※この作品はR-18です。

婬堕絶叫ノイズギア   作:長之助

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潜入

「……えぇ…」

 

ジーンノイズから流れてきた映像を見て、調は困惑していた。何せ、敵対している相手が地面の下を掘り進んでいこうとしているからだ。

正直、無謀以外の何物でもないのだが、一体その作戦にどんな勝算を導かせたのか全く持って理解不能だった。

 

「……相手には、バカしかいない…?」

 

滅多にこうは思ってもいないのだが、ひとまず調は道路にポッカリと空いた大穴からジーンノイズを侵入させていくのであった。

それが、最善の策だと信じていたし音女の為にもなると思っていたからだ。

だが、その為に音女に念の為の確認を取らなかったのがこの場においての大きな失態でもあったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……来ましたね、予想通り過ぎてびっくりしたほどです。」

 

「……いやいや、これはどうなんだろうね。さすがにあたしも結構危ない作戦だと思ってるけど。」

 

「いけます。イグナイトの機構のために入れられた魔剣ダインスレイブの破片…それが一つにまとまっているこのギアは、僕の予想を軽く凌駕する力があると思われます。」

 

そう言いながら、ポケットに手を入れて中から小さな剣を取り出すエルフナイン。

そこからその剣に少しの念を込めて、形を元の長剣に戻す……だけではなく、そのままダウルダブラを纏うキャロルの様に外装を纏う。

その見た目は、胸が無く紫色の部分が黒色になっていること以外は基本的にダウルダブラと似た形状となっていた。

 

「おぉ、大きくなったね。どうだい、扱えそう?」

 

「……いけるみたいですね。さて、魔剣の力を……」

 

ダウルダブラは、糸を主に使って戦うギアである。しかし、ダインスレイブの武器はその魔剣ただ一つであった。

しかし、黒い刀身に赤く禍々しい文様が描かれているのは、やはり見ていて寒気がするものがある。

それを感じとれないジーンノイズが、彼女達に向かって突っ込んでいく……事はせずに、その狭い通路でギリギリ収まるほどの巨大なミサイルを1つ発射する。

 

「イチイバルの力ですか……!」

 

本来ならば、このままミサイルの爆発に巻き込まれてTheENDと言ったところだろう。

だが、エルフナインはその黒い刀身をミサイル目掛けて突き刺すように動く。エルフナインの思惑通り、ミサイルに刀身が突き刺さる……と同時にまるで物質の変換でも行われたかのように、ミサイルが一瞬で粒子となって崩れていく。

 

「す、凄いね……」

 

「エルフナインさん、その力は…?」

 

「ダインスレイブの呪いの力…濃すぎる呪いの力が、物体の粒子構造を無効化……いえ、簡単に言いますね。

この剣に触れたものは、なんであっても今のミサイルみたいに砂になります。」

 

エルフナインが、ダインスレイブの刀身を指さしながら説明を入れていく。しかし、その隙を突くかのようにジーンノイズ達が戦法を変えてこちらに向かって突進してきていた。

 

「そう、触(・)れ(・)た(・)も(・)の(・)は(・)な(・)ん(・)で(・)あ(・)っ(・)て(・)も(・)結(・)合(・)を(・)崩(・)壊(・)さ(・)せ(・)ま(・)す(・)、(・)例(・)外(・)は(・)あ(・)り(・)ま(・)せ(・)ん(・)。」

 

「エルフナイン!前、前!!」

 

「ですから━━━」

 

エルフナインは、ゆったりと剣を振り上げる。そして、ジーンノイズの動きに合わせるかのように、ぶつかる前にその刀身を勢いよく振り下ろし、黒い斬撃を生み出す。

 

『UNA MALEDIZIONE』

 

放たれた斬撃は、ジーンノイズを真っ二つにしていく。しかし、それは破壊力に長けたものではない。相手を滅ぼすことに重きを置いている訳ではなく━━━

 

「……さ、行きましょう。もうあのジーンノイズは使い物になりません。」

 

「えっ…」

 

セレナが、後ろの動かなくなったジーンノイズに対して目線を向ける。すると、まるでヌメリがあるかのようにジーンノイズの体は左右にゆっくりと別れて……砂になる。

その残骸からは……コアが見つかることは無かった。

 

「……すごいね、その力。」

 

「何せ、呪いの魔剣ですから。その名は伊達ではないということですよ。」

 

「……よし、なら後ろは任せたよ。あたしはこのまま勢いよく進んでやるからな!!」

 

エルフナインのギア姿に自信を持った奏は、そのまま回転の速度を上げて地面をさらに素早い速度で掘り進んでいくのであった。

エルフナインは、自分の刀身に一瞬だけ視線を移してから、何事も無かったかのように奏について行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えっ、ジーンノイズがやられていってる…?なんで……」

 

リディアンにて、音女はこの街一帯のジーンノイズが次々とやられていることを察知していた。

これは、ジーンノイズになった故の感覚なのかはわからないが、しかし段々とやられていることだけは判明していた。

 

「……調ちゃん辺りが、多分なんかしたんだろうな。けど、勝手に行動することがあったとしても……」

 

ジーンノイズの性質を考えるが、どのような攻撃をしたとしても、今のジーンノイズには基本的に通用することがないはずなのだ。

攻撃と感じ取れば回避するし、それ以前にシンフォギアの攻撃であったとしても軒並みは回収できるのだ。

許容量を超えれば、確かにやられてしまうこともあるが……

 

「今のジーンノイズの許容量は、そう簡単に超えれるものじゃないけど……」

 

故に、音女は困惑しているのだ。本来であればありえないことが今起きてしまっているのだから。

 

「ひとまず、調ちゃんのところに戻ってみよう。原因を知ってるはずだし。」

 

白衣を翻して、音女は大急ぎで向かうことに決めた。彼女にとって良くないことが、今起ころうとしているからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、調ちゃん。」

 

「お、お姉様!すいませんすいません!!」

 

涙を流しながら、音女に抱きつく調。軽く頭を撫でながらモニターを確認すると、そこには女性らしい胸の凹凸がまったくないキャロルがいた。

それは直ぐにエルフナインだと認識することが出来たが、問題は彼女の身にまとっているギアである。

黒よりも黒い暗黒。長剣から発せられる黒い斬撃が、ジーンノイズを一網打尽にしていく様子が出てきていた。

 

「こ、この力は…?」

 

「分かりません…でも、ジーンノイズがやれることなんて、めったになかったのに……」

 

音女は、高速で頭を回転させていく。まず、ジーンノイズが吸収できない攻撃には、許容量をオーバーした時と生物を使った攻撃…例えて言うのならば、ネズミを掴んで投げる…と言ったことをしない限りは吸収が可能である。

しかし、もうひとつ吸収できないもの…否、しきれないものがある。それば、攻撃の中に攻撃を仕込ませることである。

マトリョーシカのようなものである。あの斬撃1つの中に、一回り小さい斬撃を、さらにその中に一回り小さい斬撃を……と言った感じで複数の攻撃を一つにまとめて打っているものである。

吸収しきれない、というのは単純に1つを吸収しても、中にある攻撃が出てくることで攻撃を続行する、ということである。

 

「……コアにぶち当てるまでに、10や20じゃ利かない攻撃回数を1度に行っているってことか…それに、この当てた後に出てくる砂は……」

 

「…ジーンノイズ達が吸収しても、強化は起こりませんでした。それどころか…逆に取り込んだ個体までもが……」

 

「ん、ありがと……という事は、ジーンノイズですら無くなってるってことか……」

 

あのギアの正体を、やられたジーンノイズと攻撃方法から探っていく。ジーンノイズが元となっている筈なのに、粒子となったジーンノイズは、既にジーンノイズではなくなっているという。

つまり、物質の変換が行われているということになってしまう。それも、ノイズですら書き換えるほどの強力なものを。

オマケに、取り込んだ個体すら粒子になっていると考えると、物質の変換はエルフナインの纏っているギアの力と同質になっているということである。

 

「……んー」

 

「お姉様…?」

 

あの黒い斬撃が、ただただ気になっていた。感染するかのように、ジーンノイズを倒していくその姿に、否が応でもといった覚悟を感じていた。

 

「……し、調ちゃん…キャロルちゃん呼んできてもらっても……いい、かな?か、確認したいことがある、から……」

 

「は、はい。」

 

調に、キャロルを呼んできてもらうように頼み、部屋から出て行かせる音女。そして、再びモニターに目を向けて彼女のまとっているギアの正体を推理する。

と言っても、予想できる答えはたった一つである。

 

「…ダインスレイブ。魔剣の呪いくらい酷いものじゃないとね……それに、確か渡してたはずだよね。

ここまで強いものだなんて全く思っても見なかったけどさ。」

 

溜息をつきながら、音女はどう対策を練ろうか考えていく。まさか、ジーンノイズキラーになりうる存在がいたとは思わなかったからだ。最悪、キャロルに使ったジーンノイズを使って同じように洗脳してしまえばいいだけの話…なのだが。

 

「……まぁ、後の祭りだよね。」

 

今更考えたところでどうしようもない。さっさ洗脳しておけばよかったし、今更勝てる聖遺物もないだろうとたかを括ってしまっていた。

経験値取得が必須のジーンノイズに取って、初見殺しは弱点なのだ。

 

「……ま、初見殺しに弱いのは向こうもこっちも一緒か。」

 

初見殺しというのは、つまりは無知だ。予想も予測も調査もできていない事を指すのだ。

しかし、そこに考えが至らないと言うのはただの結果論の批判だ。思考する生物は、どう足掻いても無知からは逃げられない。

全知全能になれる生物なんて、いるわけが無いのだから。

 

「条件は一緒…いや、調査できるだけまだマシか。情報を先に見せた方が不利なんだから……せいぜい頑張って漏洩してね。」

 

そう言いながら、音女はこの辺一帯のジーンノイズを全てエルフナイン達の所に向かわせるように指示を向ける。

そもそも馬鹿正直に地中に潜らせる意味は無い、上から攻撃してしまえば一緒なのだ……と言いたいところだが。

 

「どんだけ攻撃したら届くかな。ま、一斉放火してしまえばいっか。」

 

さすがに簡単な攻撃で狙い撃てるような浅い場所に潜っている訳では無い。

簡単な攻撃ができないほど深くにはさすがに潜ってくれてはいた。故に、少し激しい攻撃しないといけなかった。目立ってしまうことはなるべく避けたかったのだが、それはそれ、これはこれと言うやつである。

 

「イチイバルと、ガングニール……後はイガリマの複合技で行ってみよっか。」

 

イチイバルの火力に、ガングニールの突破力…そして、イガリマの命を狩りとる性質を組み合わせた殲滅技。

全てを貫く槍の如し貫通力を持った、クラスター爆弾と言ったところか。

 

「その場にいる全員、発射ー」

 

ある程度揃ったことを確認してから、ミサイルを連発させる。深い地中にいるのはメリットだが、いざと言う時に簡単に逃げられないデメリットもある。

大量にぶち込めば、いざと言う時肉片くらいは残るだろう。

 

「残ったら燃やすけど。」

 

音女は、ジーンノイズから聞こえてくる音を切る。こうでもしないと、完全に鼓膜が破れてしまうだろう。

その爆破の強さは、街の1部が燃え盛るほどの巨大な爆発が起きていた。

 

「……かのツングースカはもっと大きいのかな。」

 

そんなことを呟きながら、映像を凝視する音女。生きてるとは到底思えないが、万が一ということもある。

果たして、エルフナイン達は生きているのかどうか━━━




久しぶりの補足
・魔剣ダインスレイブ
平行世界のキャロルが持ってきたもの。エルフナイン用にチューニングされているが、その呪いの力があまりにも強いためにジーンノイズのコアでさえ別物質に変換させるほど強力な一撃が放てる。
・現在のジーンノイズ
色々なギアの力を組み合わせることで、その特性や攻撃方法を完全に複合することが出来る様になった。
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