セレナはとある夢を見ていた。それは自分が、リディアンに通っている夢だ。
制服を着込んで、切歌と調と共に学園で授業を受けて更には学園祭なども楽しむ…偶に一緒に寝たり、アイドルの活動から帰ってきたマリアと共に学校のことやアイドルのことについて話し合うのだ。
そして、卒業後はマリアのために音楽に関係する仕事に就く……そんな夢を、見ていた。
しかし、そんな夢は現実逃避のためだけの夢である。例え彼女が自分の世界に戻ってもそんなことは起こりうるはずがないし、何よりも今起こっている現実からも逃げることが出来ない。そんな彼女が見た、2重の現実逃避である。
「あ……ぁ……」
アナル開発用の道具は、彼女のアナルを十分に性感帯へと開発していっていた。
その調教は、未だ幼い体をしている彼女に取っては、負担が大きいものであることは間違いがない。
「~♪」
既に体にかかる負担は相当なものになっているのか、セレナは小さな反応しか返していなかった。
だが、音女にとってはそのようなことは些事に過ぎないのか、全く気にしていなかった。
「次は……こっちいってみようかな。」
「ひ、ぐぅぅぅ!?」
音女はセレナに休みを与えない。しかし、なるべく痛みも与えない。入口をある程度いじった後に、細い玩具でゆっくりと開かせていき、ある程度開いたところでバイブを押し込んでいく。
そして、その大きさを慣れたら変えていくということを繰り返していた。
すっかり蕩けてしまっているセレナは、その快楽に抗う体力も既にない。ただただなすがまま、音女のしたいことを体現するためだけの道具と化していた。
「うんうん……この声この声。」
「あ、ぐぅ…!」
再び大きな悲鳴をあげることができるようになったセレナに安心したのか、音女はそのままアナルバイブを動かし始める。しかし、その大きさはセレナのような体の小ささには不釣り合いのそれである。だが、セレナはそれを飲み込んでいた。
体に不釣り合いの大きさのアナルバイブを簡単に飲み込んでいた。
「大きく広がるー…お尻の穴ー…処女は残すけどー…アナル処女は奪うー…」
下手なリズムを取りながら、音女はセレナを調教していく。余程楽しいのか、普段の彼女からでは考えられないほどの上機嫌であった。
そして、その上機嫌さは部屋の外にまで伝わっていた。無論、リディアンの施設ならばそう簡単に音漏れをすることは無い。
ようするに、聞き耳を立てていた人物がいた、ということである。
「……むぅ…」
調が立ち聞きしているのだ。彼女は音女が好きすぎるのだ。そのせいもあり、扉を軽く開けて立ち聞きしていたのだ。
無論、音女はそのことに気づいていない。それほどまでに夢中になっているのだ。
「……私より小さいのに。」
そう呟く調の目に映るセレナは、嫉妬と憎しみで歪んで見えていた。音女が自分以外に夢中になるのは別に構わないが、自分としている時以上に楽しそうな彼女の姿を見るのは嫌なのだ。
少しだけ歯ぎしりをする調。その瞳には、セレナを音女から引き離すための絵面だけが映っていた。どうやって引き離して自分のところに引き戻そうか……それだけを考えていた。
「はぁ、はぁ……」
何時間か経った後に、音女はセレナから離れる。このままセレナをずっといじっていても良かったが、他の装者達のこともあったからだ。
様子を見ていたりしないといけないし、フィーネが唯一放って置かれている状態なので、軒並み様子を見ておきたいのだ。
「……ふ、ふふ…」
「つ、月読……さん…?」
「名前を気安く呼ばないで、私はあなたが嫌いだから。」
「っ!!」
事情は知っている。彼女が、何かのショックで記憶を失っていることはわかっていた。
だが、こうして面と言われるとどこかきついものを感じてならないのだ。精神的なダメージが、追撃のように打ち込まれる。ただ、知らないと言われるだけならばともかく、嫌いとまで言われたのだ。それも、旧知の中である人物にだ。
心優しいセレナにとっては、これ以上ない攻撃だろう。
「……処女が器用に守られてて……お姉様がこの処女を…?いや、そんなことはだめ、絶対に許さない……私以上に大切にされてるなんて、そんな、そんな……!」
そして、調は調で音女がセレナの処女を未だ奪っていないという事実が憎たらしかった。
今からでも奪ってやろうか?アナルの開発はかなり進んでいるが、未だ膣の方は手付かずである。つまり、今からでも無理やり膜を破れば痛い思いをさせることが出来るのだ。
そうすれば、セレナは大きく悲鳴をあげるだろう。それは、調の望むものである。
しかし、だ。一時的に望むものが満たされても、あとがどうなるか分からない。
「……気に入らないけど、膜を破れば私はお姉様に捨てられるかもしれない……体に残る様なあざや傷を作る訳にもいかない……」
頭がおかしくなるほど憎いのは当然なのだが、しかし冷静さを欠いていないことは間違いないのだ。
音女の為ならばなんでもするが、音女に嫌われるようなことは絶対にしないと決めているのだから。
「……ちっ、私が手を出せる状況じゃない…」
舌打ちをして、調はイライラしながら部屋を出ていく。音女に許可が出るまでは、手を出すことは禁じられているようなものなのだ。
許可を貰えたとしても、壊すのはなるべく禁止なこともあり、故意にやれば直ぐにバレてしまうだろう。
その事もあり、音女は切歌に八つ当たりをしに行くのであった。
「……なるほど。」
そして、その姿を見ていたものが1人だけいた。音女である。無論、部屋の外からウチを覗いていた訳ではなく、カメラから写っている映像を見ていただけなのだが。
「んー…あれだけ遺恨残ってるなら、調ちゃんにもしばらく付き合ってもらおうかなぁ…ま、メンタルケアは一応しておいてあげるかな。」
自分でも戦えるので最悪いなくても良いのだが、調の体つきは音女も気に入っている方なので、なるべく残しておきたいのだ。
調と似たような体格の少女が現れた場合天秤にかけるかもしれないが。
「……とりあえず、後でしてあげよっかな。」
音女が命令したことはなんでもこなして行く調。どれだけ恥ずかしい目に合おうが、音女から命令されたことだと考えれば、彼女は簡単に股を濡らすのだ。
今日はどんな無茶苦茶なプレイを頼んでやろうか……少しだけ考えつつ、モニターから目を離さずに置くのであった。
とあるビルの屋上。フィーネは一人思考に耽っていた。リディアンへの侵入経路を考えては、作戦の穴を見つけて頭の中のゴミ箱に捨てて、また考えれば穴を見つけてボツにして……をひたすらに繰り返していた。
100飛んで7つめがたった今ボツとなり、再び手詰まりとなっていた。最初の方は一つ目の案から2つ目の案を作成し追えるまでにかかった時間は5分だった。
しかし、思いつく度に段々と思考が長考化していき、今では一つの案を考えてからボツにするまでに半日以上要するようになっていた。
「……はぁっ!!はぁ、はぁ……くっ…」
自分に対してここまで疑心暗鬼になったのは、恐らく長く生きてきた人生の中で初めての経験だろう。
自分の長年培ってきた直感や、経験則が今は何の役にも立たなくなっているのだ。
頭の中にいるジーンノイズが、思考を支配しているのでは?と考えてしまいどんな作戦も実行に移せないでいた。
「……ちっ…」
頭を掻いて、フィーネはイライラした様子で再び作戦を考え始める。既に数えるのも億劫になってきているが、せめて番号でもつけていないと作戦が被ったり混ざったりする可能性があるのだ。
無論、フィーネはそれすらも疑ってかかってキリがない状態になっているのだが。
「1分前の、1秒前の自分がここまで信用出来ないとはな…!恨むぞ……!」
拳を握りしめながら、未だ顔の見えぬジーンノイズの作成者に対して恨みを込めるフィーネ。
果たして今自分は本当に自分でいられているのかすらも、把握出来ないのだ。
どれだけ考えても、筒抜けになってしまっていると考えてしまって結局意味を為していないという結論に達してしまう。
「……だが、どうしても向こうにいかなければならない。頭に爆弾を抱えたままで帰れる保証はどこにもないし、向こうにジーンノイズが侵食してしまった場合のことも考えておかなければならない。
今の時点でかなり強力になってしまっているジーンノイズに、並行世界という玩具を買い与える訳には行かんからな。」
頭を指で軽くつつきながら、再び思考に没頭するフィーネ。今この思考が読まれている可能性は高い確率で存在しているが、しかしそれでも考えなければならないのだ。
思考を複雑化させて、並列的に思考を同時に行い、それでいて冷静に全ての思考をまとめていく。
「……」
一つや二つ程度では間に合わない、10や20でも足りないかもしれない。本気で、しかしそれでも破綻していかないように30,40,50……段々と思考の並列していく数を増やしていく。
「A13…排除…A21、排除……A35━━━」
言葉にも出していきながら、新たに作戦を立てては古い作戦を落としていく。100通りを同時に思考して、ようやく足りていると言ったところだろうか。
そうして、何十もの時間を浪費していってようやくフィーネはゆっくりを目を開いた。
自身の記憶力と思考力には自信がある。それまでに使い切った体力を回復させるために、食料と休息を充分に取ろうとしていた。
「思いついた作戦は万を飛ばして3823…その内使えそうな作戦が221……全部進行する訳には行かないから、1/3が排除されて……だいたい73未満が同時に進行できる作戦……」
汗を垂らしながら、フィーネはその屋上から去っていく。この思考が、意味の無いものという可能性は高確率だろう。向こうもずっとこっちを見ている訳にも行かないだろうから、見られていない可能性もある。
だが、フィーネからしてみればどちらかは分からないのが現状である。実際に起きるまでは、どうなるか分からない。
「……かと言って、足踏みしてる訳にも行かない…」
大きくため息をついて、フィーネはゆっくりと歩みを進めていく。完全に体力を回復できたならば、あとはリディアンに乗り込むだけである。
乗り込むのは、自分一人だけだろう。キャロルは捕まり、他の者達に頼むとしても向こうには向こうの作戦があるだろう。
それ以上に、合わない方がいいのかもしれない。無論、こう考えているのは操られているからなのかもしれないが。
「……こんなところまで考えていては仕方ないな。ひとまず、準備を整えなければな。」
覚悟を新たに、フィーネは歩みを進めていく。もし仮に、自分が捕まるようなことがあれば……それは他の者達では到底太刀打ち出来ないということになるだろう。
だが、それを考えたところで負ける可能性を考慮して、遠慮してしまう可能性を増やしてしまうだけである。
嫌な考えを振り切ってから、フィーネは作戦の成功だけを信じて歩みを進めていくのであった。