異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
---サトゥー---
大晦日…ミトからメッセージ…
『むふふ♪』
画像が添付されている。それは俺にとって、衝撃的な画像であった。エビ天が2本載った天ぷらソバと、海鮮天ぷらと野菜の天ぷらが添えてあるセイロそばの画像であった。更に、お重に入ったお節料理まであるし…
『食いたい…』
完全にアイツに対して、完敗状態である。連日に渡る、和食の画像によるクリティカルな蓄積ダメージにより、俺もアリサも、既に白旗をあげていた。
『う~ん…相談してみるね♪』
って、問題がある。アイツとの取引は恐い。今度は、何を請求されるんだ?そんな心配を余所に、お昼の時間を過ぎても、ミトからメッセージが届かない。
「ねぇ、ダメなの?」
アリサが哀しそうな顔で聞いてきた。
「取引の材料が無いしなぁ…」
---ミト---
未だかって無い刺激の渦に飲み込まれて居た。この世界に来てから、いや、産まれ育ったデスマーチな世界でも、経験したことの無い刺激に身も心も蕩けていく。
胸が躍る。物理的に…肉の叩き合う音と共に不規則に踊っている乳房。その不安定な乳房の上で、凜とした姿で起立している乳首。押し寄せる波動により、全身が粉砕されるかの如く、プライドは破壊されていく。
『性に溺れるメス』という称号を得たと表示された。
『エロ神の玩具』という称号を得たと表示された。
それらを受け入れる。なんと言われても、この刺激は失いたくない。そこまで思える中毒性のある刺激である。
口元から唾液が漏れていく。それを啜る彼…啜られる刺激に酔いしれる私。
『エム体質』という能力を得たと表示された。
この能力により、痛みが快楽へと変わっていく。どんな拷問にも耐えられそうだ。
そんな至福な時を得ていた私に、イチロー兄ぃからメッセージが届いた。
『なぁ、まだ結論は出ないのか?』
おい!この状況に水を差すなよ!
『取り込んでいる。後で!』
と、返信をしたのだが、
『大丈夫か?!』
って、即レスが来た。
『空気を読んで!』
『どうした?』
またも、即レスだぁぁぁぁ~!
「どうした?鈴木からメッセージか?」
不機嫌そうな彼の声…刺激が途絶えた。
「違います。続けて下さい」
と懇願する私。だけど、彼が私から離れ、服を着た。えっ…もう終わりなの?自然に涙が溢れだしてきた。私の幸せな時間は終わったのか?
「おい、泣くなよ!お前も甘えん坊なドエムだな♪」
『甘えん坊なドエム』という称号を得たと表示された。それでも良いです。
どこかに連絡をした彼。連絡が終わると私に近づき、転移した。えっ!全裸なんですが…
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転移したのはイチロー兄ぃの目の前だった。全裸の私をロックオンしている兄ぃ…
「サトゥーよ!お裾分けだ!」
兄ぃの目の前におかもちを置いた彼。
「で、これはルルからだ、アリサ!」
アリサという少女の前に箱を置いた彼。
「マイマスター♪」
ナナという女性が彼に抱きついてきた。むっとする私。
「ナナ、どうした?今のマスターはサトゥーだぞ」
「マイマスターはマイマスターだけ。サトゥーはマスターと認識しています」
困った顔の彼。おい!困らすなよ!
「じゃ、3が日が終わるまでナナを預かる。代わりにミトを置いていく」
「いやぁぁぁ~!」
彼に抱きつく私。
「お願いです。どんなことをされてもいいです。置いて行かないでください」
彼の腕に谷間を押し付け、乳房で挟み込み、アピールをする。
「3が日はアーゼがいるから、相手なんかできないよ」
「かまいません」
彼の指先を割れ目に銜え込み、再度アピールをした。
「そうか…じゃ、鈴木よ、4日後におかもちを回収する」
彼とナナと私の3人で転移した。
---サトゥー---
アイツの残していったおかもちの中を恐る恐る除くと、天ソバが2つ天セイロが1つあり、小さなお重が入っていた。
「こ、こ、これは…」
大切で貴重な物を扱うように、中身をテーブルに置く俺とアリサ。お重は小さいけど5段重ねだ。1段ずつ見ていく。お正月で見たことのある料理は、少量ではあるがほぼ網羅されているようだ。
「贅沢だけど…お雑煮…明日…届くかな?」
アリアが跪き、何かに祈りを捧げている。祈りを終えて、ルルからのプレゼントを確認し始めた。
「おっ!…おぉぉぉ~!」
どうしたんだ?アリサが叫びを上げた。箱の中を見ると、懐かしい保存食が入っていた。当たり前田のクラッカー、ボンカレー、カップヌードルなど…ルルが見た事の無いはずの食品が詰め込まれていた。アイツからなのは一目瞭然だった。取引の材料の無い俺達に、ルルからのプレゼントという形で、贈られたのであろう。
「鳩サブレ…ヒヨコのおまんじゅう…芋ようかん…うっ、うぅぅぅ~」
それらを見て泣き始めたアリサ。昔を…召喚前の世界を思い出しているのだろう。
「アリサ、天ソバを食べよう。冷めちゃうぞ」
「うん…」
ここで、あるはずの物が無いことに気づいた。
「箸が無い…」
木工スキルで、急いで箸を作り、事なきを得たが…アイツの含み笑いの表情が浮かんだ…くそっ!
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翌朝…新年の1日目…起床をすると、テーブルの上に置いておいた丼が無くなり、蓋のされたお椀が2つ置いてあった。中身は…お雑煮…
「お雑煮だぁ~♪」
喜ぶアリサ…しかし、問題が1つある。1つは納豆汁のお雑煮、もう1つは白味噌のお雑煮…こっちはたぶんあん餅である。
「納豆汁の方を貰いたいです」
アリサが主張した。でも、俺もなんだよ…あのヤロ~!素直に、置いて行けよなぁ~!変わり種のお雑煮を2つだなんて…
平和的な解決方法、じゃんけん5番勝負。先に3勝した方が勝ちである。その結果、負けた…俺…
「うっ!美味しい…納豆の風味がいいし。お節も美味しいなぁ♪」
ご満悦のアリサ。あん餅のお雑煮、おいしいけど…お節、めっちゃ美味しいけど…アイツへの敗北感で凹んでいく俺…
食はチート技よりも強しだな…
---シュウ---
昨夜はアーゼとナナと…怠い…エナジードレインしたはずなのに…あの二人タフ過ぎる。とほほ感を抱きながら、新年の食事をしていく。
「先方にはお届けしておきました」
白音から報告を受けた。白味噌のお雑煮と納豆汁のお雑煮を楽しんでもらえただろうか?僕の好きなお雑煮であるし。
「はい、珈琲です」
ゼナが給仕をしてくれた。
「ありがとう、ゼナ」
顔を赤らめて会釈をして立ち去るゼナ。今日は王城で新年パーティーだったな。
「爵位家の令嬢はドレス。アーゼ、リザ、タマ、ポチ、白音は巫女姿、それ以外の者は振り袖にしよう♪」
それ以外の者…ナナ、ルルである。ミトは一応、ミツクニ卿という爵位持ちなので、ドレスにしたのだ。全裸でも良いと思ったのだが、フィアに睨まれて、断念した。
「振り袖ってなんですか?」
ルルに訊かれた。
「あれだよ」
玉座の左右に掛けてある着物を指す僕。
「着付けは、朱乃、白音が手伝ってやってくれ」
パーティー衣装の指示を出した。リザ達肉食三人娘は巫女姿が気に入ったようだ。タマ曰く戦い易いらしい。って、戦闘をしに行く訳では無いんだけど…
「シュウ!まさか、普段着で行くつもり?」
フィアに指摘された。そうだけど…僕の普段着は、タートルネックのTシャツに、伸び伸びジーンズである。タートルネックは、伸ばせば口元を覆える。マスク変わりにもなり、便利である。
「ダメたよ!新年なんだから、ちゃんとしようね♪」
ちゃんと…何を着せるつもりだ…フィアの笑っている目付きが恐い…
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「お正月はコレだよねぇ~♪」
嬉しそうにフィアがチョイスしたのは、紋付き、袴だった…そうなると、白いふんどしか?う~ん…
「ルルちゃん達はノーパン、ノーブラなんだから、贅沢はダメよ♪」
ルルの顔は真っ赤である。そうか、ノーパンだからか…
「すぅ~すぅ~します…」
真っ赤な顔で俯いているルル。
「僕も収まりが悪いんだよ…」
ふんどしは、苦手だ…って、普段ノーパンの僕が言う台詞では無いか…僕の肉棒は普段体内に収納されている。常時有ると戦闘の時にジャマだし。なので、普段股間には何もない。収める物が何も無い為、ふんどしだと布ズレでヒリヒリするのであった。
参加者達が馬車に乗り込み、親衛隊が警護する陣形になった。そして、その陣形のまま、迎賓館の庭へ転移して、王城へと向かった。
今日は親衛隊を警護として、傍に置いているので、シガ八剣の奴らは近寄らないようだ。で、王様の部屋へと向かった。
「おぉ、ようこそ、おいでくださいました」
王様の方から挨拶をされた。
「今年もよろしくお願いします」
そう王様に告げ、僕が頭を下げると、お付きの者達も一斉に頭を下げた。
「いやいや、頭をあげてください。こちらこそ、よろしくお願いです」
僕は話すことが無いのだが、セーラとリーンが祖父に話し掛けている。そこに、ゼナパパとカリナパパが来て、娘達が新年を挨拶と近況報告をしていく。
「そろそろ、国民にご挨拶と顔見せのお時間です」
王様付きの大臣が、王様に進言をした。王様と姫達、僕とアーゼと爵位家の仲間達が、王様の部屋にあるテラスへと出た。
眼下から聞こえる歓声。王様のスピーチ…長い…眠くなりかけた時、アーゼが僕の身体に抱きついて来た。
「もう少しですよ。がんばりましょうね、ダーリン♪」
アーゼの甘い声。もう少し頑張ろうかなって気になってきた。
顔見せが終わると、1階のパーティー会場に移動し、新年の挨拶タイムとなった。僕に挨拶をしに来る者は居なかったのだが、僕と目が合うと会釈する者達が多い気がする。謎のネットワークの信者達だろうか?
---サトゥー---
アイツは王様のロイヤルファミリーの一員になったようだった。孫達を側室に迎えたことが、原因だろうな。って、側室でいいのか?
そして、ゼナさんと再会をした。
「あの時は、すみません」
俺の言葉に涼しい表情のゼナさん。
「いいんです。おかげで、運命を委ねたい方に出逢え、拾っていただけましたから」
アイツのことなんだな。
「でも、側室でいいのですか?」
「えぇ、側室に入れれば幸せです。今はお側付きの警護役で、側室では無いんですよ。まだ、無理の出来無い身体なので」
苦笑いするゼナさん。無理の出来無い身体?後遺症か?
「俺が治しましょうか?」
「え?どこも悪くないですよ。あぁ、無理の出来無いを、そう取られたのですね。違うんです。心臓が身体に馴染むまで、無理が出来無いんですよ」
心臓が身体に馴染む?まさか、人工心臓を埋め込んだのか?ゼナさんのステイタスを調べると、転生ドラゴンと表示された。ドラゴンの心臓を埋め込んだのか?なんでだ?
「あぁ、もう戻らないと。失礼します」
俺に頭を下げて、アイツの元へ戻って行ったゼナさん。アイツはゼナさんに何をしたんだ?
「兄ぃ、知らないと良いことって、あるんだよ♪」
ミトが話掛けて来た。
「お前は知っているのか?」
「勿論♪彼の方針で、仲間内での秘めことは無しなんだ。彼が隠匿したい情報は別だけどね」
仲間…ミトもゼナさんもアイツの仲間ってことか。
「寝返ったのか?」
「それは正確な言い方じゃないよ。彼は私を仲間にしてくれたんだ。私が望んだことだよ」
ミトルの顔には一点の曇りも無い。
「何故?」
「愚問だよ。彼は私を未体験の世界へ導いてくれた。だからだよ」
未体験の世界?なんだ?
「それはどんな世界だ?」
「言え無いよ…言いたくない…私が大切にしたい世界さ。あぁ、メッセージは空気を読んで送ってくださいね。まったく…あの世界でも、私の気持ちをまるで読んでくれなかったしねぇ♪うん、じゃ!」
アイツの元へと戻っていくミト…彼女の後姿には、俺の記憶に残っているヒカルの面影が残っている。ヒカル…嬉しそうだな。アイツはヒカルとゼナさんに、何をもたらしたのだろうか?
「おい!俺様と勝負しろ!」
いきなり、声が響き渡った。あれって、サガ帝国の勇者か?相手はアイツだった…
「なんで?」
「俺様のリーングランデを返せ!この魔物ヤロ~!」
魔物と勘違いしている勇者。いや、アイツは魔物だけど、敵では無い。
「おい、お前!無礼なことを言うな!鬼門氏は、シガ王国のロイヤルファミリーの一員だぞ!」
丁度、近くにいたムーノ男爵が声を荒上げた。
「お前らは騙されている。ソイツは魔物だ!ここで殺すべき者だぞ!」
涼しい顔のアイツと仲間達。勇者程度では、脅威では無いのであろう。
「勇者気取りのはノミ風情は、がなり立てることが得意技か?」
アイツが、仲間を護るように、一歩前に出た。ここで、戦うのか?
「《歌え》アロンダイト」
聖剣と取りだし、聖句を唱えた勇者。しかし、何事も起きない。
「貴様!何をしたんだ?!」
大声を上げる勇者。
「特に何もしていない。ただ、ここで暴れると、仲間達に害が及ぶんでね、君の能力、スキルを全て『無価値』にしてあげた」
静かな声で答えるアイツ…無価値にした?
「あぁ、聖剣アロンダイトも無価値にしたから、もう駄剣アロンダイトだぞ」
勇者のステイタスを確認すると、アイツの言った通りのことが表示された。そして、勇者は勇者で無くなり、平民と表示されている。アイツの能力って危険だろう…いや、最強レベルでは無いのか?
色々な物の価値を無にするって…俺のチート性も無に出来るってことか…恐い…初めてアイツに恐怖を覚えた俺。
「君のせいで、リーンが命を落としそうになった。だから、君には返せない。とっとと、帰ってくれ」
次の瞬間、勇者が消えた。どこかに強制転移させられたようだ。
「どこに捨てたんですか?」
リーングランデ嬢がアイツに訊いた。
「流星雨が降り注いだ場所にだよ」
俺の方を向いて、そう答えたアイツ…その視線はとても冷たいものだった。次は俺か…しかし、アイツは仲間達の方へ視線を戻した。助かったのか?
『彼は、兄ぃを敵と認識していないよ。だから、安心してね♪』
と、ミトからメッセージが届いた。
『そうそう、今回の代金は、今後の迷惑料としてチャラにするって』
って…迷惑料?それって、今後もアイツの手柄を俺の手柄にするってことか…良かったのか、悪かったのか、今の俺にはわからない