ホルクという翼竜がいる。
モンスターハンターフロンティア、つまりは魔境出身の生物である。こいつはハンターから餌を貰う事で属性や状態異常を取得し、ハンターのオトモとして一緒にクエストに出てくれる、鷹に似た小型竜なのだ。こいつは野生だと狂暴らしいのだが、義理堅い性格をしており、人間が助けたり育てたりするような事があれば、ずっと付き従ってくれるパートナーとなってくれる生き物なのだ。
ラッキーな事に秋季、それが墜落してきた。秋季になってこいつが墜落してきた時に軽く空を観察する様に監視していたら、ホルクの群れが南へと―――山の向こう側から飛んで行くのが見えた。つまりこいつらも冬の寒さを乗り越える為に南へと逃れる生物の一つだったのだ。今までそれを見かけなかったのは純粋に山の向こう側へと自分が移動した事がなかったからだろう。
無論、下心があったが、このホルクという翼竜を世話する事にした。魔境出身の人間としては、その有用性が解っていたからだ。魔境出身のホルクというパートナーは非常に優秀であり、育成すれば適切なタイミングで爆弾を設置して爆撃、麻痺や毒攻撃等を行ってくれる優秀なパートナーとして活躍してくれる。モンスターハンターワールドと呼ばれるシリーズの後継にも、似たような翼竜が存在し、ハンターを運んでくれる。ホルクも似たような事ができ、ホルクに捕まって移動する事でエリア移動を行う事が出来るのだ。
滅茶苦茶便利じゃん。
超欲しいじゃん。
こりゃあ助けるしかないっしょ。
そういう下心があったが……秋季を丸々消費する事によって、何とかホルクの治療とリハビリを行う事が出来た。これによって拠点に新しくホルクが住み着き、益々家畜たちと合わさって騒がしい場所となってしまった。だがホルクの介護はそれだけの価値がある物だというのは、魔境時代から良く理解している事だった。ただ最近、困り事なのはそれだけではなく、
どうやら、ウリ坊の方も成長期に入ったらしい。最近、どんどん体が大きくなっている。少し前までは胸の中に抱いてあげられる大きさだったのが、最近では膝丈以上の大きさになり始め、毛皮の色も茶色ではなくもっと濃い黒い色をし始めていた。どうやら食生活に影響されて、ホルクの様に属性が変わってきているらしい。どうやらブルファンゴもホルク同様、与える餌によって属性や姿が変わってくるらしい。もっと大きく、そして強く育ってくれれば外付けアイテムボックスとして一緒に狩猟に連れて行ってもいいかもしれない。
何せ、魔境ではプーギーがアイテムを運んで来てくれるのだ。
ウリ坊にも同じ芸を仕込むのは悪くない。
そんな事で、秋季の成果は悪くなかった。ウリ坊がウリ坊Gに成長しつつあることと、拠点に新しくホルクが住み着き始めた。今はまだホルクの調教を進める事で少し大変だが、もう少し賢く育てる事が出来れば、魔境環境のハンターたちの様にホルクに様々な事をさせる事が出来るかもしれない。今はまだ感性が野生のままであるが故にホルクを利用できないのは惜しいものの、将来的には新たな力となると信じて調教と育成を開始する。
その合間、この冬季にやるべき事を進める事にした。
ランポスを狩猟した事で入手したランポスの皮、これは今まで使っていた毛皮やアプトノスの皮と比べれば遥かに優秀……というよりは強力な素材であるのは確かだった。だが問題はこれを加工する技術が存在せず、鎧を作る事が自分には不可能である為、縫ったり張り付ける程度の運用しか出来ない事だ。
だから大きく運用する事はこの際、諦めて、小分けにして使う事にした。そのプロトタイプとして作ったのが、ランポスの皮を使ったレザーグローブだった。最近、トレーニングの影響か手が荒れる事が多く、他の生物の皮を使ったグローブはちょっとグリップが利きづらいものだった為、丁度良い素材だった。生身の手で掴む以上に剣が掴みやすくなった、良品だと個人的には満足している。
それを装備し、ケルビの皮を切って、加工し、縫い直し、そして作ったケルビのローブは、この一年で磨いた裁縫技術の一つの大きな成果で、見た目だけなら猟師に見えて来る、という所までは何とか、取り繕う事が出来るようになって来た。
そこに片手剣、自作ピッケル、黒曜石のナイフを装着する。ロープの先にはフックを装着し、更に腰にはランプをセットして光蟲を入れておく。持ち帰りの事を考えて少し大きめのバッグを肩からぶら下げる事で、探索用スタイルの完成だった。
冬季、この季節は今まで探り切れなかった遺跡の探索を行おうと前々から決めていた。岩壁まで移動し見下ろせば、秋季までは非常に警戒していたランポス達の姿も一切見なくなる。予想通り、安全な場所に変わっていた。その景色によしよし、と心の中で呟きながら素早くロープを使って下へと降りて行き、自分の警戒センサーに竜が接近してこない事を直感しつつ、素早く丘を抜け、そのまま山へと入り神殿遺跡へと移動する。
ここまで移動した所で、漸く移動の速度を緩める事が出来る。
「ふぅー……さて、三階から上を探索させて貰おうか」
ここまで来てしまえば、場所の関係でリオレウスもリオレイアも入ってこれないから安心できる。息を吐きながら神殿遺跡の中へと入り込んで行く。少し時間は空くが、それでもここには定期的に通っている―――無論、ある程度掃除する為にだ。折角ツタを排除して光が入る様にしたのに、また暗くなってしまっては意味ないからだ。そのおかげで一階から三階までは比較的に風通しが良くなっている。
ただ、少しずつ自分を鍛え、直観や生存本能と呼べるものが磨き上げられてゆく度に、この神殿遺跡の中へと踏み込むと、神聖さと同時に感じるものがある。
「
恐怖だ。隠しようのない恐怖を感じるのだ。何か、得体のしれない物がまだまだこの奥には眠っている。それが強く感じられるのだ。方角としてはこの神殿遺跡の地下の方だろうか……本能が、其方へと近寄るな、と警告しているのが解る。其方には絶対に行ってはならないと、そう感じている。だから下へと向かう階段は、今年に入ってからは中々、進めなかった。
クイーンランゴスタやランポスを狩猟出来たおかげだろうか、少しずつ……少しずつ、世界に馴染んでいる。
「ま、今日は上を目指すから無視だ、無視」
触らぬ神に祟りなし、とは言ったものだ。触れなければいい。そう思いながら更に遺跡の事を知るために、そして何か、使える物がないかを探す為に遺跡の中の探索を始める。既に歩きなれた黒曜石のフロアを歩き、一階から三階まで階段で登って移動する。そして上がって来た三階、
ここからが問題だった。
三階の床は崩壊しているのだ。三階に上がった所、そこからは二階の床までが見える。高さは7メートル程。落下した所で受け身を取れば痛い程度で済む高さだが……床が黒曜石で出来ている事を考えると、落ちたくはない高さでもある。まぁ、つまり、ここを突破しなければならない。崩壊が酷く、穴あきチーズの様に崩壊している三階のフロアをどうにか突破しないと四階へとたどり着く事が出来ないのだから。
「さぁて、っと……やってみますか」
重量をある程度背負っての登攀はちゃんと練習してきた。後は自分の根性がどこまで通じるか、だ。ランポス皮のグローブも用意してきたから、少しぐらいは手が汗ばんだとしても問題はない。
「ふぅ……と!」
息を吐き、気合を入れて近くの壁の窪みに手をかけた。そこに感じる感触が確かである事を感じつつ―――壁を掴みながら、ぶら下がる様に壁を伝って移動し始める。そういうデザインだからか、壁に窪みがそこそこ存在するのが救いだった。
「よしよーし、行けるぞぉー……」
完全に足を乗せる物がない状態で、最初の10メートル近い足の無い、崩壊した三階の壁を伝って移動する。途中で扉があるものの、ぶら下がったままの状態で開く事が出来る程、超人的でもない。それに握力にも限度があるから、さっさと渡り切ってしまいたい。だから惜しいが、三階の扉はスルーを決定する。第一、この破壊の様子ではまともに中が残っているとは思えない。
まぁ、それに関しては四階も一緒だろうとは思うが。
壁を伝って反対側の足場へと移動した所で、軽く指を休める様に握りの開け閉めを繰り返す。そのまま、ドライフルーツをバッグの中から取り出して口の中へと放り込み、簡易的なエネルギー補給をする。軽く握力が回復したのを確認してから、未知の領域に慎重に踏み込んで行く。
「床の感触はしっかりしてるから経年劣化で壊れてるって訳じゃねぇな……寧ろ恐ろしい程に硬いししっかりしてる。なんで砕けてるんだって思えるレベルで……」
不思議だ。そう呟きながら進んで行くと、やはり床が破壊されている。掴めそうな壁を探すが、ゴリっと壁が抉られており、どうやら壁を利用するのは難しそうだ。上へと視線を向ければ、上の床も破壊されているのが見える。……少し前の方か、と確認し、これなら問題ないな、と判断する。
判断し、ロープを取り出した。先端には鍵爪のようなフックが装着されている。ランポスの爪を使って作った物だ。それを先端に、軽くネンチャク草をくっ付け、引っかかるだけではなくくっつく様にする。だが余り量は多くしない。回収する時に面倒だからだ。それで準備が出来たら、
フックを投げた。
それが前方、頭上の穴、その縁に引っかかる。感触的に引っかかっているのを確認してから助走をつけ、前方へと向かって軽く勢いをつけてから跳躍―――ロープを使って体を大きく揺らし、反対側までスイングしてからフックを大きくたわませ、引っかかりから外しながら床の上に受け身を取る様に転がって着地する。
「ふぅ、良し。帰り道は素直に穴を降りるとするか」
このまま上に登ってもいいのだが、ある程度フロアを探索したいのも事実だった。上へとサクッと移動した結果、何かを見損ねたとなると結構大変だ、特にこんな場所なのだから。というか探索しててRPGのキャラの気持ちが解ってくる。プレイヤーの、神の視点だと目の前だけではなく曲がり角とかの景色が見えて来る。
だけどこうやって探索していると、どこが崩れるとか、この先に何があるのとか、そういうのが全く見えないのだ。なるべくルートを守って移動するのが安全だ。態々無用のリスクを取る必要はない。
だから普通にアスレチックで予習し、鍛えて来た技術で体を動かし、奥へと進んで行く。四階へと繋がる階段は半壊していたが、それをフックで引っ掛けながら登って上へと移動した。出来たら梯子を作って設置したほうが二階から三階、四階への移動は楽になるのかもしれない、と覚えておくが、
「人間同士で潰しあったのか……?」
ここに見えるのはそうとしか思えない破壊の痕跡だった。少なくともこの
だけど考えて欲しい。
30cmのテオテスカトルがスーパーノヴァを連射して来る姿を。
狩猟出来るのだろうかアレ。いや、ゲーム的には判定あるけど動く核兵器みたいなものだろ。というかこっそりメゼポルタにそんな生き物が侵入したら壊滅しそうで恐ろしい。だがヤッパリ、個人的に一番怖いのはゴア・マガラだ。
狂竜症。
あのウィルス……というよりはゴア・マガラが生み出す自分の生殖細胞による感染汚染は、感染した生物を発狂させながら狂暴化させる力を持っている。対策もなしにアレを受けた場合、リアルバイオハザードが始まる。しかもアレに感染した場合、死後、肉体がゴア・マガラに転生するらしい。
改めて悪夢の様な龍だと思う。
「いや、だけどあり得るのか? 狂竜症によるパンデミックとか」
寧ろ古龍信仰とそれ以外の宗教戦争によって殺し合った……とか考えた方が納得できる。何せ、外敵よりも身内で殺し合いを続けるのが人間の素晴らしく愚かしい所なのだから。まぁ、証拠が出てこない限りは何も判断できないし……この劣化では、恐らくまともな証拠も出てこないだろう。
まぁ、それは目的ではないからいいのだ。
重要なのは素材、加工品、そして
「鍛冶場があれば最高なんだけどな……」
あの拠点では、自分の力では絶対に作成する事の出来ない施設ナンバーワン、鍛冶場である。金属を作成する事が出来ないのだ。無論、鉱石を金属にするという技術もない。鉄だけを見れば、割とたくさん屑鉄があるのだ、錆びてはいるが。これを鍛冶場へと持ち込めば、溶かして新しくし、その形を整えるぐらいなら……まぁ……たぶん、できる。
農業系アイドルっぽい農家にも出来てたし。
人間、やればできる。
「とはいえたぶん外れだな、これ。たぶん聖地への道とかそういう感じだな」
上のフロアへと移動すれば移動する程、段々装飾が更に細かいものに、そして飾り付けが豪華になってきているのが解る。どうやら上の方が祭儀用の意味合いを持つエリアだったらしい。となる上の方はあまり、自分のサバイバル生活には関係のない領域だろうか、これは?
「いや、待て―――これ
風を感じる。外から入り込んでくる風の感触だ。どうやら外に通じているらしいが……現在五階、外に出るよりも、今見える奥へと進む事の方が重要だった。何やら、先に広間の様な空間が見えるのだ。或いはここが、どういう場所であるのかを理解する為のヒントになるのかもしれない……そういう判断からそとにでることはなく、そのまま奥へと向かって進んで行く。
どうやらホール……ではなく、祭儀場の様な所らしい。
広く開かれた広間はかつての栄光を示すかのように装飾が朽ちる事無く残されていた。
「貨幣制度導入してくれないかなぁ、ここらへん……」
切実にそう思う。これを売りに出せば一体どれぐらいの値段が付くのだろうか……それだけでしばらくは豪遊できそうだと思う。まぁ、商売できる相手が存在しないこの環境では無価値に等しいが。そう考え、祭儀場を探索する。どうやら壁や床に物語が彫りこめれているらしく、それによって断片的にだが情報が伝わってくる。
まず最初に見えるのはこの山を中心とした一帯の地図だった。
東に森林、南に高地と荒れ地、まだ向かった事のない更に西にはどうやら、沼があるらしい。そしてこの山の更に北側には……どうやら、海が近くなってくるらしい。ほほう、と呟く。となると先ほどの通路の先は、山の反対側へと通じる道だったのだろうか? アレを抜けて海の方へ……塩が手に入る可能性が出て来た事実にちょっとわくわくを隠せない。
だが地図以外に気になるのは、掘り込まれた龍を屠る人の姿の絵の多さだった。
「人間信仰……いや、人族至上主義、って所か。ドラウェポ作ってた時代だしなぁー……」
滅びた古代文明は設定でしか存在しないが、あの時代に生み出された兵器の数々は現代のモンスターハンター世界に継承されている。例えば封龍シリーズがその一つだ。極限まで高められた対龍性能の武器シリーズはもはや、説明不要だ。龍属性武器は大抵の古龍相手にはいい感じに突き刺さる他、自分が此方へとトリップ、だろうか? される前に出て来た新シリーズでは龍の力そのものを抑え込む武器まで出現していた。
絶対に龍を殺すという殺意を感じさせる武具ばかりがこの時代をベースに出土する。そもそも古代文明が滅んだ理由も古龍と今は呼ばれている龍種との戦争が原因だという話だった筈だ。それを考えると竜を排斥し、人間を至上と見る信仰が生み出された所で何ら不思議はないだろう。
とはいえ、ジエン・モーランやダラ・アマデュラ等の超大型龍が突進してくるだけで人類絶滅するだろアレ……とは毎回思う事だ。アレに勝てるハンターはやっぱ人類卒業しているし、アレが本気で敵対に回れば当然の様に文明崩壊するよな、とも思う。
「握ってるのは封龍剣やエピタフプレートとかか……やっぱ殺龍技術は高かったんだろうなぁ」
その一部を此方で利用できないだろうか? 生活面での向上に利用したいなぁ……と思っていると、地図に描かれている中で、一か所だけ、物凄く違う感じに描かれているものがあった。森林の西、その西にある樹海の向こう側、その草原の更に向こう側―――火山だった。
その火山は物凄い程に禍々しく描かれており、そこに描かれた古龍、だろうか? は宝石まで使って色彩を与えられていた。だが色彩を与える事でその絵はまるで邪悪さを伝える様な気持ち悪さを見せていた。これ、CoCだったら間違いなくSANチェック入る奴だなぁ、と妙に納得しつつ、そのモンスターハンター世界特有のクッソ似てない絵を見て、特徴を確認する。
「えーと……黒でそれぞれの色を包んだ、嘴みたいな顔の龍か」
赤、青、黄色などの属性に該当する色が揃えられており、この絵だけまるで血を吸ったかのように所々、赤黒く上塗りされている……何があったかは知らないのに、怨嗟だけは感じる。この存在に対する強い憎しみと殺意で塗りたくられた赤黒さが見えた。そのビジュアルを観察し、腕を組みながら考える。
「どーっかでこの姿の見覚えあるんだよなぁー」
なんだっけなぁ、と天井を見上げながら呟く。
「あーと、アルバトリオン……じゃねぇな。あいつの骨格じゃないし。というかドス骨格じゃねぇな。えーと……えーと……そうだ、この形はミラ骨格だ」
モンスターハンターシリーズの一部龍は骨格で種別を判断できる。クシャルダオラを始めとしたドス古龍と呼べるものが存在する他、ミラボレアスを始めとした同一種の骨格等もある。この絵の龍はミラ系統の骨格をしている。それを思い出してどれだっけなぁ、と呟く。
「えーと、無印でもルーツでもラースでもねぇな。というかこのリアル環境であいつら魔法使うんだろうか……絶対に見たくねぇぞ……」
でも魔境環境のミラボレアスはワープパンチとかをぶっ放す事が出来るので、それを考えたら時空転移ぐらいは出来るのかもしれない? まぁ、でも様々な属性を内包した龍なんてミラ骨格で存在するのは、魔境ではいなかった筈だ。
「あ、いや、いたわ」
いたいた、と思い出す。ポータブルシリーズでも、DSシリーズでも、
中華産モンスターハンターで、MHOと呼ばれるシリーズに出現するラスボス的な龍が確かミラ骨格で様々な属性を内包するという化け物だった筈だ。属性エネルギーを吸収し、その上でカウンター爆破でリオレウスを蒸発させるという化け物的な能力を保有した龍。データ的にはそこまで強敵ではないのだが、設定だけを見ると属性吸収無効化カウンターとかいう究極的に龍を殺しに来ている存在だ。
確か名前は、
「荒厄龍メフィストフェレス……だっけ?」
悪魔の名前を冠した龍だった筈だ。それを口にした瞬間、胸に苦しみを覚える。
「かっ」
凄まじいまでの威圧感。見られている。そんな感覚を感じ取った。心臓を掴まれた様な感触に、久しく忘れていた事を思い出す。
「かっ、ひゅ、ひゅ―――」
必死に酸素を求めるも、心臓が動きを止めたような息苦しさの中、体から力が抜けて行く。膝から崩れ落ちながらかすみ始める視界の中で、体から力が抜けて行く。薄くなって行く意識の中で、
あぁ……そうか、これで漸く頑張らなくていいのか……。
そんな傍観の様な思いの中に苦しみを受け入れて、自分から力を手放して行く。これで死ねるのなら、もう生きる為の苦しい、辛い努力も必死に生きようとする事もしなくていいのだ……なんて、甘美なのだろうか。
その思考を最後に、掘り込まれた悪魔の絵の上に重なる様に倒れ込み―――完全に意識を手放した。
お前、名前を呼んじゃいけないとかおじぎ様龍種かよ。
という訳で新しく住み着くのはホルク、F環境でハンターを運んだり戦闘支援したりしてくれる賢い子(育てれば)。なおこの子、ちのーしすー足りないとハンター巻き込んで爆撃するので調教は実際大事……大事……。おじぎ龍は中華MHO出身だよ。