ベイビーからアダルトへステップアップしました 作:右野向左衛門
いや正確に言うと、彼女が僕の背中に押しつけたのは身体全体ではない。上半身にある、女性特有のものだった。最初は軽く、そして二度目にはやや強く、彼女はそれを僕の背中に押しつけてきた。それは想像以上に暖かく、柔らかく、この上なくやさしい感触だった。彼女はご自慢のものを僕に押しつけながら、口から出る吐息は次第に荒く、そして激しくなっていった。
「なななな・・・・なっちゃん!?」
慌てて後ろを振り返ると、彼女の視線はどこか宙をさまよっているように感じた。だがすぐに正気を取り戻すと、視線をまっすぐ僕に向け、両手を僕の後ろにかけて・・・僕の唇を奪った。僕も負けずと彼女の背中に両手を回し、一度顔を離した後、改めて彼女の額に優しくキスをした。そして改めて視線を彼女に向け、彼女の唇に情熱を注ぎ込んだ・・・。
どのくらいの時間が過ぎたのだろうか。
彼女は私の目線をしっかり見つめて
「後の片付けは私がやるから、エーちゃんは先にシャワーを浴びていいよ」
といった。
なっちゃんにシャワールームの場所を聞いてそこに向かおうとすると、彼女は私の耳元で囁いた。
「ねえ、エーちゃん・・・・あとで、エーちゃんが泊まる部屋に来てもいいかな?確かめておきたいことがあるんだけどな・・・・・ダメ?」」
ずいぶん持って回った言い回しだな・・・・と思ったけど、僕は
「いいよ」
と即答し、用意された部屋に向かった。
シャワーを浴びてから、持参したパジャマに着替える。今日着用した下着は、コンドミニアムから持参した専用の袋に入れ、それをカバンの中にしまい込む。しばしベッドに横たわり、今日一日で起きたことを振り返っていた。
のんびりしている余裕はない。3日後は試合なのだ。そして明日は、ATP250のために新たに立ち上げた「チーム丸尾」メンバーとの打ち合わせがある。対戦相手の戦術と分析もやっておきたい。僕は上半身をあげ、カバンの中に入っている対戦相手のデーターと戦術が書いてあるノートを取り出し、ベットの上で分析をはじめた。
すると、誰かが部屋のドアをコンコンとノックする。家族はいないから、相手はなっちゃんだ。
「なっちゃん、入っていいよ」
と声をかけたが、彼女が部屋の中に入る気配がない。しばらくすると、彼女はさっきよりもやや強くドアをノックした。僕はなっちゃんと呼びかけたが、彼女からの返事はない。
どうしたのだろうと思い、僕は部屋のドアを開けた。
そこにはなっちゃんが頭をうつむき加減にして立っていた。
そして、その格好を見た僕はに驚いた。
・・・・厚手のバスタオルを素肌の上に巻き付けた姿で、彼女は僕の部屋の前に立っていたのである。
その瞬間、僕は全てを理解した。
玄関で出迎えたときに口から出た
「あとは心の準備とかね」
という言葉は、このことだったのかと。
彼女は、覚悟を決めて僕の部屋にやってきたのだ。
だったらその気持ちに応えないと、彼女に対してはあまりに失礼ではないか。
「なっちゃん、ちょっと待ってて。僕も準備するから」
彼女は静かに頷き、部屋のドアを閉めた。
心の中で「しまった!」と舌打ちする。
こういう事態になるとわかっていたのなら、バスルームからバスタオルを持ってくるのだったと後悔しても遅い。
ほぼ全裸状態のなっちゃんに
「今からバスタオルを取ってくるから待っていて」
といえるわけがない。そんなことを言ったら全てがぶち壊しなることくらい、鈍感な僕だってわかる。
「恋人」となった日から、いつかやってくることなのだと覚悟を決めた僕は、ゆっくりと息を吐き出した。
そしてベッドの上に広げていた資料をかたづけると、パジャマとパンツを脱いで彼女の見えないところにしまい、生まれたままの姿になった。
部屋の中からドアをノックする。
「なっちゃん、準備ができたよ」
静かにドアが開き、なっちゃんは僕が泊まっている部屋の中に入ってきた。
おそらく彼女は、ありのままの男性の姿を、生まれてはじめてみたのだろう。いつもよりも目を大きく見開いた。
僕はそんな彼女にかまわず自分の身体に抱き寄せ、
「愛している」
と耳元で囁くと、その唇にありったけの情熱を注いだ。
そして、僕はなっちゃんがまとっているバスタオルを外した。
バスタオルは、かすかに音を立てて彼女の足下に落ちた。
僕はしげしげと、なっちゃんの生まれたままの姿を見つめた。
そして驚いた。
普段テニスウェアで隠されているたなっちゃんのありのままの姿が、こんなにも肉感溢れる体つきだなんて。
このとき僕は、彼女の水着姿を思い出した。誰といったか、海かプールか記憶がごちゃ混ぜだが、その時は目の行き場に困った覚えがある。
だがいま僕が見ているなっちゃんのありのままの姿は、その時の印象とは全く異なっていた。
全身から色香が漂う「大人のオンナ」になったなっちゃんが、そこにはいた。
驚いたのは彼女も同じだったようで、彼女はその豊満な二つの丘を、自分の腕で隠した。
「なっちゃんの生まれたままの姿、初めて見たよ。こんなにも豊満な身体の持ち主だったんだね」
「エーちゃんもたくましいじゃん。充実したトレーニングをしていないと、ここまでの身体にならないよ」
そして僕は、なっちゃんの腕をやさしく掴み、ゆっくりと上半身から外した。丸く、柔らかく、暖かく、大きいそれは、透き通った肌と一体になっていた。
「なっちゃん」
と僕が呼びかけると、彼女は意を決して僕を見つめ、静かに
「抱いて」
といった。
僕はなっちゃんの手を引き、ベッドのある方向に向かった。
彼女は僕に促されるまま、ベッドの上に身体を横にした。
部屋の電気をつけたまま、僕はなっちゃんの身体をじっくりと観察した。
なっちゃんはベッドの上に横たわっても、彼女から出る息はまだ荒いままだった。
身体もブルブル震えているし、その表情もどこか不安げである。
このままひと思いに・・・と思ったけれど、ここは彼女の緊張がおさまるのを待つのが得策だと判断した。
額に、頬に、そして唇にやさしくキスをし、髪の毛をやさしく触る。
片手で髪の毛に触れながら、もう片方の手で彼女の身体を優しくまさぐる。
首筋、肩、二の腕、肘の下、前腕。
やや間を空けて、今度は身体の側部、お尻、太もも、足首にやさしく触れる。
髪の毛をなでていた手で背中を愛撫すると、彼女は恍惚に満ちた表情を浮かべた。僕の愛撫にあわせ、彼女も僕の身体を愛撫してくる。視線から放たれるオーラが、何とも色っぽい。
背中への愛撫を終えた手がなっちゃんの手を握ると、彼女も強く握り返してきた。
僕は心の中で
「愛されているんだ」
とひとりごちた。
やがて足首を愛撫していたほうの手が、男性にとって神聖な場所にたどり着く。その手は静かに、その神聖な場所を愛撫しはじめた。
そこは思っていた以上に豊かで、重く、暖かく、柔らかい場所だった。遊び慣れている男性だったら、彼女の表情をじっくりと伺い、何か話しかけながら女性を愛撫するに違いない。だが僕は生まれてこの方、年頃の女性の生まれたままの姿を見たことがない。話しかける事はおろか、表情を見ながら愛撫することは、僕にはとてもできない芸当だ。だがなっちゃんはそんな僕の愛撫を、何も言わず受け入れてくれている。