※この作品はR-18です。

Monster Survivor   作:てんぞー

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5年目 夏季 Ⅱ

 アスファルトの道路の上に、カウチが置いてある。

 

 そこに座っていた。

 

 周りにはぼやけて良く見えないビルや家、建造物が存在している。本当にそれはあやふやなようで、ぼやけており、見ようとしてもそのイメージが正しく入ってこない。所々道路も、そしてその景色も荒廃しているかのように崩れているのが見える。それを見て、あぁ、成程、と納得するのだ。それは自分に残っている地球のイメージだった。自分の中に、どれだけ全く無関係な、生活と社会に関する地球の事が残されているか、という象徴だった。もう、こうなるまで自分の中の望郷や思い出は崩れてしまったのだ。それを自覚させる景色だった。

 

 だから足を組んで、カウチに座ったまま、背中を預けた。

 

 カウチの周辺、アスファルトを突き破って黒い睡蓮が生えているのが見える。毒々しくも美しい色の睡蓮からは黒い粒子が舞い上がっており、それがこの空間を、景色を幻想的に彩っていた。また、狭間の夢を見ているのか、と自覚する。これで()()()だった。流石に三度も死にかけて迷い込むと、慣れて来る。一体、どっち方面があの世なのだろうか? とちょっと気になり出す事もある。

 

 正面、このフォーカスの合わない世界の中、唯一綺麗に見えるものがある。

 

 体が半分凍り付いたゴア・マガラの存在だった。首から上が無事になっているその姿は、此方をじっと見つめ、音もなく、ただ睨み―――そして待ち続けていた。俺が死ぬ瞬間を。完全にウィルスにその全てを捧げて龍となる瞬間を。狂竜ウィルスは、ゴア・マガラはただその瞬間を凍り付きながら待っていた。その体が半分しか凍っていないのは、体が半分、侵食されたという事なのだろう。

 

 だから待っているのだ、アレは。

 

 完全に浸食され、龍に堕ちる瞬間を。それまでひたすら刃を研いでいる。自分にはそういう風に、その姿が見えた。まぁ、自分の体の事だ。見れば大体解る。だからあぁ、と声を零した。

 

 ……また死にかけてる……。

 

 いや、まぁ、一応はそれで師匠に勝てたのだが。それはそれとして、また死にかけてるのはどうにかならないものか。もうちょっとスマートに勝利するとか。だがおかげで、自分に足りないものが見えてきたのも事実だ。師との戦いとはそんなものだった。そしてクソトカゲが何故、守護竜達と戦う必要があるか、と言うのを理解させられた。戦う度に自分に足りないもの、必要な成長というものが見えて来る。

 

 殺して命を背負う度に、その責任感で押し潰されそうになりながら、鍛えられてゆく。

 

 それは必要な儀式なのだ。

 

 あぁ、何て酷い世の中だろうか。いっそのこと、滅んでしまえばいいのに。心底そう吐き捨てようとして出来なかった。どれだけ世を恨んでも、滅べ、なんてことは言えなかった。その程度には大事なものがあったし、やりたい事もあった。それを成し遂げるまでは絶対に死ねない。自分の中で優先順位が出来上がっていた。だから目を瞑って、思い出し、そして師を殺した瞬間の感触を忘れないようにする。これから何度もこの感覚を繰り返す。そしてこれから覚える感触も更に増える。一頭殺す度にその感触を忘れないように刻む。

 

 忘れてはならない。

 

 自分が殺したという事実を、奪ったという事実を、背負っている命の重みを。

 

 誰かを殺すという事はその命を、ありえた筈の未来を背負うという事を。だから忘れてはならない。自分が何をしているのか。どういう可能性を奪っているのか。何故奪っているのか。そのエゴイズムを忘れてはならない。生きる、というエゴイズムの代償を忘れてはならない。

 

「―――悲しんでいるのか、お前は」

 

 声がした。自分の心の中で。聞き覚えのある声だ。ここにはいない、待ち受けている筈の彼女の声だった。彼女の声を聴いて、やっぱり……と、理解した。横に視線を向けず、正面、虎視眈々と此方の体を奪おうと、飲み込もうとする機会を待ち続けている狂竜ウィルスの顕現―――マガラの意思とでも呼ぶべきそれを眺めている。横から、氷の線が伸び、睡蓮を凍らせながらそれがマガラの意思に繋がり、凍らせている。

 

 だがそれにも終わりが来る。

 

 このまま、戦い続ければ終わりが、来る。

 

「お前は、奪った命を忘れないのだな」

 

 忘れない。忘れてはならない。自分のエゴイズムで殺す必要もなかった命を奪うという事を、忘れてはならない。目を閉じれば蜂蜜を美味しそうに食べていた姿を思い出せるし、何度も何度も殴り飛ばされた時も思い出せる。そして最後に、掴んだ奥義のきっかけも、掴んで離さない。師匠が死ぬ必要はたぶん、欠片もなかった。それでも俺がやりたい事があった。だから殺す事を決めた。

 

 その傲慢さは、一生付き合わなければいけない隣人だ。

 

 後悔をしてはならない。それは過去に対する冒涜だ。

 

 足を止めてはならない。それは現在に対する冒涜だ。

 

 選択肢を覆してはならない。それは未来に対する冒涜だ。

 

 何回同じ場面に出くわそうが、ご都合主義の救済装置が出現しても、この選択も、そして歩みも一切取り換える事はしない。何度生まれ変わったとしても同じ選択をし続ける覚悟で最後まで進み続ける。謝りはしない。ただ忘れず、そして斬り殺した感触を一生背負って、そして進むだけ。それだけだ。涙を流すのは全てが終わった後で。もし、殺した事に対して欠片でも何かできる事があれば―――それは、最後まで走り抜けるという事なのだろう。

 

 これから、全部斬り殺して行く。自分の手でこの楽園だった箱庭を破壊する。

 

 だから、せめての礼儀として、破壊し尽くすその瞬間まで全力で、後戻りを考える事も後悔する事もなく、ただ一つの化け物と堕ちるまで戦い続けるのだ。

 

 それが、きっと―――覚悟というものなのだろう。

 

「そうか―――お前は、忘れないのか」

 

 果たして、彼女の言葉にどんな感情が押し込まれていたのか、それを測る術は常人である自分にはない。だがその色はどこか、安堵した様な、寂しそうな、嬉しそうな、そんなものを感じた。だからきっと、彼女は待ち望んでいるのだろう、と思えた。

 

「待っている」

 

 横から、声がした。

 

「お前を待っている」

 

 声は少しだけ、震えていた。

 

「お前だけを待っている―――」

 

 

 

 

「寂しがりやめ」

 

 目を覚ませば拠点のベッドの上だった。片手で頭を押さえれば、包帯が巻き付けられた自分の腕が良く見えた。あー……なんだっけなー……と、自分の最後の記憶を追いかけてみる。それで思い出せるのはアオアシラ師匠との戦いの後で帰って来て、血を吐いてぶっ倒れた事だった。今思えば師匠のパンチ、あばら骨を折って肺辺りにぶっ刺さっていたんだなぁ、と思う。そうでもなきゃあんなに苦しまない。

 

「しっかし、黒くなったなぁ」

 

 包帯に包まれた手は肌の色が黒くなり始めていた。まだ黒、と言うよりはどちらかと言うと褐色に近い感じの色をしていたが、更に浸食すればこれがゴア・マガラ特有の黒い竜肌へと変貌するのだろう、と思っている。既に包帯に包まれた腕、その隙間から鱗が生えてきているのが見える。それを指先で摘まんで、千切って捨てた。

 

 ベッドから起き上がりつつ、体を軽く捻って動かし、そして呼吸する。

 

「……寧ろ前よりも調子いいな」

 

 恐らく肉体の龍化が進んだことによって回復力や此方の世界の存在として、より近しくなったのだろう。地球だったら緊急手術から後遺症コースだった筈なのだが……まぁ、浸食を上げておいた不幸中の幸い、という奴だろ。

 

 あんまり、こういう形で強くなるのは好きじゃないが。

 

 あんまりというか全く好きじゃない。()()()()()()()()()()()()()()()()()のだから。だから包帯を外して行く。しゅるしゅると音を立てながら体に巻き付いていた包帯を外して行き、褐色に染まっている肉体を晒す。それが所々、鱗を生やしているのを確認し、一枚一枚、千切って取って行く。腕、首、腹、足、顔についていた鱗を全部剥がした所で、鱗を剥がした所で軽く血を流しているが、それを唾で止めた。

 

「うっし、復活」

 

 それまで全裸だったのでインナーに着替え、部屋の外に出て、そこから家の外に出る。太陽の光が眩しく、熱線を感じるこの暑さは……まだ、夏の日差しだった。片手で日を遮りつつ、少し光が煩わしく感じた。性質的にややマガラ寄りになってきているのかもしれない。考えれば半分以上はゴア・マガラに浸食されているのだから、あちら寄りになるのも当然なのだが。

 

 まぁ、そこは気合と根性で抑え込む。コツだけならだいぶ掴んだし。

 

「太陽が煩わしいわねっ!」

 

「なにいってんだニャ、こいつは……」

 

 一人でごっこ遊びをしていれば、それをラズロに見つかり、ジト目で見つめられた。サムズアップを向ければ、露骨な溜息を返された。うーん、このセメントっぷりよ……と、思いながらそんで、とラズロに言葉を向ける。

 

「どんぐらい寝てた?」

 

「一週間程度ニャ。気持ちよさそうに眠っていたからどうしたもんかと思ったニャ。まぁ、見た目はずいぶん変わっちまったが、中身はまるで変化というか進歩がないようだニャ」

 

「うるせぇわ」

 

 しかし一週間も寝込んだ―――いや、一週間であの骨折と粉砕が治療された、と考えるべきか。やはり、龍の生命力というのは侮れない。この場合、余り嬉しい話でもないが。個人的に分不相応の力に頼って勝利する、というのは余り嬉しくないのだ。なるべくならスーパーな力はいらないのだ。まぁ、それでも今回は無ければリタイアだっただろう。そう思うとある意味、クソトカゲの掌の上なのかもしれない。

 

 まぁ、治ったのなら良い。

 

「さて、リハビリ済ませたら次殺るか」

 

「はぁ……」

 

 此方のその言葉に露骨な溜息をラズロが吐き出した。

 

「そう言うと思って眠っている間にアシラ師匠は運び込んでおいたニャ。一部の素材は既に部位として加工済みだから直ぐにでも使える様にしてあるニャ」

 

「お、悪いな」

 

「ニャ。ハンターを常に万全の状態で戦えるように根回しするのもオトモの仕事ニャ。正式なオトモ契約ではないけどニャ、今の俺のご主人はあんた以外居ないニャ。だから無様に死なせるような事だけは絶対にさせないニャ」

 

 本当に俺には勿体ない優秀なニャンターだった。となるとすぐさま武器の習熟練習をリハビリついでに行う事も出来るだろう。出来るならアオアシラ師匠との戦いで最後に掴んだあの妙な感覚……アレを完全なものとして掌握する事が出来る様になりたいが、まるでその感覚を引っ張り出す事が出来ない。或いは極限状態まで自分を追い込む必要があるのだろうか?

 

 いや、それにしてはもっと違う感覚だった気がする……。

 

「遅い目覚めだったな人間」

 

 と、思考を声によって中断された。振り返れば、テーブルの方で足を組みながら優雅にクソトカゲが茶を飲んでいた。しかも物凄く気品を感じさせる優雅さが気に入らない。気に入らないのだが……まぁ、そこは流しておく。

 

「生憎と古龍(あんたら)程、生物というカテゴリーを卒業した覚えはないんだよ」

 

「幼い姫の牽制があるとはいえ、スキルもなしに精神力だけで狂竜症を完全に抑え込んでいるお前がそれを言うのはどうかと思うが―――なんだ、欠片も腐ってないではないか」

 

 うむ、とクソトカゲはどこか、初めて満足そうな表情を浮かべた。

 

「悪くない」

 

「おめーの評価はどうでもいいんだよ。働け」

 

 ファックユー、と中指を立てながらクソトカゲに突きつければ、何が面白いのか、小さく笑いながら声を零す。

 

「全く、誰のおかげでこの付近が平和だと思っているんだ……まぁいい。お前が眠っている間に発生した状況の変化に関して報告してやろう」

 

 紅茶をクソトカゲがソーサーの上に置き、それをテーブルの上に置いた。どうでもいいが、カップもソーサーも、全てクソトカゲが自前で作成したものだと思うと、物凄く面白い絵面になってくる。

 

「まず絶滅率に変動はない。雪山の生物は大半が死滅したから冬にならない限りは《斬虐》とお前が呼んだ個体が虐殺を起こすような事はない。砂漠の絶種個体も小食だから今は通常のペースで食事をとっている。嵐の前の静けさか……今は緩やかだが秋頃に大きな動きが来るだろう」

 

 砂漠の絶種……そういえばそちらにも絶種が生み出された、と言う話だった筈だ。ぶっちゃけ、

 

「砂漠に生まれた絶種ってどういうのだ?」

 

「ラ・ロ」

 

「え? 聞こえない」

 

「ラ・ロ」

 

「もう一回」

 

「ラ・ロ」

 

 その名前に無言で両手で顔を閉ざした。嘘だろお前。形態変化が七回も存在するクレイジーモンスターが絶種ってどういう事だよお前、と表情をクソトカゲへと向ければ、サムズアップを返された。

 

「道理でテオナナ夫婦が死ぬわけだ……」

 

「アレは恐ろしいぞ。確実にお前を待っている。戦えるその日に備えて悪意と食欲を抑え込んで待ち受けている。おかげで砂漠はそこそこ平和だが……まぁ、何時まで我慢が持つかという話だな。やったな、人気者だぞ」

 

「もっと可愛い子に好かれたい」

 

「頑張れ相棒。終わったらメゼポルタのハンター向け最高級娼館での一夜を奢るニャ」

 

「頑張る……」

 

 ラ・ロ絶種……もうなんか、考えたくもない存在だった。確かに砂漠でエンカウントする生物ではあるのだが……嘘だろう? あのディアブロスを食い殺したのか? どんだけあの砂漠の環境インフレしてるんだ、と戦慄するしかなかった。とはいえ、ラ・ロが絶種として完成された以上、もうそれ以上出現する事はないだろう―――誕生しようものならラ・ロが喰い殺すだろうし。

 

「次だ。今まではあの熊が樹海への侵入を遮断していたから此方にも草原にも到達する個体が出なかったが……その抑えがなくなった。その影響で草原の三竜が活性化している。おそらくは冬季まで放置していれば確実に死ぬだろうな。それまでにお前が狩猟しなければ負けだ」

 

「成程」

 

 やっぱり、次のターゲットはあの三頭にした方がいいのだろう。

 

「だが、あの三頭は火山へと抜けようとする存在への抑えでもある。アレが潰れると悪意に惹かれた個体が火山に近づいて変異が加速と悪化する。確実に一頭、絶種が凄まじい勢いで誕生するだろうな。後その影響で《悪魔》の目覚めも加速する」

 

「そうすれば環境全体のヤバさが上がる、か……」

 

「そうだ。そうだな……冬だ。お前が守護竜を全て、狩猟する気があるのなら、そのタイムリミットは冬になる。到達してしまえば活性化した環境に食い殺されて相手をする事が出来なくなるだろう」

 

 クソトカゲの宣告を受けて、腕を組んで考える。

 

「―――じゃあ今季中に草原の三竜の三枚抜きをしよう。そして可能ならそのまま、夏季の間にレウスとジョーを狩る。遅くても秋季中に」

 

 今年の秋季までに、

 

「守護竜を皆―――狩る」

 

 明確な殺意としてその言葉を口にした。既にアオアシラ師匠を殺している以上、躊躇するもクソもない。他の皆を全員殺して、この楽園を破壊する。破壊して―――自分がやりたい事をする。

 

 そのエゴイズムで殺す。

 

 ……いや、こうやって心の中で理由を付けて自分に言い聞かすのも女々しい、もうやめよう。やると決めたらやる。もうそれだけでいい。

 

「大層な自信だが可能なのか、それは?」

 

 クソトカゲの至極真っ当な疑問に対して、頷きを返す。伊達や酔狂でここに数年間暮らしていた訳じゃない。何度も、何度も何度もあの三頭が戦う姿は目撃してきたのだ。どうやって戦うのか、どうやって倒せばいいのかは解っている。

 

 《白疾風》は速度が早く、時間を与えれば与える程加速するので、最初の交差で絶対に殺す必要がある。そのチャンスを逃せば加速の果てに自分では捉えきれなくなる。だから最初の一太刀で確実に殺す必要がある。

 

 《燼滅刃》はあの熱と斬撃の質量が恐ろしく怖い。だが幸運な事に、マガラ化の影響によって、人間よりは熱に耐性のある肉体になった。ゲームでは火弱点だったゴア・マガラであっても、根本的には人間よりも強くなっている。だから炎で体を焼きながらカウンターで尻尾を斬り落とせば、攻撃手段を奪えるのでそのまま殺せる。

 

 そして……一番面倒なのは《金雷公》だ。明確に付け入る隙が無い。炎はまだ耐えられるが、電撃は体を貫通し、直接神経を焼くからなるべく受けないように動かなくてはならない。だがあの《金雷公》は雷を纏ったまま長期間の戦闘を行えるように体を、感覚を鍛えてある。纏ったり解除したりを繰り返すフルフルとは違い、隙がない。だからこいつは総合力で超えるしかない。真っ当に戦い、真っ当に乗り越える必要がある。だが同時に、それは突出した極技には対応し切れないという事でもある。極限まで磨いた必殺の一太刀を叩き込めば勝機が見える。

 

「弱点とどう動けばいいのかは見えている。だから後はそれを実行するだけだ」

 

「迷いなく言えるのなら俺が他に言う事は何もない。望むがままに殺すと良い」

 

「言われずとも」

 

 肩を軽く回し、拳を握り、自分の体の中を流れる、ウィルスの気配を感じ取る。まだまだ、こいつに体をくれてやるつもりはない。こんなところで足を止める予定はない。漸く、この地でやりたい事を見つけたのだ。

 

 成し遂げるまでは足を止める事は出来ない。

 

 だから顔を上げて、視線を森林の向こう側へ―――雪山の頂上、霊峰の頂点へと向けた。

 

 待っている。彼女はそう言った。《悪魔》を倒す為に生み出され、そして恐らく、自分がどういう果てに行き着くのかを知っている《眠り姫》。彼女は待っている、そう言った。

 

 それが生み出したヒトという存在の義務である、と。

 

「相棒、どうするニャ?」

 

「リハビリに一週間だけ貰って、そうしたら挑みに行くよ」

 

「了解したニャ。とりあえず力の出そうな物をキッチンに頼んでくるニャ」

 

「ついでにジャムが欲しいと伝えて来い」

 

 クソトカゲの発言にラズロが半眼となって睨み、しかし溜息を吐いてキッチンの方へと向かっていった。その景色を見て、視線を霊峰へと戻し、

 

 そこから火山の方へと向けた。

 

 自分の曇った瞳にも、終わりがだいぶ……見えて来た。




 言い訳するのも、覚悟を口にするのも想うのも女々しい。殺すのみ。

 関わって来た守護竜の中でアシラ師匠が一番人間性に溢れているのなら、草原の三頭は一番、人懐っこく見栄っ張り。

 次回、草原の最後。
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