※この作品はR-18です。

Naked Desire〜姫君たちの野望   作:右野向左衛門

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#6

目の前に現れたサーベルとキャサリンの怒声に、罵り合いに夢中になっていたルイーゼと オルガは、あっという間に黙り込んだ。キャサリンは、私たちよりも1歳年上だが、誕生日の関係で学校では同学年だ。この怒鳴り声も職務というより、年長者としてみていられないと思ってあげたのは、私たちにもすぐにわかった。

「いくつだよお前ら!!」

2人は顔を下に向いたまま黙り込んだ。もちろん、その視線をキャサリンにも向けない。

私も、どうしたらいいかわからずおどおどしていた。

キャサリンはしばらくの間2人を睨めつけていたが、やがて深いため息とともに、視線を私に向けた。

「エルヴィラ」

険しい表情で、キャサリンは私に問いかけた。

「ハイ先輩」

こういう状況になったら、素直な後輩としての態度を見せるに限る。そう判断して私は返答したのだが、それでも彼女の怒りはおさまらなかった。

「素直な態度を見せればいいってもんじゃないでしょうが」

まずいなあ。まだ怒っているよ先輩。そっと視線をキャサリンに向けると、彼女は口をへの字に曲げていた。目も据わったままだ。

「この屋敷の主人は私じゃない。お前だろ、エルヴィラ?」

「ハイ」

「だったら、もっとしゃんとしろ!お前がこんなだから、ルイーゼもオルガもお前に舐めた態度をとるんだろうが! 」

私の態度を「情けない」ととったキャサリンは、まだ身体を震わせている。

「すいませんでした先輩」

「大人げない態度をとったのは自分です。エルヴィラは悪くない。叱るのなら自分を叱ってください」

キャサリンのただならぬ様子を察したルイーゼとオルガが、気落ちした声音で謝罪する。

「2人とも、いつまでもその関係を続けていると、取り返しのつかないことになっても知らないぞ」

目を細めたまま、勘弁してほしいという気持ちを声音にこめ、キャサリンは諭すような口調で2人に声をかけた。

「もういい。2人とも準備して」

彼女がそう告げると、2人は彼女に深々とお辞儀をし、自分たちの部屋に向かった。その間食器は全て片付けられ、テーブルの上には何もない状態だ。

ダイニングにメイドたちがいないのを確かめ、キャサリンは再び私に視線を向ける。そして静かに、私が立っている場所に歩を進めると、静かに私の隣に立った。

「ねえマリナ」

私は情けなさで何も言えない。

「この屋敷の主人はあなたなのよ。あの2人には、もっと強く出てもいいんだからね」

囁くように私に語りかけると

「このままでは遅刻してしまいます。殿下も早く準備してください」

私も切り替えますから、殿下も自分の立場に戻ってくださいといいたげに、キャサリンは私に語りかけた。その顔つきは、すでに「先輩」から「私付きの武官」に戻っている。

私は彼女に会釈して、自室に向かった。

部屋の時計を見ると、急いで準備して屋敷を出ないといけない時間だ。私は心の中で、オルガに対する不要な発言のせいで、こんなに遅くなってしまったのだと後悔した。

大急ぎで部屋着から、上下が紺のパンツスーツに着替える。薄く化粧をしてアクセサリーをつけ、リップクリームをつけたところで……私の身体を、異変が襲った。

朝起きたときからあった違和感。それが私の宿痾である事を悟った瞬間、私はうつ伏せでベッドに倒れ、激しく咳き込んでいた。ゼーゼーとした呼吸は、喘息発作が起きたことを示していた。うつ伏せになったまま、私は左右に上半身をくねらす。咳が落ち着いたところを見計らい、私は吸引薬を吸い込むと、そのままベッドに仰向けに倒れた。

症状はまだ治まらない。私は上半身を右に向け、目を閉じて症状が落ち着くのを待った。

この状態を誰かに見られたら厄介だ・・・そう思った刹那、誰かが私の部屋のドアを突き破るがごとく、音を立てて開いた。

「マリナ! 」

「お姉様! 」

「殿下! 」

私が激しく咳き込むのをきいたのだろう、ルイーゼ、オルガ、キャサリンが血相を変えて私の部屋にやってきたのだ。

「しっかりしろ!大丈夫か?薬は? 」

険しい表情で、オルガが私に呼びかける。幸いなことに、その頃には症状は落ち着いた。

「うん大丈夫……吸引薬は吸引したから、症状は出ないと思う……」

「薬は持って行った方がいいわよ、お姉様」

不安げな表情で、妹が私の表情を窺う。私はこくりと頷いた。

私が上半身を起こすのと同時に、カバンにしまっていた端末の着信ブザーが鳴った。ロックを解除してアプリを立ち上げる。皇太孫様からメッセージが来ていた。

「準備できた? 」

「これから出かけるところ。妹たちも一緒」

と、返事を送り返す。そうだ。聞いておきたいことがあった。

「夕べ、宮殿内にあいつらが来たというのは本当ですか? 」

その問いに対する返事はすぐに来た。向こうも想定していたのだろう。

「来たよ・・・で、夕べそいつの息子とヤッた。全然気持ちよくなかったよ……」

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