※この作品はR-18です。

Monster Survivor   作:てんぞー

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2年目 夏季 ランポス戦

 それが夢であると直ぐに気が付いた。

 

起きた時には完全になにも覚えていないからだ。

 

 だが目覚めた時、

 

「ふぁ―――ぁ……良く寝た。おら、俺の腹は枕じゃないんだぞ」

 

「ぶもー」

 

 驚くほどにすっきりしている。心が安らかで、頭がクリアになっている。まるで最高の質の睡眠をとれたかのような、不思議な気持ちだった。これが1か月に何度かある事だった。

 

「お前も俺の腹を勝手に枕にするな」

 

「みー」

 

 隙間風が入ってくるし、快適な布団は作れていないし、そんな睡眠の質を取れる事はあり得ないのだが、起きるとそれまでの疲れを全部取られたかのような、そんな心地よさが残った状態で目覚めるのだ。そのおかげで、不思議と全力を出せる。無論、何時もこういう訳じゃない。流石にハンターみたいに眠ったら完全回復なんて訳でもない。ただ、不思議と心のストレスまで全部剥がされたような安らぎだけが寝起きに残るのだ。それはここへ来てから続く、ちょっとした不思議だった。或いはこの世界に慣れてきた事で得た一つの変化だったのかもしれない。

 

 ただ、

 

「……」

 

 軽く頭に触れるが、そこには自分の毛以外は何もない。だけどそこには、少し前まで、撫でられていたような、そんな感触を感じていた。或いは夢の中で……と、思うのは少々、センチメンタルすぎるのかもしれない。でもそういう考え方は少しロマンがある。センチメンタルなのもたまには悪くない。何せ、不死と不滅の龍が存在する世界なんだ……たとえ、本当は存在しなかったとしても、人か竜の神様が見守ってくれている。そう思った方が遥かに夢があるからだ。

 

 だからツリーハウスの内部で、起き上がった。すっきりとした寝起きの中、人の腹を枕にしていたフェニーとウリ坊を軽く撫でてやる。そのまま、レンガを積み重ねて作った階段を使ってツリーハウスを降りて行き、朝日の輝きを全身で受け止める様に体を伸ばした。太陽の恵み、それを体で受け止める事で細胞の全てを活性化させるように元気を受け取り、大きく深呼吸をした。

 

 そうやって、肺の中から深呼吸をして空気を入れ替えた体は、完全に眠りから覚醒していた。良し、と呟く。

 

「今日はランポスを狩るのには絶好の日だ。沐浴してから備えよう」

 

 ランポスを狩猟するその日、朝は絶好のコンディションで始まった。

 

 

 

 

 入浴と沐浴、何が違うの? という話になると、入浴は普通に体を洗う、という行為だが沐浴とはもっと宗教的な意味を持った、儀式に近い行いである。ぶっちゃけた話、体を洗い、清潔にするという意味ではそこまで意味がある訳ではない。ただ彼の偉大な過去の神話の戦士達は、戦いに挑む前等に沐浴で身を清め、その上で戦勝を神々に祈ったりする事もあった。このモンスターハンターの世界に神々が存在するのかは解らない。存在してもいいんじゃないか、とロマンチストな自分は思っている。だからきっと、居るんじゃないかな、とは思う。

 

 そうでもなければこんな不思議な経験と出会い、誰にも説明できないから。

 

 神という存在をそこまで敬虔に信じている訳ではない。だが戦勝祈願、ゲン担ぎ。簡単であればやるだけの価値はあるのではないだろうか? 少なくとも、こういう儀式はモチベーションやメンタルに影響する事だ。

 

 こうする事で勝てる様になる!

 

 というのは、一種の自己暗示だ。ルーティーン化された、自己暗示の行いだ。

 

 解っていても、それをやるとやらないのでは、大きなパフォーマンスの差が出て来る。

 

 例えば日常的に朝に麦茶を飲む人がいる。別に、朝に麦茶を飲んだところで何かが変わる訳ではない。だけどそれが日常化してくると、それが当たり前になり、飲まない日が来ると、あぁ……飲めなかったから調子が悪いな、と思い、()()()調()()()()()()()()()()

 

 だからこれは意味のない行いではないと思う。ゲン担ぎ、神頼み、別に悪くない。最終的には全ては神ではなく自分の力が結末を作る、という事さえ理解していれば。故に身を清め、ケルビの皮で作ったインナーに着替え、そしてその上からポンチョとジーンズに着替え、靴を履く。

 

 装備も厳選する。今回は弓は無しだ。恐らく、ランポス相手には有効とは言えない武器だからだ。ランポスは小さく、動きが早い。その上でランゴスタの様な解りやすい弱点がある訳でもない。だから弓を使った所で回避されるのがオチだ。それに、これから先ここで生きて行く上で、小型や中型の竜種と争えるだけの実力は必要だ。つまりランポスと接近戦で勝利出来るだけの能力がなければ、この先無駄に死ぬだけだ。そういう意味でも今回は、普通に接近戦を仕掛けて勝利する必要があった。

 

 だから、武装はシンプルだ。

 

―――片手剣を持って行く。

 

 満足に振り続けられるか? そう聞かれたらNO、としか答えられない。両手で持って、真っ直ぐ振るう。それぐらいの事しか出来ないのが現状だ。だけど同時に、その先にステップアップするには、実戦で振るうという経験が何よりも必要だと思ったのだ。その為に丁寧に《大地の結晶》を使って研いできた。不思議なもので、研げば研ぐほど鋭さが増して行くのに、一向に刃自体がすり減る様な様子はなかった。まるで武器そのものが生きている様な感触だった。そしてそれも、蘇る事を望んでいる様に感じた。

 

 だから、ドスランポスの爪を投げナイフとして加工したものをベルトに装着した。これには麻痺毒を染み込ませてある為、切り付ければ時間はかかるかもしれないがランポスを麻痺らせる事も出来るだろう。投げナイフに思い切って加工したのは、近接武器として黒曜石のナイフがあるのと、将来的に片手剣をメインウェポンとして、そこから更に他の古代の武器へと換装して行く事を見越してだ。

 

 何時までも爪を武器に頼っていると、変な癖がつきそうでもある。そうなる前に、ステップアップを目指す必要がある。あの爪ナイフは軽すぎるのだ―――それに、ランポスを狩猟すれば、また材料は増える。その事を考えれば、ここである程度消費するのは悪くないだろう。そういう判断からここでナイフに加工、消費する事にした。

 

 振るえない場合、腕が疲れた場合を想定してサブウェポンに黒曜石のナイフと竜骨の槍を装備し、その上で戦闘用に小型爆薬、クラッカーを幾つか用意し、

 

 そして最近、漸く完成した閃光玉を持ち込む事にした。これは作るのにかなり苦労した。なぜなら《光蟲》の捕獲自体は難しくはないが、閃光玉は光蟲が絶命した時に発する閃光を利用したものなのだ。

 

 ぶっちゃけ、作り置きしようとすると勝手に死ぬ。

 

 勝手に光る。

 

 日常生活で唐突にムスカ大佐ごっこし始める事になる。それはそれで妙に楽しいのだ。やってるとエルペが集まって同じように転がり始めるから。ただ問題はそうやって勝手に絶命してしまうので、作り置きが出来ない為、光蟲を飼う必要があるという事実だった。これもまた難しい話なので、前日に捕獲し、それを木箱の中に保管するという形で対策をしたのだ。

 

 出来る事なら虫かごか、或いは虫を保存できる藪でも作ってみたいと思える事だった。セッチャクロアリとか、光蟲とか雷光虫とか、ここら辺は集めて繁殖、環境をキープできると狩猟生活が楽になりそうだが、知識がないから手が出せない所だった。

 

 そうやって、装備を整える事には完了した。

 

 森林南の川で沐浴を終え、装備を装着すれば、もはや足を止めている必要はない。拠点の家畜に大人しくして居ろよ、と、祈りながら南から滝の横をロープを使って降りて行く。ランポスの巣にほど近いこのエリアに今はランポスが居ない事を確認しつつ降り立った所で、ランポスから隠れる場所があるこの付近の岩の裏に隠れながら、まだランポスが居ない事を確認し、小走りで丘の方へと向かって移動して行く。

 

 ランポス達にも巡回ルートが存在している。効率的に獲物を見つける為のルートだ。それを理解していれば、どこでランポスとエンカウントできるのか、それが解ってくる。その中でも重要なのは、ランポスが選ぶ場所の多くは遮蔽物の少ない、見えやすい場所だ。集団で狩りを行う以上、遮蔽物があった方が面倒なのだろう、ランポスにとっては。だから上下の移動が小さい、平たんな場所を良く歩きまわっているのを目撃出来る。

 

 それを利用し、待ち伏せするのだ。滝付近でも巣の付近でもなく、移動するのは丘の方角だ。あそこは遮蔽物は少ないのだが、まだ比較的に茂みや木々が存在する場所でもあるので少なくとも隠れる場所はある。故にランポス達がまだ存在していないのを、時間帯と場所で確認しつつ隠れて進んで行き、丘へと出る。

 

 そしてそのまま、ランポスが出現するのを待つように姿を隠す。

 

 待っている間は案外緊張せず、暇なものだ。革紐を使って肩から吊るしてある片手剣を抑えつつ、グリップを何度も確かめる様に握り直しながら、ランポスの出現を待ち続ける。流石に、自分から探して飛び込むような蛮行はしたくはなかった。そこまでの自信はない。だけど、少なくともランポスと1:1で向き合った時、十分な成果を出す事が出来る、という自信が自分にあった。いや、慢心している訳ではない。

 

 必要以上な過小評価は無駄な消耗を強いる。だから客観的に自分の実力とレベルを測っているだけだ。最近は、必要以上に卑屈でいると逆にパフォーマンスが落ちる事を自覚してきた。

 

 出来る、やれる、俺は大丈夫。そう思わなければやっていられない、という部分もある。

 

 だからイメージする―――重ねてきた練習、その上で習得した動きを。自分の鍛錬の成果を。その中で繰り出すベストのイメージを。それを常に、どんな状態、どんな状況でも出し続ける己を。それが理想。コンディションがどんな状態であっても、自分が出せるベストを常に維持し続ける。体は疲れ、疲弊し、そして力は抜けて行くだろう。それでも精神力さえ尽きないのであれば、体は動かせる。ハンター程無茶苦茶に同じ動きをする訳ではない。

 

 ただ単純に、動きを乱さない。自分の動きを最適化して、維持する。それを守り続けるだけだ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

 潜み、茂みの中からランポスの姿を待ち続け凡そ、感覚的に二時間後―――ランポスの姿を目撃する。丘に入り込んだランポスは周りを確認する様に軽く両足で走りながら丘の中へと進んで行く。その姿を目撃し、真っ先に飛びつくような事はしない。

 

 アレは斥候で、囮だ。それは知っている。

 

 直ぐに手を出した所で、後から来るランポスが逃げるだけだ。だからあのランポスを直ぐに始末してはならない。いや、安全を考えればすぐに始末するのが一番いいのだろう。だがランポスの狩猟を行う上で、経験を積む上では、そればかりでは駄目だ。

 

 安全な手段を繰り返すだけでは、どこかで限界が来るのだ。

 

 故にランポスは狩猟しなくてはならない。自分にそう言い聞かせ、ランポスが丘の中を進んで行くのを、茂みの中に身を隠しつつ進んで行く。事前に体を清めているおかげで、匂いを潰せている。だから風上に立った所で、姿はバレない。問題なのは、自分が本当に気配を消せているのかどうかだ。そればかりは自分で理解する事は出来ない。だから極限まで呼吸を遅くし、その代わりに一回の呼吸を深くする。それで心臓の動きを抑え込みつつ、丘を見渡し、クリアリングするランポスの姿を見た。

 

 今の丘に、獲物になりそうな生物はいる。奥の方にアプトノスの群れがいるのだ。ランポスの視線は其方へと向けられており、アプトノスを狙おうとしているのが見える。それを確認したランポスが振り返りながら大きく口を開け、ぎゃぁぎゃぁ、と鳴き声を放った。ランポス達を呼び出す声だ。

 

「まだだ……まだ焦るなよ、俺……」

 

 ここで飛び出せば、あのランポスは殺せるかもしれないが、その後から合流してきたランポスに背中を取られるだけだ。ランポス達が固まった所で一気に相手をするのがベストだ。閃光玉、クラッカーはあくまでも保険の意味合いが強い。

 

 自分の肉体と武器で、どこまで貫き通せるか。それが今回は何よりも重要なのだ。

 

なぜならば―――是は、生きる為の戦いだからだ。

 

 ランポスが集まり出す。巣の方から丘へと出て来る数は全部で三匹。斥候を合わせて全部で四匹だ。不吉な数字に少しだけ、今日という日にケチが付くのを感じた。とはいえ、それを頭の中から押しやって、ランポス達が奥へと進もうと集まり、アプトノスの群れを目指す姿を見た。

 

 ここだ、と即座に判断する。

 

 ランポス達の意識がアプトノスへ向いた所、一気にその背後へと飛び出す。ランポスの群れの背後を取る様になるべく音を殺しつつ、紐で肩からぶら下げていた片手剣を両手で握る。それを肩に担ぐように背負いながら、全速力というよりは、一気に距離を稼ぐように瞬間的に前に体を押し出すよう、ステップを踏む。体を前に押し出し、落下する様に体を加速させながら前へ、前へと、音を殺して一気に飛び出す。武器を握る手は強すぎず、手を傷めない様に意識する。

 

 手で持つのではなく、肩で担ぎながら前へと押し出すのだ。

 

 腕の筋力ではなく、体全体を武器を振るう為の装置として活用する。それがこのサバイバル生活で学んだ、武器の扱い方だった。

 

 故にそのまま、飛び込む様に加速の一撃から、ランポスの首筋を見極める。野生の中で培う生存への直感、どこを斬れば殺せるのか。どの肉質であれば貫通できるか。どこを断てば一撃で殺せるのか。隙間を見極め、鱗と鱗の間の僅かな窪みに刃を振り下ろし、

 

 背後から、駆け抜ける様にランポスの首に刃が突き刺さった。振り下ろした刃がまるで豆腐を切り裂くような感触であっさりと首に吸い付き、そのまま、少しだけ、片手剣が軽くなるような感触を感じとりながら、ランポスに悲鳴を与える時間もなく、そのまま刃は反対側へと抜けた。その重量に体が軽く引っ張られる。抜けて行く刃をそのまま、抜けて行く感覚に任せ、前傾に倒れて行く体を、横へと力を加える事で遠心力へと変換し、

 

 そのまま、首のないランポスの体を別のランポスへと向かって蹴り飛ばした。

 

「ぎゃ―――」

 

 それが一匹に衝突し、動きを止めた。それを横目で確認しつつ、体を回転させながら刃をその勢いでプロペラの様に引き上げる。それを勢いを乗せて両手で掴み、振り返り始めたランポスの首の弱い点を見抜き、

 

 そのまま、一刀で首を断つ。

 

―――良し、()()()()だ……!

 

 綺麗に最初の流れを作る事が出来た。二匹目を殺した所でランポスの死体を蹴る事で反動を作り、ストッパーとして加速していた体の動きを止めながら、力を入れて片手剣を受け止め、片手で握って肩に乗せて構える。空いている片手で投げナイフを手に取り、何時でもランポスの妨害を出来る様に構える。その間に残されたランポスは斬殺されている仲間の姿を理解し、振り返りながら威嚇する様に吠える。

 

「はぁ、はぁ……吠えても無駄だぞ、ゲームじゃないんだからな……」

 

 ゲームであればランポスが吠えるたびに無限に出現するランポスの増援。だがこれはゲームではなく、リアルだ。どれだけ吠えた所で、距離のある仲間には届かない。既に死んでいるランポスには届かない。それでも、伏兵が隠れているのかもしれない。武器とナイフを構えたまま、横へと少しずつ体を動かして行き、ランポスを直線に並べる様に、先ほどまで自分の背後があった方向が見える様に移動する。その方角からランポスが出てくるような事はなかった。

 

 一応の、警戒だ。場合によっては伏兵が居たりするから、警戒するに越した事はない。気配察知みたいな芸当が出来る訳じゃないのだから。どこまでも自分は凡夫なのだから、可能な限り思考し、努力し、対策し、そして慢心せずに機能の100%を発揮するしかないのだ。

 

「ふぅー……ふぅー……はぁー……良し、来い……来い!!」

 

 深呼吸で心を平静に保ちながら、一瞬たりともランポスから視線を反らさずに相対し―――ランポスが飛び掛かってくるのを見た。それを迎撃する様にナイフを顔面目掛けて投げれば、顔面にナイフが衝突したランポスが動きを乱した。それに合わせ、ランポスに()()()()()()()

 

「げぎゃっ!」

 

 爪に触れない様に気を付けながらランポスを蹴り飛ばせば、それが()()()()()()()()()()()()()()()()に衝突した。油断も隙もない。最初のランポスを相手に回避や攻撃を行っていれば、その瞬間に遅れて飛び掛かってくるランポスの攻撃をまともに食らう事になっていた。群れで狩猟するのだからコンビネーションは磨かれているとはいえ、ワンパンで即死出来る程度の耐久力しかない。確実に先を見て、回避する様に動かなくてはならない。

 

 故に目を潰し、蹴りを叩き込み、ランポスを押し出した。その影響でランポスがランポスと衝突し、巻き込んで動きが停止する。それに合わせて片手剣を範囲外から投げる様に振り落とし、一撃でランポスの首を断つ。そしてそのまま、武器を片手剣から槍へと持ち替え、ランポスがじたばたと起き上がろうとしている間に、その爪や牙の範囲外から槍を突き刺した。

 

 一度、二度、そして三度。確実に殺す為に首、そして胸を連続で突き刺し、くし刺しにしたまま大地から血が流れるのを確認し、死亡をチェックした。首を断てば確定で死亡を確認できるだけに、槍の様に死亡確認が難しい武器を使うのは、少し躊躇する。それに槍で殺すには何度か突く必要がある。その度に獲物の体に穴が開く。つまり、素材としての価値が下がるのだ。それはちょっと、困る。

 

「でも、まぁ、奇襲で四匹同時に始末できるだけの実力があるのを確かめられたのは良かったな。これなら少しは自信になる」

 

 自分がどれだけ戦えるのか、自分はどこまで実力を発揮する事が出来るのか。今回、奇襲でランポスを狩った結果、それが良く見えて来る結果となった。また同時に、ランポスの時間差攻撃の様な動きを見る限り、安心するにはまだまだ早い。確実に数を削ぎ落したからの、この結果だ。

 

 同じことを三匹、四匹同時でやられたら地獄を見ていただろう。

 

 まだ足りない、まだ飢える必要がある。満足してはならない。更に上を目指す。もっと強く、もっと()()なくてはならない。世界が、地球が、人の常識というものを捨て、()()()()()()()()と思い込み、自分を突き動かすのだ。

 

 その果ての進化を目指さなくてはならない。

 

「……良し、まずはこのランポスを持ち帰る必要があるな。その後で更にランポスを狩猟して、具合と経験を積もう」

 

 少なくとも、それが最善であり、自分が出来る今の限界だ。この体たらくではどう足掻いてもドスランポスなんて不可能だろう。だからその前に、ランポスを狩猟出来るだけ狩猟して、対ドスランポスを想定した訓練を重ねる必要がある。その為にも、

 

 一つの成果を背負いながら―――今日も人のいない大地を一人で生きる。




 重要なのはそれを信仰的に信じられるか否かである。最終的にその凶器が力となる故に。という訳でランポスの狩猟を完了。肉体もちょくちょく強くなりつつ、何よりもメンタルが漸くサバイバーと呼べるのにふさわしいものになりつつある。

 まぁ、それはともあれ。勝利だよ!
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