※この作品はR-18です。

Monster Survivor   作:てんぞー

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1年目 冬季 Ⅱ

 数日が経過し、イビルジョーがどっかに引っ込んだ事を祈ってから再び、ランポスの巣に降りた。岩場と呼ばれるこの地形は丘に続いており、そこから続く山脈に繋がっている様になっている。つまりここが丘と山の端になる。丘と山、それは今まで居た森林とはまるで違う環境だ。隠れられる場所はかなり少ない。場合によってはドスランポスの爪と弓で接近戦を繰り広げる必要が出て来るかもしれない。

 

「まぁ、最低限何か新しい食料を発見できればいいんだけどな」

 

 クソ不味い干し肉を口の中でもちゃもちゃと噛みながら、常に警戒しつつランポスの巣を抜けて、丘の方角へと向かう。喋る度に零れる吐息は白く染まり、生物の気配を全く感じさせない。やはり冬になるとどこかに移動するか、或いは引きこもっている様に思える。

 

「冬に育つ野菜で狙い目はじゃがいも、って所かな。果物なら林檎かイチゴだな。野苺なら存在していてもおかしくはないし。ただ此方でも同じ様に育っているのかどうかが問題だな」

 

 後は何だっけ? ……キャベツ? まぁ、地球の野菜って品種改良の結果、季節感皆無なので知識ががばがばだからここら辺、まるで信用できない。とはいえ、そろそろ新しい食材が欲しいのも事実だ。レタスやキャベツ辺りは真面目に欲しい。トマトは冬に入ってからは実ってないので、深刻な野菜不足なのだ。

 

 そんな事を考えながら歩いていると、水の気配を感じる事が出来る。大きな水音に誘われる様に進行方向を決めれば、岩場に大きな滝が見えた。上の方へと視線を向ければ、それが森林南エリアの方から続く川の先であるというのが位置的に理解できる。滝つぼの方を確認すれば、かなり滝つぼの方は深くなっている様に見える……これなら飛び込んでも……いや、普通に怪我をする高さだから飛び込む事は考えない方がいいだろう。

 

「んー、流石に利用方法が思いつかないな……」

 

 まぁ、しゃーない、と思って視線を外した所で、水辺に近づく気配を感じた。

 

 即座に弓を取り出し、矢を番えて構えながら、水辺に出て来た存在を見た。どこかふわふわとした白い毛皮を纏い、そして螺子曲がった角を持った、ヤギの様な姿をした生物だった。一瞬、解らない存在だったが、此方を見て、構えているのを見て、それでも興味津々に近寄ってくる姿を見て、漸く思い出した。

 

「なんだ……エルペかぁ……」

 

 ふぅ、と息を吐きながら矢を矢筒に戻し、弓を背負い直した。その間にもエルペはどんどん近づき、接触する距離にまで来ると、周りを歩き始める。物凄い人懐っこい奴だった。ただそれが一匹ではないのだ。エルペが一匹此方に寄って来たかと思うと、今度は二匹、三匹と集まってくる。

 

「ははは、人懐っこいなぁ、お前らは」

 

 軽く頭を撫でてやれば、それに反応する様にもっと撫でてー、と言わんばかりに擦り寄ってくるのだ。こいつら、エルペはそういう草食獣だ。見た目はヤギで、そして生息地はゲームだと……確か高地と呼ばれるエリアだった筈だ。確かにここは山の麓で、滝と川があるから、山から下りてきて水を飲む場所なのかもしれない、と覚えておく。場合によっては大型竜が出現するかもしれないからだ。

 

 しかしこのエルペ共、ささくれ立った心が癒されて行くのが解る。

 

 何せ、モンスターハンターシリーズで最も人懐っこく、温和な野生動物だと認識されているからだ。ゲームだとハンターが武器を抜いた状態であっても近づいてくる他、眠り始めると一緒に集まって眠るという事までするのだ、こいつは。人懐っこいとかいうレベルじゃない。あぁ、ペットとしては心癒される存在だろうなぁ、と思う。

 

 とはいえ、自分にとって重要なのは、

 

 こいつが、ケルビ以上にもこもこしているという事実だ。

 

 こいつの毛皮は、ケルビよりも価値が高く、暖かい。軽くその毛並みに触れただけでもその肌触りの良さ、そして暖かさが伝わってくる。出来る事ならエルペに囲まれて眠るのが一番の凍死対策になるんだろうなぁ、と思いつつも、流石にあの垂直な岩壁をこいつらに登らせる事は不可能だ。

 

 狩猟して毛皮にするしかない。

 

「ま、お前らの相手はまた今度だ。今は探索優先でかさばる事はしたくないしな」

 

「……?」

 

 言葉を理解していないエルペはもっと遊んで、と言わんばかりに絡んでくるが、エルペの恐ろしい所はこいつがグレンゼブルという大型竜との共存状態にある、という事実だ。その細かい内容は覚えてないのだが、蛮竜と呼ばれるグレンゼブルはエルペのいる高地に出現する竜なのだ。エルペに釣られる様に出現した場合、俺が死ぬ。頼むからイビルジョーと食い合っていてくれとしか言えない。まぁ、今は探索優先だ。

 

 軽くエルペの頭を撫でて、さよならを告げて、水辺に沿う様に、川下へと向けて歩き出す。単純にこのルートが一番しっかりしているのと、解りやすいからこのルートを辿ってゆく事にした。エルペ達には別れを告げたつもりだったが、そのまま、後ろをとことこと歩いてついてくる姿は愛嬌を誘う。流石魔境最大のマスコットだった。とはいえ、それに気を取られているのも危ない。

 

 一旦、心のオアシスの事は無視して、探索に集中する。

 

 川沿いを歩きながら覗き込めば、魚が泳いでいるのが見える。凍っていないし、どうやらこの季節でも普通に魚は存在するようだった。とはいえ、グレンゼブルやイビルジョーが徘徊しているかもしれない水辺で釣りをする事が現実的なのかどうかはまた別の話だ。とはいえ、魚が調達できるのは覚えておくべきことだ。

 

 最悪、爆破で気絶させて魚を釣るという裏技もある。この場合、バクレツアロワナとかと連鎖爆破しない事を祈る必要があるが、確実に魚を集める事が出来る。

 

 同時に周囲に居る生物の注目も。

 

 あんまり、やりたくはない。

 

「うーん、水が綺麗で魚がいるけど……あまり植物はないみたいだな、こっち側は。森林からいきなり荒れ地に切り替わるかー」

 

 すぐ隣には丘に広がる緑の姿が見えるのに、此方は全く草木が生えていないというのも凄いものだ。相変わらず環境がファンタジーしている世界だと思う。それにここ、結構見晴らしがよく、隠れる場所が少ない。個人的には余り好きな場所ではない。逃げ込む場所が川の中しか存在しないからだ。それも深く潜らないと隠れられないのだから、ちょっとここら辺はきついかもしれない。

 

 というか冬場に寒中水泳とか確実に自殺行為でしかないから、なるべく避けたい。

 

「……こっちは切り上げて丘の方を探るか」

 

 時間は有限なのだから、何時までも同じ場所にいる訳にはいかないのだ。帰り道と、何かを拾った場合はそれを持ち帰る苦労も必要なのだから、なるべく時間には余裕を持ちたい。そうする場合、そろそろ自然がより豊かな丘の方が何らかの成果が出やすいだろうと思う。

 

 そう思い、川を後にして丘の方角へと進む。

 

 此方も見晴らしがよい、なだらかな緑の丘が見えた。ぽつぽつと立つ木の姿に、広い丘の様子は実に平和なのだが―――やはり、草食獣を含めた生物の気配が少ない。エルペはどちらかというと高地から降りて来た感じだからまた別なのだろうとは思う。

 

「さて、何か見つかるかなー……」

 

 生物の気配が無いのはある意味でやりやすい。何せ、それはつまり気配を直ぐに察知できる、という事でもある。この数か月のサバイバル生活で、すっかりと気配探知に関する技量は上昇した……様な気がする。少なくとも気配を隠していないようであれば、先ほどのエルペの様に気付く事が出来る。だから常に気配を生物の察知へと向けつつも、丘に何かないのか、それを探す。

 

 ゲーム的にはマップ端の方にあるオブジェクトから色々と採取できるのが基本だった筈だ。そのセオリーというか……ジンクスの様なものを背負いつつ丘の端の方へと移動し、岩や草を調べて行く。専門家ではないので、どれが良いのか悪いのか、というのは自分には判別がつかない。ただなぁ、岩塩は見つからないかなぁ、と思っている。深刻な塩分不足をどうにかして補いたいのだ。それに干し肉、塩があれば多少はマシになるだろうと思っている。

 

 だから岩塩欲しい、岩塩。

 

 どんな見た目してるか全く解らないけど。

 

 これ、見つけるのは絶望的では……?

 

 そんな事を考えながら丘に自生している茂みを見つけ、そこに実が実っているのを見る。野苺かなぁ、と思ったが、昔見た事のあるブルーベリーやラズベリーが実ってた茂みを見つけたので、まぁ、ベリー系なら許すか、と、親指サイズのそれを千切って、軽く臭いをかいでから口の中に放り込む。

 

「すっぱっ!」

 

 果汁が口の中に溢れた瞬間、柑橘系特有のほのかな甘みときつい酸っぱさが一気に広がった。歯を食いしばり、軽く涙を浮かべながらも、笑い声を軽く零した。

 

「見た目はオレンジのブルーベリーなのに、中身はまるでレモンだな……」

 

 でも嫌いな味じゃなかった。それにこの冬の間、枯れる事無く育っているという事実が非常に重要だった。口の中からタネを吐き出しつつ、もう1個取って口の中に放り込んだ。やはり酸っぱい……だけど久しぶりに感じる酸味だった。なつかしさと、そして栄養の事を考える。確か酸っぱさの中にはビタミンCが含まれていた……様な気がする!

 

 確保しておいて悪い事はないだろう。

 

 もう数個、口の中に放り込んでから居場所を記憶し、再び歩き出す。砂糖も欲しいよなぁ、と思いながら。だけど調味料はそう簡単に手に入らない。今の所、見つけられたのはトウガラシだけだ。しかもこれはクラッカーに混ぜる為に確保しているので、そう簡単に消費する事が出来ないのだ。

 

 ちなみにこのトウガラシクラッカー、破壊力は抜群である。

 

 何せ、突進してくるブルファンゴに投げつけてみれば、悲鳴を上げながら転んで、転がりながら必死に鳴くのだ。その間は首の下ががら空きで、近づく事なく弓で射殺せるので、非常に強力な武器になっている。だからこそ、そう簡単に食べて消費する事は出来ない。

 

 或いは畑を作って栽培する事を考えなくてはいけないかもしれない。天然の状態でかなり力強く育っているのだし、軽く移し替えてやるだけでも採取が楽になる。そう考えると畑の存在は重要かもしれない。

 

「まぁ、今はこっちか」

 

 呟きつつ、丘を歩く。

 

 邪魔となる木々がないせいか、開けた丘は見晴らしがよく、どこまでも続く青空が見える。そこに並ぶ山の姿も非常に良く見え、その天辺が雲を突き抜けて伸びて行くのも見える。霊峰とかって言われるフィールドが存在しなかったっけ? と思い出しつつ、丘をそのまま軽く探索してみる。

 

 だが、やはり季節が悪い。

 

 極度に温度が下がっているこの季節、余り、植物の実りがよくない。

 

 所々、木々やなにかの枯れた跡が見える。つまり夏や春にはまだ育っていた、という事の証でもある。冬以外の季節にここにきていれば、きっと何らかの成果があったに違いないのだろうと思うと少しだけ、悔しさを感じる。まぁ、感じるだけだ。今度は夏でも春でも此方に来れる様に、ランポスを狩猟出来る様になればいいのだ。まぁ、少なくとも春季か夏季に入ってからの話だよなぁ、とは思わなくもない。

 

「丘もダメだな、こりゃ。山の方に行くか」

 

 ランポスの巣はランポスの素材が。

 

 高地は滝がある。

 

 丘は冬季ではレモンの様なベリーが採れる。

 

 後は山を今日は軽く確認して、終わりにしよう。

 

 そう判断し、山の方角へと足を向ける。完全な自然だから登山ルートはない―――という訳ではない。歩きやすい道、踏みやすい足場というものがある。それを動物たちや竜達が踏みしめる事で生み出される獣道というものは、案外馬鹿に出来ない。道路が存在しないその環境では、獣たちが踏みしめて作ったルートこそが公道だと表現してもいいのだ。

 

 ここで数か月も生活していれば、レンジャー技術の一つや二つ、自然と磨かれてくる。

 

 山の麓まで丘から移動した所で、明らかに平坦になっている場所を探す―――つまりはなんども行き来した事によって踏みしめられた大地だ。これを見つける事はそこまで難しくはないので、そこから山に入るルートを見つける。岩肌が結構キツそうな姿をしているが、その間に土と砂が踏み固められた、砂利の道が見える。そこを足場に山の中へと進んで行く。奥まで行く予定はない。ある程度、浅い部分を探索する予定だった。

 

 だが、

 

「……」

 

 山の中へと進んで行くこの道は、なんというか―――()()()()()()()様な岩壁に挟まれて出来ている。まるで高圧の熱線でも受けたかのような跡だった。その姿に少しだけ不安を覚えながら山を登らずに、道に従って進んで行くと、

 

 あっさりと、古代文明の名残を残す遺跡の様な場所へと出た。

 

 どうやら、山と遺跡が一体化している様子だった。

 

「参ったな……流石に遺跡探索となると話が変わってくるな……」

 

 山の探索なら問題はない。だが遺跡探索となると必要な道具の類が変わってくる。

 

 モンスターハンターの世界観には古代文明の存在や、古代文明の技術が大きく関わってくる。しかもこいつらは大昔にやらかしている為、古龍に滅ぼされたという酷すぎる歴史を持っている。まぁ、竜を百頭殺して竜型生物兵器生み出してたら怒られても残念ながら当然だよね、としか言えない。ただなぁ、と呟く。

 

「古代文明の遺産はヤバいモンばっかりあるからなぁ……封龍剣とかねぇかなぁ」

 

 古代文明の武器は大抵が鉱脈の中に沈んでおり、それを発掘した上で磨かなければまともに利用する事が出来ないというシステム的な制約がある。さびた塊とか、太古の塊とか、風化シリーズとか。

 

 それが遺跡の中に残っていれば、それをよりまともな武器として利用する事も考えられる……風化の具合にもよるが。それでも何か、文明的な道具がこの中に隠れている様であれば、それを持ち出すか運用したいのは本音だ。しかし、山の恵みを探しに来て予想外の物を発見してしまった。

 

 正直、余り嬉しくはない。遺跡を探索するなら専用に光源などを用意する必要もあるからだ。それにゲーム的なデータだと、遺跡ステージには良くランゴスタやカンタロスの面倒なエネミー、大雷光虫やガブラスがテリトリーにしていたりする。その事を考えると、探索は慎重にする必要がある。

 

「……とはいえ、ランポスがいない今が間違いなく探索するチャンスなんだよな」

 

 この季節、この寒さだとランゴスタなどの昆虫はまず、表に出てこない。群れで集まって体を温め合っている事だろう。そしてランポスなどの寒さからの保護が薄い生物も、暖かい地域へと一時的に逃れている。そうなると寒さの中でも活動できる生物ばかり残る事になる。

 

 基本的に遺跡モンスターは虫や爬虫類系が多いのだ。だからそれを考えると冬眠しているんじゃないか? とは思わなくもないのだ……。

 

「良し、探索は今度に回そう。松明を用意しなきゃな」

 

 遺跡探索のリスクを考慮しても、得られるものはあると思う。だから遺跡の探索を自分が行う事のタスクに追加しておく。そして今度は、遺跡から外れる道を進み始める。ここら辺は古代文明の名残があるから、山の中を移動しやすかったのだろうと判断する事にした。少なくとも太古の時代にはここは一度、開拓された場所だったのだろう、と思う。そして滅んでいるという事は、

 

「古龍がどっかにいたんだな、きっと……」

 

 それから時間をかけて再びこんな自然が戻ったのだろう。となると山を探せば旧文明の遺産を探す事が出来るのだろうか……? まぁ、この山自体が安全かどうかというのが理解できていないのだから、そこまで深く踏み込むような事はなるべくしたくない。そう考えながら遺跡から離れて行けば、今度は洞窟の入り口を発見する事が出来た。

 

 此方の方はちょくちょく洞窟が外に通じている事もあって、中は松明等を使わなくても明るいままだった。

 

 何せ、壁には水晶らしきものがびっしりと張り付いており、それが外から差し込んできた陽光を軽くだが反射し、洞窟内部を明るく照らしていた。ここの探索は松明を必要としなさそうだな、と思いながら深く踏み込むことを止めて、一旦洞窟を出る。

 

 そこで軽く背筋を伸ばし、青空を見上げる。

 

「ま、初日の探索はこんなもんか」

 

 今回は浅く探索し、地形を把握するのに務めた。今度はそれぞれの場所を本格的に探索し、そしてそれを理解する事を通して、自分にとって有用なものがなんであるかを把握する。そうやって少しずつ、少しずつこのサバイバル生活を良いものにしたい。少なくとも、今はまだ、蓄える時期だ。もっと強くなって、そして旅に出る準備をするのだ。少なくともどこかに、人の生存圏は存在する筈なのだ……それを、探しださなくてはならない。その前に旅をする為の準備を重ねるのだが、

 

 果たして、そうやって実際に旅に出れる様になるまで、どれだけの時間がかかる事なのだろうか……。

 

「うーし! 今日は平和に終わったし帰るかー! 良い日だったー!」

 

 帰りに軽くレモンベリー? みたいなのを摘んでから帰ろうと思った所で、空を山へと向かって飛翔する二つの姿が見えた。一頭は緑の甲殻をしており、もう一頭はどこか黒く変色した赤い甲殻をしていた。両者、その口にはアプトノスが銜えられており、それが空を滑空する様に山の上の方へと飛翔する姿が見えた。

 

 それだけならまだ良いのだ。

 

 問題はその赤い方の翼が、僅かに燃える様に見えていた事だった。

 

「辿異リオかー……ここ、G級区域だったのかー……」

 

 腕を伸ばした状態のまま、上を飛んで消えて行くリオレウスとリオレイアの姿を見送り、アレは見つかった瞬間デッドエンドの部類だよな、とサバイバルの厳しさを再認識しつつ、帰るために丘に向かった。

 

 フォロクルルに会って以来、段々とだが大型モンスターを見かけてもあぁ、うん、そっかー、みたいな感じで受け流せるようになって来た自分がいる。解ってる、解ってるのだ。自分の方が環境的には異物だという事だ。

 

 それにしても俺、試され過ぎではないだろうか……。

 

「フォロクルル、ジョー、辿異レウスとたぶん変種レイアかGレイアかなぁ、環境的に考えて……」

 

 どれもエンカウントの瞬間には死を悟るレベルの相手だ。そんなんじゃなくても未だにランポスを相手に生き残れるような自信はないのだから。その為にはやはり、強くなるしかないのだろう。素材を集め、武具を作り、生活を豊かにし、そして更に体を鍛える。

 

 今までも筋トレはしていたのだが、それでも前よりも量を増やす必要があるのかもしれない。少なくとも、のんびり強くなるなんて事を考えていると、あっさり殺されそうだ。何気にあの森林だって、常に安全かどうかに関しては不明なのだ。

 

 ある日、唐突にゴゴモアとかイャンクックとか、森をメインに生きる中型種が出現してもおかしくはないのだ。少なくとも翼があったり、登るだけの能力があるなら、あのツリーハウスにだって侵入する事が出来る。

 

 そう考えたら、鍛え、そして武器を用意する事は最優先事項の一つなのかもしれない。

 

「まぁ、どちらにしろ、段々と暗くなってくる時間だし早めに帰らないとな」

 

 呟き、夜が来る前に拠点へと帰るために走り出した。




 割とざっくりというか準ダイジェストの様に月日を飛ばしているのは延滞から見て数年というサバイバル生活を細かく描写した所で終わりが見えないからなのである。このサバイバル時代が経歴と育成期間である事を考えると、年単位での時間は欲しいけど余り細かく描写しすぎて尺を取りたくないという書いている人の事情もある。

 修行時代の長期描写はおなじみではあるが、ダレるのだ。等と言いつつ、次回は遺跡探索なのでまだ冬季は続く。
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