キャロルは目を覚ました。自分の体の確認、周囲の状況の確認、直前まで自分が何をしていたかの確認。
一通り行ったあとに、状況を整理する。
「…ダウルダブラはなし、しかし体の方は大人になっている時の俺と一緒だ。
周りは白い壁だけの部屋…目の前の壁には鏡、そして俺の体は見事に拘束されてしまっている。
錬金術を使いたいところだが、何故か使えない…そして何より、俺は直前まで何をしていたのか全く覚えていない。記憶操作でもされた…にしては、かなりお粗末だ。」
記憶操作をするならば、自分を拘束した相手にとって都合のいい記憶に書き換えるだろう。
しかし、それが行われているような感じはしないのだ。ただ、自分が捕まる直前のことしかに記憶に残っていない。それが妙に恐れを抱かせる。
「…なにより、記憶以上にこの体が異常だ。この体に止められている理由は━━━」
途中まで言いかけてから、キャロルは一つの可能性に行き着く。仮にも、キャロルの生まれは魔女裁判が行われているような時代だ、魔女裁判を行う際に、魔女と認定された女性がどのような扱いを受けたのか…その位は知っていた。
つまりは、自分の大人の状態の時の体が目的の誰かによってこの体のままにされている…と言ったところだろう。しかし、そうなると尚更記憶を消さないことに疑問を抱いてしまう。
「……いや、考えるだけ無駄か。元々の記憶があった方が、楽しめるという人物もいるんだろう。反吐が出るがな。」
他人の趣味趣向にとやかく言うつもりは無い。だが、その対象が自分に向けられることはかなり腹が立つ。
キャロルは舌打ちをしながら、なんとか体を揺すったりして脱出を図る……が、手足の拘束が解ける気配はない。
「……ん?」
突如耳に入ってくる機械音。その音を探ろうと目線を動かすキャロル。すると、天井の1部が開き、空調のような機械が現れる。
その空調に、一体なんの意味があるのかは未だキャロルは分からない。ただ出てきただけであり、それ以降動く気配を見せないのだ。
「……なんだ?何かがもう既に流されてきているのか?」
無味無臭の無色透明な気体。それが体に害を成すものであるならば、彼女の体に何らかの異変が起こってもおかしくはないだろう。
しかし、そんなことは一切なかった。5分待てど10分待てど、一向に体に異変は訪れない。
「なんだ…?本当にただ出てきただけなのか?段取りが悪いな…」
少しだけしかめっ面をするキャロル。しかし、そう言ってため息を吐いた直後に、まるでキャロルの言葉に怒ったかのように、いきなり激しい機械音が鳴り響き始める。
「ふん、慌てて起動でもしたか?既に程度が知れているというのに━━━」
嘲笑するキャロルだったが、空調からピンク色の気体が一気に溢れ出てきていた。
それを視認した瞬間に、キャロルは内心舌打ちをしていた。自分の体をヤク漬けにしようとしているのは明白だった。いつの時代も、性欲に踊らされている男の考えることは同じだと、そう考えていた。だが、このままの勢いで襲ってきた時が最後である。
かつて彼女が作ったオートスコアラーの1人であるガリィのように上手くは出来ないが、記憶を抜き取って自分の糧とする技術は彼女も持っている。それを使えば、相手を簡単に潰せるだろうとその時はそう考えていた。
だが、煙が充満してくるとその考えも認識を改めねばならなかった。
「ぐ、ぁ……!この匂い、頭がおかしくなりそう、で…」
自分の意志とは裏腹に、キャロルの股は愛液を垂らしていく。そして同時に目も虚ろになり、思考も性欲に染っていく。
余程気を強く持っておかねばならないと、キャロルは何とか耐えていた。そんな時に、この部屋に1人の人物が入ってくる。
「━━━やっぱり俺は俺だな。こういう時、絶対耐えると思っていたよ。」
「なっ、おまえ、は…!!」
「初めまして…では無いだろう?そうさ、俺はお前だよキャロル。」
キャロルの目の前に現れたのは、本来の姿である幼女のような背丈を持ったキャロルだった。
目の前にもう1人の自分がいることに、何とか思考を回してキャロルは答えを求めようとする。
厳格なのか、それとも自分の顔に似せただけの偽物なのか。クローンなのか。それが分かるほど、彼女の頭は理性的には動かない。
「貴様は、誰だ…!」
「今言ったじゃないか?お前は私、私はお前なんだよ。」
「何を言って……俺は、俺だ…キャロル・マールス・ディーンハイムは、俺だけなんだ……!」
「そうだな、たしかにお前はキャロル・マールス・ディーンハイムだ。けどな、お前が生み出したお前の体のスペア……あれも全部キャロル・マールス・ディーンハイムなんだぞ?」
「…?何を、言って……」
目の前にいる小さなキャロルの言っていることが、だんだんと理解が出来なくなっていく。
自分の思考力が落ちているのか、はたまた本当に何難な言葉を言っているのか。そのどちらかもしれないが、キャロルは自分の言葉に惑わされている状況となっていた。
「ふふ…お前には今までのお前の記憶がある。けど……この世界に来てからの記憶…そこがすっぽりと落ちているだろ?」
「っ!!」
その言葉で、直前まで何をしていたかを思い出したキャロル。そうだ、自分は突然現れた父親を守ろうとしてフィーネと戦ったのだ……と、ようやくここで理解したのだ。
だが、自分の残っている記憶ではこうなっているだけであり、おそらく現状はそれだけでは済んでいないのだろう。
「あの後…フィーネと戦ったあと……どうなったん、だ……」
「お前……いや、俺は呆気なく捕まってしまったんだ。けど安心してくれ、捕まったのはお前自身じゃなくて俺の方だ。
そして、俺は本当の記憶を取り戻したんだ。」
「本当の記憶、だと…?」
「俺は……
目の前にいる小さなキャロル。小さな自分が言っている言葉を、ゆっくりと噛み締めるように頭の中で反復させるキャロル。
そして、働かない頭でもわかるくらいに滑稽なその言葉に対して、つい吹き出して笑ってしまう。
「ぷっ……はは、あははははは!!ママ、ママときたか……ふざけるな!!俺が求めているのはパパが知りたかった事だ!!
ママなんて言う人物は既に知らん!!」
「大丈夫…そのために私が来たんだもの。貴方にもママのすばらしさをわかって貰えるように、動いてあげる。その為だけに私を作ったんだもの。」
そう言いながら、服を脱ぎつつ近づいてくる小さいキャロル。最後の言葉で、自分の存在がどう言った状態かようやくキャロルは理解した。
おそらく、自分は昔作ったホムンクルスとしてのスペアのボディを改造したものだろう。そこに、自分の記憶を注ぎ込むことで今この場にいる自分が作り出せたのだ。
つまり、自分は仮初の命と言っても過言ではないだろう。だが、その事がキャロルの心に少しだけ恐怖心を植え付ける。
何故ならば、自分のスペアの肉体に記憶を植え付けてさらに自我まで与える…という事を、キャロルはしなかったからだ。
無論、反逆する可能性があったからと言うのも理由だが、何よりそんなことをしてしまえば自分の目的が達成できなくなってしまうからだ。
錬金術を行使するために、使われる記憶もタダではないのだ。大量に自分をつくりあげてしまえば、圧倒的な戦力にはなるかもしれないが、直ぐに枯渇して全滅するのが目に見えている。
それを、1人だけとはいえ自我まで与えるという愚行を犯している自分に、恐怖を覚えていた。自分を作り上げる恐怖を忘れさせるほどに快楽に溺れた自分を見て、自分が相手している華雑音女という女性の恐ろしさを知った。
「ふふ……やっぱりおっぱい大きいよね私……」
「止め、ろぉ!!触るな!!」
マシュマロでも触るかのごとく、キャロルの胸を触る小さなキャロル。指が胸に沈んでいく様子を見て、小さなキャロルは好奇心旺盛な、子供の様にキラキラとした表情になっていた。
「そんなこと言っても…感じてるのはわかるんだ…よ!」
「あぎぃぃぃ!?」
薬によって勃っている乳首を、小さなキャロルがデコピンするかのごとく指で弾く。敏感になっている乳首は、それだけで絶頂に達しかけてしまう。それほどまでに強力に発情させられているのだ。
キャロル自身も、自分の体の異常性に危機感を一気に高ぶらせていた。このままでは壊される…と、本能的に理解した。
「やべ、やべっ━━━」
「誰が辞めるか…!」
まるで子供が大きな塊の粘土を掴むかのように、キャロルの胸を小さなキャロルは鷲掴みにして、引っ張った。当然キャロルの乳房はあらぬ形に変わっている。豊満というべき胸囲が、おもちゃのように弄ばれている。
「あぐ、い、だっ……!」
「痛い?いや、本当は気持ちいいんだろう?おれだってこうやって触ってるだけで…自分が同じようにされたと考えたら……考えるだけで、達してしまいそうなくらいだ。
お前という俺だって、今こうやってされて本当は気持ちがいいんだろう?素直になってみたらどうだ?」
「気持ちよく、なんてぇ…!」
「まぁ、素直じゃないのはあたりまえか。さすがに俺だし、ここまで簡単に堕ちてもらうと楽しみがなくなるしな。
ママにもっと褒めてもらいたいから…もっと苦戦してる風にはしたいところだ。」
そう言いながら、小さなキャロルは右へ左へ更には上下にキャロルの胸を動かしていく。
ぐにぐにと動かされる胸からの刺激に、キャロルは背筋が溶けるような感覚を味わっていた。その感覚は、簡単にキャロルの思考を快楽に陥れるほどのものだが、しかしここまで感じるのは間違いなく気体の影響だろう。それを目の前にいる小さなキャロルは全く影響を受けてないようにも見えるのだ。
「お、そろそろ気づいたか?俺だけが正常に動けてることに。」
「っ!?」
「まぁ、簡単に言えば…ワクチン、というか耐性をつけさせるために、敢えて予め大量に吸い込んでたんだよ。
それである程度効いてないように見えるってこと……言っとくけど、今の俺はもうあそこがびしょびしょに濡れてるからな…」
ここでようやく気づいたことだったが、小さなキャロルの顔は朱に染まっていて真っ赤になっていたのだ。
つまり、既に興奮状態にあったわけだ。それを踏まえて、小さなキャロルは自分と体を重ねているのだ。
「小さいからこそ…俺自身の体の柔差が確認できるなぁ…!」
甘える小さな子のように、しかしその攻め手は獲物を狙う狩人のように…小さなキャロルはキャロルを自分の毒牙にかけていく。
胸を揉み、乳首を弾き、もしくは舐めたり吸ったり。作られたばかり…という理由ではないが、陰毛の生えていない秘所を小さなキャロルは指を這わせて、即座に内側に指を入れ始める。
「んおぉ!?」
「格別だろ?こうやって嗅がされてる時に…指入れられると気持ちいいんだよ…!」
グチュグチュと鳴り響く水音。キャロルは、この状況が早く終わってくれと望むばっかりだったが、しかし現実はそう甘くはないとこれからみっちりと体に教えこまれるのであった。