※この作品はR-18です。

婬堕絶叫ノイズギア   作:長之助

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くすんだオレンジ

音女は、目の前にいる人物に興味と驚き半々の目で見ていた。目の前には、立花響と同じ顔をしたもう1人の立花響がいたからだ。

しかし、ギャラルホルンによって呼ばれた平行世界の立花響と考えればありえる話ではあるのだが、しかし平行世界とは言っても目の前の少女が立花響だとはとても思えなかった。一緒なのは見た目だけであり、雰囲気などは全く違うからだ。監視させていたジーンノイズの映像から、どういった性格なのかはおおよそ理解していたつもりだったが、改めて目にすると新鮮なものがある。

 

「……く、口は開けてあげたし…犯されるのも、辞めさせた、よ……だ、だから自己紹介お願い、ね?」

 

「……立花響。これでいい?」

 

「……うん。」

 

やはり違う。既に壊してしまったあとだが、自分の知っている立花響はもっと明るい人物だった。その明るさが自分に向けられることはありえない話だったが、その程度のことは理解している。

だが、目の前の少女はどうだろう。未だ諦めていない目こそ同じものを感じるが、彼女からは甘さを捨て去った戦士のような強さを感じる。

その気になれば、人さえも殺せるような……そんな雰囲気があった。

 

「……身の上話、聞かせて?」

 

「……拒否したら?」

 

「そ、そうだね……頭を潰す、かな。」

 

響は思考した。殺されるのが嫌なのではなく、ここで殺されることで作戦が失敗するのが嫌だった。

故に、過去話を語らなければならない。幸いと言えるのが、この過去話を響は他人事で話せるほどには、振り切っているということである。

 

「……こっちの世界の私とほとんど同じだし、差異だけ話す。未来が支えてくれたかどうか……私は、中学生の頃は一人で生きてきた。

頼れる人もいないから、本当に独りで。」

 

「そ、そう……」

 

音女は、改めて立花響にとっての小日向未来という少女がどれだけ影響を与えていたのかを知った。共依存と言えば簡単な話だが、しかし二人の関係はそんな言葉では言い表せないほどに重いものだった。

同性カップル、なんて言うのは最早罵倒になるくらいには、共依存を超えた何かである。

 

「……」

 

響は、音女が油断するのを待っていた。拘束が解けることは無いだろうが、隙を見計らった一瞬。たった一瞬だけでギアをまとって、音女を仕留めにかかる。

それが、響の作戦だった。絶対に知られてはならないという決意の元、誰にも話していないどころか、口にすら出ていない。だから、バレているはずがないのだ。

 

「━━━そうそう、ひとついい?」

 

「……何?」

 

明らかに、口調が変わっていた。音女の変わった口調に、響は少し冷や汗をかいた。まさか、バレたのか?と。

 

「……余計なことしたり、逃げ出そうとしたら……死ぬからね。」

 

「……貴重な、苗床なのに?」

 

「……勘違い、してる。」

 

「……勘違い?」

 

音女の言葉に、響は疑問で返す。一体何が勘違いだと言うのだろうか?響は少し嫌な予感を覚えながら、音女の言葉を待っていた。

 

「しゅ、終始苗床なんて……本当に、体が持つと思って、いるの?」

 

「……どういう、こと?」

 

「ま、まともな人間なら……せ、精神を放棄しても…持つのは、1ヶ月くらい…か、体が壊れちゃえば……使い物にならない、し。」

 

音女の言葉に、響は唾を飲む。要するに、精神がすり減ったところで解放される訳もなく、唯一開放される条件は……体が壊れること。

 

「…こ、壊れちゃえば……捨てるしかない、しね。ま、まぁ……それでもう、産めるならいい、けど……う、産むことすら出来なくなったら……」

 

「……出来なくなったら?」

 

聞いてはいけないような気がした。しかし、聞いておかないと何が行われるのかを判断しなければならなかった。

 

「━━━然るべきところに売る、か…も、文字通り…処分する、か。」

 

然るべきところに売る、というのは人身売買かはたまたそう言った商売を執り行う店にか。

それよりも、処分という言葉に響は冷や汗を流した。下手をすれば、自分も同じ目に合わされるのだ。

と、ここで音女の胸ポケットから音声が流れる。どうやら、何かと通信を行っているようだった。

 

「……も、もしもし?」

 

「お姉様、『お客様』が逃げました。」

 

「……そ、なら祖国にお帰り願おっか。飛行機代が浮くように、着払いで。」

 

「分かりました。」

 

そこから、少女の声が聞こえてきた。当然ながら、響の知らない少女の声である。

しかし、こんな人物をしたっているのであれば聞こえてきた声の主もろくなものではないのかもしれない。

そんなことを考えながら、響は降りてきたプロジェクターに移された映像を見せられることになったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人の女性が、逃げていた。『偶然にも』ジーンノイズ達が自分を気にしないまま、逃げれるようになったからだ。

女という女が、全てジーンノイズの中に入れられて苗床になっている訳では無い。

軽い拘束こそされているものの、基本的には部屋に軟禁されている程度のものである。

だが、何故他の女達は逃げないのか?理由は幾つかあるが……主なものをあげるとするならば『恐怖』と『疲労』である。

 

「はぁ、はぁ……!」

 

そして、今裸でグラウンドを走っているのは中途半端に恐怖がある者である。

彼女は『元』国のトップクラスだった。秘書や、その類の仕事に就いている者である。しかし、今はただの苗床である。だが、先程も言った通り、偶然にも訪れた幸運により逃げ出すことができた。

グラウンドには、ジーンノイズの一体もいない。空を飛んでいるジーンノイズまで気を回せないが、降りてこないということはバレていないということだろう。

 

「こ、これで、戻れる…!戻れる……!」

 

恐怖と嬉しさに支配された顔を晒しながら、女は走り続けていく。しかし、希望というものが残されているわけもない。

すぐに、彼女は絶望を味わうことになる。

 

「……ひっ!?」

 

彼女の目の前に、巨大なジーンノイズが何体も立ち塞がる。空を飛んでいたものが、降りてきたのだ。

因みに、未だ彼女はグラウンドから出ることすらできていない。

 

「わ、私は妊娠なんかしないわよ!!びょ、病気で子宮を摘出したもの!!」

 

彼女の言っていることは紛れもない真実である。私情により、子宮は摘出されており、年齢としては若い段階で既に子は作れない運命となっていた。

だが、上はそんなの関係なしにここに行けと命じてきたのだ。若い女、たったそれだけが彼女の運命をさらに非常なものへと変えていく。

 

『あっそ、ならいらないや。私の情欲を解消するのは、私が選ぶわけだし…逃げ出す上にジーンノイズも孕めないんじゃあ、要らないよね。』

 

「……え?」

 

女の人生はここで終わる。どこで何を間違えたのかと言われれば、現在働いているところに就職したのが悪かった、という他ないだろう。

中途半端にエリートだった故に、生贄に捧げられたのだ。本人の換えは出来ないが、役職の人員自体は変えがコロコロ出てくるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……終わり。」

 

映像が終わって、プロジェクターが上がっていく。響は、吐きこそしなかったが、もし今のを直視していれば吐いていた自信があった。

それほどまでに、強烈な映像が入ってきていた。

 

「……あ、しまった。あれの後処理どうしよっかな…手軽に殺れそうなの選んだだけで……あとの事全く考えてなかったや。」

 

簡単に言う音女の姿が、何故か妙に恐怖を覚えた。人を殺すことがそもそもの目的だったようで、なぜ殺したのか、までに思考が行っていないのだ。

 

「……鬼か、悪魔なの…?」

 

「…それって、人を殺すのが?酷い目に合わせるのが?手に掛けることが?人一人を弄んだから?」

 

「……全部。」

 

「人なんていつか死ぬし、酷い目にも合うし、手にかけることもあるし、弄ぶことだってあるよ?」

 

「みんながみんな、そんなやつじゃあ━━━」

 

「そんな奴だよ。正直者は嘘が付けないから人を酷い目に合わせることもあるし、正義感に駆られる奴は偽善だろうがなんだろうが人一人の人生を弄んでる。

悪人とかそういうの関係なしに、人は人を犠牲にしないと生きていけないんだよ。自分も含めてね。」

 

音女のまくし立てる様な喋り方に、響はついていけていなかった。その様子を見て察したのか、深呼吸を1度だけ音女は行った。

あまりに手早く話しすぎると、音女も疲れてしまうからだ。

 

「……と、とりあえず…さ、逆らったり逃げたりしたら……あぁなる可能性がある、から。

だ、だって……『立花響』は2人もいらない、し……」

 

「……そう。」

 

『さて、どうしたものか』と響は思案していた。今ここで手を出せば、間違いなく殺されてしまうだろう。

死ぬのだけは勘弁である。この世界を救い、元の世界に戻って未来とまた一緒に暮らすつもりなのだから。そのためだけに、この力を新しく手にしたのだから。

 

「……ま、まぁ…へ、変なことしないうちは……殺さないから、ね。ど、同一人物が二人いる……っていうのも、プレイとしては面白そう…だし。」

 

「……この世界の私と、させるつもり?」

 

「お、面白ければなんだって……いいよ。」

 

響も一応は高校生の年齢である。但し、リディアンなどと言ったお嬢様学校になんて通えるはずもなく、ましてや地元の学校というのも論外だった。

だが、それでも自分が何をされているのか、どういった意味の言葉を話しているのかというのは理解出来ている。

しかし、男のものを入れられるのと人外に犯されるのは一体どちらがマシだろうか。とどうでもいいことを真剣に悩むほどには切羽詰まっていた。

 

「……そう言って、ほかの女の子の人生も狂わせてきたの?」

 

「く、狂わせてきたって……どう言った根拠、で?」

 

「……こんなことをしておいて、狂わせてないと?」

 

「……何を持って、狂わせてるかによらないのそれ?」

 

音女の目が響の目を捉える。ブラックホールに吸い込まれるかのような真っ黒な瞳に、響は少し気圧される。

 

「……女の子達から、人生も人権も命も奪ってるのに?」

 

「それが、その子達の運命だったってだけでしょ。大体、それを言ったら…そっちだって狂わされてるじゃない……シンフォギアに。ノイズに……同級生達に。」

 

「……」

 

音女の言葉に、響は何も答えない。正解手間もあり、不正解でもあるからだ。少なくとも彼女の中では、だが。

 

「……ま、狂わされていないって言いたいなら、言えばいいと思うよ。」

 

「は…?」

 

「私には特に関係ないし……あぁでも、ごめん、ほんと悪いんだけど……凄く腹が立った。」

 

「がっ……!?」

 

そう言って、音女は凄く慣れない感じを出しながら蹴りを響の腹に入れる。だが、腰も何も入っていない音女の蹴りはただ体重をぶつけただけであり、そのまま反動で音女も転がっていた。

 

「あだっ!!」

 

「げほ、げほっ……!」

「……ま、反省しろって言う気は無いし、後悔しろなんて言葉も言わない。だって、私は君を私の好きなように犯すだけだもの。」

 

音女は立ち上がりながら、響を据わった目で見ている。響は睨むことなくただ音女を見上げていた。

今から何が行われるのか、その程度のことは理解出来る。だが、それが自分の想像の範囲内で終わるようなやわな行為でないことは、響自身が一番理解していた。

 

「……最初から、誰かと組ませないでしばらくは1人でやろうか。せいぜい……一日は持ってよね。」

 

その言葉で、自分はほかの苗床達以上の激しさを伴うことになったのであった。

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