※この作品はR-18です。

Monster Survivor   作:てんぞー

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4年目 春季

「めんどくせぇ奴だなぁ……!」

 

 全身が砂色、ゲリョスとイャンクックを混ぜ込んだが、しかし全く別の姿をしている鳥竜を相手にしている。その姿を知っている生物に例えるのなら、コカトリス、という言葉が正しいのだろう。

 

 それはあの《悪魔》の気配がする、赤黒いオーラを纏っていた。

 

その口が開いたと思ったら、帯電している砂を吐き出してきた。それを回避するのはいい―――だが数秒後、回避する前の場所が時間差で爆発するのを音で認識し、槍を両手で握りながらも冷や汗を流した。

 

 握っている槍は必死に大地の結晶で錆び落としを行った影響で、本来の輝きを取り戻している。それは槍というには不可思議なフォルムをしており、左右に長く伸びた菱形をしている。その中央はぽっかりと開いており、そこに持ち手が存在する。ファンタジーな星のゲームであればダブルセイバー、とでも表現すべき形状の武器だった。それを両手で握り、今はなるべく力を込めない様に、動きに合わせて半分引っ張るような形で走り、砂雷鳥―――Chramine、直訳するならクラマインとでも呼ぶべき鳥竜種と相対している。

 

 走る砂浜には足跡が刻まれながらも、戦闘の気配を察して近くの砂の中からダイミョウザザミが出現する。その姿を見てニヤリ、と笑みを零す。

 

「助かった―――!」

 

 丁度良い障害物だ、と迷う事無くクラマインに背を向けて、ダイミョウザザミへと向かう。

 

「浸食活性―――」

 

 口にしつつ狂竜ウィルスを体内で活性化させ、ハンターに並ぶ身体能力を呼び起こす。それを利用して一歩目でダイミョウザザミのハサミを踏み、二歩目でモノブロスの頭蓋骨を踏み、そして三歩目でその角を蹴って一気に体をダイミョウザザミの背後へ、海へと向かって跳躍する。体が砂浜の上を転がるが、それを一切気にする事もなく体勢を整えながら両足で滑る様に立ち上がり、頭上に両手で持ち上げた菱形の両刃槍を掲げ、軽く回転させながら体を捻る。

 

 直後、ダイミョウザザミの前面が感電しながら爆発し、眼が千切れて飛び散るのが見えた。その姿を押しのける様に飛び出してくるクラマインの姿に、二重に遠心力を乗せた両刃槍を、

 

 迷う事無く投擲した。

 

 勢いよく投擲されたそれが回転しながらクラマインの首の下を抜けて行き、胴体に殴り込む様に突き刺さった。位置的には心臓を貫いているだろう。だがそれに関係なく、苦しそうな表情を憎しみと殺意で染め上げたクラマインが首元の袋を揺らす。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

「心臓潰されたのならきっちり死んでくれよ」

 

 体を横へと飛ばしてロールしながら浸食を解除し、腰に装着していた片手剣を引き抜く。最初は回避と逃亡、誘導に専念しなければいけないレベルの速度だったが、心臓が潰れた影響でその動きが活性なしでも動けるレベルまで落ちている。これは心臓と一緒に肺を潰せたか? と判断しながら、口からゲロの様な色に染まった緑色に帯電する砂を吐こうとするクラマインの口元へと向かって開いている手で小さい爆薬を結び付けたナイフを投擲する。

 

 吐き出される前のクラマインの口に滑り込み、吐き出される前に口の中で爆破が発生する。その衝撃でクラマインの首が、大きく跳ね上がる。

 

 その瞬間に飛び込み、

 

 片手剣を振るってその首の反対側まで刃を通した。

 

 

 

 

 春季。

 

 《箱庭》の環境は地獄めいていた。中型が中型を喰い、生き残った中型を大型が喰らう。その中で争いに負けた大型を中型が喰らい、食物連鎖が成立していた。それなりの数の中型、大型種が死んでいる筈だった。なのにどこからか補充されているのか、或いはこの大陸の中型、大型種が少しずつこの大地に集結しているのか、殺しても死んでも食っても数が減る様な事はなかった。或いは数が減るその反動に合わせて爆発的な繁殖が発生しているのかもしれない。どちらにしろ、この《箱庭》と命名した地域は、モンスターパンデミック状態だった。

 

 この世の地獄か! と言いたい所だが、本当にやばいのは《守護者》が始末している。時折、めんどくさそうに食い千切っている《偏食》イビルジョーや、集団で乗り込んできたネルスキュラの群れを前にホームランダービーを開催し始めたアオアシラ師匠が活躍する姿が見えるので、どうやらこの箱庭の中心部とも呼べる、森林周辺のエリアは平和だった。樹海、草原、丘、山、沼地と火山に最も近い一部のエリアは常に《守護者》によって守護され、連中が徘徊している。

 

 火山に居る《悪魔》から遠ざける様に。

 

 生と死の狭間で目撃した当時の記録を見た限り、製造されたのはプロトタイプ・マガラと、ドゥレムディラだけだったように思える。だとしたら自然の中であの悪魔に対する悪意や危険性を理解したのだろうか? だとしても、言葉を通じ合う事が出来ない以上、それを確かめる事は出来ない。重要なのは本当に大事な場所に限っては連中が守護している為、俺でさえ踏み込む事が出来ないという事実にある。

 

 だからこの環境はまるで箱庭だと思った。

 

 管理された環境。

 

 それぞれミニチュアに切り分けられたエリア。

 

 そこに途切れる事無く出現するモンスター。

 

 まるで様々な生態系をテストする為の場所。

 

 だからこそ、この場所を《箱庭》と呼ぶ事にしたのだ。箱庭クラフトゲーを思い出させる環境をしているから。ぶっちゃけ、スポーン場所設定してない? と言いたくなるようなレベルで中型は死んで、大型も食われている。少し前までは遠くまで餌の確保のために飛んでいた辿異リオレウスとリオレイアの夫婦も、最近ではそれなりに空で見かけるようになっていた。それだけ、今の環境ではモンスターが溢れかえっている状態だ、それが殺し合い、食い合い、そして繁殖を何度も何度も繰り返しているのがこの春季だった。殺しても殺しても新しく産んでいる。だから数が全く減る気配もない。まるでココだけ時間と環境が狂っているかのようだった。

 

 そしてその為に、

 

 連日、自分も狩猟に駆り出されていた。なるべく狂竜ウィルスを活用しない様に竜を殺す鍛錬、とでも言うべきか。砂浜に関しては美味しいザザミソが取れる都合と塩を確保するという都合で良く訪れる為、出現する中型は積極的に狩っていた。丘に出現する中型もなるべく自分で狩猟している。

 

 それでも数日に一度、竜が出現する。

 

 とてもじゃないが体が持たない。このままのペースで狩猟に出ていたら直ぐに狂竜症で完全死亡してしまう。そうなる前に、目的を果たす必要があった。即ち霊峰の登頂だった。そこで眠り姫が待ち受けているのは確かだった。あの解放の日以来、今度は霊峰の方から見られている様な視線を感じ始めたので、それはまず間違いのない事だった。

 

 更にプライバシーの概念が消えた。とはいえ、笑える事ではなかった。

 

少しずつ頑張れば、少しずつ追いつめられる未来が明確にこの時点で見えてきていたのが事実だった。

 

 世の中、頑張れば頑張るほど好転すると考えている人は多い。

 

 だが実際の所、頑張って頑張ってやっと維持しているという事の方が多い。というより何かを積み上げる努力よりも、それを崩す努力の方が遥かに楽であり、簡単でもある。それ故に積み上げるという行為はそれなりに苦労と労力を必要とする。なにせ、この環境は今、大量の中型と大型種で溢れているから、それを狩れば食料には困らない部分もあるだろう。

 

 だけど果たしてそれが続くのだろうか?

 

 生物、つまり命には限度がある。つまり寿命である。だが同時に生物の中には限界、限度、そしてストップポイントがある。種の繁栄を行おうとすればその極限の部分で停止する。王と呼べる個体が生まれればそこで種が完成して終わる、そういうケースが存在する。ミラボレアスを筆頭とする上位の古龍はそういう存在だ。生物として完成されてしまったが故に繁殖を行わない。その必要がない。繁殖をする必要がない程に完成され、生きているだけで更に成長できるという生物だ。或いは成長も進化も必要がないぐらい、生物として完成されている。

 

 蟲毒の中での急速な繁殖と成長。この環境でそんな事を繰り返せば極限が極限を喰い、歴戦がそれを喰らい、そしてその経験をフィードバックした子が生まれる。そしてそれを反映した子が獰猛化した個体に食われ、血肉に情報が刻まれ、次の世代へと伝わる。それが極限まで短いサイクルで繰り返され始めているのが今のこの環境だった。

 

 今はオーバーフローとでも表現できる数の中型、大型が徘徊している。大量の竜に囲まれたこの状況がヤバく見えるだろうが、個人的には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から、それが恐ろしく感じる。

 

 次に来るのは緩やかな全体的な生息数の低下だ。極限の中で生き残った個体が選別され、そしてその後から一気に数が減る。つまりは蟲毒の中で生き残った個体が完成され、その種族における頂点、天賦、王と呼べる個体が完成される。

 

 そうすることによって同族は死滅し、究極の個体が生み出される。それが蟲毒というシステムだ。この生態系は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。強くなくては生きて行けない。そして生きて行くには強くなる必要がある。だが生き残れば、必然的に強くなってしまう。

 

 この環境は今、そういう風に変化していた。

 

 そして遠い未来、更に悲惨な事になる。この大地と引き換えに怪物が生み出されるだろう。そしてそれが恐らく―――《悪魔》に捧げる贄なのだろうとも、確信していた。

 

 その前に眠り姫と会わなくてはならない。完全に人間がどうこう出来る範疇を超えていた。この大陸の外へ、人の助けを求めなくてはならなかった。誰か、この異常事態に対して冷静に動き、狩猟する事で乱痴気騒ぎを終わらせられる人間が必要だった。

 

 つまり、ハンターが必要だった。ハンターに連絡する必要があった。ハンターを見つけ出す必要があった―――どうにかして、この場所を、この環境を、この状況を誰かに、戦える者に伝える必要があった。

 

 それにはまず、ここから脱出する方法が必要だった。ホルクでは無理だ。人の住んでいる場所がどれだけ遠いのかが解らないからだ。少なくとも、このモンスターパンデミックでハンターが一切出現しない辺り、恐らく、この《箱庭》の存在する大陸にはハンターが居ないんだろうなぁ、と思わせる。となると、長距離移動する必要になる。その場合、その移動を運ぶ事が出来るのは、

 

 眠り姫だけだ。

 

 彼女に俺を、ハンターのいる領域まで運んでもらうしか、この地獄から抜け出す方法はない。

 

 だからこの春季―――あの霊峰を登る覚悟を決めた。

 

 その為の下準備として、まずは遺跡の道を軽く整備した。木の板を切り出して作って、それをセッチャクロアリ等を使って崩れた所に設置し、ウリ坊が移動しやすいように道を作った。その後で登山に向けて、色々と道具を作成した。最近では大型や中型の死体を発見するのは珍しくない為、道具を作成する為の素材には溢れていた。

 

 鋭いナルガの刃はそれこそ岩に突き刺さるだけの鋭さがあった。これを小さな鎌の形状で竜骨と組み合わせる事で、登山用のザイルや小型ピッケルを作り出した。ツタの葉とネンチャク草を使ったロープを今までは使用していたが、最近ではムーファとエルペの間の子から取れた毛を使ったロープを作成する事にも成功した。これが恐ろしく頑丈で、これを利用したロープをザイルやピッケルと組み合わせる事で、急斜面を安全に登る事を目的とした補助具を作る事にした。

 

 沼地の方でゲリョスの死体を発見した。綺麗に頭だけを食い千切って即死させている姿はイビルジョーの仕業であると一瞬で理解させられるが、大量のゴム質の肌をそれを通して取得する事が出来た。

 

 それを利用して、インナーを作成した。革を使ったインナーからゴム質のインナーを作成し、同時に靴を作成する為の材料も揃ったので、少しだけ不格好なゴムブーツを作成する事にした。底の部分には竜骨を使いつつ、ナルガの刃の様な毛をスパイク代わりにし、ゲリョスの皮をクッションに差し込み、その上に毛皮を敷き、そしてゴムで覆ってセッチャクロアリでくっ付ける。

 

 何度も失敗し時間をかけてしまったが、それでもスパイクブーツを完成させる事が出来た。これによって雪山で滑って転ぶ、という事故を減らす事にする。

 

 ボディスーツ型インナーの完成に合わせ、装備を色々と見直す事にした。体が一気に動かしやすくなった事を含め、装備更新の時期だった。とはいえ、使っていたジーンズを材料に、というより型代わりにナルガの皮でズボンを作り、そして余った素材でナルガのポンチョを作る。かなりの軽装に見えるが、今までの装備と比べたら段違いの強度を保有しており、自分の力で荒々しくナイフを突き刺そうとすれば、ポンチョを貫通出来ないという驚異の事実が発覚する。

 

 とはいえ、衝撃を受け止めてくれるという訳ではない。

 

 服を貫通出来なかったとしても、凄まじい速度で衝撃を受ければ、それが内臓に突き刺さって体内で破裂し、簡単に死ねるであろうという事実は見えていた。安心も油断も出来る要素はない。

 

 そうやって装備を完成させた所で、最終的な道具を作る事にした。ベルトに装着するそれは、鞘だ。今までは片手剣を紐で括って吊るす様に持ち歩いていたが、いい加減鞘が欲しかったので、皮を使って、刃をぶら下げるような形の鞘を作った。

 

 それに合わせ、肩から斜めがけにする様に装着する鞘を作成し、そこに両手剣を納められる様にした。

 

 この数年間鍛え、そして積み上げて来た鍛錬は片手剣と両手剣を同時に振るう事は無理でも、一緒に装備して歩く事ぐらいであれば一切なんの問題もなく行える程度には成長させていた。

 

 それに合わせ、ウリ坊の防具を軽く更新し、大剣と両刃槍をそれぞれ片側に装着できるようにした。これ、クッソ重いので大丈夫か? と最初は疑問に思ったが、最近ではダイミョウザザミやクラマインさえも重量を感じさせる事無く引きずってきたウリ坊なだけに、一切の問題なく装備を両方共装着し、運ぶ事が出来た。

 

 そうやって、

 

 霊峰へと繋がる神殿から雪山への遠征の準備が完了した。

 

 

 

 

「爆薬、ナイフ、閃光玉、携帯食料、回復薬、ホットドリンク、チェック。解毒薬に鬼人薬、硬化薬もオッケー……ホルクは拠点に一人で戻れるから気にする必要はないし、ウリ坊の分の餌はウリ坊に持たせてるから……ザイル、ロープもチェックだな。うっし、行くか」

 

 ハンターが狩猟に持ち込む上で使える道具を可能な限り所有し、持ち込んだ。その為、何時もよりはベルトが少しだけ重く感じる。それでも雪山という場所を目指す以上、その先に霊峰を目指す以上はこれが最低限の装備だと思った。フードを新しく追加したポンチョのそれを被りながら神殿の出口近くにある貯蔵庫として利用している部屋から出て、神殿の外へと出る。そこではウリ坊とホルクが持っていた。

 

 二匹の頭を軽く抱きしめてから撫でてから、軽い跳躍でウリ坊の背中に乗り込み、海岸へと通じる道とは別の、上へと通じる道を進んで行く。

 

 長い、雪山へと続く登山道だ。

 

 そこにはどこか、人の力によって切り開かれた、整えられた形跡が見えた。古代文明、その頃にどうやら雪山へと向かっていた時があったのかもしれない。イメージ的にはシナト山の禁足地を思い出させる。深い山の中に存在する、踏み入れてはならない、しかし整えられた環境。

 

 そういう感じがするのだ。

 

 とはいえ、古代から一切の手入れが入っていない影響か、登り始めてからしばらく、段々と足場が雪に覆われ始める程に寒さを感じられる様になってきた。数分前までは完全に春の陽気だった筈なのに、一定の高度に達した瞬間、一気に気温が冷え込んだ。ここら辺はやはり、箱庭感が強いというのを改めて感じさせる。とはいえ、そこでウリ坊の足を止めさせることはなく、進ませて行く。

 

「流石に寒いな……準備してきて良かった」

 

 ベルトからホットドリンクの入った水筒のつもりで作った木筒を取り出し、その中の液体を喉の中に流し込む。今までは一切、何をしようとも全く体に影響を及ぼす事がなかったこの世界由来の薬ではあったが、狂竜ウィルスの侵食に伴う人体改造の影響で、僅かながらそれが効果を持つようになっていた。故にホットドリンクを飲むと、まず喉の中にピリ、っとした感触を感じ、喉を過ぎた所で腹の中からじんわりと広がる様な熱を感じられるのだ。

 

 特別体が凄く快適になる、という訳ではないし、まだまだ、寒さを感じる。

 

 それでも何もしないよりはマシ、と言える効果だった。

 

「それにしてもマズったな……夏に来るべきだったか、これ?」

 

 一気に冷え込む気温の中、ウリ坊に霊峰を目指す道を歩かせながら小さく呟いた。既に春季が始まり、麓の方では完全に暖かさを感じられる季節になっていた。だというのに、この雪山ではまるで、その気配が存在していなかった。ここだけ冬という季節を切り取ったかのような寒さであり、到底春だとは思えない状態だった。この寒さの中を進んで行くのは、少し厳しいのではないか? と思ってしまう様な寒さであり、インナーを内側に着込んでいる癖に、まだ寒さを感じられるのだ。

 

 上へと行けば、もっと冷え込むだろうと予想が出来た。

 

 だからウリ坊の背の上で、進むか、引くかを考える。

 

 安全面を考慮したら間違いなく引くべきなのだろう―――だがここまで来て、一切の成果もないというのは少々惜しい。惜しい、というよりは完全な無駄骨になってしまう。何の成果もあげていない状態で、戻るのは物資と時間の浪費でしかない。

 

 そう考えるとここで下がる事は少し難しい問題だった。

 

 最低でも、ここに生息するモンスターを把握しなきゃ帰れない。

 

 そう思った直後、

 

 ―――雪山に獣の遠吠えが響く。

 

「……噂をすれば、って奴だな?」

 

 雪山に響くような遠吠えに、ウリ坊の背から降りながら腰から片手剣を抜く。そして開いた手で投擲ナイフを手にしながらゆっくりと、見晴らしの良い雪山の広場まで出る。そこでゆっくりと足を進めながら、遠吠えが響く雪山の中、何時襲われても良い様に辺りを警戒しながら視線を巡らせれば、

 

 背後、雪が吹き飛んだ。

 

「シッ―――!」

 

 迷う事無く回避の動作を作りながら片手剣を繰り出す。その動きで背後の雪の中から飛び出す様に出現した白い姿の首を飛び込みに合わせてきり払い、落とした。雪の中に赤いシミを作りながら目撃するのは、白い毛皮の獣の死体だった。

 

「ブランゴか、って事は……!」

 

 再び、遠吠えが聞こえた。音源の方に視線を向ければ、数十メートル先の岩場の上に立つ、赤黒いオーラを纏った巨大化したブランゴの様な姿―――ドドブランゴの姿を目撃した。空気を震わせるような咆哮を放てば雪山が軽く鳴動し、それに合わせ雪の中からブランゴが大量に出現し始める。

 

「ぐもっ」

 

「ききっ」

 

「どうやら誘い込まれたみたいだな……?」

 

 片手剣とナイフを何時でも放てるようにしつつ、ウリ坊を背にする様に周囲を囲むブランゴ、そして此方から視線を外さないドドブランゴを常に意識する。やれやれ、と呟く。まさか探索一回目で罠の中に飛び込む事になるとは思いもしなかった。

 

 とはいえ、

 

「さぁ―――生存競争を始めよう」

 

 呟き、ネガティブな思考を全てカットし、心を殺意で満たした。効率的に殺害する為の手段を頭の中でプランニングし、全神経に精神力を注ぐ。あらゆる挙動を直感と知識と経験から導き出して対応する様に脳を動かし、確実な殺害を行う為の準備を刹那以下の時間で完了させる。

 

 相手がオーラであろうと極限であろうと金冠や若い個体であろうとなかろうと、関係ない。

 

 生物である以上、首を落とせば殺せる。

 

 だから最速、最大の一撃を首に叩き込んで関係なく昇天させる事だけを考える。そこまで思考し、出現する大量のブランゴと悠々と降りて来るドドブランゴの姿を目撃し、軽く息を白く染めながら吐いた。

 

 どうやら、この雪山は一筋縄ではいかないようだった。




 フルウェポンウリ坊。もうウリ坊ってサイズでも年齢でもないけど。

 この生活4年目で蟲毒が形成された事によって、異常繁殖と異常成長が繰り返された結果、生まれた時から剛種だったり、生まれた時から得意個体の特徴を持った状態で生まれたりするのが出現し始める。本来は長い年月をかけて得る筈の変化や変異が生まれた時点で見られる様な環境が始まる。まさに蟲毒。食い合って生まれて来たのが適応する為に進化した状態で生まれて来る。世代交代が何倍にも加速する。

 ただその結果、大量の食い残しや竜素材が転がるようになったのが救いだろうか。探せば鱗とか牙とか爪とか、良く見つかるようになった。

 それhあそれとして、ただふつーにMHシリーズのモンスを出すだけでは他所でも出来るので、MHOから積極的に輸入するスタイル。
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