「ぅ……ここ、は……視界が封じられて…」
エルフナインはどことも言えぬ場所で目を覚ました。無論、捕まったという自覚はあるのでリディアンのどこかに捕われているのだろうが、視界が真っ暗なことと微かに感じる布の感触と、締め付けるような感覚で、自分が目隠しをされているのだと理解した。
そして、自分の手足も柔らかい何かで縛られており、動かせないことを察した。
そして、ある程度の自分の状況把握を終えた頃に、ふとした疑問が湧いていた。縛られている感覚も、目隠しをされている感覚も確かにある。が、どうにもその感覚が変だと感じているのだ。
締め付けはそれほどではないのだが、その締め付けが妙にきついとも感じてしまう違和感。まるで、縛られているところからさらに縛られているような感覚を覚えてしまっているのだ。
「……ふん…!」
何とか逃げようと体を動かすが、当然のごとく拘束は外れない。まるでゴムのような、ゼリーのような不思議な触感のもので縛られている。
碌でもないもので縛られているのは確かなのだが、それを視界で確認できない。
色々試すが、やはりどうにも出来やしないと理解して、一旦エルフナインは腰を落ち着かせる。
どうしたものかとゆっくりと思考を動かそうとした瞬間、エルフナインの手に鋭い痛みが走る。
「っ…!い、今のは…?」
痛みで一瞬顔を顰めてしまうが、しかし今のは自分の身に起きた痛みではない……という事だけをエルフナインは理解していた。
だが、何故自分の体で起きたものでは無いとすぐさま理解出来たのかは、理解できない。何か、とんでもなく嫌なことが起こっているということだけはエルフナインは理解していたのであった。
「折角女のボディにしたんだ。たまにはこんなこともいいだろう……!」
エルフナインの居る部屋を、眺めている者がいた。それはキャロルだった。流れてくる映像を見ながら、自分が仕込んだ仕掛けにいつエルフナインが気づくかワクワクしているのだ。
2つの画面に映るエルフナインをそれぞれ眺めながら、含み笑いをするキャロル。その光景を、後ろから音女がじっと見つめていた。
今回キャロルが行っていることは、キャロルにしか出来ないことである。故に、その仕掛けが興味深いために今回は何も手だしはしていないのだ。
「……よ、よく思いついたね。」
「……ま、ママは私にもしたい…?」
「あ、うん。」
変な刷り込みをどこかで入れてしまったのか、キャロルは音女の事をママと言い始めるようになっていた。
しかし前に無理矢理に作り出された恋愛感情は残っているのか、頬を染めながらキャロルは尻を振っていた。
今は幼女体型にさせているが、成人体型にもなってもらうということは、既に確定事項である。
閑話休題。
「……ま、まぁ……色々実験してみたいし……頼もう、かな。」
「うん!分かった!!」
父親に対する愛が、全て恋愛感情と家族愛に置き換わったのだろう。今やキャロルは親である音女の言うことをなんでも聞く性奴隷的存在となっていた。
そして、そんなキャロルが音女のためにした行為。それは今現在エルフナインが置かれている状況と一緒だった。
「精神が同一人物である存在の、肉体の感覚共有。けど体格は私のように変わる特異的な存在じゃないと試す意味ないかな……」
幼女の姿であるエルフナインが写ったモニターの反対側。そのモニターには、ダインスレイブをまとった時と同じ、成人体型になったエルフナインの姿があった。
勿論、本来のエルフナインと全く同じ状況にしている上に、その体にも精神を入れているのだ。2人とも全く同じ反応を返してくれているらしいが、どうにも体のサイズが原因なのか全く同じ縛り方にしているせいで、大人のエルフナインの手に軽い打ち身ができていた。
「……あ、あれって…ど、どこまで共有してる、の?」
「五感全部……だと、壊れる可能性あるから触覚だけだよ。味覚は入れてもいいと思ったけど、まぁ意味が無いだろうし除外したの。
代わりに、痛みも気持ちいいのも全部流れ込むようにできてる。だから……あの二人でSEXさせちゃうのも…面白いと思うよ、ママ。」
「……痛みと快楽…」
やはり天才か、と言おうとしたが面倒臭いので止めた。今のキャロルに何を言ったところで、子供のようにはしゃぐだけである。
ふと、大小の体どちらもエルフナインという人格が備わっているのならば、逆のことも当然できると言えるだろう。
「…ね、ねぇ……き、記憶とかって……どの程度引き継げる、の?」
「うーん……私がやれる範囲内だから…そこまで細かくは記憶の操作できないかも。
けど、当人の持ってる記憶の量が少なかったら、比較的操作しやすいと思う。」
つまり、キャロル自身の記憶の量が少ない場合、自分のことを母親と認識しない…かつ、愛という感情も抱かない完全にまっさらの状態のキャロルを作ることだって可能ということなのだ。
それを、キャロル自身が作るというのが変な話なのだが。
「ふーん……」
ひとまず、キャロルのことは後回しにしておき、今はエルフナインのことだけに音女は思考を寄らせていくのであった。
エルフナインは、目を覚ましてから体をなんとか動かしていた。
その際に、体をうちつけてしまって少しだけ悶えていた。
「痛た……見えてないと、こうも大きい体が扱いづらいなんて…いや、僕が慣れてないだけだよね…」
何故ダインスレイブを纏ってもいないのに体が大きくなっているのか、彼女にはそれが全くわからないが…しかし大きくなっているのは向こうの趣味と言うやつだろう。
そして、裸に向かれている以上何をされるかは選択肢が狭まってきている。
「……ダインスレイブを纏う為とはいえ…わざわざ体を作り替える意味は、本当にあったのかはわからないけど……作り替えるなら、作り替えるでもっと、こう……」
自分の大人体型を思い出してため息をつくエルフナイン。精神は体に引っ張られやすいと言うが、今まで気にしていなかった女性らしさを無意識に気にしていることに気がついた。
キャロルはダウルダブラを纏う際は、スタイルのいい体つきになるのに対して、エルフナインは所謂スレンダーな体型になるのだ。
本来ならば気にしないはずなのだが、どうにも女性らしい体になってから気にするようになっているようだ。
「……まぁ、気にしてる暇なんて全く無いんだけれど。」
自分の体で、こうも悩むとは思ってもみなかった。エルフナインとしては、小さい体が役に立つことも足を引っ張ることもあると知っている。
だから、大きい体に憧れる……ということも特に無かったのだ。女性らしい体つきということも、憧れというものは一切抱いていなかった。
前の方がよかったのではないかと思っているが、後の祭りである。
「……それにしても、一体どこに捕われているのやら…」
地上であれば、逃げ出せないこともないが…ここがリディアンという建物の所謂三階部分に相当する高さ、またはそれ以上の高さの場合であれば逃げ出すことは不可能に近いだろう。
地下も然り。1階部分や2階部分ならば、飛び降りることが可能であるためになんとか逃げることは出来るだろう。
だが、先程も言ったような場所に監禁されている場合、逃げ出すためには階段を経由しなければならない。
「……最悪、飛び降りて死なないことを祈るか…最早死ぬ事を望むか……」
運試しに自殺願望、自分だけが苦しみから逃れるというのは、あまりにも周りの者達に失礼な行為である。
助け出せるまでは、死ぬ訳には行かないのだ。
「……けど、一体全体どうして目隠しなんか‥」
ふと、疑問の思ったことを口に出す。目を隠されていようがいまいが、逃げ出せないことも逃げ出すことにも、どちらでも変わりない。何故ならば、この拘束を逃れた場合目隠しは外されるのが明白だからだ。
つまり、はっきりいってしまえば意味の無いものなのだ。せいぜい、視覚を封じることによる感覚の強化程度だろうが……出すものとしては弱いものである。
「……向こうは、自分から人間を辞めるようなのが主犯格ですし…考えてみれば、まともな思考なんて期待するだけ無駄…かな……」
まともに思考しようとしたが、そもそも相手がまともな思考回路をしていない人物である。
そんな人物の思考なんて、いくら考えてもわからないのが当たり前である。すぐさま思考を切り替えて、これからのことにシフトしていく。
「……とは言っても、動けない見えない聞こえない……何をどうすればいいのやら……」
文字通りの暗中模索の状況なのだが、しかしどうすれば脱出できるか…という思考は止めない。
絶対に脱出して、みんなを助け出すというのが目的なのだ。諦める訳には行かない……そう、エルフナインは考えていた。
「うひゃう!?」
だが、そんな考えもつかの間。突如太ももに何やら柔らかいものが触れたのだ。
即座に、それが何かが偶然触れたわけでも嫌がらせでそういった類のものを付けられている……というわけじゃないことにエルフナインは思考が行き着いた。
そう、ジーンノイズだ。ジーンノイズの触手が、エルフナインの太ももを撫でたのだ。無論、自分を犯すことで繁殖するつもりなのだろう。
「くっ…ノイズの癖に生物のような真似事を…んぶっ!?」
エルフナインの口に、触手が入り込む。顎が外れるかもしれないと錯覚するほどの、大きな触手である。
だが、その粘液がエルフナインの正常な思考を奪っていく。
「ほふ、あふぇ……!」
痺れるような、しかし鮮明になっていくような。そんな不思議な感覚をエルフナインは味わい始める。
粘着質な水音を立てながら、その粘液が媚薬の類であることに気づいた時にはもう遅い。既にかなりの量を塗りこまれ、かつ体内に吸収してしまったエルフナインは、中毒症状と言っても過言ではないのだ。
「あふぇ……うぁ…」
乳首が痛いほどに勃起して、クリトリスも勃起する。全てが初めての快感なので、エルフナインの頭は困惑でいっぱいになっていた。
だが、それを不快に思うことは無いのだ。既に快楽という沼に浸かり始めているエルフナインは、戻ることが出来ないのだから。
そして、次第に彼女の秘所からは愛液と軽く潮が噴いていた。粘液だけで何度も達してしまっているのだ。
「お、ふぁ……!」
体を海老反りのようにしながら達し続けるエルフナイン。自分でも自分の身に何が起こってるのか…それを把握することも出来ないままに、絶頂に達しながら絶頂に達せられてしまう。
「ふー…!ふー……!」
そして、ついに秘所の方に触手が伸び始めていく。同時に、アナルの方にも触手が伸びてくるが、それにエルフナインが気づく様子はない。
いや、気づくほどの余裕すらももちあわせていないということになっているのだろう。
だが、ここまでの快楽を受けているエルフナインは気づくことは無い。もう1人の、小さい体になっているエルフナインにも、自分の身と同じ事が起こっているのだということを。