手く普及できてないから聞き取れなくなるかもしれないけど。」

 

呟きながら、椅子となっている少女に体重を預けて音女はほんの少しだけ期待していた。

相手はフィーネ、人類がバラルの呪詛を浴びる前からいた人物だが……この人物が、自分に、彼女たちにどのような変化をもたらすのか、今の音女には、それだけが期待するに等しいものだった。

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