※この作品はR-18です。

異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか   作:もっち~!

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大罪人が産み出す聖女降臨

---サトゥー----

 

まず、オーユゴック公爵領の公都に到着。宿を取り、サトルさんと共にトルマへ挨拶しに行く。色々と有ったが、今では友人であるトルマ・シーメン。現シーメン子爵の弟で、オーユゴック公爵の甥という血筋で、平民の女性と結婚したことで、貴族、庶民を問わずに情報が豊富である。

 

前もって、調べて貰ったお店に案内をしてもらった。

 

「ここって?」

 

サトルさんが訊いてきた。

 

「この街一番の娼館ですよ。サトゥーに、人気店を調べるように言われてね」

 

「お前…」

 

何か言いたげなサトルさんだけど、無表情スキルで乗り切る。そして、無表情のまま、サトルさんの耳元で

 

「この世界の娼館はサイコーですよ♪」

 

と、囁いた。シュウに聞いたのだが、モモンガと名乗っていた世界では骸骨姿で、ナニは付いて無かったらしいと聞いたのだ。さぞかし、溜まっているだろうと…

 

「リアルよりもか?」

 

「はい♪」

 

何気に嬉しそうなサトルさんと共に、三人で娼館に入って行き、僕が3人分の料金を払い、それぞれがパートナーを選び、それぞれの部屋へ消えていく。

 

 

 

---シュウ---

 

夕方近く、ルルに渡してあった呼び出し用の魔法陣で呼ばれた。野営の準備を始めた頃だったけど、皆に一声掛けて、ルルの元へ転移した。

 

「旦那様が戻らないのですが…」

 

ルルが言うには、宿を取ると、モモンガと二人で、挨拶回りをすると言って、出て行ったそうだ。男二人だけ…それなら、あそこだろう。

 

「心配する事無い」

 

「あの…そうではなくて…」

 

真っ赤な顔で俯いたルル。彼女からは、かわいい腹の唸る声が微かに聞こえる。腹減ったのか…それは切実な問題だな。宿の部屋には調理場は無い。さて、どうするかな…へたに店で食べると、亜人嫌いとトラブルに成りやすいし…そうだ♪デカい調理場のあるスペースを思い出した。炊き出しでもするか?皆を連れて、調理場を目指して出掛けた。

 

 

目的地、テニオン神殿は、何か様子がおかしい。弱々しい祈りの声が聞こえる。中に入っていくと、やつれた顔の巫女達が、何かに取り憑かれたように、祈りを唱えていた。なんだ?断食行か?

 

「シュウ様!」

 

懐かしい司祭長の声が、僕を呼んだ。彼も、どこかやつれている。

 

「おい!食う物を食っていないのか?」

 

「実は…巫女長が…」

 

巫女長リリーが体調が優れないと言う。なので、食べ物が喉を通らない上、寝ずの祈りを捧げているのだと言う。

 

「おい!今から、仲間に炊き出しをさせる。順番に巫女達に食わせろ。リザ、ルル、聞いての通りだ。巫女達の分も作ってあげてくれ」

 

「「はい♪」」

 

リザ、ルルを先頭に、調理場へ向かう仲間達。僕は専用フィールドから、巨大鯨の肉を数塊取り出して、

 

「アリサ、ナナ、これで唐揚げをつくってくれ。ポチ、タマは青汁を作って。ルル、水分の多めの粥にして。提供温度は人肌くらいが食べ易いと思う」

 

米や野菜は、調理場の中に山積みにされている。信者達からの寄付だろう。

 

「僕は巫女長の様子を見てくる」

 

指示を出し終えて、巫女長の部屋へ向かった。部屋には、死に神が巫女長の死を待っていた。迷わずロストしておく。それから、彼女の身体の具合を探査してみた。歳も歳だからな…悪いって思える箇所は無い。老衰による内臓不全の一歩手前って感じだ。

 

「司祭長、どうしたい?」

 

要望を訊いてみた。願いが無いと手が出せないから。

 

「出来れば、延命してもらえませんか?先代の勇者様と共に戦った聖女様です。巫女長様しか知らない魔法や呪文が、まだまだありますから」

 

延命かぁ…僕の蘇生術は天寿を全うした者には使えない。なので、死ぬ前に細工をしないとダメだと思うのだが…どこも悪く無い彼女の身体。治癒術では治せない。これも老衰による内臓不全には効果が無いのだ。

 

どうするかな…とりあえず、巫女長の時間をロスさせない為、僕専用フィールドで、時間を一時停止させる為に、強制転移をさせた。

 

「どこへ連れ出されたのですか?」

 

司祭長に訊かれた。

 

「生なる時間の経過が停止する、僕専用のフィールドだよ。彼女の生の時間が、過ぎるのを抑える為だ。彼女は老衰による内臓不全一歩手前であり、天寿を全うする寸前である。これを延命するのは、カルマの増える行為になる。なので、ここから先は、僕が勝手にしたことにする。で、手柄はいつも通り、サトゥーに付けて置いてくれ」

 

「しかし…それでは…」

 

涙目で悲しそうな目で、僕を見つめる司祭長。

 

「いいんだよ。責任とかカルマは、僕が取る。それが上に立つ者の役目だ」

 

僕は僕専用フィールドへ、一人で転移した。

 

 

 

---ミト---

 

おかしい…シュウから、何も連絡が無い。公都でトラブル発生か?野営の準備を取りやめて、夜通し移動することにしてもらった。セーラ、リーンも心配そうな顔だし、いつも笑顔のファルコンさんの顔にも、焦りが見える。彼もシュウと連絡が取れなくなったそうだ。

 

戦闘中であれば、連絡は取れるらしいのだけど、取れない場合は、大概、みんなに言え無いことを、一人で被っている場合が多いらしい。とっても、まずい状況だと言う。

 

「大丈夫ですよね?恩を何も返せていないに…」

 

ゼナの顔は悲痛である。セーラ、リーンも同様に恩を返せていないと言う。たぶん、ここにいる大半の者が恩を返せていないと思うのだが…私も…たぶん…

 

 

 

---シュウ---

 

リリーの隣に、大切に仕舞っておいた亡骸を置いた。娘の亡骸である。娘は仲間を助ける為、命を捧げたのだ。そんな彼女を介錯したのは僕だった…僕は彼女の命の灯を消したのだ。僕は僕の娘を僕の手で殺した。これ以上の罪は無い…だから、もう何でも出来る。僕は極悪人であるから…

 

リリーのような聖女クラスの魂を収める器は、それなりの物でないと、魂が定着する前に器が壊れ、魂と器の両方が破損、もしくはロストしてしまう危険があった。その点、僕の娘は、僕の娘である。母親は魔王の血筋である。問題ないレベルだ。

 

『ガイラ…ごめん。形見にと思ったけど…使わせて貰うよ』

 

彼女の亡骸に念を送ると、

 

『お父さんらしい。お父さんの娘で良かったよ♪』

 

って、返事があったような気がする。すでに魂の無い器だけの状態なので、返事をすることは無いはずなんだけど。後ろ髪を引かれつつ、僕は禁断の魔術による『器の融合強化』の儀式を始めた。

 

 

 

---セーラ---

 

公都に着いたのは早朝だった。公都に入るなり、神託が降りて来た。

 

『大罪人が産み出す聖女降臨』

 

って…

 

「大罪人が産み出す聖女?なんだろうね?」

 

ミトさんが首を傾げた。馬車は、テニオン神殿へ向かって走り続けた。神殿に着くと、信者の方々が神殿へ跪き、祈りを捧げていた。元巫女の私だけ、神殿内に走り込んだ。

 

「セーラ様…」

 

司祭長様が、お声を掛けて下さった。

 

「これは…どういうことですか?公都に入るなり、神託が降りて来ました。『大罪人が産み出す聖女降臨』と…」

 

「そうですか…」

 

司祭長の顔から血の気が失せていく。

 

「シュウ様が、何かしらの禁を破られたのでしょう。大罪に値する何かを…」

 

「どうしてですか?」

 

訳も無く、そんなことをされる方では無い。そう信じたい。

 

「老衰で天に召される寸前のリリー様の延命を、願いました。それを叶える為です。カルマを背負うのは、上に立つ者の役目だと言われて…」

 

神に反逆する行為…天寿を全うする者を延命って…神様でもしちゃダメだと思う。誰がしようとも、それは大罪である。

 

「どうして、そんな願いを…」

 

私、お姉様、ゼナさん、ヴァイオレットさんと、既に禁を破り続けているあの方。それなのに、地上の者は欲深いのでしょうか?更に願いを…それも神に仕える者が…

 

涙が込み上げてくる。自然に跪き、祈りを捧げる私。もう巫女では無いけど、どうぞ、想いが届きますように…

 

 

 

---サトゥー---

 

朝日が眩しい。サトルさんと、宿へと戻る。トルマは、宿泊せずに帰宅したようだ。

 

「天にも昇る思いだったよ~」

 

サトルさんは嬉しそうだ。まぁ俺も愉しめたし♪

 

「何か遭ったのか?」

 

サトルさんに訊かれた。確かに人の流れがおかしい。この時間だと市場へ向かう人が多いはずだが、神殿方向へ人の波が押し寄せていた。

 

遠話でアリサに話し掛けてみた。

 

『何か遭ったのか?』

 

『朝帰り?ごめん…おやすみなさい』

 

って、寝てしまったようだ。何か遭ったようだ。宿へ向かうが、そこに仲間は誰もいなかった。

 

 

 

---シュウ---

 

成功…今回は禁固何千億年かな…リリーの部屋に彼女と共に帰還した。しかし、罰は科せられなかった。あれ?

 

『そこは転生の門の無い世界だ。もし、死ねば転生せずに、ロストする運命だ。良く、食い止めた…』

 

って、大いなる意志に誉められた僕。転生の門が無い?死んだら、魂はロスト?なんだ、そのルールは?この世界の神は、魂は駒だと思っているのか?リサイクルしないと、もったい無いだろうに…

 

リリーをベッドの上に置いた。彼女は紅髪の少女に生まれ変わっている。

 

「いいの?ねぇ、本当にいいの?娘さんの身体を使って…」

 

意識が器に定着したリリーに、何度も訊かれている。

 

「何度も言わせないでね。いいも悪いも、もう使っちゃったんだよ。元には戻せない」

 

「ごめんなさい…形見だったのに…」

 

「いいって…タンスの肥やしになるより、この方が娘も喜ぶと思う」

 

ガチャッ!

 

部屋の中の気配を感じたのか、ノックも無しに、ドアが開き、司祭長とセーラが入って来た。

 

「リリー様はどうなりましたか?」

 

司祭長に訊かれたので、娘ガイラの姿になったリリーを顎で指した。

 

 

 

---ミト---

 

マインドロスト寸前の状態のシュウ。セーラの部屋だった場所で寝ている。エロ神なので、彼がお気に入りのヴァイオレットとメイの二人に、添い寝をしてもらっている。エロ神のエナジー補給には、女体とのスキンシップが大事らしい。

 

巫女長リリー様は、紅髪の少女として、この地に再降臨された。老衰で使い物にならなくっていたリリー様の身体の代わりに、シュウの亡き娘の亡骸を使ったそうだ。

 

「本当に罪深い事を、彼にさせてしまったわ。どう、償えば良いのかな?」

 

話し方も若い者口調になっているリリー様。

 

「この姿で、巫女長では不審がられますので、表向きは新人巫女でお願いします」

 

と、司祭長。実質の巫女長にはなるらしい。

 

「セーラの代わりに、彼に同行しようかな?」

 

セーラの気持ちを知っているのに、悪戯っぽく言うリリー様。

 

「止めて下さい。私のポジションを奪わないでください~」

 

必死に抵抗するセーラ。苦笑いして見るしかないなぁ。元々、悪戯好きだったらしいリリー様。若くなって、悪戯心に灯が点いたのかもしれない。

 

「シュウが目覚めないと、旅は無理ね。しばらく、この地に逗留いたします」

 

私が決断を表明した。この旅団の表向きのリーダーであるから。で、兄ぃなんだけど…

 

「へ?有能な神託の巫女をスカウトしたのが、俺なんですか?」

 

手柄は兄ぃに丸投げしてくれと、司祭長に事前に指示をしていたそうだ。

 

「兄ぃさぁ~、こんな一大事が起きている時に、表向きの眷属を放置して、娼館でお泊まりはマズいよね~」

 

兄ぃの表向きの眷属であるリザ達が、神殿関係者に多数目撃されていた。兄ぃが、この件に絡んでいないとおかしいのだ。食欲の無い巫女達に炊き出しまでしているし。これも、兄ぃの指示ってことになっているそうだ。

 

「丸投げはやめてくれ~。俺はそんなに、人格者じゃ無いんだよ。平凡な男の子だよ」

 

平凡な男の子は、高級娼館にお泊まりはしないと思う…

 

「一晩、一人金貨2枚だってねぇ♪」

 

泊まらなかったトルマは、金貨1枚だとか…

 

「どうして…それを…」

 

既に、リーンがトルマから供述を取ってきたのだった。

 

「ミツクニ公爵一行を舐めるなよ♪」

 

「一郎…うっかりハチベイ卿に改名した方がいいぞ」

 

って、サトルさん。いや、あんたも同罪なんだけど…

 

 

 

---セーラ---

 

あれから3日も経つのに、まだ目覚めない彼…添い寝要員は8時間交代している。その中には私たち爵位持ち家系の娘は含まれない。差別だ…ズルい…

 

「セーラ、しょうがないって。これも彼が、予め決めていたルールなんだから」

 

って、お姉様。

 

「ゼナだって、セーラと同じ気持ちだし。私だって…」

 

でも…彼に会えないって、こんなにも不安なのかって、分かる数日であった。

 

「依存しすぎるのは、あの方の負担になるぞ」

 

って、お父様。でも…それでも、傍にいたい。言葉を掛けて欲しい。

 

彼が目覚めるまで、自宅で過ごすことになった私とお姉様。毎日、神殿へ足を運ぶが、彼のいる部屋まで入れないでいた。

 

 

寝つけない夜…何かの気配を感じた。懐かしいような…恐いような…何かが私の上に載っている。金縛り…叫び声が出ない。抵抗すらできない。でも、上にいる何かは上にいるだけで何もしない。ただこうしていたいだけって感じのようだ。

 

翌朝、お姉様にだけ、その話をした。

 

「セーラも?私もだよ…心配で見に来たんじゃ無いのか?」

 

彼が?だって、目覚めていないんだよ!

 

「普通の人間のレベルで考えちゃダメだよ。相手は、エロ好きな最凶な化け物なんだから♪」

 

そうだけど…その日の午後、彼が目覚めたと知らせがあり、お姉様と彼の元へと急いだ。

 

「セーラとゼナが限界みたいだから♪」

 

本調子では無い彼の口から…昨夜のアレは彼だったようだ。お姉様の仰った通り、心配で体調のチェックに来たそうだ。そこで、私とゼナさんの精神が追い込まれていることに気づき、覚醒されたようだ。

 

「二人とも依存しすぎだよ。こんなちゃらんぽらんに、惚れちゃダメだよ♪」

 

笑顔の彼…私とゼナさんが泣きすがると、困った顔になった彼。

 

「で、いつ出発だ?」

 

ミトさんが訊かれた。

 

「1週間後だな。リリーの経過診断をしておきたい。あぁ、サトゥーのチームは明日にでも出発させてくれ」

 

「どこへ向かわせる?」

 

「鍛冶で有名なボルエハルト自治領なんかどうかな?サトゥーの名工伝説も有りだと思うだよ」

 

「また、丸投げか?」

 

呆れる様に言うミトさん。

 

「実は、僕が興味有るんだよ♪僕もジムもスミスだからね」

 

スミスとは鍛冶職人の事らしい。

 

 

 

 

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