死ぬ。
このまま眠り続けて死ぬ。
冬に入って最初に感じたことがそれだった。
何時ものツリーハウス、毛皮を重ねて作ったベッド、その上から毛皮を被って暖かくして寝ていた。だが朝起きた時に途中で毛皮を蹴ってしまったのか、それが原因で毛皮が大きくズレていた。それで体が外気に晒され―――凍死しかけていた。体が動かない。寒さで体が固まって、まるで動かない。うおおお、と雄たけびを上げながら体を動かそうとして、漸く体が動き始める。
寝相の悪さは死因に繋がる。新しすぎる発見だった。
冬季に入ると一気に温度が下がり、秋季がまだまだ優しかったという事を知らされるレベルで冷え込んでくる。秋季の間にケルビやアプトノスを大量に狩猟し、ついでにブルファンゴも狩猟したおかげで毛皮は大量に獲得できた。クモの巣を糸替わりにするというのにも成功し、なんとか、ギリギリの所で冬の生活を踏ん張っている、という形になった。正直、毛皮集めに失敗していれば死んでいただろう、と思っている。だから冬の間は不格好な毛皮のマントが標準装備となっていた。というよりも、大きな毛皮なので頭を通す為のスリットを作って被る、ポンチョの様な形が一番近いのかもしれない。この毛皮マントのおかげで、体を暖かく保つ事が出来た。
次は服の作成を行うところだったが、技術力が余りにも足りず、今のところは作成できる未来が見えない。
とはいえ、冬季だ。
ついに冬がやって来た。
気温が一気に冷え込んだ大森林からは、虫の気配が完全に消え去った。紅葉を終えた木々は葉を無くし、そこに実っていた果実の類も姿を消した。実りと命が消え去る極寒の季節がやって来たのだ。覚悟してはいたが、予想をはるかに超える厳しさに溢れていた。
野菜と果物が採れなくなった。正確には今まで頼っていた野菜と果物、だが。どうやら冬になると普通に採れなくなるらしい。まぁ、だがこれは正直予想していた。そういう事もあって事前に採取できるだけ採取し、集め、溜め込んだ。ある程度は腐るから早めに食べなくてはならないだろうが。同時にそれを見越して干し肉もたくさん作った。山になる程集めたが、それで冬を乗り切れるかどうかは、正直怪しい所だった。
そして草食竜達がどこかへと去った、というのも一つの問題だった。
どうやらアプトノスやケルビはより暖かい地域か、或いは食べられる草のある場所へと移動してしまったらしい。まだ雪が降ってはいないが、彼らの大移動は不安を感じさせるものだった。この先、もっと環境が悪化するのではないか……? と思わせるのだ。とはいえ、ここから出て行ける訳でもないのだ。このツリーハウスを超える拠点が存在しないのだ。故にここで何とかやって行くしかない。
ともあれ、今日も朝を生きて迎える事が出来た。その事に感謝する。神や見えもしない概念ではなく、自分の悪運と、健康な体に産んでくれた両親に感謝をするのだ。貴方達のおかげで今日もなんとか生きています、と。
それが終わったら《薬草》と《アオキノコ》を磨り潰して混ぜた液体と《ケルビの角》を砕いて粉末にしたものを口の中に放り込んで飲み込む。レシピ的には《回復薬》というモンスターハンターおなじみのアイテムに、ケルビの角を使った薬効を高めたオリジナルのアレンジだ。とはいえ、今まで回復薬の様な物体で傷が癒える事も、疲れが取れる事もなかった。
だが病気の予防のためには迷信でもいいから、何か、免疫が付きそうな事をしたかった。風邪薬が手に入らない状況で風邪だけは引きたくなかったのだ。その為にはこういう事だってやる。
生きる為には手段を選べないのだ。
「さて、今日も偵察に出るか……今日も居なければこれで確定しても良い頃だろうしな」
朝食と予防を終わらせた所で、探索に出る為の準備に入る。格好は日本からの服装の上に毛皮のマントを装着し、ベルトに爪やクラッカーを装着する。それから腰に装着するのは余ったアプトノスの皮で作った筒だ。
これが割とふにゃふにゃなのだが、ある程度の物であれば中に入れる事が出来る。一応、そこには木を差し込んで、とがったものを入れても大丈夫なようにしてある。そう、これは―――矢筒なのだ。
壁に立てかけてある新しい武装、《弓》を手に取る。
これは竜骨を削って作った弓だ。
秋季、アプトノスの狩猟に成功した。その結果、竜骨という原始的ではあるが、ハンターの装備にさえ利用されている素材が手に入ったのだ。特に秋季のぎりぎり、子アプトノスではなく親アプトノスを一頭ずつであれば狩れるようになったのが美味しかった。こいつらは肉が多く、その場で焼くと非常に美味しく食べられるのだ。ケルビ肉のまずさは何だったんだよ! というレベルでこいつら、美味しいのだ。
ともあれ、そんな親アプトノスから剥ぎ取れる竜骨はそれなりに大きく、ランポスの爪を使えば少しずつ削り、それを弓の形に整える事が出来たのだ。とはいえ、かなりの神経と時間を消費した上、ランポスの爪を一つ、駄目にしてしまったのが辛い。
だがそれと引き換えに、竜骨の弓が一つ、そして竜骨を削って作った竜骨の矢が数本出来た。
ただこれは問題として、数メートル程度の距離じゃないとまともに飛ばないという点があった。これは純粋に俺の筋力不足であり、道具が悪いという点もある。まともに射る事で突き刺さる距離は目算、3、4メートル程度だ。それ以上になると矢が大きく逸れてしまう。練習する必要があるのは事実だが、圧倒的にリーチの短かったランポスの爪の代わりに使える武装が増えるのは、たとえ数メートル程度の差であろうと、狩猟に関する大きな進歩だった。
何よりも、これを使えば態々ブルファンゴの突進を避けてから突き刺す、という事をしなくていいのだ。
回避する前に突き刺して、そこから回避してまた射る。つまり攻撃回転数を一気に加速させる事が出来るのだ。体力が成人男性並みしかなく、ハンターの様な極限状態での長期戦が出来ない自分にとっては、これは非常に重要な事だった。
何よりもクラッカーを投擲して目を潰し、それで混乱している間に弓を射れば、そのまま近づかずに一方的に殺せるという事実も非常に素晴らしい。結果、ランポスの爪を潰してしまったが、矢そのものを突き刺して利用する事も出来る為、非常に有用な装備だった。
これからはランポスの爪と並び、これがメインウェポンとなるだろう。
課題は弓の腕前を上げる事と、もっと良い弓を作る事だろう。
弦の代わりにしているクモの巣も何個も集めたのをくっ付けて、束ねては細くして利用している。これで恐ろしい程の強度が出て来るのだから、この世界の素材は本当にファンタジーに突っ込んでいる。
まぁ、それはともあれ、片腕に弓を通し、矢を全部で6本、矢筒の中に収め、ベルトの中に最後のランポスの爪を収納した所で出かける準備は完了する。
そのまま、一気にツリーハウスの外に出て、ツタを伝って下へと向かって行く。一番下には落下事故を想定して一応、毛皮や木の葉を使ったクッションを敷いてあるのだが、これが今の所、必要になった事はない。一応安全策として敷いてあるだけなのだが、この毛皮は回収して寝るときに使った方がよいのかもしれない。
そんな事を考えつつ降りた所で息を吐き出す。
立派に白く染まる吐息は、冬の寒さを物語るものだ。指を服のポケットに突っ込みたいなぁ、と思いながら、両腕には袖がない服装である為、ケルビの皮を巻いてある。これで幾分かマシになっている。今度、真面目にグローブかなんかが欲しいけど流石に細かいのは作るの無理だよなぁ、と思いつつ、歩きなれた森林の中を歩き進んで行く。
向かう先は夏季も秋季にも行けなかった場所だ。
即ち東エリア、岩壁。
その直下がランポスの巣となっている場所である。
東エリアは岩壁となっており、東エリアの向こう側とはそうやって分け隔てられている。おそらくは大きく迂回すればもっと安全に降りられる場所があるのだろうが、その場合どこの縄張りに突入したもんか解ったもんじゃないし、花畑にある湖か、或いは川を渡った向こう側へと行く必要がある。地味に川は300メートル以上の距離が対岸まで存在するから無理だし、湖も湖で、中央の方は底が見えない。ガノトトスの住処に繋がっていたら俺、死ぬ。
そういう訳でルートはこの岩壁を降りる所しかない。
そして岩壁の下、その荒れ地にはランポスの巣が広がっている。その向こう側へと進めば丘が見えるのだが、今まではこのランポスの巣が原因で、丘へと進む事が出来なかった。
「―――やっぱランポスがいねぇな」
岩壁の上からランポスの巣を見下ろしながら、ランポスの姿どころか気配もないのを確認していた。ランポスの巣に在った卵も、全部が割れている。どうやらランポスの子供は孵っていた、冬季の前に。それを引き連れて移動した、という事なのだろう。もう既にこうやってランポスの巣を観察する事は冬季に入ってから何度も確認してきた。
その理由はこいつら、冬季になったら移動しないか? と思った事からだ。
ポッケ周辺をメインとするモンスターハンターポータブル2ndでは、ランポスではなくその亜種であるギアノスがランポスの代わりの初期鳥竜種モンスターとして出現してくる。これは元々昔存在していたランポスのレア種、白ランポスから設定を引き継ぐように構築されたモンスターだと言われているが、MHP2からギアノスが出現して以降、自分の記憶が正しければギアノスが寒冷地に適応進化したランポスの亜種である、と記録されている。
ただこのランポスの巣では一度も、ギアノスを見かけた事がなかったのだ。だから冬が始まればランポスが消えるのではないか? と思ったのだが、どうやら正解だったらしい。ここしばらくランポスの巣をこの岩壁の上から観察し続けているのだが、ランポスが戻ってくるような気配はない。
「やっぱり、草食竜を追って移動したんだな、ランポスも」
ふぅ、と息を吐きながらこの冬季は死ぬ可能性が飛躍的に上昇しながらも、同時にチャンスである、と、捉えた。何せ、普段はここを塞いでしまっているランポスが冬季の間は消えているのだ。つまり、ランポスの相手をする必要もなく、丘まで移動する事が出来るのだ。
「うっし、じゃ……そろそろ降りるか」
ツタの葉、クモの巣、そしてネンチャク草。この三つを合わせて作ったロープを木に巻き付けてからそれを岩壁の下の方へと垂らす。特殊部隊が下がる時の様にツタを握り、壁を軽く蹴る様に手を少しずつ、少しずつ滑らせて下へと降りて行く。
そうやって少しずつ岩壁を降りて行く。ハンターたちはこういう壁をフォークもなしに降りて行くから人間じゃねぇよなぁ、と思いつつ時間をかけて、下まで降りる事に成功する。
ランポスの巣と思わしき大きな鳥の巣が見える他、周囲には色々と骨などの素材が落ちている。
「っと、やっぱりあったあった」
そこで拾い上げるのはランポスの爪と、その中でもひときわ大きい、爪―――おそらくはドスランポスの爪だろう。サイズ的にはもはやダガーサイズはあるであろうドスランポスの爪は、サイズ的にはランポスの爪よりも遥かに握りやすそうで、尚且つ鋭利に見えた。今まで使っていたランポスの爪よりも此方のが多少古くても、もっと使えるだろう。何より前の爪よりも長いから、普通に使いやすいのが良い。
「ふぅ、これで武器や材料の類は確保できるな」
これが最初の目的だった。
武器の確保。
今まではランポスの爪一本で頑張って来た。最近は弓を増やした。それでも十分とは言えない。加工にも爪は使っているのだから。だからどこかで、もっとランポスの素材を調達する必要があった。
だけど俺がランポスを相手にする?
冗談じゃない。
そんなのとてもじゃないが不可能だ。
ランポスは一匹出現すれば三匹は隠れているものだ。自分のキルスピードであれば、一匹殺している間に応援を呼ばれて、その間に囲まれて食い殺されるであろう未来が見えている。ならどうすればいいのか?
生え代わりに抜けた素材を拝借すればいいのだ。
だからこうやって、巣から連中が消えるのをずっと待っていた。ランポスの巣はランポス達の拠点であり、子育ての場であり、同時に老衰で死ぬ場所でもある。死体が残っていない感じ、死んだら共食いしているのだろうと思うのだが、それでも骨や爪、牙の類は吐き出されて転がっている。ゲーム時代はそういう風に採取する事は出来なかったが、話がリアルになれば変わってくる。
生態を利用させて貰おう。
特にドスランポスの爪は貴重品だ。自分では狩猟できない存在の一部を装備品として使わせて貰おう。前よりも長いこの爪であれば、もっと効率的に急所を抉る事も出来るだろうと思う。ベルトにドスランポスの爪を三本、ランポスの爪を五本収納する。冬の間に、ここで見つけられる爪はなるべく多く採取しておきたい。そうすれば春季、夏季、秋季、と次の冬までは道具の事は安定してサバイバルし続けられるだろう。
「……まぁ、脱出の事を考えなきゃならんけどな」
少なくとも集落が存在するとしたら川の流れた先だと思っている。つまりはこのランポスの巣の向こう側、丘へと入った方にあるんだと思う。昔の文明、都市や街は川下に作られる……という話は割と聞く。そうでなくても海へと繋がるルートを見つければ、それだけでも海沿いに歩いて港町を探す事が出来るから環境が変わってくる。
この先、更に新しい拠点を丘の方で構築する事も考えなくてはならない。
ランポスの巣が攻略できない間は、基本的に森林エリアに隔離されていると言っても良い。丘に何か重要な場所があったとしても、そこへの到達をランポスの巣がバリケードの様に塞いでいるせいで到達できないのだから、こうなったら丘に一つ、拠点を作る必要がある。いや、此方の地形の事は余り解ってはいないのだが。
「とりあえず……欲はかかずに、一度採取品を拠点に置いてくるか」
そう思いながら更にランポスの鱗を拾い集めておく。今の所、何に使えるかは解らないが、持たないよりはマシだ。だからランポスの鱗を軽く集めた所で、視界の隅、荒れ地に咲く植物を見た。
根本的に植物が地球とは違う生態をしているモンスターハンターの世界ではあるが、実は一部植物に関しては見覚えがある。
一つはゲームの中でその姿を見る機会があったパターン。これは割と少ないが、マップシンボルが採取物を模している場合があるので、ちょくちょく見かける事はあるのだ。そしてもう一つ、これはシリーズ大全みたいなのが公式から販売されており、装備だけではなく採取品やアイテムの絵などが載っているものがあり、
その植物の姿を見た時、即座にその記憶が脳裏に浮かび上がった。サボテンの様な形をしたその植物は水分の少ない場所にしか生息しない植物の筈だが、間違いなく。即座に飛びつく様に近づきながら、葉の部分を爪で切り取って、慎重に保存する。
「《火薬草》だ……!」
天然の植物の状態なのに、鼻を近づければなぜか火薬の臭いがする。植物であり、火薬なのだ。おかしいと思うかもしれないが、モンスターハンターという世界で、火薬に関するハードルが一気に下がるのはこれが普通に育っており、店で購入できるからになっている。つまり、こいつだけで火薬の有無に関しては問題が解決する。
《ニトロダケ》と《火薬草》を調合する事で《爆薬》を生み出せる。
そして《爆薬》からは―――《大タル爆弾》が生み出せる。
岩壁から垂れているツタを掴み、それを登り始める。降りるときは楽だったのだが、やはり登る時はそれなりに大変だった。少し、体を鍛え足りないなぁ、と思いながら岩壁を登り切った所で、
竜の遠吠えが聞こえて来た。耳を殺すような咆哮に思わず両手で耳を押さえると、凄まじいまでの殺気と怖気を感じ始める。体を大地に伏せながら、素人でも解る様な濃密な死の気配に震えを感じながら、ゆっくりと岩壁の下を覗き込んだ。
岩壁の下、ランポスの巣に入り込んでくる巨大な姿を見た。
その大きな体に不釣り合い、アンバランスとも表現できる小さな足と強靭で巨大な顎。黒く変色し始めた肉体はまるで怒りを象徴する様であり、どこまでも貪欲に、そして苛烈に食欲によって突き動かされる悪鬼の姿がそこに見えた。
「……早めに戻って本当に正解だったな」
それは暴食の竜、イビルジョーと呼ばれる竜だった。脳味噌が100%食欲によって支配された竜であり、どこまで行っても喰らう事しか考えてない、傍迷惑な奴だった。それに肉があるというならアプトノスでもランポスでもまたは飛竜古龍人間、なんでも関係なく食らい尽くすという奴だった。
しかも恐ろしい事にこいつに満腹とかいう概念は存在しないらしい。
黒く濁った色のその体は、怒り狂うイビルジョーとも、或いは飢餓ジョーとも呼ばれる個体だ。とにかくお腹がぺこりん。ぺっこぺっこである。だから機嫌が普段よりも悪い。
おいおい、死ぬわ俺。
そーっと、岩壁の上からイビルジョーを眺める。爆弾で殺せたらいいね……いい夢は見れた? そうか、死ね。そういう相手だ、アレは。熟練のハンターでさえ偶に即死するような手合いで、システム的な防御力がないのだから、噛まれたら死ぬ。踏まれても死ぬ。体当たりされても死ぬ。ゲロ喰らっても死ぬ。たぶん接近し過ぎたら咆哮で耳が潰れて前後不覚になって食われて死ぬ。
死因の塊だ。
「お前、冬に生物のいなくなった所うろつくとか馬鹿なの? 餓死するの? 俺を殺しに来た試練かなにかなの……?」
岩壁の上から小声でつぶやきながら眺める。どうやら飢餓ジョーはこの冬、アプトノスもランポスも居なくなった丘エリアで新生活を開始したらしい。物騒なお隣さんが出来たぜ、と笑う事さえできない。
マジで、笑う事さえできない。
「俺の人生の難易度設定間違えてねぇかなぁ……」
呟きながら飢餓ジョーが食料を求めてランポスの巣を探し回る姿を見て、何もないのを確認してから去って行く姿を見た。やはり、丘エリアもそのまま普通に探索できそうにはなかった。となると、ギリースーツでも一つ、作ってみるべきだろうか? だが材料となる木の葉の類が今の季節、全部枯れちゃって手に入らないのが問題だ。
しばらく、イビルジョーが去った方向を眺めながら、無言のまま考える。ここからどうするべきかを。だが結局の所、丘エリアも探索しないと手詰まりになる事は見えているのだ。そしてランポスに邪魔されずに丘へと向かえるのは今の所、これが初めてで、冬の間だけだ。
「……数日、大人しくしよう」
それでイビルジョーが此方には食料がないという事を悟って去るのを祈ろう。丘を探索する事は必須の行いなのだ。森林エリアは探索が煮詰まっている、とも言える。まだ西エリアがあるが、あそこは奥がランゴスタの巣になっている。入り口付近にはランゴスタの気配がなくても、奥の方がそうとは限らないし。第一暗すぎて奥の方が探索できない。もはや木々の洞窟と言えるレベルで暗いのだ、あそこは。
「とりあえず出来る対策をするだけして、丘の探索をするか……もっと沢山荷物を運べるように籠か箱が作れればいいんだけどな」
呟きながら完全にイビルジョーの気配が去った事を確認し、起き上がる。
予想していた方向とは違うが、違う意味でこの冬は試されそうだった。
ご近所さんの飢餓ジョーさん。冬の間だけバカンスに来ているよ。
アーチェリーを経験した事あるけど、相当腕の筋力を鍛えてないとアレ、全く飛ばすどころか引く事さえ難しいので、こんな環境で鍛えられようとも、数か月しか経過してナイト、とてもだけどハンターみたいな弓技は無理なんだよなぁ、と思いつつ飛ばせる武器というのはそれだけで貴重で強い。
冬は続くのさ。