異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
---サトゥー---
ムーノ男爵の元へ送り届けられた俺達。
「准男爵に推薦をしたよ」
って…俺の手柄のほとんどは、アイツの物なのだが…
「ペンドラゴン卿の活躍はすばらしい。で、褒美に何が欲しい?」
褒美…今の俺に欲しい者は…
「マリエンテール士爵様の娘さん、ゼナ・マリエンテール嬢を眷属に迎えたいです」
ダメ元で言ってみた。
「その者はどのような者なのだ?」
「魔法兵だった者ですが、今は軍籍を抜いたと聞いております。ですので、是非、我が眷属へ迎えたいです」
と、思いの丈を伝えた。
「わかった。しばし待て!」
ムーノ男爵が席をはずし、暫くすると戻られた。
「ベルトン子爵へ話を申し入れ、許可が下りた。眷属へ迎え入れるが良い」
なんか、すんなり行き過ぎる。アイツの許可はいいのか?
「で、その娘は今、どこにいるのだ?」
「シュウと申す者と旅をしております」
「シュウ?そやつは何者だ?」
会ったことが無いのかな?
「得体のしれない人物です」
と、ありのままを伝えた。ステイタスが表示されないので、正直よくわからない人物ではある。
「そのような妖しい輩と旅だって…わかった、その者を手配して捕らえた方が良いな?」
どうなんだろう?捕らえられるのかな?
---シュウ---
国王様と謁見中である。孫であるセーラ、リーンは勿論、初代国王のミト、ゼナ、カリナと言った爵位家の者達と謁見という名の、顔見せ会というか…
「孫達が世話になった上、初代様まで…頭が下がる想いです」
って、頭の低い国王様。セーラ、リーンを見ている限り、悪い人では無いと思う。
「で、今後もペンドラゴン卿の手柄にしてくれると助かるよ」
僕の手柄は、アイツに差し出すことにしている。面倒ごとはイヤだからね♪政治の駒にされるのはイヤだし、ちやほやされるのも好きでは無いから。
「良いのですか?」
国王様と、国王付の大臣は、僕の正体を知っているようだった。あの謎のネットワークの信者っぽい。
「僕は仲間達とまったり出来れば良いんだよ。そうだろう?ミト、セーラ!」
名指しされた二人が頷いた。
「頼まれごとはこなすけど、表立って誉められるのは嫌いだよ。あと、多大なお礼はいらない。願いであれば、供物を請求するけど、頼まれごとは、地上で生きる上で、ウィンウィンな関係でいたいんだよ」
「はぁっ!耳の痛い話です」
って、大臣。って、なんで僕が玉座に座って、王様と大臣が立っているんだ?
「セーラ、リーンよ、幸せか?」
「「はい、お祖父様♪」」
姉妹が嬉しそうに王様の問いに答えた。
「孫達が幸せなら、ソレで良い。で、今後も魔王を倒してくださいますか?」
「うん?もちろんと言いたいけど、ケースバイケースだよ。この前なんか、黄色い悪魔を倒したのに、勇者達に攻撃されたし!」
「あっ!ごめんなさい」
って、リーンが謝ってきた。まぁ、リーンが召喚した勇者だったしな。
「勇者がいない時は消す!勇者が居るときは、トンズラかな」
「たおそうよ~」
って、ミト。
「まぁ、ケースバイケースだな」
トントン
ドアがノックされた。大臣が応対すると、貴族らしき男性が入って来た。
「王様に申し上げます。シュウと申す、得体の知れない人物が、マリエンテール士爵の娘、ゼナを攫って逃げ回っているそうです。即刻、手配をお願いします」
うん?それって、僕?ゼナが僕を見て、苦笑いしている。
「う~ん…どうして、そうなるんだ?ムーノ男爵よ」
と、大臣が口を開いた。
「どうも、こうもありません。ペンドラゴン卿がそのゼナという娘を眷属にと願っているのですが、シュウとかいう不貞な輩に攫われたそうで、困っているのです」
「父上…そういう言い方は失礼ですよ」
って、カリナ。はぁ?カリナの父親なのか?
「うん?カリナでは無いか…どうして、このような場所におるのだ。お前はペンドラゴン卿の眷属であろうに」
「あぁ…サ―ペンドラゴン卿に聞いていないのですか?私は取引により、シュウ様の眷属になっているのですよ」
「シュウ様?お前!得体の知れない輩の眷属になっただと!」
得体の知れない…まぁ、間違ってはいない。だけど、面と向かって言われると、凹むなぁ。そんな僕の動揺を察して、セーラが僕の腕に抱きつき、宥めてくれている。少しだけど復活だ♪
「ムーノ男爵よ、シュウ様は得体の知れない人物では無い」
王様が男爵に声を掛けた。
「なぜ、そのように言い切れるのですか?」
王様に跪く男爵。
「う~む…言えぬことが多いのだが、信用に値する人物であるからだ」
「どのようなことで信用されたのですか?まやかしかもしれませんぞ!」
まやかし…間違ってはいない。う~ん…ミトが僕の背中に抱きついてきた。背もたれのせいで、ミトの胸の柔らかさは実感出来無いが、ミトの柔らかなオーラで包みこまれた。
「孫のセーラを助けてもらった。テニオン神殿の巫女長、司祭長が証人である。もう一人の孫のリーンも助けて貰った。命を失っていたであろう二人を、救って下さったのだ。信用に値すると思わぬか?」
ここで、玉座に座っている僕に気づいた男爵。
「貴様!王が立っているのに、何故、貴様が玉座に座っているのだ!」
胸倉を掴まれそうになった。だけど、ゼナが風の魔法で、男爵を壁際まで吹き飛ばした。
「我らの主に手を掛けることは許しません!」
僕の前にゼナとリーンが立ち塞がった。
「小娘!何者だ!」
「『風の魔法兵』ゼナ・マリエンテールです」
「『天破の魔女』リーングランデ・オーユゴックだ」
男爵の問い掛けに答えた二人。
「何…お前がゼナか…では、玉座に座っているのが…」
「僕ですか?僕は幽玄龍騎士団、団長『神殺し』シュウ・ヨハネ・鬼門です♪よろしくお願いしますね、カリナパパ♪」
カリナの顔が茹だって行く。
「で、得体の知れない僕が、どうだって、言うのですか?」
「かみごろし…まさか…」
男爵が王様を見つめると、王様が頷いている。まさか、男爵も謎のネットワークの信者なのか?大臣と王様はそうみたいだけど…
「ご無礼を…申し訳ありません。我らの名の無き主様」
僕に土下座をする男爵。そこまでエラくないのだけど…
「ムーノ男爵よ、そういうことだ。お主の娘は大出世じゃよ。主様の従者に成れたのだからな」
って…僕の眷属では、貧乏クジだと思うんです。だって、僕は性欲しか欲が無いから…
「カリナ…よくやった♪」
って、ゼナの件はどうするんだ?有耶無耶かな?
---サトゥー---
ムーノ男爵から、ゼナをあきらめろと言われた。何かが遭ったようだ。
「どういうことですか?」
「そういうことだよ。高望みはするな、ペンドラゴン卿よ」
ゼナが高望みなのか?そんなに位が高いのか?う~ん…『尋問』スキルをオンにして会話を進めていく。
「ゼナは出世したのですか?」
「出世という言葉は適切では無い。選ばれたという方が近いかな」
選ばれた?誰にだ?
「どなたに選ばれたのですか?」
「訊いた時点で、知る権利は無いと思う」
『口止め』スキルで、情報漏れを防いでいるのか?
「あなたはどうやって知ったのですか?」
「古くから伝わる教典でだよ」
教典…アイツは昔からここにいるのか?
「あなたの信じる神は?」
「言える訳無いだろ?!」
男爵がいきなり不機嫌になった。その辺りに答えが有りそうだ。
---シュウ---
気になる場所に来ている。僕とアーゼ、アイズ、リヴェリアでだ。気になる場所、あの大きな桜の樹である。大きすぎるのだ。
「アーゼ、桜の精霊を呼べるか?」
「そこにいるわよ、ダーリン♪」
アーゼが指差す先にピンクブロンドの精霊が、桜の樹の根元に座っていた。元気がなさそうである。このままでは桜の大樹は立ち枯れてしまう。
「う~ん…エネルギー不足みたい」
って、アーゼ。
「この桜って、地脈からエネルギーを吸っているのかな?」
そう考えると、この大きさはありだと思う。
「そうね…そんな感じがする。何が気になるの?」
「イレギュラーなヤツがエネルギーを吸い取っているのかなって。桜の樹の精霊がエナジー不足って変だろ?こんなにも樹は花を咲き誇っているのに」
「そうね…」
みんなで上を見上げて、花見状態になっている。
「うん?お父さん!」
リヴェリアが何かに反応した。
「アイズ!風を読め!妙な風が無いかをチェックしてくれるか?」
「お父さん、まかせて♪」
目を軽くつぶり、風に神経を向けるアイズ。
「アーゼは、桜の精霊を護ってやってくれ」
「まかせて、ダーリン♪」
「地脈の下に空洞…聖なる遺物に魔なる物…融合はしていない」
リヴェリアが地面に根を張るようにして、地下の探索をした結果を教えてくれた。それが原因だな。
『ファルコン、桜の大樹にガード部隊を展開してくれ』
『了解!』
仲間に念話で指示を出した。僕は『透過』能力で地面に潜っていく。
-----
地脈の下に空洞があった。数名の者達が、何かの儀式をしていたので、屠っておく。こんな場所で儀式って、まっとうでは無いから。で、儀式の為の祭壇と思しき物に近寄ってみると、見覚えのある杯に、人々の悪意が溜めてあり、煮詰められていた。何に使うんだ?魔王のエサか?取り敢えず、見覚えのある杯を、僕の持っている聖杯へ同化吸収させて、消滅させた。器がなくなり、煮詰められていた物が直に炎に触れて燃えていく。
同化吸収という現象は、同一の時間軸に同じユニークアイテムが複数存在出来無い為、より経験を積んだ方が、経験の浅い物を吸収してしまう現象である。僕の持っている聖杯は、何度も戦場で使った物で、こいつを吸収出来る聖杯は、存在しないと思われる。
燃えても灰にならない、悪意を煮詰めた物体。僕の本来のオーラを浴びせて灰にしておく。後、問題のありそうな物は?無さそうなので、地脈の傷を修復して、地上へと戻った。
------
地上では、何者かに囲まれていて、一触即発状態であった。
「貴様ら!何者だ?」
僕達を取り囲んだヤツらのリーダーが叫んでいる。
「夜桜見物だよ♪」
と、答えてみた。
「妖しい奴らめ!」
桜の精霊は少し元気になっていた。地脈から栄養が取れるようになったのかな?
『ありがとう♪桜吹雪を起こすから、逃げて♪』
精霊の計らいを素直に受け入れて、桜吹雪に埋まるようにして、アーゼと娘達と共に転移した。
-------
転移した先は、ボルエナンの里である。アーゼに土地を少し分けて貰い、僕の城を設置したのだ。
「お城だ~♪」
アーゼがはしゃいでいる。この里から出たことの無い彼女には、お城は珍しいのかもしれない。娘達にとっては我が家同然なので、平然としている。年末、年始はここで過ごそうかと思っているのだ。王様の企画するイベントは参加するけど、それ以外は自分の城で休むのも有りだと思っている。
この城を使う利点なのだが、和食料理に精通した者が数名、常駐しているため、年越しソバ、お節料理、お雑煮などが堪能できるのだ。
城の内部には醸造蔵が有り、醤油、味噌、みりんなど、和食に欠かせない調味料を自家醸造していたりするし♪
王都にいる仲間達も、城に強制転移した。
「ここはどこ?」
ミトが周囲を見回している。
「また、転移酔いかな?」
青い顔のセーラ。まだ慣れないようだ。
「ここは僕のお城、キャッスルドランだよ」
「え?お城を持っていたのですか?」
リザが驚いている。あぁ、持っているって、話していなかったからな。
「立ち入り禁止の場所以外は、自分達の家と思って過ごしくれ」
「立ち入り禁止?何があるんだ?」
カリナに訊かれた。
「まず、時空の扉。この扉を迂闊にくぐると魂がロストする。次に、鍛錬場だ。人間を含む亜人程度では、死ぬから止めておけ。もう1つは醸造蔵だ。雑菌が入ると大切な調味料が台無しになる」
『醸造蔵』と聞いて、ミトが僕の方を見た。
「ねぇ…」
「年末年始は、ソウルフードをミトに喰わせてやるよ」
「ぼんと?エビ天の載った年越しソバ…お節料理とかお雑煮…」
「そのつもりで、ここへみんなを呼んだよ」
「ありがとう…」
ミトの目に涙が浮かんだ。ソウルフードが食べたかっただろうな。ミトの口の中に紅色の物を突っ込んだ。
「あ♪梅干しだぁぁぁぁ~♪」
「塩分取り過ぎになるから、食い過ぎるなよ」
ミトの前に、おむすびが3個載ったお皿を出した。塩握り、醤油焼き、味噌焼きである。
「おにぎりだぁ~♪」
涙をポロポロ溢しながら、がっついて食べるミト。厨房にいる芳佳が、緑茶の入った湯飲みを持ってきて、ミトの前に置いた。
「おいしい…食べたかったよ~♪」
物凄く嬉しそうなミト。
「料理のしがいがあります♪」
って、芳佳。
---サトゥー---
ミトからメッセージが届いた。
『おにぎりサイコー♪』
って…おにぎり?この世界にあるのか?どこに?
『どこの料理屋だ?』
『イチロー兄ぃには行けない場所だよwww』
って、どこだ?俺の行けない場所?
しばらくすると画像が送られてきた。うっ!食べたい…ミトとゼナさんが、鮭茶漬けを啜っている画像が送られてきた。
『ズルいぞ~!』
『てへ♪』
おいおい…失踪前のヒカルのような反応をしているミト。本格的な和食で先祖還りでもしたのか?
その後、飯時になる度にミトから画像が送られてきた。くそっ!どこへ行けば喰えるんだ?画像からヒントを捜す。石造りの部屋…どこかの城なのか?なんか、俺の好みの女性がたくさんいるような…どこの城だ?
---シュウ---
ミトがサトゥーと、心理戦で遊んでいるようだ。酒飲み軍団はくさやに嵌まったようで、くさや部屋を新設して、隔離している。あの香りは、ダメな者にはダメであるから。
ミーアとアーゼは納豆に嵌まっている。植物性タンパク質に嵌まったというか。
リザ達、肉食軍団は、肉料理と青汁で満喫しているようだ。僕は僕で新作料理にチャレンジ♪ハチミツにつけ込んだブリオッシュでフレンチトーストだ。ミーアがまず嵌まり、世俗的な物から隔離されていたセーラ、ゼナが嵌まった。うん、成功かな♪