「ちゅ、ちゅ……」
「ん、ぁ……」
平行世界からやってきた立花響に、音女は抱きしめながらひたすらにキスを続けていた。
お互い全裸で抱き合い、音女はイキすぎて力が入らなくなっている響にキスを繰り返していた。
首筋、乳房、乳首、脇腹、へそ、股関節、秘所、太もも、脛、足の裏、足の指、尻に背中に……全身をキスしていた。身体中のありとあらゆる所をキスされ続けて、もはやされていない場所はないであろう、それどころか2週目に突入してる節さえあるそのキスの嵐を、響は一身に受けていた。
ひたすらなキスが、彼女の体を感じさせていたが、激しい快楽の刺激ではなく優しい気持ちよさで感じさせているのだ。
「……こ、これだけやったら…いいよね。」
「ぁ……」
響の唇に、音女の唇が近づいていく。響は抵抗したかったが、まともに力が入らない彼女は、そのまま抵抗出来ずにその唇を受け入れるしかなかった。
「んむ、ちゅる……」
「んぉ……んん…!」
舌と舌が絡み合い、淫靡な水音を奏で始める。二人の間には、唾液で出来た糸が垂れ下がるほどに濃密で、長い時間をディープキスが始まっていたのだ。
だが、それ以外の攻めを音女は全くと行おうとしていなかった。それが、響にとっては優しい快楽となっていたが、少しもどかしさも感じていた。
「ぷはっ……あー…」
「んぶっ…ぐ……」
音女から唾液が流される。響は抵抗しようとしたが、そのまま唾液を飲む他手がなかった。
だが、どうしたことか唾液を飲まされた時に自身の子宮が喜んだかのような感覚に襲われたのだ。キュンっとなるような感覚だったが、決して嫌なものではなく、どちらかといえば喜んでいると言っても過言ではないほどである。
だが、何故そんな感覚になったのかまでは理解出来ないでいた。
「……の、飲まされて…喜んじゃった、の?」
「っ!?そ、そんなこと、無い……」
「……ず、図星。」
音女に己が考えていることを当てられて、響はつい否定の言葉を出してしまったが、最後の方は最早ボソボソ声で自信がなさげなものになっていた。
自覚してしまっているために、否定が無意識にしづらくなっているのだ。
「……ま、こ、こっちに聞けばわかる、しね……」
「ひうっ!?」
音女は、響の秘所に手を伸ばして指を入れる。そこからは大量の愛液が漏れており、最早漏らしたと思われてもしょうがない有様である。
「濡れ、てる……や、やっぱり興奮してたん、だ。」
「っ……!」
響にはこんな経験はなかった。自分をオナホールのように扱ったり、なんでも従う奴隷のような扱いを受けてきていたが、誰もがここまで優しい愛撫をされたことが無かったのだ。
「み、見て?こ、これが君の……愛液。」
「私が、こんな……」
今まで開発された響の体は、彼女に被虐の欲望を植え付けていた。だが、優しくされるという
「ほら……舐めて、ご覧?」
「ぁ……んぶ、じゅる……」
差し出された手に、無意識にしゃぶりつく響。こんなペットや奴隷のような扱いをされて、興奮している自分が腹立たしく思えてくる。自分の愛液を舐めさせられて興奮してくる女なんて、変態も同義である。
だが、それでも何故か舐めることを止めることが出来なかったのだ。
「……よしよし。」
「っ!」
「よ、よく出来ました。」
頭を撫でて褒める音女。褒められたこと自体が、彼女にとっては珍しかった。
音女の行為に優しさを響は感じてしまっていた。冷静さが残っているならば、それが虚構の優しさだということには直ぐに気づくだろう。だが、3日もイカされ続けたあとにこの優しさは、響の脳みそに刻み込まれてしまう。『敵ではない』『身を預けても良い』と本能が訴えかけてしまっていた。
「ふー…ふー……」
無論、敵だということは認識していた。だが、音女から与えられた優しさを、響は失いたくないと感じていた。
優しくしてくれたのは、一体何人だろう。覚えている限りでも、片手で事足りるほどに少なかった気がする。
響はそんなことを考えながら、自分を優しくしてくれた人に対して心を許し始めていた。そして、その人から与えられる快楽が、麻薬であるかのように響にもっと与えさせて欲しいと無意識に感じさせてしまっていた。
「……じ、自分のだけど……お、美味しい?」
「ぷはっ……」
酸素が甘く感じていた。肺に入り込む空気が、舐めていた愛液の味を届けるかのように、肺に届いていた。
無論、愛液はとてもじゃないが舐められるものでは無い。体液なのだから当たり前なのだが、しかしそれを響は何故か舐めることが出来ていた。
「……もっと…」
「……じゃ、こっち。」
響がぼそっと呟いた言葉に、音女は即座に足を向ける。彼女が欲しているのが、自身の愛液ではないことに気づいたのだ。
そうして足を向けられたことで、響は自分で何を言っているのかようやく気づいたのか、驚いた表情で口を抑えていた。
「わ、私なんで……」
「……そ、それが本心なんだ、よ。ひ、人の体を舐めて…もっと欲しいって望む……変態さん。」
「ひうっ…!?」
耳元で囁いた後に、音女は響の耳たぶを甘噛みする。それに驚いたのか、響は可愛い声を出したあとに、再び口を抑えていた。
「……ね?」
「わ、私は…変態なんかじゃ……」
「へ、変態だよ…て、敵の私に…ほだされてるん、だから。」
「ッ……だ、だったら今すぐにでも……」
「
音女のその言葉と眼光に、響は止まってしまう。恐怖で止まったのだ。しかし、その恐怖は殺される恐怖ではない。
彼女自身も全く意識していなかったが、
「…違っ、そんな……私は…」
「……気にしない、よ。」
音女は微笑んだ後に、響を抱きしめて頭を撫でる。その行動が予想外だったために、響は虚を突かれてしまっていた。
「ぁ……」
「……」
抱きしめている音女の顔は、響からは見えていない。だが、その表情は響のことはどうでもいいと言わんばかりの真顔になっていた。
最早、めんどくささすら感じている節まである。
「……っ…!」
「……も、もう今日は寝て、ね?」
「……わかっ、た……」
響は音女に言われるがままに、ベッドに運ばれて眠り始める。その優しさと、ベッドの温もりのせいか直ぐに響は眠り始める。
それを見届けてから、音女は白衣だけを上から羽織って部屋から出るのであった。
「お姉様、動き始めたようです。」
「どっち?」
「多い方です。」
主語のない会話をしながら、音女と調が最低限の情報伝達を行う。音女は椅子に大きく座りこんで、モニターを覗く。
「……さ、作戦とか…聴けた?」
「いえ……それが、屋外で紙を使っての情報伝達を行い始めたようで…全く別の意味の会話をしていた為、ほとんと情報は入ってきていません。
天井がない所では、ジーンノイズが上から覗き込むと言ったことも出来ませんし……」
「……そう。」
予想通りの行動に出ていた。屋内でバレるのなら、屋外でかつ口頭以外の情報伝達手段を使えばいいだけの話なのだ。
単純だが、一時的な効果は望める。あくまでも一時的だが。
「……」
調の入れてくれた珈琲を啜りながら、音女は次の一手をどうするか考えていた。
ジーンノイズには既にカメラなどの代物は吸収させているので、覗く際に倍率を上げてもらえば問題ない話なのだが、次にエルフナイン達がどう行動するかがわからないでいた。
未だにフィーネは、行動する気がないのかジーンノイズからの映像でも何も動きが見当たらなかった。
「……お姉様、どうするんですか?」
「……まぁ、最悪侵入してきたらジーンノイズ達を総動員すればいいだけだよね。
今孵化させてないのってどれくらいだっけ。」
珍しくも真面目になった音女。いつものようなしゃべり方はしておらず、それがより真剣さを醸し出していた。
「は、はい……えっと、約10万らしいです。」
「そ、いざとなったら全部突っ込んで。あ、苗床は常に生産急がせてね。
逐次投入していく金太郎飴戦法とるから。」
金太郎飴というのは、切っても切っても同じ絵柄が出てくるという長い飴のことだが、要するにジーンノイズをただ出鱈目に突っ込ませていくという戦法を取ろうとしているのだ。
「はい……あの、お姉様?」
「何?」
「そこまで投入しなくてもいいのでは?」
「……実力の差ってさ、ちゃんと示さないといけないんだよ。」
「へ?」
音女の言っていることが、調はイマイチ理解できていなかった。示さなければ行けないというのは理解できるが、それはここの兵士を手薄になるリスクを背負ってまでやるべき事なのだろうか。
「……あっ。調ちゃん、あとお願い。実力の差を示すためにもっといいこと思いついたから。」
「へ!?お、お姉様!?」
そう言って、再び音女は外に出ていくのであった。その場に残された調は、一体全体なんの事だか理解できないまま、ひとまず音女の言う通りにするのであった。
「ジーンノイズになったけど、ま…ノイズを纏うことくらいはできるよね。」
音女はとある部屋に向かっていた。そこは、この場所がリディアンとしての役割を未だに果たせていた時にあった部屋である。
しかし、その時ですらロクに使われていなかったのか、少しホコリまみれだったのを音女がわざわざ掃除して使えるようにしたのだ。
「……歌、か。」
シンフォギアを大量に取り込んでいるジーンノイズ。今音女が手に持っているのは、1度だけ作ったジーンノイズをひたすらに取り込ませた代物である。
無論、今のもある程度食わせてはいたが一定以上は食わせていなかった。実験は、常に失敗の連続であり音女が手に持っているのもまた1つの失敗作である。
シンフォギアを取り込みすぎたジーンノイズを、砕いてはたったひとつに集約していく。それを繰り返した結果、偶然産み出てしまった代物である。その形はまるで、シンフォギアのペンダント型のような形になっていた。
「……壊れた心にも、あるのなら歌ってみたいもんだね。」
それだけを言って、音女はそれを首にかける。今から行う実験は、誰にも見せない聞かせない感じさせない。
このペンダントの形となったジーンノイズのコアは、孵化しなかったのだ。しかし、今ふと思いついたこと。シンフォギアのように歌で起動するのではないだろうか?ということだった。
そして、彼女はその歌を模索するために実験を始めるのであった。
「……では、どうしますか?」
「うーん……」
『僕の作戦で大丈夫ですか?』
『あたしは異論はないよ。』
『私も異論はありません。』
エルフナイン達は、相も変わらず筆談で会話を続けていた。そして、行う作戦を未だに話し合っていて、今ようやく終わったのであった。
「……では、しましょうか。」
「だね、しようか。」
「はい。」
紙を丸めて、各々がライターでその紙を燃やしていく。本来街中でこんなことは出来ないのだが、しかし今は人がいないためバレなければ問題ないの精神でやっていた。
「真っ直ぐ?」
「いえ、そこは奏さんのギアでゴリゴリっと。案内は僕がしますので」
指を下に向けながら、エルフナインは奏に指示を出す。奏は頭をかいて、しかしエルフナインの指示通りに動き始める。
「ま、あんまり期待しないでくれよ?」
そのまま奏はガングニールを纏ってアームドギアである槍を出す。そして、それを回転させながら地面に勢いよく突き刺す。
そのまま槍は回転していきながら地面を削っていく。まるで、ドリルのように削りながらだんだんと深く掘っていく。そして、エルフナイン達もその後ろについて行きながら一同は地面に潜っていくのであった。