異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
---シュウ---
そして、迷宮へ…カリナなのだけども、ラカという魔法道具のおかげで、ライトニングナックルが使い込めていた。予想外の戦力アップである。
前衛はリザ、タマ、ポチの連携で、単体ならこれで対処できている。中段にはアイズ、ゼナ、カリナ、リーンを配置し、複数の敵の場合に前衛をアシストさせていく。万が一の時はリヴェリアの魔法もあるし、奇襲された場合は僕と白音で対応だ。セーラには治癒術を教え込んでいる。回復役が多い分には困らないから。
「逃げてくる人達がいるのです」
ポチが反応した。トレインか?魔物を引き連れて逃げる行為は、罰則があるはずだ。ここで食い止めるか。
「前衛と中段を交代だ。トレインだったら、ここで断ち切る」
リザ達は下がり、トレイン対策をする。防御能力が低い初期の三人娘は、手練れであるゼナ達が防御して居るすきに、叩くように指示をしてある。
「おい、逃げろ!ギガントアントの大群だぞ!」
男性だけのパーティー逃げ去っていく。
「助けてぇ~!」
女性の叫び声がした。最後尾かな?女性の声に誘われて、僕が様子を見に行った。脚を喰われている女性が一人。ポーターという荷物運びのようだ。真空刃で食らいついている蟻さんの頭を切り落として、女性を助けて、抱えて逃げる。
「もう少しだ、がんばれよ♪」
このポーターを雇ったとみられるパーティーのメンバーに声を掛けた。そして、仲間のいる場所まで後退した。
「エリザベス、この女性を頼む。止血と化膿止めくらいでいいぞ」
「了解です」
セーラはエリザベスの処置を見つめている。どうすれば良いのかを頭に叩き込んでいるようだ。
「ゼナ!来るぞ!ゼナ、リーンで足止めをしろ!」
「はい!」
「リザとカリナは正面からの攻撃、タマ、ポチは側面だ。アイズはタマポチの援護だ!」
「はい♪」
ドン!
「うっ!」
ゼナとリーンが盾を使って、防御するが、勢いがある分、後ずさりしてしまう。
「やぁ!」
リザが、槍を蟻さんの口に突っ込み、内部から頭部を破壊していく。蟻さんの攻略は、口の中からの攻撃か、関節裏から切り落とすと、割りと楽に制圧出来る。
アイズが二降りのデュランダムを手にして、関節を切り刻んでいく。動きが一瞬止まった蟻さん達は、ポチ、タマの餌食になっていく。
う~ん、多いな。アイズ達に疲れが見え始めた。
「アイズ、引け!ポチ、タマもだ」
僕が行くかな♪愛剣を腰に携えていく。そして、『ダイヤモンドダスト』で、まず蟻さんの先頭チームを倒して、戦闘域を確保した。『ダイヤモンドダスト』はダイヤモンドの微粉末を光速で撃ち出す殲滅級魔術である。いくら装甲が固い蟻さんでも、ダイヤモンドの硬度には勝て無いのだ。
「はい?魔法1発で殲滅ですか?」
ゼナが驚いている。
「ゼナ、よく耐えたな」
頭を撫でて上げると、顔を真っ赤にして喜んでいるようだ。ゼナ達の前に進み出て、蟻さんに意識を集中していく。第二陣が見えて来た。得意な剣技である4刀流での飛ぶ斬撃を放っていく。
僕の飛ぶ斬撃はポチとリザに教えたのとは違い、刃先に乗せたオーラを飛ばすのでは無い。
剣に宿る者達の力を解放して放っているのだ。名も無き聖王が宿る妖刀村雨、初代ハーデスが宿る妖刀村正、黒炉と呼ばれた炎の精霊が宿る魔剣セル=べレスタ、初代KIVAに仕えたキバット族が宿る魔皇剣ザンバットソード。彼らの力を解放して撃ち込んでいるのだった。なので、威力は絶望的な程である。この剣技の難点は、放った後、鞘に一度戻さないと、再度放てないことである。僕は居合い斬りを駆使して、この難点を乗り切っている。
うん~、威力がデカ過ぎて迷宮が壊れているような気がする。
「シュウ様…崩れそうなんですけど…」
背中越しにゼナの震える声が聞こえる。うん、僕もそんな気がしているんだよ~♪剣技を止めて、様子を窺いながら、魔核を『強奪』で回収していく。
「ポチ!蟻さんはまだいそうか?」
「まだいるようなのです」
いるのか…どうするかな…見えない位置にいると『ダイヤモンドダスト』は放てない。光速で撃ち出すので、途中で曲がらずに、直進していくのだった。
「撤退っていう手もあると思うが…」
とカリナ。それも手である。この状態なら、トレインは避けられると思う。何よりも、この先の曲がり角が、脆い状態になっている予感がする。床が抜けたら大惨事だよな。
「よし、撤退だ♪」
僕は勇気ある撤退を選んだ。
-------
迷宮を出た処で、取得した魔核を提出する。手に入れた魔核は全量、ギルドで買い取りになるのだ。が…
「うっ!なんですか、この量は?」
蟻さんから得た魔核が、カウンターの前に山積みになっている。1000近くいたんではないか?で、アーゼの処で処分したクラゲさんの魔核もこっそり全量、仕込んであるので、万単位の予感である。
「あ、あの…ローンで良いですか?」
係員の人が訊いてきた。
「査定が先ですよ♪」
「査定の時間をください…」
魔核を1つ1つ鑑定して査定するらしく、量が量だけに時間がかかるらしい。
「で、赤札になれますか?」
赤札とは、中層へ行く為の許可書のことである。
「間違い無く…」
一人頭100個程度でなれると、以前聞いていたので、間違いは無いだろう。
「じゃ、ローンでかまいません♪」
僕達は住処へと戻った。
-------
潜ったことで、問題点がわかった。スタミナ不足である。大群相手だと、ばててしまうようだ。
「体力、スタミナを増強だな♪」
効果的なトレーニングって、持久走かな?
「種族的な問題だと思いますよ」
とラム。まぁ、人間に近い種族で編成したパーティーだものな。ファルコン達のようにはいかないか。
蟻さんの表皮を錬金しながら、考えを巡らせている。誰か、借りた方が良いのかな?先輩と後輩氏を入れるって手もあるかな?チーターコンビを思い浮かべた。ゼナがネックにはなるけど…う~ん…
「カリナ、コレを付けてみて」
錬金した物をカリナに渡した。
「ギガントアントのハーフアーマーですか?」
「うんうん♪カリナだけ無かったからね」
リザ達には以前、渡してあり、防御力の実証は終わっている。
「軽いし、動きやすいです。ありがとうございます」
「それはカリナ専用だよ。採寸して作ってあるし」
「はい?いつ採寸されたのですか?」
「この前、抱いた時にだよ♪」
僕の言葉で、カリナの顔が茹だって行く…
---サトゥー---
峠道で、リリオ達に出逢った。
「おぉ、サトゥーじゃないか♪」
「リリオ達も迷宮都市へ?」
「そうだよ。迷宮の運営方法を学びにな」
この世界では、迷宮は観光資源であり、魔核の取れる鉱脈のような物らしい。それぞれの都市で、迷宮にいる魔物を街に出さない工夫をして、冒険者達を呼び込み、街としての収入をアップさせるのだそうだ。
「じゃ、ゼナと再会は確定だな」
そうなるよな。アイツと一緒にいるはずだから。
「迷宮都市には、超つえぇ~パーティーが2つあるらしいぞ」
2つ?1つはアイツの処だろうな。もう1つが気になる。そこを味方にすれば、アイツに対峙出来るかな?
峠を越え、迷宮都市が見えて来た。関所には長い行列が出来ている。商人のキャラバンのようだ。
「なんで、迷宮都市に、商人のキャラバンなのかな?」
って、アリサも疑問に思ったようだ。
「あぁ、なんでも魔核が大量に売りに出されているそうだよ」
リリオは迷宮都市の情報が豊富なようだ。定期便で連絡が届いているのかな?
「大量にって、大量に持ち帰った者がいるってことですよね?」
アイツの顔が浮かぶ。
「尋常じゃない数を1回で持ち帰ったパーティーがいたそうなんだよ」
絶対に、アイツだ。
「尋常じゃない数って?」
「万単位だそうだ」
言葉を失う俺…万単位?尋常では無い。そんなに魔物がいる迷宮なのか?そうだとすると、ここはかなり危険に思える。
「ギルドが買い取りの支払をローンにしたらしいよ」
街の予算を食いつぶす額か?アイツ…資金融資なんか、必要が無いのか?
「サトゥーは爵位持ちだろ?」
「そうですが…」
ムノー男爵から名誉士爵に任命され、ペンドラゴン卿を名乗っている。
「なら、向こうにある、爵位持ちと軍関係者の為の関所から入ることができるぞ♪」
意外にあっさりと街に入ることが出来た。リリオ達は軍関係者と会うらしいので、ギルドの前で、別れた。ます、住処だよな。ギルドの建物に入り、良い物件が無いかを訊いてみた。
「人数が少ないから、これなんかいかがですか?」
日本の住居事情からすると、広めな邸宅を紹介された。場所は貴族街にあるそうで、価格も手ごろであったので、即決した。
---シュウ----
サトゥーのオーラを感じた。この街に着いたのかな?顔でも見てくるかな?って、アイツの家はどこになったんだ?地図を見ながら、アイツのオーラを探る。う~ん…この辺りでは無いようだ。まぁ、いいか。早速、転移した。
サトゥーの家は、道を2本挟んだ辺りであった。
「よぉ♪」
リビングでくつろいでいるアイツに声を掛けた。
「お前…」
ミトとテンちゃんが敵意を持って睨んでいる。ナナは、僕のことを忘れているようだ。
「シュウ…」
「先輩、挨拶に来ましたよ♪」
ズン!
殴り掛かって来たテンちゃんを、返り討ちにした。その場で、崩れていく彼女。
「久しぶりにミトと遊ぼうかな?」
ミトがサトゥーの腕に抱きついた。
「用件はなんだ?」
サトゥーが無表情で訊いてきた。
「雇いたいんだよ。先輩と後輩氏をね。ちょっと、僕のパーティーはスタミナ不足で、中層がきつそうなんだよ」
「俺とミトを雇うのか?」
「そういうことだ。どう?悪い話では無いだろ?」
「トレードが条件だ!」
サトゥーが取引を申し出た。
「どういう取引かな?」
「報酬としてゼナさんをもらう」
「悪いな。ゼナは物品ではない。報酬の対象にはしない。では、決裂ってことで良いんだな?」
サトゥーはチート技なのかな?無表情である。結構、心では思案しているんだけど。読心術持ちの前では、無表情は無意味だよ♪
「待って!私が供物になる。だから、イチロー兄ぃを雇って…」
ミトが震えながら、取引を持ちかけてきた。
「ミト!ダメだ。アイツの玩具にされるだけどぞ!」
サトゥーが引き留めている。
「じゃ、ミトの勇気に免じて、猶予を与えてあげるよ。次に僕達が潜るまでに決断してくれ。こっちも助っ人を用意する都合があるんでね。じゃあなぁ~♪」
自分の住処に戻る僕。う~ん、ネギ太郎を呼び出すかな。アイツの防御でアイズ達を休ませるのも手ではあるし…ネギ太郎とは、僕の弟子で、完全調整体と呼ばれる人造人間である。『フルカウンター』と言う絶対的な防御を持ち、殲滅魔法を8つ所持している猛者であるのだが、高位魔法を詰め込み過ぎた為、記憶力に難点があるのが玉に瑕である。
---ミト---
アイツが転移していった。テンちゃんはのびたままだ。
「どうするんだよ。手を組めそうだったの…」
イチロー兄ぃに詰め寄った。
「ミトは渡せない」
「私以外は、いらないと思うよ」
実際問題、私しか取引の材料はいないと思う。ナナさん、アリサさんは、アイツが不要と判断して、兄ぃに渡した気がする。テンちゃんは論外だろうし。
「そうかもしれないが、応じられない。もう1つのパーティーに打診をしてみよう」
翌日、もう1つのパーティーの情報を、ギルドで集めて廻った。チーム名はファントムドラグーンで、リーダーはファルコンという戦士のようだ。
兄ぃと二人で、ファルコンと言う人物に会いに行った。
「あぁ、あなたがペンドラゴン卿ですか。で、どう言った、御用件ですか?」
彼の仲間からは異様な気配がする。彼らは人間では無いようだ。これって…
「同盟を組みたいのです。資金的に余裕があるので、見返りは冒険資金でどうですか?」
「お断りします。我々は資金に困っていません。それに金で忠義を売り払うマネはしませんよ」
忠義?誰に対する?生きて、ここを出られない気がするのだが、兄ぃは平然としている。
「忠義をお金で買おうとは思いません」
「では、訊こう!ペンドラゴン卿、何の為の同盟ですか?」
「神を名乗る輩に対抗する為です」
「団長は名乗っていないはずですが…嘘はいけませんよ♪」
団長?まさか…
「そう、まさかですよ♪あぁ、申し遅れましたが、私達は幽玄龍騎士団の団長の親衛隊です」
イヤな予感がする。団長って…
「団長とは?」
「僕のことですよ、先輩♪」
アイツの声がした。ファルコンさん達が、一斉にアイツに跪いた。終わった…死亡フラグが立ったと思う。
「シュウ…」
兄ぃは驚く様子は見せずに、無表情である。
「まさか、ファルコンと同盟を組もうとするとはな。サプライズをありがとう♪」
いつもとは違い、アイツの目は笑っていない。怒らせたようだ。
「団長、どうしますか?」
「どうしようかね?殺す価値は無い男だし。スルーでも良いと思う」
アイツの目は私を捉えている。そういうことなんだろう。
「兄ぃを生きて出してくれたら、私が供物になる」
「その願いを叶えよう♪」
兄ぃが強制転移された。私の首に奴隷の首輪が嵌められた…
---サトゥー---
セーリュー伯爵領へ強制転移させられた。目の前にはゼナさんの墓がある。そういうことなのか。アイツは未だに怒っている。俺がゼナさんにした行為にだ。
ミトは無事だろうか?迷宮都市へと急ぐ俺。迷宮都市の家に着いたのは夜になった頃だ。
「どうだったの?って、ミトさんは?」
アリサに訊かれた。返す言葉が浮かばない。
「まさか、奪われたの?」
「もう1つのパーティーも、アイツのパーティーだった…」
「え…」
アリサが言葉を失う。まさか、アイツの親衛隊だったとは…強い訳だ。アイツを守護する者達。当然、アイツ並に強いのだろう。
そうだ、ミトとメッセージ交換ができるはずだ。
『大丈夫か?』
『生きているよ…アイツの奴隷にされたけど…』
奴隷?ミトがか?
『奴隷の首輪というアイテムで、アイツの奴隷に身を落としている』
なんだ?そのアイテムは?聞いた事がないが。
『何かされているのか?』
『全裸にされて、放置プレイだよ。何もしない。視姦ってヤツだな』
何?見ているだけなら、返して欲しい。
『もう、アイツに関わるなよ、兄ぃ』
そうもいかない。後、頼れるのはリリオ達か…