異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
彼女を護り抜いたネズミ族の騎士を、聖なる布で包む。この布で包めば、腐敗はしないし、邪悪な者に取り憑かれることが無い為である。
次に索敵能力で、この街にいるエルフを探し出す。死を覚悟して、この街に来たってことは、彼女を届ける先がここにあるってことだ。サトゥーのように全マップ探索は無いので、時間が掛かったが、見つけた。その者のいる場所へと転移した。
「何者だ?」
僕が転移すると、エルフの男性が身構えてきた。
「彼女は知り合いか?」
騎士に護り切られた少女の顔を見せた。
「ミーアだ…」
彼の知り合いのようだ。
「どうして…」
「あぁ、魔力キレのマインドロストだ。怪我は治癒術で治してある。この者が、ここまで彼女を護り切ったようだよ」
騎士の死体の顔を見せた。
「知らない…おい!お前、何者だ?何故、聖なる布を持っているんだ?」
驚くポイントはそこか?
「僕の物だ。じゃ、彼女のことは任せるよ」
僕は彼女を手渡して、娘達の待つ迷宮へ転移した。
----ゼナ---
それは何の前触れもなく発生した。空を埋め尽くすように、ギガントアントが羽ばたいて、街へと近づいて来ていた。人よりも大きな蟻で、生き物を総て喰らい尽くすという貪欲な食欲を持つ魔物である。それが大群で押し寄せて来たのである。
彼らの表皮は硬い。剣や矢なんどの刃では切り込めない。羽を撃ち抜くと、地面を素早く這い出し、視界に入った生き物に食らいつく。とても厄介な魔物で、過去に幾つもの街を消し去ったらしい。
高み台に立ち、魔法を叩き込むが、まるで効果が無い。弓兵達の攻撃も効果が無い。住民達を避難させつつ、時間を稼がないとダメだ。
『神様、お願いです。助けて下さい…』
ふと、天を仰ぎ祈りを捧げた。私は神官では無いので、祈りなんか届くはずも無い。でも藁にも縋る思いである。
誰の気配を感じなかったのに、いきなり、私の頭を誰かが優しく撫でている。これって…
「その願い、叶えよう♪」
あの方の声…
『エアースタンプ』
ドォーン!
大音響と共に、一瞬にして、空を埋め尽くしていたギガントアントの大群が消えた。視線を下へと向けると、潰れたギガントアントの大群が、地面を埋め尽くしていた。
聞いた事の無い呪文。スゴい…高位魔法かな?後を振り向くと、既にあの方はいなかった。
---シュウ---
嫌な予感がしたので、エルフの家へと転移をした。彼は怪我をしていた。襲われたようだ。治癒術で怪我を治していく。
「ミーアが攫われた…」
やはり、ギガントアントは囮か…ここは結界で護っておいた。どこから入ったんだ?室内を見回すと、空間に切れ目を見つけた。ここから出入りしたようだ。結界は侵入者を防げるが、結界内の空間を切り開かれると、意味をなさない。
「ちょっと、取り返してくるよ」
「どうやって?」
エルフの男性の言葉はスルーして、まだ塞がっていない空間の切れ目から、入っていった。この手の移動は一本道が基本で有り、ミーアというエルフの少女のいる先に出られるはずだ。
空間の切れ目の出口から這い出すと、玉座のような椅子にミーアがいた。彼女の傍らにはミーアに似た、ミーアとは違い巨乳の女性が、ミーアを介抱していた。お姉さんかな?いや、違う。あの巨乳は人造人間のようだ。生物としてのオーラが無い…ミーアをモデルに作ったのか?
「貴様!何者だ!」
声の主を見ると、フードを被った男性が、何かの操作卓を操作していた。こいつが元凶か?
「ここへ、正式な手順を踏んでから来い!」
急に床が消えた…振り出しに戻すつもりか?
「なんで…貴様、落ちないのだ?」
咄嗟に見えない翼を展開して、その場にホバリングしている僕。フードの影に紫色の何かが2つ見える。操られているのか?いや、こいつ、リッチっぽいなぁ。
近づいて、彼に触れると、紫色の炎を吹き出して燃え始めた。やはり、不死者だな。
「お前…何者だ!」
紫色の何かがリッチを見捨てて、逃げようとしている。
「単なる化け物だよ♪」
神聖なる針を2つの何かに投げつけた。紫色の炎を吹き出し燃え始める何か。こいつらも不死者か。
「まさか…貴様…神殺しか…」
何かの発した言葉をスルーする。
『システムメッセージ、この迷路の自爆シーケンスが実行されました。職員および訓練生は直ちに脱出してください。繰り返します』
と、天井に設置してあるスピーカーから聞こえた。迷路?なんで自爆なの?おいおい…ミーアの傍に行き、『リレミト』を唱えた。これは構造物の外へ脱出する呪文である。
構造物の外に出た。構造物と言っても山が有るだけだ。その時、地面が揺れた。山に偽装した、ピラミッドタイプの迷路だったのかな?正規な入り口から入っていないので、全体像はわからない。
って、背中にマシュマロ感を感じるのは何故?背後を見ると、ミーア似の女性の人造人間が抱きついていた。
「あなたを私のマスターと設定しました」
耳元で囁くように言われた。はぁ?巨乳はそんなに好きでは無いんだけど…ミーアとミーア似の女性の中間がベストだと思うんだよ。
「君の名前は何?」
「ナンバーセブンです」
7号機ってことかな?じゃぁ、
「ナナという名前にしよう」
「設定を修正しました」
話し方に色気が無い。秘書にするにはいいかな?
「って、ここはどこ?」
ナナはあそこから出たことが無いらしく、わからないようだ。探査スキルで周囲の情報を探る。集落があるようだ。そこへ、ミーアを抱えた僕とナナとで向かった。
集落はネズミ族の集落だった。って、もしかして、あの騎士の亡骸を集落の者達に見せた。
「ミゼです。集落の周辺で起きた立ち枯れの調査をしに行っていたのですが…」
彼の最期を集落の者達に伝えた。
「そうですか、そのエルフの少女を助けて…」
立ち枯れ?そう言えば木々が元気ないなぁ。地脈が断ち切られたのかな?探査能力で調査したけど、地脈は弱々しいが断ち切られていない。そうなると、何者かのエナジードレインを喰らったか?あの正体不明の奴らかな?う~ん、僕の祝福でどうにかなるかな?
僕は祝福の聖剣を取り出し、両手に持って頭上に掲げ、祈りを捧げた。
『この森に生きる者達へ祝福あれ!』
最後に念を込めると、木々に碧さが戻り、清々しいそよ風が吹き始めた。森の精霊達が木々の合間を踊り歩き始めたようだ。ふと我に返ると、集落の者達が、僕に跪き祈りを捧げていた。なんでよ?僕は見ないことにして、聖剣をしまい、集落の者に尋ねた。
「セーリュー伯爵領って、どっち?」
---ゼナ---
リリオを含めた詰め所の仲間達に、見た事を報告した。
「ギガントアントの大群を1発の魔法でか…」
上司が唖然としている。
「聞いた事の無い呪文でした」
「この街の軍に入ってくれないかな?」
「ダメだよ。あの人の娘さん達は、迫害されちゃうよ」
この街では亜人は奴隷と同じ扱いである。
「そうか、亜人の娘達がいるのか…ゼナ、弟子になって、魔法を習ってきてくれるか?」
そのつもりだったんだけど…
「はい、そうしたいです」
軍籍は抜かずに、研修扱いになるらしい。ただし、条件があり、リリオ達、私の護衛兵も一緒に行動することだと言う。それはちょっとなぁ…
「ジャマ立てはしないから♪」
何のジャマ立てよ!
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しかし、事態は思うようにならない。ベルトン子爵が前回と同じく、今回の立役者がサトゥーさんだと言い始めたのだった。軍部は私の言うことを信じているのだが、ベルトン子爵の方が、この街での地位は上で…私はサトゥーさん付きにされてしまった。サトゥーさんの希望だと言うのだが…
「俺はそんなことを言っていませんよ」
って、否定するサトゥーさん。
「そうですか…で、今日も娼館へ行かれるのですか?」
「う~ん…」
煮え切らないサトゥーさん。私は彼の前で服を脱ぎ、全裸になって彼に抱きついた。
「ゼナさん…」
私を拒否せずに受け入れてくれたサトゥーさん。私の初めてをサトゥーさんが撃ち抜いてくれた。痛いけど、その後にもたらされる快楽に飲み込まれて行く私。
彼の顔が私の胸の谷間に…彼の舌が、私の胸を…下腹部を這い回っている。彼のしたいようにされる私。そして、彼に身を委ねて、夜が更けていく。
---シュウ---
エルフの男性の家で、彼と今後のことを話している。彼の名前は、ユサラトーヤ・ボルエナン、通称は店長とかユーヤだそうだ。ここ、セーリュー市で何でも屋を営んでいる。ミーアと同じボルエナン氏族出身だそうだ。
「ミーアをボルエナンの里まで送って貰えないか?」
と、頼まれた。
「かまわないけど…馬車が欲しいなぁ」
座標点が分からないので、転移で行けない。そうなると馬車は必要である。
「わかった。それは俺が用意する。後、必要な物はあるか?」
「食料だよな。ミーアは肉食じゃないよな?」
肉食のエルフって聞いた事無いもの。雑食だとは思うけど。
「全行程分は無理だが、用意するようにする」
馬車なぁ…仲間が迎えに来れば、馬車くらいどうにかなるのだが…仲間への連絡手段が無い。
「で、出発の日なんだが、馬車を街の外に置いて待っていて欲しい。僕、関所を通っていないから…」
「はぁ?壁を乗り越えたのか?」
呆れているユーヤ。
「まぁ、そんな感じだ。あと、娘枠が亜人だから、関所で一悶着起きそうだから、馬車へ直接転移するよ」
「わかった」
出発は1週間以内ってことになった。
---ゼナ---
サトゥーさんに抱かれた。あの方への背徳感が…あの方とはそういう関係では無いけ…純血性が失われた気がする。
「ゼナさん…そろそろ、次の街へ行こうと思うんです」
っと、サトゥーさんに言われた。
「困ります。ベルトン子爵の配下の士爵待遇なんですから。その上、この街の栄誉市民なんですからね」
彼をこの街に、つなぎ止めるのが、今の私の任務である。その為に、身体を…
「そう言われても、士爵待遇にも、栄誉市民にもなりたくてなった訳では無いのですから」
なら、断れば良かったのに。ベルトン子爵によると、私が傍付きになると聞いて、了承したらしい。
「じゃ、なんで、私を受け入れたのですか?私の役目は分かっていましたよね?」
「それは…」
言葉を濁すサトゥーさん。私と一度寝たかっただけなのだろうか。私は娼婦と同じ扱いなのだろうか。
「好きですから」
意外な返事に、心が湧き踊る。
「では、一緒に付いて行きます」
「え?行く宛ては無いですよ」
「付いて行きます。いいですね!」
彼の部屋を出て、詰め所に向かう。彼の動向を知らせないとダメだから。
---シュウ---
ギガントアントの大群は、サトゥーが倒したことになっていた。まぁ、今後も僕の影武者として利用するかな♪
サトゥーを見つけたので、こっそり、有り金を『強奪』しておく。うん?おぉぉぉ~♪始めて見る金貨がどっさり。商人として儲かっているのかな?ベルトンの家に、こんな量の金貨はなかったのに、こいつ、持ち歩いているのか。
肉などを買って、迷宮へ戻った。そこには、娘が5人待っていた。ナナとミーアが加わったのだった。トーヤの元に置いて置こうとしたら、僕の服を掴んで離さなかったのだ。しかたなく、ここへ一緒に転移したのだった。
「リザ、肉だ。タマとポチとで分けて食べろよ」
「はい♪」
「ミーアには、ハチミツ菓子だ」
「ありがとう♪」
「ナナには…」
ナナと二人で別室へ転移して、僕の肉体の一部をナナの体内にコネクトインして、エネルギーを譲渡した。
「スキンシップしてください、マスター」
「今しているんだけど…」
スキンシップの意味を理解していないナナ。それよりも、性的刺激をまるで感じていないようで、僕的には気持ち良い行為ではあるが、ナナ的には不満らしい。性的刺激を感じるように改造しないとダメだな。って、ナナの設計図が無いので、どこをどう直せば良いのかもわからない。生物なら、神経系統を弄れば良いのだけど…ナナには神経が大雑把にしか通っていなかった。女体を知らない者が設計したのかな?
みんなの元へナナと共に戻った。
「明日から旅に出る。馬車の御者はナナとリザにする。タマ、ポチには索敵をしてもらう」
「わかりました」
「了承しました」
「はい」
「はいなのです」
4人4様のお返事。
「ねぇ、私は?」
ミーアに聞かれた。
「精霊の声に耳を傾け、危険を回避してくれ」
「うん♪」
---ゼナ---
信じられない…サトゥーさんが宿を引き払って、この街を去ったらしい。私とのことは遊びだったとは…昨晩、濃密に味わっていたのは、最後の1回ってことだったのか…
ベルトン子爵からは、どう責任を取るのかって言われた。そんなことを言われても…気づくと、あの方がいた高みの塔へ昇っていた。こんなことなら、あの方の元へ駆け落ちすれば良かった。
『もっと一緒にいたかった…』
私は塔から一歩踏み出した。
---シュウ---
どうして…目の前にゼナがいた。彼女の声が聞こえたので、彼女の元へ転移したのだが、遅かった。ゼナの全身の骨はくだけていた。あの笑顔は見られない。顔が潰れて平面だった。なんで…僕の中で怒りが暴走していく。ゼナを聖なる布に包み、トーヤの元へ向かった。
「どうしたんだ?出発は今夜だろ?」
「知り合いが…自殺だから、死ぬ前に治癒させないと、死んだら終わりなんだよ」
僕の蘇生術は自殺者には寛容では無い。まだ、微かではあるが、命の灯火が消えていない。
「わかった。どうすればよい?」
「部屋を貸してくれ。迷宮内では邪気が多くて、術の効きが悪いと思うんだよ」
トーヤから一部屋借り、部屋内を浄化して、幾重にも結界を張った。そして、聖なる布に包んだ状態で、修復術を掛けていく。骨折した骨を元に戻していく。分断された筋肉繊維を復元していく。潰れた内臓を…ダメか…心臓がマズい。どうするか…そうだ!アレを埋め込むか。僕と共に離脱することになるが…僕は僕の駒をゼナに埋め込んだ。彼女の人間としての心臓の代わりに。
僕の駒は埋め込むことで、転生ドラゴンになれる。元の姿のまま、ドラゴンとしての生命力、耐久性をある程度、手に入れられるのである。ゼナの纏うオーラが少し強くなってきた。これなら、出せる。聖なる布からゼナの身体を取り出して、僕の肉体の一部を彼女の体内にコネクトインした。
彼女の体内から、僕の癒やしのオーラを染みこましていく。魔術では無く、スキルなのでエネルギーの消費はほぼ無い。彼女から、女体特有なエナジーをドレイン出来るので、おつりが来る程度である。
ゼナの全身に血の気が戻って来た。乳房に張りが出始め、乳首がやんわりと立ち始めた。性的な刺激を感じる余裕が出て来たようだ。もう少しだ。
「うっ!」
自発呼吸をし始めた。これで安心かな?念には念を入れて、癒やしをのオーラに漬け込んでいく。
「え…どうして…」
僕とスキンシップしていることに、驚いているようだ。
「ゼナ、おはよう♪今から、僕の下僕だよ♪」
「はぁ?」
記憶が混濁しているようだな。
「いまから、君はゼナ・ヨハネだ。いいね」
彼女に起きたことを説明した。事後説明ではあるが、了承しない場合は、死しかないという、残酷な選択になる。
「生き返らしてくれたのですか?」
「違うよ。僕は自殺者は蘇生できないんだよ」
「えっ?私って、自殺したの…」
自殺した記憶が無いようだ。魔が差したってヤツのようだ。
---ゼナ---
私に起きたことを説明してくれ、私を優しく抱き締めてくれた。彼の胸で大泣きしてしまった私。魔が差して、塔から一歩踏み出したようだ。なんて、ことをしてしまったんだ。一番哀しかったことは、私は人間ではなく、亜人になったことだ。もう、人間として生きられないそうだ。
で、何故あのような行為をしてしまったのかを話した。
「はぁ?サトゥーがやり逃げた?それは、美味しいマネをしているな。遣り手の商人様、やることがエグいなぁ♪」
あの方は羨ましそうに言った。私で良ければ、いつでも…使い古しですが…そんなことを言いそうになる。
「ゼナはお古で無いよ。今、膜を再生したから。次も処女として交われるぞ♪」
耳を疑うような事を言う。処女膜を再生?抱き合っている間に…高位の魔法使いともなると、心すらも読めるのだろうか?
「今夜、僕達も旅に出るから」
「弟子にしてもらえますか?」
私の願いを伝えた。
「弟子?何のだ?娘達の世話で一杯一杯なんだけど…いや、ゼナにも手伝って貰うけど」
「魔法使いのです。私も高位の魔法を使いたいです」
「はぁ?僕は魔法使いで無いけど…」
だって…ギガントアントや悪魔を簡単に屠っていたじゃないですか。
「あぁ、悪魔は魔法で倒していないし、蟻さんへ放った術は基本的な物だよ」
あれ?彼は高位の魔法使いで無いらしい。では何?
「僕?ジョブ的には魔導戦士だよ。魔法使いというより、魔導師に近いよ」
魔導戦士?聞いた事無いジョブであった。
で、私は仲間扱いなので、弟子にして貰う以前に、戦士として戦えるレベルに、鍛えられてもらえるらしい。良かったのかな?