※この作品はR-18です。

玄界に迫る欲望の牙   作:ユンケ

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こうして大規模侵攻は終了する

 

「新たに門発生!数は……え?!ご、50を超えています!」

 

ボーダー本部の作戦司令室にて、本部長補佐の沢村響子の悲鳴に近い声が室内に響き、それによってその部屋にいる全員が驚きを露わにする。

 

「50だと?!何故それ程の門が開く?!」

 

「アフトクラトル以外にキオンも攻めてきたのか?!」

 

開発室室長の鬼怒田や本部長の忍田が驚きを露わにするが、それは間違いだ。

 

キオンは攻めておらず、攻めてきているのはアフトクラトルだけだ。ただし兵力は4大領主の2人が持つトリオン兵と桁違いなだけである。

 

しかし悪いニュースはそれだけではない。

 

『本部!こちら東!南部に現れたトリオン兵は我々を無視して市街地に向かっている』

 

『こちら風間隊。東部に現れたトリオン兵は全て市街地に向かっているので本部にいる隊員の応援を求む』

 

『こちら玉狛第一の木崎、西部のトリオン兵は市街地に向かっている。このままだと市民から犠牲者が出ると判断されるので応援を求む』

 

次々に本部に増援を求める声が入ってくる。

 

「いかん!このままだと市民に被害が出て、ボーダーの信用に関わる!」

 

メディア対策室長の根付は悲鳴のような声を出しながら頭を抱える。

 

「東部地区にて、トリオン兵の一部が警戒区域を突破!南西地区、南部地区も危ない模様!」

 

沢村の声に忍田は歯軋りをする。状況は控えめに言っても最悪だ。既に正隊員は5人拉致されて、南西部で市民の避難誘導をしていたC級隊員約40人も全て拉致された。

 

敵の規模からしてこのままだと4年半前の大規模侵攻より遥かに大きな被害となるのは火を見るより明らかだ。

 

「冬島!今直ぐ本部にいる正隊員をワープで警戒区域と市街地の境界に送れ!現場にいる隊員はやられない事、トリオン兵を食い止めることを優先して動け!」

 

『了解!』

 

普段はのんびりした態度を取る冬島も真剣な表情になる。それと同時に……

 

『忍田さん!』

 

未来視のサイドエフェクトを持つ迅から通信が入る。

 

「迅か?!どうした?!」

 

忍田は迅の助言に僅かな希望を持ちながら問い返す。

 

『敵の目的がわかった。連中は……』

 

すると何故か迅の声が聞こえなくなった。

 

「どうした迅?!何があった?!」

 

「わかりません!何故かボーダー基地全体のシステムがダウンして通信が出来ません!」

 

「何じゃと?!」

 

鬼怒田は焦りながら手元のコンソールを弄るも反応は一切ない。あたかもシステム全体を何者かに支配されたかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻……

 

「いやー、物は試しにやってみたが上手くいって良かったぜ」

 

ボーダー基地の内部の階段にて、エドはそう呟くと隣を歩くナインも頷く。

 

「だな。まさか旦那のトリガー、玄界の基地すらも支配できるとは俺も思わなかったぜ」

 

そう。現在ボーダー基地のシステムは全てエドの黒トリガー『紫電の鏃』に支配されているのだ。エドとナインがボーダー基地に浸入する直前、ディーゴが「旦那の黒トリガーを使えば玄界の基地も支配出来んじゃね?」と言ったので、試しに基地の壁に鏃を打ち込んだ結果、ディーゴの予想が当たり基地のシステムを支配する事に成功したのだ。

 

そんな訳で支配に成功したエドは監視カメラと外部への通信を遮断して堂々と歩いている。仮に見つかっても通信システムも支配しているので見つけた人間以外に自分達の居場所が見つからないし、見つけた奴についてもエドとナインが制圧出来るから問題ない。

 

「さて……この階に俺とディーゴが気に入った女がいるんだったな」

 

言いながらエドは玲から借りたボーダー専用の端末を操作してターゲットの顔を見る。そこには綾辻遥、三上歌歩の顔と名前が表示されている。

 

「ああ。だから旦那はこの階を頼む」

 

「じゃあナインは2つ上の階な」

 

言いながらエドはナインに端末を見せる。そこには氷見亜季、国近柚宇、月見蓮、橘高羽矢の顔と名前が表示されている。

 

「任せろ旦那。絶対に拉致してくるぜ」

 

「当然だ。それと時間に余裕があったら他の女も拉致しろ。ただし最優先は始めに拉致すると決めた女だからな?」

 

「はいよ。じゃあまた後でな」

 

ナインはそう言って階段を上り始めたので、エドはそれを見送ってから担当する階の廊下を歩く。

 

暫く歩いたエドはある作戦室の前に立つ。

 

「ここはディーゴのお気に入りがいる部屋だったな……『開け』」

 

エドがドアにそう指示を出すと、ドアは開く。『紫電の鏃』に基地のシステムを支配された以上、ドアはエドの命令に逆らう事は出来なかった。

 

ドアが開くと同時にエドはズカズカと部屋の奥に進むと……

 

「え?!ひ、人型近界民?!」

 

ディーゴのお気に入りーーー三上歌歩が驚きの表情で見てくる。そんな彼女に対してエドは自身の周囲に鏃を浮かばせて……

 

「『紫電の鏃』」

 

歌歩に放つ。戦闘員でない歌歩に回避出来る筈もなく鏃が身体に打ち込まれる。対する歌歩は席から立ち上がり逃げようとするも……

 

「『逃げるな』」

 

「な、何これ?!動かない?!」

 

エドがそう言うと歌歩は動けなくなりその場に留まる。それを確認したエドは歌歩に足払いを掛けてからお姫様抱っこをするとセベルに通信をする。

 

「セベル、1人目確保成功」

 

同時にエドの前に門が現れる。門の向こうには文香や千佳、キューブとなっている雛鳥が見える。今エドがいる場所と繋がっているのはエドの遠征艇の倉庫となっている。玲以外の攫った女や雛鳥は全員ここに置かれている。

 

「や、やだ!離して!離してくだ『抵抗するな』な、何で?!」

 

それを見た歌歩は顔を青ざめながらエドの腕の中で抵抗をするので、エドが抵抗するなと命令して動きを止める。

 

「諦めろ。お前は俺達の物なんだよ」

 

言いながらエドは歌歩を門の中に放り投げる。同時に門が閉まる。また遠征艇の倉庫の入り口には厳重な鍵がかかっているので、歌歩はもう二度と玄界へ戻れないということを意味している。

 

「さて……次は俺の愛人候補の女を捕まえないとな」

 

そう思いながら作戦室を出ようとした時だった。部屋の奥からドサっと音が聞こえたので部屋の奥に行ってみると、1人の好青年がベッドの上に倒れていた。

 

「(こいつ確か……ラービットとマトモにやり合えた男の1人だったな)」

 

そう思いながらエドが見ていると、好青年ーーー歌川遼もエドに気付き……

 

「ひ、人型?!何故ここに?!」

 

驚きを露わにする。市街地に押し寄せてきた大量のトリオン兵を迎撃している内に遂にトリオンが切れてベイルアウトしたかと思えば、目の前に人型近界民がいるのだから当然と言えば当然と言える。

 

「色々あってな。とりあえずお前もハイレインちゃんの手土産としてアフトクラトルに連れて帰るからな」

 

「かっ……!」

 

言うなり、エドは瞬時に歌川との距離を詰めて首に手刀を当てて気絶させる。『紫電の鏃』はトリオンにしか効果が無く、生身の身体に当てても意味がないからだ。

 

歌川が気絶したのを確認したエドは歌川の身体を触ってトリガーを強奪する。

 

「セベル、男の兵隊の捕獲に成功」

 

セベルに通信をすると再度門が開く。今度はさっきとは違う倉庫に繋がっていて女子は居なかった。どうやらセベルは男女は別々の倉庫にわけているようだ。

 

そんな事を考えながらエドは歌川を門の中に入って床に横たわらせる。すると門が音を立てて閉まる。つまりエドにとってもうこの作戦室には用がない事を意味する。

 

「さて……次こそ俺の愛人候補を捕まえないとな」

 

エドは愛人候補として側に置くつもりである綾辻遥の事を想像しながら風間隊作戦室を後にして、彼女がいる場所ーーー嵐山隊作戦室の前に立つ。

 

 

「さてと……『開け』」

 

エドがドアにそう指示を出すと、風間隊の作戦室同様ドアは開く。

 

ドアが開くと中にいた女子ーーー綾辻遥は目を見開く。

 

「え?!な、何で人型近界民が?!」

 

「そりゃ侵入したからに決まってるだろ。あ、それと他所と連絡が取れないのは俺の仕業ね」

 

そんな風に返すと遥はキッとエドを睨む。予想以上の鋭い目にエドは興奮する。

 

「おいおいどうしたそんなに睨んで」

 

「藍ちゃんを返して……!」

 

「いや藍ちゃんって誰だか知らないし……まあもしも俺が拉致した中にいるとするなら返すつもりはないな。それより……」

 

言うなりエドは瞬時に遥の近くに寄り、抱き抱える。

 

「ちょ、ちょっと何するの?!」

 

「いや。単にアフトクラトルに連れて帰って俺の愛人にするだけだ」

 

エドがそう言うと遥は顔を青くしてビクンと跳ねる。まさかこんなところで愛人にするなんて言われるとは思っていなかったのだろう。

 

「い、嫌っ……!離して!」

 

遥は抵抗するも後方支援担当である以上、抵抗は幼くエドの動きを止める程ではなかった。

 

「却下だ。セベル、俺が捕まえる相手は全部捕まえたから門を開け」

 

セベルに通信をすると3度目の門が開くのでエドは遥を抱き抱えたまま門をくぐる。

 

するとそこにはナイン以外の4人が居て、エドの腕に抱き抱えられている遥を舐め回すように眺める。

 

「おっ、直で見ると良い女だな。旦那、1回で良いから俺も犯して良いか?」

 

「ひいっ!」

 

ブラッドがそう口にすると遥は震えだす。しかしエドは首を横に振る。

 

「却下だ。こいつは俺の愛人枠に置くつもりだ」

 

エドは遥を女子を入れている倉庫に入れながら却下をする。

 

「ありゃ残念」

 

「それよりナインはまだ帰ってきてないのか?」

 

「ああ。でも目標4人の内、3人は拉致したしもう直ぐだろ?ちなみにナインも基地にいた男の兵隊を3人捕まえていたぞ」

 

「おっ、予想外の収穫じゃん」

 

エドは内心喜びの感情を持つ。ハイレインへの手土産を考えたら悪くないだろう。

 

そこまで考えていると……

 

『最後の標的も拉致成功したから門を開けてくれ』

 

ナインから通信が入る。するとセベルが『窓の影』を使用すると視界の先に門が生まれ、ナインが女子を抱き抱えながら帰ってきた。見るとナインの腕に抱き抱えられているのはナインのお気に入りーーー氷見亜季だった。亜季は絶望した表情を浮かべていた。その事からナインから結構脅しを受けていたのがわかる。

 

「お疲れナイン」

 

「ああ。とりあえずこれで基地の侵入作戦は終了だな。俺はこの子を自室に置いてくる」

 

言うなりナインは亜季を連れて自室に去って行った。

 

「さて、大分女も雛鳥も拉致したし帰るか」

 

「待て旦那。俺が目を付けている幼女がいないんだが」

 

ディーゴはモニターに映る映像を血眼で探すが、目を付けていた幼女ーーー黒江双葉が見当たらないのだ。

 

もっとも彼女は自分の隊長とドライブに行っていたので九死に一生を得たのだが。

 

「居ないものは仕方ないだろ。金の雛鳥を壊れるくらいに犯してろ。てかそんなに幼女を抱きたいならハイレインちゃんに幼女を売ってくれるように頼んでみるか?」

 

「是非頼む!」

 

そんなやり取りをしているとナインが部屋から戻ってくる。

 

「旦那、そろそろ本国に帰ろうぜ。俺早くあの子を抱きたい」

 

ナインが亜季を抱きたい気持ちを伝えてくるのでエドは考える。女は大分拉致したし、雛鳥も拉致に成功。挙句に金の雛鳥も手に入ったし遠征としては大成功だ。

 

モニターを見ると一部には女が映っているが、全員ラッドがいない場所や『窓の影』のマーカーがない場所に居て、拉致するには大きく時間がかかる。

 

その事を踏まえてエドは……

 

「そうだな。これより本国に帰還する。セベル」

 

エドがそう言うとセベルは頷き、コンソールを操作する。それによってゴゴゴッと微かに揺れて動く気配を感じる。

 

「さて……これにて俺達の遠征は終わりだ。各自本国に戻るまで自由に過ごしてくれ」

 

こうしてアフトクラトルのスチューレン家の指揮する遠征は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

アフトクラトルの遠征艇が発進してから2時間後、ボーダーは全てのトリオン兵の排除に成功した。

 

しかし数の暴力によって三門市は壊滅に近い状態となった。

 

民間人   死者 1069名

      重傷 2578名

      軽傷 395名

 

ボーダー  死者 0名

      重傷 0名

      行方不明者 186人(内171名がC級)

 

近界民 死者 0名

    捕虜 0名

 

 

結果として第一次大規模侵攻の軽く5倍以上の犠牲を出して第二次大規模侵攻は幕を閉じた。

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