※この作品はR-18です。

Naked Desire〜姫君たちの野望   作:右野向左衛門

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#15

なぜこのような経営形態をとるのか、答えは簡単だ。何か問題が起こった時、本社は

「この問題を起こした○○(会社名)は○○(グループ名)の傘下にある会社ではあるが、我々は「持ち株会社」であり、○○株式会社の株式を保有しているだけに過ぎない。よって我々(持ち株会社)は経営方針には一切口を挟んでおらず、この問題の当事者ではない」

とかなんとか言って、合法的に責任逃れをするためだ。持ち株会社経営陣は責任逃れのために、ありとあらゆる手段を駆使する。政治家、貴族、皇族に泣きつき、メディアや学界重鎮を懐柔する。それでも騒動が収まらない場合は、裏社会のつながりで、こっそりと重要人物を始末する。こういうケースはこれまでも多数あったが、悪質さはこの会社が上だろう。

「この会社ってさ、労働組合あったっけ?」エグムントが尋ねる。

「あるよ。いちおう神聖ユーベル=プレアガーツ労働組合総同盟に加盟している」

私が彼の質問に答えると

「ああ、あそこの労組は典型的な御用組合だからね」

フリーダが発した声には、明らかにイライラした感情がこもっていた。

現在、我が国には全国規模のナショナルセンター(以下NC=労働組合の中央組織)が4つある。

・国内で「同盟」と呼ばれ、政治面では民主社会党(DSP)の路線を支持し、同党の政治家を支援する神聖ユーベル=プレアガーツ労働組合総同盟

・国内では「民主労連」と呼ばれ。政治面では社会民主党(SDP)の路線を支持し、選挙も同党の候補者を支援する神聖ユーベル=プレアガーツ全国民主労働組合連合

・国内では「労連」と呼ばれ、政治面では人民民主党(CPJ)を支援し、選挙では同党の候補者を支援する神聖ユーベル=プレアガーツ労働組合連合

・国内では「中立労組」と呼ばれ、政治面ではどの政党とも距離を置き、純粋に労働環境の改善に重点を置くが、選挙では明確に「反右翼・反復古主義」を掲げる候補者を支援する神聖ユーベル=プレアガーツ中立労働組合連合

国内最古のNCである神聖ユーベル=プレアガーツ労働組合総同盟は、結成当初こそ純粋に社民主義を志向していたが、時代の流れと共に徐々に右傾化・御用組合化していった。他の3つのNCは同盟の路線に反発した労組が、同盟から分離・独立して結成されたNCだ。だがこれらのNCも、結成当初から比べると、右傾化が進んだと囁かれているのだが。

だが「同盟」の最大の問題点は、本来の労組の目的である労働環境の改善には全く興味を示さず、「労使協調路線推進」の名の下、経営陣と一体となって労働者を迫害しているところにある。本来は希望者が自主的にやるべきはずの、会社行事への参加強制。総選挙時における、DSPへの投票強要並びに、DSPから出馬した立候補者事務所での選挙運動強要、等々。もちろんこれに反対する組合員は多いが、人事面での報復を怖れて口を閉じている。下手をすれば、自分がリストラの対象になる。そうなれば、今自分が所属している階層から転落するのは確実だ。そうなったら、よほどの運とコネに恵まれない限り、再浮上は難しくなる。

「おまけに今の同盟幹部は、保守反動団体との付き合いを密にしているらしいし」

額に手を当てながら、私はぼやく。

「マフィア幹部との付き合いもあるという噂は、ちょくちょく聞きますな。労組を名乗る団体としてはいかがなものか」

苦虫を噛み潰したような表情で、書記官長がうめく。

「ネット上には、マフィア幹部と一緒に撮影された「同盟』幹部の写真が、あちこちに転がっている。だが当人にそれを突きつけても、やれ『合成だ』だの『人違いだ』だの『他人のそら似』で片付けられ、しらを切られる。メディアも報復を怖れて、取材に動かない」

右手人差し指で机をコンコンと叩きながら、しかめっ面でエグムントがつぶやく。

「資金面の流れはどうなっている?そこから後略できないか?」と私が尋ねる。

「難しいわねえ・・・」そうつぶやくフリーダの声は、怒りで震えている。自ずと表情も険しくなる。

「『同盟』は、金融系企業の労組を傘下にしている。これらの企業の上層部は経営陣と癒着している。執行部ともつながっているとみていいね」

「じゃあ、この会社の労組も、金融系労組と密接なつながりがあるということ?」

エグムントが尋ねる。

「あると思って間違いない。というより、それが常識でしょ?」冷ややかな口調で、フリーダが応じる。

「労組のことは今はさておき」私が口を挟む。「今の最重要課題は、この一族の爵位授与を阻止することよ」

「ツッコミどころは沢山あるが」エグムントがため息をつく。

「一つ一つ証拠を積み重ねても、彼らは事実だと認めない。両陛下も叙爵の意思を翻さないだろうね」

「その可能性は、ほぼゼロと思った方がいいわね」フリーダも言葉を継ぐ。

さてさて、この問題はどう片付けるか?

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