しばらくして、奴隷民たちは5人によって捕縛された。サーヴァント対人間じゃあ不利に等しいので若干罪悪感はあるが、それも生きるために仕方ない。
あとで解いて解放しよう、うん
「これで全部かな?」
「とりあえずは、な」
ということはまだ居るってことになるけど、警戒しとけってことなんだと思う。とは言っても俺は人間だから警戒しても気配が全くわからないので警戒しようがない。とりあえず後ろはマシュに任せている。
マシュが一番信頼と絆と安心感があるからだけどね
「何かいる?ギルさん」
「は?」
『そうさな、近くにサーヴァントらしき気配がある。マシュ、お前もサーヴァント見習いならばしっかり主人を守れよ?』
「…おい」
「はい、ギルガメッシュさん!あ、私も先輩と同じくギルさんと呼んでもいいですか?」
『本来なら許されないが、まあいいだろう。雑種とマシュのみ許す。他は認めん』
「おいと言ってる貴様ら!」
途中途中入ってきてはコンタクトとろうとしていたギルガメッシュ。とても不快気に、そして自分の知らない所で名前が変わってることに対しての苛立ちから俺達を呼び止めた。対応はギルさんがしてくれるみたいだった。
『何だ、若い我』
「なぜ貴様が『さん』付けされている!納得いかん!」
『たった今さっき決まった。貴様が戦ってる最中にな』
「なっ!?」
苛立ちの不愉快感と驚きが隠しきれないほど衝撃を受けたギルガメッシュ。こっちを見て睨んできた。俺はビクッと震えて目をそらす。
「雑種、答えよ」
俺のとこに来るのかぁ…
「しょ、正直に答えたらいいですk」
「当たり前だ!」
デスヨネー…
勇気を言葉に深呼吸してから言った。
「先に召喚されたギルさんも後から召喚されたギルガメッシュもどちらも同じです。しかし、どちらに対しても名前で呼ぶと振り向いては言わないといけないじゃないですか。それが少し疲れてしまうから、それなら名前を呼びやすいように呼びたいと言ったところ許してくれまして、それでさっき決まったのですが……」
「貴様らぁ…!!」
怒られるのかなとビクビクしながら少し身構えていると。
「雑種!!」
「は、はい!!」
「我にも付けろ!」
「へ?」
俺のポカーン顔はみんなにも伝染した。ギルさんは予想通りだなという感じで小さく鼻で笑った。
「老いた我には付けてこの我に付けぬなど、串刺し刑よ」
「ヒッ…」
「……老いた我と我の名は確かに同名だ。しかし、だ。老いた我には二つ名があるというのに、我にはないのは不公平だ」
「つ、つまり……自分に二つ名がないことが不満でつけて欲しくて駄々をこねてる?」
「あ"?」
「す、すみませんでした!!」
図星なんだろうけど目で威圧と言葉で圧倒されて逆に謝ってしまった。シュンとしていると、ギルさんが仕方ないヤツだというようにギルガメッシュに言う。
『貴様、それが人に物を聞く聞き方か?」
「なんだと?」
『貴様のそれは脅しだ。そんなことでは逆に言ってもらえないぞ?…まあ?我の方が若い我と違って『優しい』からな?貴様は威圧と圧倒して従わせることしか考えれぬだろうが、そんなことでは雑種はついてこない。もっと言えば、我との差を縮めるどころか大幅に伸ばすことになる。逆の立場ならばそれは、我とて同じこと。しかし、我は貴様のように王として威圧と圧倒で従わせることをせず雑種をマスターとして考えて堅苦しい敬語も呼びやすい名も雑種の好きなようにさせているのだ。マシュは名だけだがな』
ギルさんがギルガメッシュに言い放った言葉は、俺でもわかる煽り方をしていた。ギルガメッシュは気に触るような言葉を連発されて苛立ちが増している。
「私は皆さんに対して敬語を外す事はありません。それは先輩だけじゃないということです。ですので、それこそ平等だろうと思ってます」
『マシュが敬語じゃないところも見てみたいとは思うけどねぇ?』
マシュはこの空気に反さない言葉選びでギルさんの言葉に自然と答えていく。
ダ・ウィッチちゃんの言葉は危なかったけど…
「雑種!!」
「はい!」
「貴様が我に頭を垂れるところを見るのは見ていて愉快だが、アイツに何かわからんが負けた気分だ。よって、貴様も老いた我のように敬語を使わんでいい。名も代えろ!アイツに負けない名にしろ、いいな!」
「はい!…あ、じゃなくて…、わかったよ『ギル』」
「………!」
敬語の返事を使って一瞬ギロッと見られたので小さめに自分にツッコミを入れつつ敬語を外した。ギルガメッシュの名前を省略し『さん』付けをやめて呼び捨てにしてみた。一瞬驚いたようにも見えた。周りは俺の言葉とギルガメッシュの顔を交互に見ながら見守っている。オジマンディアスはこの状況でも何か考えてる顔をしていたけど、今はそれどころじゃない。
咄嗟とはいえ仮にも英雄王につける名前じゃないけど、どうなんだろ…?ギルさんも英雄王に代わりはないけど、まだ呼び捨てじゃないだけマシ…。うぅ、沈黙が怖い……
沈黙と緊張が張り詰めた状態が少し続いて俺の胃が痛くなってきた頃、肩震わせ頭を下げてなにかに堪えるように黙る。
あ、これ…終わったわ…
そう思った瞬間。
「フハハハハハハハハハハハハ!!!」
突然大声で笑い出した。何事かと思って改めてギルガメッシュを見ると顔を上げてお腹を抱えて笑っている。
そんなに……?なんか変な事言ったっけ??名前呼んだだけだよ??
混乱して思考停止しそうにってなる展開に俺はきょとん顔してる。
「良いではないか!呼び捨てか、悪くないな。響きがいい!雑種のみ許す!エレキドゥ以来の友ができた、友はアイツだけだと思っていたが雑種に言われるとは思わなかったわ!」
「そ、それはよかった。じゃあこっちからもお願いしてもいい?」
「なんだ?」
周りも俺もホッと一息。それから俺はギルにこんな提案をしてみる。
ナチュラルにギルガメッシュからギルに変わってるけど、これからギルって呼ぶね!許されたから♪
「友だと思ってくれるなら、時々でいいから俺の名前を呼んでくれないかな?その方が嬉しい」
ギルに向けてニコッと笑いながら言う。何を思ったのかギルが少し顔を赤くした。顔をそらして「うむ…」とだけ。
………?
『話はまとまったかな?』
「あ……」
「ん?」
一瞬、オジマンディアスの声が聞こえた気がして見ると何かを諦めるように手を下ろしている。
「オジマンディアス王、何かありますか?」
「……!」
俺がオジマンディアスに声をかけた。次はオジマンディアスの件になるけど、みんな先に進みたいのに待たせれてため息をついてる。
「みんな、ごめんね?さっき俺がなってたのに今はみんなが疲れてるよね…。オジマンディアス王が何か言いたそうな顔してたから、聞いた方がいいかなって思ったんだ。疲れたら座っててもいいよ?それか捕まってる人たちの見張りや、まだこの近くに誰かいるならその人を警戒するでもいい。俺がさっきみんなが頑張ってる中、オジマンディアス王とそういう話をしてたからさ。心が決まった顔してるから早めに聞いておこうと思って。みんな、ダメかな?」
苦笑いでみんなに聞く。みんなは顔を見合わせて苦笑いしながらため息。代表としてマシュが言う。
「先輩が決めたのであれば私は大丈夫です。私は先輩の専用サーヴァントです。マスターを守るのが私の使命です。ですから、先輩は決めた方針で進めてください。先輩はサーヴァントと違い警戒したくてもできませんから、それなら私達が警戒して先輩の代わりに見てます。だから、安心して下さい!」
それを聞いて後ろを振り向き、よしよしと頭をなでながら「ありがとう」と伝えた。マシュは顔を赤くして「はい…」と答えた。振り返ってみんなを見るとマシュに同意見という感じで話がまとまっていた。ギルさんもダ・ウィッチちゃんも許してくれた。まとまった所で、改めてオジマンディアスに向き直る。
「オジマンディアス王、もう一度聞きます。何かありますか?」
「単刀直入で言う。良いな?」
「はい」
オジマンディアスはこんなこと今まで考えたことがないのか心を落ち着かせるように深呼吸してる。それから心を決めたように真面目な顔つきで、しかし緊張しながら言葉を告げる。少し口元が震えてるようだ。
「余にも敬語はいらん。ニトクリスに何か言われるやもしれん。その時は余が許可したと伝えろ。そして、名なのだが貴様に任せる。演」
「……、うん。わかったよディアス」
「ディアス…。うむ、これをもって余が朽ちるまでその名で呼ぶことを許可する」
「よろしく、ディアス」
ニコッと笑うとディアスからこっちへ来た。なんだろうと思っていると、ディアスが片膝屈し俺の手首を掴んでディアスの頭の上に置いた。撫でろと言われてる気がして恐る恐る撫でると、なんだか嬉しそうだった。みんなも俺も驚愕しながら見ていた。ディアスはそんな気にもせず頭を上げてこう告げた。
「貴様のみ頭に乗せることを許す。これは誓いでもある。女であれば手の甲だが、演は男だ。思いつかん。だが、先程頭を撫でられた時。わからぬ気持ちになったが、されて不快になることは無かった。だからこれを誓いの印にした。嫌であったか?」
「……………、……え?あ、いや、嫌じゃないよ。ディアス」
戸惑いを隠せないほどビックリしててでも質問されたので、思考停止しそうになりつつもちゃんと答えた。
誰でもびっくりするでしょ、アレは……。
否定されなかったディアスは満足そうな顔で持ち場に戻った。
「他に言っておきたいことはある?」
その質問に対してみんな否定したので。
「じゃあ待たせてごめんね?ダ・ウィッチちゃん」
『別に構わないさ。絆を深めるのはいいことだしね?まあ、色々すごい話をしていたのは驚きを隠せないけど、それはそれとして。演くんが成長していく姿を見れて私は嬉しいよ。さて、本題に入ろうか』
なんとなく褒められた気分になり嬉しくなりつつ、本題という言葉に気を引き締めて聞く。
『絆を深めてる間に、まだ誰かがいるという情報をこちらのギルガメッシュくんから聞いたと思うけど、その誰かがこちらに向かってきている。というのは霊気反応されているんだけど……』
『反応はあるが、姿が見えんという奴よ。厄介なことに既に紛れ込んでいるというな、何をされるかわからん。演、お前は人間だ。人間は奴隷扱いされる。連れ去られることがないようにしろ。良いな?』
「う、うん!」
ダ・ウィッチちゃんの説明とギルさんの説明を聞いて、みんな冷静になっていく。その時。
「ーーども」
「!!?」
俺の後ろはマシュだったはず。後ろを振り返るとマシュは既に倒れていた。しかも聖杯も取られた状態だった。
「マシュ!」
「生きてるよ…。息もしてる。大丈夫」
「マスター!」
「演!?」
「雑種!!」
「おい、坊主!!」
『演くん!』
『演!』
みんなが同時に俺を呼ぶ。ギルが咄嗟に俺の腕に何かをつけてきた。それと同時に俺は意識を失い目を閉じた。去り際に「マシュ…、後は任せた…」と呟いてたなんて、無意識だった俺は知らない。
一応名前を提示しておきます。
術ギルガメッシュ→ギルさん
弓ギルガメッシュ→ギル
オジマンディアス→ディアス
語りも矢印の方向の名前で進めていきます。
願望が願望を呼んでこうなりました。
見づらかったらすみません。
でも変えるつもりはないので、悪しからずm(_ _)m