※この作品はR-18です。

Monster Survivor   作:てんぞー

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2年目 春季~夏季

 ランゴスタとクイーンランゴスタの脅威は去った。

 

 これで森林における最大の障害は消えた。花畑のフォロクルルはそのままノータッチだが、アレは蜜を食べていない時であれば基本的に温厚な竜だからそこまで恐れる必要はない。第一、アレは花畑から出てこないから心配するだけ無駄だ。だから森林エリアの安全を確保したという事実だけで十分だった。そしてそれによって漸く、一つの事に挑戦する余裕が出来た。ランゴスタがいると少々面倒で手が出しにくかったが、ランゴスタが消えれば話は別だ。消えた事を良い事に、ツリーハウス近くの開けた場所を開拓する様に斧や大剣を振るって整え、そして大地を斧で掘り返し柔らかくする。土壌そのものは既にあるのだという事は理解している。だから後はそれを整えるだけで、

 

「うっし、畑の完成!」

 

 額の汗をぬぐいながらツリーハウス近くの空間に作った畑を見た。少し不格好ではあるが、テレビや漫画で見る様な状態へと持って行く事が出来た。如雨露も遺跡の方で確保できたし、これでついに農耕を実践する事が出来るかもしれない。それに伴い、ツリーハウス近くにエルペを更に引き連れて来た。ちょっとした、サバイバー農場の解放だった。エルペたちはそこまで頭が悪くないので、農場に入るなよ? とちゃんと教えてあげれば、それを回避してくれる。ただその代わりにおもちゃを提供しなきゃならないので、

 

 ケルビの皮の中にムーファの羊毛を詰めて、それを丸くした毛皮のボールを、エルペの玩具用に作った。これを適当に転がして遊んであげると、滅茶苦茶喜んで、何時までもそれで遊んでいるのだ。これで農場に入り込まずに遊んでくれるので助かるし、雑草の類も勝手に食べて処理してくれるおかげで雑草の処理をする必要がなくなるので、楽だった。

 

「ふぅ、農業は足腰が鍛えられるって話だし、これはいいな」

 

 鍬代わりに使っている大斧を大地に突き刺し、息を吐き出しながら額の汗を再び拭う。春季もランゴスタを処理してからいい感じに時間が経過している。最初は樹海の方がランゴスタの処理と爆破で殺気立っていた為、しばらくの間は侵入する事が出来なかった。ついでに花畑もフォロクルルがランゴスタに対してガチギレしたご様子で、しばらくの間はランゴスタ相手に無双し続けるフォロクルルの姿が目撃出来た。だけど夏季が見えて来た今、その様子も落ち着いて来た。

 

 本格的に夏季に入れば、再び樹海や花畑に行けるのではないだろうか、と思っている。

 

 まぁ、その前にサバイバー農場の存在である。先にランポスの相手をしようかと思ったが、ランポスの相手は夏季に回す事にした。その代わりに、今はここで農耕の準備をしたかった。危険を排除する事ばかり考えていたが、それよりも安定した食事と栄養を補給できるようにする事が大事なのではないか? とランゴスタを排除した所で考えたのだ。

 

 実際、今の状況はどの季節にどこで何を取得できるか、というのを把握しているだけの状況だった。これは食事の安定供給から程遠い状態だった。社会文明の進化によると、最初のハンティング&ギャザリング―――つまり狩猟から始まり、それが農耕へと文明はシフトする。

 

 だとすると自分が次に目指すべきステージは農耕による食料の生産と安定供給ではないか? と思う。これは開始すると畑弄りに時間が取られる様に思われるが、それとは別に移動の手間を省くから今までの採取ツアー生活と比べると遥かに改善していると言える状況だ。

 

「とりあえず幾つか種はあるから、これを栽培できるようになれば生活が一気に楽になるんだよな……後はキノコもなんとか育てたいけど、あっちはマジで知識ねぇからなぁ……」

 

 ニトロダケの栽培が一番したいのだ。現状、戦闘用の消耗品でニトロダケの比率がかなり重い。何せ、クラッカーや爆薬等、お手軽にダメージを与える手段として利用できるのだから、どうしても使用数が増えてしまう。意識して抑えようにも、現状、爆殺するのが一番の攻撃手段になってしまう以上、どうしても数を消費してしまうのだ。

 

「まぁ、薬草とかアオキノコとか、ハンターが回復やドーピングに使うアイテムは育てる必要がない分、楽っちゃ楽なんだけどな」

 

 大斧に寄り掛かりつつ、自分が耕した畑を見た。何分、こんなことに手を出すのは初めてだから、これで正しいのかどうか全く判断がつかない。とはいえ、手を付けなければどこを改善すればいいのか、なんて知識も経験もつかない。結局のところ、どこかで実行して手を付けなきゃいけないのだからこれでいいと思う。

 

 ランポスの相手は次の季節に回す。

 

 今春季は畑の拡張と生産安定に当てようと考える。

 

「つっても、野菜の扱いってどうすればいいのか解らないんだけどな……」

 

 解りやすい野菜を見つければいいのだが、現状見つけたのはトマト、果実を幾つか等でどれも素人目にも栽培が難しそうなものだ。トマトは地中で育たないし、果樹に関しては長い期間を必要とするものだ。レタスやキャベツみたいなものを見つける事が出来れば話は変わってくるのだろうが……あとはじゃがいもだろうか? 結局、山でそういう野菜を見つける事は出来なかったから、今手持ちにあるものは、

 

「レモンベリーだけか? 植えられそうなのは。うわぁ、青野菜ないじゃん……」

 

 こうやって自分が食べている物を見ると、圧倒的不健康さを感じる。いや、でももうすぐ一年が経過するって状況の中で、まだ体調を崩していないからセーフなのでは……?

 

「な、訳ねぇよな。まぁ、とりあえず色々と拾ってみたものを育ててみるか……」

 

 まずはちゃんと育てられるのかどうかをテストしなければ意味がない。長期的に見て畑が機能するかどうかというのをテストしなければならない。幸い、テストで植えることの出来る物はある。後はそれがちゃんと育つのかどうか、日常的に手入れをしつつ確かめるだけだ。

 

 それと並行しつつ、山羊乳を使ってチーズの作成をしようと思う。

 

 実は拙者、チーズ大好き侍である。

 

 日本に居る頃はバイクに乗って色々とチーズを食べ回っていた侍でもある。好物はポテトサラダで、溶けたチーズをかけて食べるのが大好物侍でもあった。このモンスターハンター世界は超大型のチーズフォンデュが存在するから、こっちに来てからは何時かそれを食べる事を夢に見つつ原動力としている。だがそれはそれとして、

 

 完全に趣味の産物としてチーズ作りたい。

 

 牛乳じゃねぇけど山羊乳だし行けるだろ、という考えである。これがサバイバー式プロジェクトCheeseである。家庭用チーズの作り方なら頭の中にあるし、後はそれをこの環境で可能かどうかを試すだけという話だ。

 

 まぁ、ランゴスタという何時出現してもおかしくない鬱陶しい羽虫が消えたおかげで、ツリーハウスに留まって単純作業するという余裕が生まれ、こういう事も実行できるようになった。やっぱり、何時妨害されるか解ったもんじゃないと思うと安心して作業に移る事が出来ない。

 

 畑作り、チーズ作り。どちらも生活と趣味、心を潤す為の行いだ。

 

 張り切って挑戦する事にした。

 

 

 

 

「なんでだよおおお―――! 俺がなにをしたって言うんだよぉ―――! ふざけるなぁ―――! ふざけるなぁ―――!」

 

 言葉と共に目にトウガラシの入ったブルファンゴへと向けて鍬替わりの大斧を振り下ろした。太刀筋もクソもない、暴力的な一撃がブルファンゴの頭蓋骨を砕きながら顔面を半分に両断した。それを眺め、返り血を拭いながら見た、

 

 荒らされた畑の惨状を。

 

「畜生……ちくせう……ちくせぅ……」

 

 春季中旬に作った畑は、どこからともなくやって来たブルファンゴによって食い尽くされていた。ランゴスタが居なくなった事で探索が広がった樹海を抜けた先はなだらかな草原遺跡地帯だったのだが、なんとそこで野菜を発見する事が出来たのだ。そのいくつかを持ち帰り、そして畑に植えて少しずつ育ってきた姿を見ていたのだが、それが本日、夏季に近いこの頃、破壊され尽くしたのを確認した。

 

 原因となるブルファンゴは怒りと共に血祭りに挙げてやったのだが、まさか食料を求めて普段は踏み込まない森林にまでブルファンゴが入り込んでくるとは、思いもしなかった。エルペの方はしっかりと躾けた結果畑にちょっかいを出すような事はなかったのに。まさかの伏兵だった。

 

「あと少しで夏季が始まるって所でこれは痛いなぁ……」

 

 片手で頭を抱えつつ、荒らされた畑を見る。

 

 夏季、そして秋季は忙しい時期だ。経験上、夏季が()()()になる。つまりどの生物も繁殖のために活発化する季節であり、子アプトノスを狩りやすい時期でもあるのだ。草食竜の数が増えるので、それを狩猟したりなんなりで色々と蓄えを作る季節でもある。夏季、そして秋季は冬季に備える為の季節だ。冬季に入ると食料が著しく減り、そして収穫も出来なくなってくる。

 

 樹海を抜けた先で待望のキャベツを見つけた時は物凄く嬉しかったが、まさかそれがこんな形で全滅するとは思いもしなかった。

 

「夏季までにまたキャベツ畑に挑戦するしかない、か……後はブルファンゴ対策か」

 

 やはり柵が必要か、と理解する。ここまでブルファンゴが入り込んでくるとは思わなかったので、作らなかった自分も悪いのだが。ただブルファンゴが本気で突進してきた場合、柵を作っても簡単に突破されるだろうと思う。となると……堀でも作った方がいいのだろうか? 畑の周りの空間をぐるり、と掘って人間じゃなければ渡れない様にする……畑を拡張する時が恐ろしく面倒だが、おそらくは確実にブルファンゴを寄せ付けない手段になるだろう。

 

「だけどその前に再び樹海の向こう側へと行く必要があるかぁー……やだなぁー……」

 

 あそこはある意味()()()()()()()()()()()()()場所なのだが、あそこを縄張りにしている生物が原因で、一番近寄りたくないエリアとなってしまっている。キャベツを持ち帰ったのも実は割とぎりぎりなのだ。環境的にギリースーツは意味をなさないし、樹海を通り抜けなきゃならないから割と移動距離も大きい。だけどブルファンゴによって全滅してしまった畑を復興するには、あそこからキャベツを調達して来る必要があるのだ。

 

 割と真面目に、あそこに行くのは気が重い……だが作物を集めるなら向かわなくてはならない場所だろう……ちょっと、気が重い。まぁ、ランゴスタを突破した所であんな場所に繋がっているとは、誰も思わないだろう……。

 

「まぁ、そっちは夏季になりそうだな」

 

 春季の間は畑の再構築で過ごそう、そう決める。これを何とかすれば秋季と冬季と、生活が一気に楽になる筈だからだ。とりあえず、苦労は今のうちにする。これが後で自分の楽へと繋がる事を祈りつつ。まずは畑の再設計を行う。

 

 つまり、畑のサイズを測り、そして将来的な拡張を見越して掘を作るという事だ。今の畑を更に拡張する事を考え、一回りスペースを空けてから今度は斧を引きずる様にしてラインを引く。そして二メートル程間隔をあけてもう一本引く。つまり畑の周りの掘の距離を二メートルにする、という予定だ。助走を付ければ飛び越えられる距離だし、そうじゃなくても道具を使えば渡れる距離だ―――人間なら。

 

 ブルファンゴの様な畜生であれば、絶対に渡る事の出来ない距離の計算でもある。

 

 ついでにエルペ対策に柵を作れば、飛び越えようとする事もないだろう。

 

 そういう事で畑の周りのマーキングを終わらせたら、今度はスコップを作る必要がある。流石に穴掘りまで大斧でやるのは無理だ。簡単に加工できる材料は竜骨ぐらいだし、竜骨のスコップとかいう伝説に残りそうなものを作らなくてはならない。柵も間違いなく竜骨以外では作る事は出来ないだろうし、これはまたツタの葉とクモの巣を集めて来る必要があるだろう。その上で穴掘りだからかなりしんどい作業になりそうだ。

 

 とはいえ、地味にこの単純作業を最近、楽しめてきている自分がいた。

 

 

 

 

 春季が終わる。

 

 そして夏季がやってくる。

 

 春季の間に集中して作った畑の中身を再び確保する為に、行動に出る必要がある時が来た。やや憂鬱になりながらも、ランポスポンチョを装着し、腰に槍を数本、弓と矢をセットで装着し、最後に採取用の竜骨とケルビの皮で作った籠を背負った。最近理解したが、セッチャクロアリと竜骨の相性は抜群なのだ。まるでスーパーボンドでくっ付けたかのような安定感がある。おかげで最近の作成物は前作った物よりも遥かに強固になっているという自信がある。少しずつだがこの世界に順応している、という自覚はある。というかできないと辛い。コツは自分の知識を完全にアテにするのではなく、部分的にこっちの世界の不思議な生態や異常性を受け入れて利用する、事だと思っている。

 

 セッチャクロアリのおかげで最近の製作物は結構、悪くない出来だと思う。

 

 問題はその道具が足りなくなり始めている所なのだが。

 

 ともあれ、今回は樹海を抜けた先へ、野菜の収穫へと向かう予定だった。

 

 ランゴスタが大量に存在した巨木の周辺には奥へと進む獣道があるのだ。前はランゴスタが多すぎてとてもだが通れなかった場所だが、今ではランゴスタが9割程死滅した影響もあり、通る事に関する危険性がなくなっていた。故にカモフラージュの必要もなく、樹海を抜ける事が可能になっている。

 

 そうやって樹海を抜けると、今度は見える範囲全てが緑色の、草原地帯に出るのだ。正面その向こう側、更に遠くには山が、そして火山が見える。そこから視線を西の方へと持って行けば、遠くに僅かだがオレンジ色の建造物が見える。

 

 そう、建造物。

 

 つまりは()()()だ。

 

 丘近くの山エリアには神殿が存在した―――そして完全に自給自足で生活が出来る訳ではないので、どこからか食糧を運んで来る必要がある。つまり、都市が近くにあったのだ。この樹海エリアを抜けた先の草原エリアには、遺跡都市とでも呼ぶべき場所がある。それが草原西側に存在する場所だった。

 

 今回の目的地はそこだった。野菜を見つけてきた場所もそこではあるのだが、直ぐには樹海から飛び出す事はなく、樹海の端に沿う様に歩いて遺跡群へと向かって進むのだ。実はこの草原、少々やばい場所となっており、その中央を堂々と歩く事は自殺にしかならないのだ。その為、移動するのは樹海の端ぎりぎり、その上で逃亡用に小型サバイバー爆薬スペシャルを持ち歩いている。

 

 たぶんこれ、本当にエンカウントした場合、時間稼ぎにもならないと思うが。

 

 そんな事を考え、草原の方を警戒しつつ樹海に沿って移動する。どうやら、今回は運が良かったようだ。縄張り争いしている連中と一切エンカウントする事もなく、草原を通って遺跡群へと到着する事が出来た。

 

「ここはほんと生きた心地しねぇな……」

 

 ()()()()()()()()()()な草原を突破し、フィレンツェを思わせるようなオレンジ色の遺跡都市へと到着する。残念ながら此方は山の方の神殿遺跡とは違い、損傷の激しい建物が非常に多かった。痕跡から見て、どうやら経年劣化ではなく、竜か、或いは龍が激しく暴れたような、そんな壊れ方だった。此方は順当に龍によって滅ぼされた都市だったらしい。

 

 激しく崩れている家屋の中に見える物は、風雨に晒された結果、激しく劣化と損傷をしている。これを見ていると、神殿遺跡の方で拾えた道具の方が無事だったのは運がよかったのだな、と理解させられる。とはいえ、此方はレンガなどが落ちているのだ、場合によってはそれを材料として利用する事も考えられる。

 

 まぁ、それはともかく、この遺跡都市の奥の方へと向かえば、比較的大きな場所へと到着する事が出来る。屋敷ではないのだ。そこは古い時代の農場だったらしい。見つけた時は大分喜んだのだが、いかんせん、時間経過が長すぎたのか、残された作物がかなり少なかったのだ。

 

 つまり生き残ったのはキャベツだけだったのだ、ここ。

 

 壊れた柵の合間を抜けて農場へと向かえば野放しに育つ、大きなサイズのキャベツが見える。スーパーで見る様な市販サイズのそれよりも遥かに大きなそれは、それだけでも十分に食べられそうな物だった。というか食べたかった。どうやら異様に生命力あふれる様に環境に適応して育ったキャベツらしく、かなり大きい。花を咲かせており、そこから種を回収すれば、後はそれを自分の畑の方へと持って行くだけだ。

 

 この時、そのまま収穫して食べられそうなキャベツも探すのだが、一面に広がるキャベツ畑の中で食べられる状態のキャベツは残っていなかった。残念に思いながらタネを収穫できるだけしておく。そしてそれが終わった所で、必要以上にここに留まらない様に、サクサクと作業を完了させる。

 

 作業が終わった所で、即座に撤収作業に入ろうとした所で、

 

「―――!!!」

 

 空気に響くような咆哮と、直後に聞こえてくる破壊と爆裂の音に、また始まったのか、と白目になりそうになるのを何とか堪えつつ、素早く姿勢を低くし、家屋の影に隠れながら、ゆっくりと草原の方へと移動して行く。遺跡都市の端、草原への入り口。大きな残骸の裏に隠れながら草原の方で発生している動きを見た。

 

 草原の方で発生している動きは全部で三つだ。

 

 一つは巨大な恐竜の様な姿をした存在だ。その尻尾は剣の様になっており、体が通常のそれよりも二回り大きく、尖った宝石の様な甲殻をしている。赤熱化している尻尾はそれ自体が凶器で、触れたらたぶん、やけどでは済まないであろう事は解る。隠れていてもその恐ろしい程の熱量を感じ取れるのだから。

 

 もう一つは影すら残さずに高速で動き続ける白い影だった。動きが止まった、と思った瞬間には白と黒と赤の閃光だけを残像として残し、それによって一瞬で移動しながら空間に斬撃を刻み込んでいる。それに相対する二つの巨影はそれを察知するかのように対応しており、ありえない状況を認識させてくれる。

 

 最後の姿は美しい程の金色に輝いていた。ただ輝くのではなく、雷電を纏っている。金色に輝きながら炎と残像に対抗する様に放電し、それで動きを制限しながら自分の領域を確保していた。その存在が放つ雷がびりびりと空間に帯電し、戦場全体に雷による牽制を行い、爆滅の炎と反応し、空間に雷撃と爆炎を無差別に発生させていた。

 

「出たよ、二つ名三兄弟……」

 

 《燼滅刃》ディノバルド、《白疾風》ナルガクルガ、そして《金雷公》ジンオウガ。

 

 どれもゲーム的には二つ名という特殊な称号を得ている、携帯機に出現する特異個体だった。通常のものとは違い、特異な姿と生態を見せ、それでいて通常のものを遥かに超える力を発揮するのが二つ名持ちモンスターだ。

 

 お前らなんで草原で争ってるの? 縄張り争い? お願いだから相打ちで死んで。

 

 心の底からそう祈る戦いなのだが、この三頭、適度にダメージが入り出すと、戦闘を長引かせずに撤退に入るのだ。お前ら戦うのなら最後まで殺し合えよ。心の中で全力で叫んでも、二つ名持ち三頭はしばらく戦闘を続けると、どこかへと去って行く。

 

 その姿はまるで軍事演習を繰り返し、何かを威嚇しているかのようにも見える……。

 

「二つ名三種が縄張りにしている草原とかどこのデスゾーンだよ……」

 

 早く帰りたい。心の底からそう思いながら、二つ名持ちが消えたのを確認してから帰路へと急いだ。この夏、やる事はまだまだたくさんあるのだから。もう、この草原には二度と戻って来たくはなかった。

 

 帰ったら花子に癒されよう。ボールで遊んで癒されるのだ……。

 

 自分にそう言い聞かせ、一切警戒心を下げる事無く帰還した。




 ついに完全なる2年目。樹海を抜けた先は地獄だった……。

 という訳で農業を開始&失敗。チーズの作成にも失敗。そう簡単にやろうとしても道具も説明も設備がないのなら失敗して当然なのだ……とはいえ、チーズ食べたい……食べたくない? 夏季の目標はランポス討伐。果たしてうまくいくかなー?
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