異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
突然現れた少年。どこからだ?その少年に対して、得物を向け身構える3人。彼のオーラは光輝いている。英雄系か?
「おい!転移術か?」
少年に訊いた。
「いえ、悪魔に、ここへ落とされました」
少年はウィンドウを開く動作をしている。うん?ここって、ゲーム世界の中なのか?
「えっ?!」
驚いた表情で僕を見る少年。僕の正体に気づいたのかな?
「あなたは何者ですか?」
「人に訊く前に名乗るのが先だ!」
リザが警戒心を乗せて、言葉を吐いた。
「あぁ、そうですね。俺はサトゥーと申します」
「何者だ?!」
「商人です」
商人とは思えないオーラだ。まぁ、いいか。
「僕はシュウだ。この3人はリザ、タマ、ポチで僕の娘みたいな者達だよ。で、ここはなんの世界なんだ?」
娘って言葉に反応して、警戒した表情のリザの尻尾が嬉しそうに踊っている。尻尾は正直だな…ポチとタマの尻尾もだ。
「あなたもですか…」
あなたも?こいつも誰かに召喚されたのか?
「あぁ、僕は魔王に召喚されたんだよ。で、ここはなんの世界なんだ?」
「魔王に召喚ですか…」
得物を手にして身構える少年。
「おい!敵の力量を知らずにケンカは売るな。死亡フラグが立つぞ!」
僕の言葉を受けて、得物を下ろしたサトゥー。
「そうですよね。あなたの言い分は正しい。あなたのステイタスだけが読めない。そうだ!お願いです。僕と一緒に悪魔を倒してくれませんか?」
おい、ステイタスが読めるのか?そうか、ゲーム画面に、相手のステイタスが表示されるってことか?
「何か良いことでもあるのか?」
「街の人々が怯えなくても済みます」
それは大事なことだな。
「わかった。リザ、ポチ、タマ。悪魔を倒しに行くぞ!」
「「「はい(なのです)」」」
「サトゥー、マップ表示も出来るのか?」
「はい、出来ます。シュウさんは出来無いんですか?」
「出来無いんだよ。ウィンドウ画面が出ないんだ」
「それは大変ですね…」
サトゥーに、悪魔までの最短ルートを道案内させた。途中、罠などをポチとタマが見つけ、僕が破壊していく。
「なんですか?その飛ぶ斬撃は…」
「練習の賜り物だ。うん?敵がいるな。マズいなぁ。蜘蛛さんだよ」
リザ達が嫌そうな顔をした。アイツの糸吐きで酷い目に遭っているから。
「リザ、ポチとタマを頼む。サトゥー、援護してくれ」
指示を出して、蜘蛛に突撃して、糸を避けながら真空刃で脚をバラバラにした。
「スキルのデパートですね」
感心しているサトゥー。ポチとタマは自分が誉められたかのように、ドヤ顔である。
「繭が有るなぁ…」
リザがナイフで、繭を切り裂いていく。3つの繭から生きた人間が出て来た。残りの繭は死体になっている。死体の持ち物を『強奪』しておく。
「助かった」
男性が2人、女性が1人だ。
「おい!そのナイフを寄こせ!」
「これは、旦那様のナイフです。渡せません」
助けて貰っているのに横柄な男がいる。だから、人間は…
「ダメです」
「ダメなのです」
ポチとタマが、僕の抱いた殺意に反応して、僕を止めた。命拾いをしたな、横柄な人間よ♪
「助かったぞ。私は王祖ヤマト様の代から続く名家、ベルトン子爵家の当主をしている、ジン・ベルトン子爵だ。ここから出られたら褒美は期待しろ!」
横柄な男が名乗った。爵位持ちか…財産をボッシュートしようかな♪
「ありがとうございます、子爵様。私は商人のサトゥーと申します」
さすがは商人。取り入り方がうまいな。
「たすけてありがとさんです、商人のニドーレンといいます。奴隷を商っております」
奴隷って言葉で娘達が身を強張らせている。僕の安堵のオーラで彼女達を包む。これで、少しは気が紛れるだろう。
「駆け出し商人のサトゥーと申します」
「商人ですか?で、アチラの方々は、冒険者ですか」
「そうです」
って、サトゥーは勝手に話を進めている。商人って言うのは、嘘では無さそうだな。あの話術だと…サトゥーはどこからか、水筒を出して、二人に水を与えていた。僕と同じで、容積無限大の不思議な袋持ちなのか?いや、ゲーム感覚でアイテムボックスがあるのかもしれないな。
サトゥーによると、悪魔まで後3部屋らしい。助けた女性は子爵令嬢で、ベルトン子爵が背負っていた。
「次の部屋が難関だよ。モンスターハウス状態のようだ」
サトゥーのマップには、魔物の詳しい情報も出るらしい。それって、チートすぎるだろ?
「おい、待てよ!」
構わず、僕はモンスターハウスに入っていく。魔物程度に負けられない。ポチとタマに罠の探索をしてもらい、リザには二人のガードを指示した。神々しいオーラを全身に纏った僕に触れるだけで、燃え上がって灰になっていく魔物達。その光景を驚いた目で見ているサトゥー。
神聖属性の僕にとって、魔属性な魔物はカモである。燃えて灰になった処で、『強奪』で魔核を回収していく。
「なんで?触れただけで…」
サトゥーの呟きはスルーだ。後2部屋だな。
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で、最後の部屋…出口のようだ。悪魔いないじゃん!
「サトゥー、悪魔はどうしたんだ?」
蒼い顔をしているサトゥー。
「先程のモンスターハウスに来ていたようだ…」
はぁい?じゃ、既に灰なのか?つまらぬ。出口が見えて、子爵と奴隷商人が出口から出ていった。サトゥーに向かって、女兵士が走り寄り、抱きついた。羨ましい。この後は乳繰り合いか?
「これで、満足か?商人さん♪」
僕達は、寝床にしている階層へ転移した。
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娘達の鍛錬の合間に、地上で情報を収集をする。あの日以来、サトゥーが街の英雄になっていた。あの悪魔をサトゥーが倒したことになっているようだ。まぁ、手柄は要らないから、いいんだけど。嘘吐きは地獄行きだよ♪
で、子爵の館へ向かう。その途中で、あの女兵士とデートしているサトゥーに出くわした。
「よぉ!英雄さん♪暢気にデートか。良いご身分だな」
「シュウ…」
僕を見て蒼い顔になるサトゥー。
「サトゥーさん、どうされたんですか?あなたは何者ですか?」
女兵士に訊かれた。
「ソイツの知り合いだよ。まぁ、せいぜい乳繰り合えよ♪」
そう言い残し立ち去ろうとすると、女兵士が魔法を放ってきた。魔法を吸収して、何ごともなかったように立ち去る。が、今度は剣で襲ってきた。
カチーン!
僕も剣を抜き、彼女の剣を防いだ。
「往来で斬りつけるとは、この街の兵士は野蛮だな。嘘吐きのサトゥーにはお似合いかな」
「待て!シュウ…悪かった。手柄を横取りして」
「聞いたよ。僕達はサトゥーの眷属だそうだな。いつからだ?」
いつの間にか、サトゥーの下僕にされていた僕。心外だ!
「誤解だ!子爵がそう言っているだけで…」
「否定しない、お前も同罪だ。じゃあな♪」
今度こそ立ち去った。まぁ、人間は醜く愚かな生き物だ。これ以上、悪い印象には成らないよ、サトゥー。
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子爵の館で、『強奪』三昧をした。と、言ってもお金だけである。違う街へ行きたいのだが、旅費が無いから。この位いいだろ?娘と二人の命を助けたのだから♪館にあるお金を総て強奪しきった。さて、帰るか。
途中、肉屋によって、牛肉を購入した。たまには、魔物以外の肉を喰わせてあげたい。
人目に付かない場所で転移をした。いや、したはずだった。だけど、寝床に戻ると、何故かサトゥーの彼女が一緒にいた。部外者に気づき、娘達が得物を手にして構えた。
「待ってください。サトゥーさんに事実を聞きました。あなた達が、この街を救ってくれたのですね」
淡い金髪で碧い瞳のスリムな女性である。胸までスリムなのは残念である。
「リザ、肉を買ってきた。3人で食べなさい♪」
「ありがとうございます、旦那様」
無表情であるが、尻尾が踊っている。肉の塊をリザに渡し、サトゥーの彼女に向き直った。
「で、何の用だ?」
「いえ…サトゥーさんと別れた後、お見かけしたので、近寄ったら…」
一緒に転移したのか。
「ここはどこですか?」
「迷宮の中だ。地上は娘達に冷たいからな」
「あの…うちで暮らしませんか?亜人だからと言って、差別しませんから…」
「サトゥーと暮らせ!つきあっているんだろ?」
「それは…」
彼女を、サトゥーの居場所へと強制転移させた。これで、ゆっくり出来る。
---ゼナ・マリエンテール---
強制転移術…単なる転移術でも高位魔法なのに、スゴい。って、目の前で、サトゥーさんが女性とされていた。ここって、娼館のようだ。
「えっ?ゼナさん…」
女性の上で固まっているサトゥーさん。私より、プロの人が良いのですね…
「勘違いしていました。ごめんなさい」
その場から立ち去った。私に好意を抱いていると想っていたのに、違うようだ。そうだった、商人は2枚舌だものね。愚直な人だと想っていたのに…今さっきまで会っていた人物を思い返した。彼は不器用で愚直そうだ。種族から考えて、本当の娘では無いのに、迫害されるからって、迷宮で暮らしている。あのような高位魔法が使えるなら、王都で魔法師として仕官出来るのに、たぶん娘さん達のことがネックなんだろう。
彼の元で修行すれば、私も高位魔法が使えるようになるのかな…
詰め所に戻らずに、自宅へと帰った。私の家は、マリエンテール士爵家である。子爵と言っても、官職についていないので、地位もお金もある訳では無い。
「やりたいことを見つけました。軍籍を抜いて良いですか?」
父に尋ねた。
「そうか、見つけたのか。お前のやりたいようにしなさい」
と、言ってくれた。早速、詰め所に行って、軍籍を抜きたいと伝えたのだが、
「寿退役以外、認め無い。セーリュー伯爵領軍において、お前は大切な魔法兵なんだぞ!自覚を持て!」
と、上官にどやされてしまった。そんな…
「やりたいことって、何?」
仲の良いリリオに訊かれた。
「魔法の師匠になって欲しい人を見つけたの。でも、彼には事情があって、街に住めないのよ」
「サトゥーさんかな?」
「違う!あの人には別の人がいた…」
「失恋して、他の男に走るのか?」
って、同僚のイオナ。
「そうじゃないよ…スゴいの。上位魔法を簡単に使えるだよ。サトゥーさんの手柄って、ほとんど彼の物らしいし」
「え?手柄の横取り?」
同僚のルウが驚いている。私は頷いた。
「結果的にはね…」
「あの悪魔を簡単に屠ったのは、その魔法使いなのね?」
イオナに確認をされた。頷く私。
「わかった。上と話をしてくるよ」
イオナが上官の部屋へ向かった。
---シュウ---
街で、この大陸の地図を買ってきた。どこに行こうかな?
「リザ、行きたい場所って有るか?」
「旦那様の行きたい場所♪」
それは嬉しいが、それでは決まらないじゃないか。どうするかな。そうだ!旅の本を買ってこようっと。また、一人で地上に転移した。地上に出ると魔なるオーラを感じた。また、悪魔か?魔なるオーラのする方へ急いだ。
路地裏から感じる。路地裏に入ると、何かの包みを抱えた者がレイスに襲われていた。『ホーリーアロー』をレイスに叩き込むと灰になっていく。レイスの大群をを一掃して、襲われていた者の傍に駆け寄った。
「姫を頼む…」
そう言い残すと、彼の命の灯火が消えた。蘇生術を試みたが、彼の行為は自殺行為だったのか、生き返ることはなかった。くそっ!僕の蘇生術は、自殺者と天寿を全うした者に、寛容では無いのだ。
彼が大事に抱えていた包みには、エルフの少女が入っていた。
「死にたく無ければ、そいつを渡せ!」
レイスを召喚したヤツが現れた。
「断る!」
「なら死ね!」
闇の波動が僕に襲い掛かってきた。
「バカか?闇の世界に生きる僕に効く訳が無い」
ちなみに、闇の世界の王は、僕の息子だったりする。
瞬動術で術師の目の前に躍り出て、タッチした。叫び声を上げ、燃えて灰になる術師。相手の正体を見極めてから、ケンカを売れば良かったのに。このケンカは買うよ♪