異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
---シュウ---
リリーの状態は安定している。魂が新しい器に定着したようだ。
「ミト、明日以降に出発可能だぞ」
「わかった。準備をするよ」
ミトが部屋を出て行った。
「旅立ちだね」
リリーに訊かれた。彼女の顔は寂しそうだ。後ろ髪を引かれる…でも…
「そうだな。また会いに来るよ」
「大事に扱うから…だから…」
「もういいって。その身体はリリーの物だよ」
リリーの部屋を後にした。部屋の外ではセーラ、リーン、ゼナ、カリナが待っていた。
「どうしたんだ?」
「娘とのしばしの別れで、泣き始めたお前をセーラとゼナが、慰めるってシナリオ♪」
リーンが嬉しそうに言う。リーンに僕の習性が読まれているとは…だから、早めに切り上げて部屋を出たのだ。あのまま、いたら…名前を出されたセーラとゼナは真っ赤な顔で俯いている。
「ミトに伝えた通りだよ。出発の準備をしてくれ」
感情がバレないように、動揺を押し殺して、指示を出した。
「私達は特に準備はいらないと思うが…」
「爵位持ちの家系なんだろ?旅立ち前の挨拶回りはしておけよな」
はっとしたリーン。
「一応、外交担当なんだからね。僕はそういうのはしないから」
挨拶回りは苦手だ。いや、別れが嫌いと言うか…
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そして、今日はアリサ、ミト、ヴァイオレット、チセとあの世界へ…狩り目的では無いので、割りと普通の感覚持ちだけで来てみた。
「味噌は準備してきた?」
アリサに訊かれた。今日は、料理人がいないんだけど…
「まだ…エチゴヤにもどきは無いのか?」
「無いみたい…クマ相手だからパンチのある味噌じゃないと、臭みが気になるよね?」
「だろうな…」
この世界の通貨を得る為に、兎さんの毛皮を使ったコートを数着、売ってみた。まぁ、そこそこで売れるようだ。この先、人気が出れば、高く売れるらしい。
で、手にした通貨で買い物に行く。
「チセ、妖精、精霊の類いが居たら、教えてくれ」
「わかりました」
チセにはそういう能力がある。僕でも探知出来ない程の、微弱なオーラすら読み取れるようだ。
「アリサは食い倒れ禁止だからな」
「むっ」
ミーアのマネのアリサ。
「サトゥーに、餌付け禁止って言われたんだよ。ダイエット中なんだろ?」
その歳で、成人病予備軍はマズいと思う。
「ねぇ、成人病になったら、治してよ、シュウ♪」
お気楽女だな。
「成人病っていう正式名称の病気は無い。だから無理だよ。死んだら蘇生は出来ると思うけど」
「いや…殺さないで…」
「じゃ、甘味は禁止だ。ミトが試食担当だ」
「うっ…それって、私が屍姦対象だから?」
苦笑いしているミト。申し訳無いが、その通り
「だ♪」
店の品物を見て廻るが、装備品で掘り出し物は、これといって無いようだ。始まりの街だものな。食い物も、携帯食がメインか。ここで暮らしている冒険者は少ないようだ。
「どうする?」
「街を変えないとダメだな」
ツヴァイに相談をしてみたら、妖精の国を薦められた。そこにアトラクションタイプのダンジョンがあるらしい。おもしろそうだけど…壊したらどうしよう…
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翌日、公都を出て、鍛冶の街、ボルエハルト自治領を目指すミツクニ卿一行。何かあったら、ミトがいないと対処できないので、僕だけであの世界へ向かった。妖精の国って言うのがネックなのだ。トラブルを避けたいので、ハーフ精霊のアイズ、精霊に狙われやすいチセは、どんな妖精かを見極めないと危ない。リヴェリアだけど、ツヴァイにハイエルフには注意しろって言われたので、コイツも連れて行けない。あの世界のハイエルフって、どんな存在かを知らないと危険である。
妖精の国に向かう途中で、あの魔法使いの女に再会してしまった。
「あの時の…あの怪しげな術は何よ~」
「どんな術?」
惚けてみる。
「どんなって…」
顔が真っ赤になっていく女。
「言え無いんじゃ、わからないや」
スルーして先を急ごうとすると、
「待ちなさいよ~」
追ってきた女。
「私はミリー。アナタの名前は?」
「ツヴァイ」
「嘘吐くな!ツヴァイは私のいるギルドのマスターよ~
こいつもブルーカラーのメンバーなのか?
「ブルーカラーなのに赤い顔なのか?」
更に赤くなっているミリー。
「お前…許さない…」
では『催淫』1分モード♪1分持たないで達したミリー。抵抗力がなさ過ぎだな。今日もツヴァイの元で強制転移しておく。
う~ん…魔物らしい魔物が出ないまま、妖精の国に着いた。だけど、問題があった。関所があり、身分証明書がいるらしい。ゲーマーでは無い僕には、そんな物は無い。どうするかな。関所破り?おっ…『結界無効』スキルにより、関所では無い場所から妖精の国に入国できたようだ。ラッキーだ♪
で、妖精の国…う~ん…お城がある。お店もある。品揃えはたいしたことが無い…
「シュウ…」
呼ばれて振り返るとツヴァイとミリーと知らない男がいた。
「ミリーに何をしたんのかな?」
って、興味深そうに訊いてきたツヴァイ。
「お前…何をしたのよ~」
ミリーは激怒している。
「何もしていないよ。どうなったんだ?」
惚けておく。
「何って…」
モジモジし始めるミリー。人には言えないことだよね♪
「言え無いなら、えん罪だよ」
「言え無いようなことをしたんでしょ!」
「だから、どうなったんだよ」
更に惚ける僕。
「まぁまぁ」
仲裁に入るツヴァイ。知らない男性は僕をロックオンしている。何かの能力持ちか?
「今日は、仲間は連れていないのか?」
「アイツらは、今日はリアルに忙しいんだよ」
「そうなのか…そうだ。シュウ、レイジを知っているか?」
アイツもブルーカラーなのか?
「連れの女が、食事している目の前で嘔吐してくれたよ」
「やはり、あれはシュウ達なんだな。ダンジョンの近くで、焼き肉パーティーをしていた集団って」
「どこで食おうと勝手だろ?それより、ソイツは何者だ?値踏みするように僕を見ているんだけど」
ツヴァイに訊いてみた。
「あぁ、彼はアースだ。この世界では英雄級の有名人だよ」
英雄?生きている英雄なんか、嘘くさいなぁ。
「強いのか?」
「あぁ、強いぞ♪」
では、遠隔からの心臓を一舐め♪その場に崩れるように倒れたアース。
「何?アースをノーモーションで…シュウ、君は一体何者なんだ?」
ツヴァイに訊かれた。
「僕は何もしていないよ。貧血じゃないのか?」
『野営の準備、手伝って』って念話が届いた。
「そろそろ帰るよ」
座標点を採取して、あっちの世界へ転移した。
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「シュウ…その子は誰?」
ミトに訊かれた。うん?ミトの指差した場所にはミリーがいた。あれ?なんで?
「ここはどこ?」
「クマさんの世界のミリーって子だよ」
「連れて来たの?」
「服でも掴まれたのかな?」
「そう…」
ミト達はミリーをロックオンしている。
「警戒しないでも大丈夫だよ。30秒保たないから」
「あぁ、おこちゃまなのね♪」
ミトが挑発している。
「おこちゃまって何よ。あなたは何様なの?」
「ミリー、一応、ソイツがこの旅団のリーダーだ。リンチされたくなかったら、大人しくしておけよ」
「ちょっと…シュウ。私はリンチなんかしないよ」
困った顔をするミト。抱き締めて、軽く唇を重ねて、安堵のオーラを流し込んでいく。そんなシーンを目の当たりに見て固まっているミリー。
「主様、彼女はどうされますか?」
ヴァイオレットに訊かれた。手には剣を持ち、ミリーを牽制している。
「暴れると危険だな。ミト、奴隷の首輪を嵌めて置いて」
魔法具である『奴隷の首輪』を嵌めたミリー。この首輪を嵌めると、僕の指示でしか動けなくなる。
「ミリー、飯は食わせてやる、明日、ツヴァイ達の傍で解放してやるまで、そうしていろ」
命令待ちの奴隷のように、立ちすくんでいるミリー。魔法使いはどんなレベルであれ、油断すると危険だからな。
そして、僕も野営の準備に加わった。テントに泊まるのは女性陣だけだ。なので、大きめなテント2張りで足りる。
食事の準備は、人数が多いので、分業制である。僕、セーラ、ゼナ、チセが調理をする。後の者は配膳が中心になる。サトゥー達が街に着いたら、ルルとリザを借りてこようっと。
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翌日、テントを撤収して、馬車が走り始めると、僕とミリーで妖精の国へ転移した。そして、転移した後、ミリーの首輪を外した。
「あの世界は何?」
ミリーに訊かれた。
「知らないのも幸せの1つだよ」
「おい、どこに行っていたんだ?」
ツヴァイとアースと言う男が近づいて来た。
「仲間のセーブポイントだよ」
「そうなのか、ミリー?」
ミリーに確認するツヴァイ。
「うん…」
ミリーの顔は強張っている。僕が何かをすると警戒しているのか?
「まぁ、そういうことにしてやる。シュウ、これから、どうするんだ?」
「アトラクションのダンジョンに行きたい」
「一緒に行くぞ。お前の実力を見せてもらおうか♪」
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で、結果なのだが、ここでも出入り禁止になった。弱すぎる…ダンジョンのボスを瞬殺してしまった。その為、アトラクションの主催者に泣かれてしまった。最悪である。倒しちゃいけないモンスターがいるとは…主催者によると、アトラクションなんだからだと言う。確かにそうなんだが、反射的に素手で殴ってしまったのだ。灰になって消えていく目玉のボス。
唖然とするミリー、ツヴァイ、アース。僕の場合、素手が一番危険なんだよな…凹む僕。
「お前の実力が恐い…」
ツヴァイの顔が強張っている。
「張り手一発でロストって何?」
ミリーは呆然としている。
「お前は何者だ?」
アースに訊かれた。
「まぁ、そんな訳で…何かラスボスになるモンスターを、連れて来ないとダメだよな」
そうだ♪アレを置いていくか。アインズのコピー体を、目玉のラスボスとして設置した。コイツは強いぞ♪リッチだし。死なないし。
「これ、なんか凶暴そうなんですが…」
主催者の女性すらビビる、恐怖のオーラを纏っているアインズ様のコピー体♪魔法は効果無い。物理攻撃も入れることが難しい。倒すとしたら、体内に見える赤黒い珠を『強奪』すれば、動かなくなる。対処さえわかれば、割りと簡単に屠れるんだけどね♪
だけど…ツヴァイ、アース、ミリーの三人掛かりで挑むも惨敗…
「こんな無双なラスボスはダメです。難易度が高すぎます」
と、主催者から苦情が出た。あと、手持ちだと…これなら、どうだろうか?見た目は最弱なネギ太郎のコピー体に差し替えた。
「今度のは弱々しいですね」
って、主催者の掴みはオーケーなようだ。
「弱すぎるのもダメらしいぞ」
と、先程の三人がテストプレイを始めた。凶悪度はアインズよりネギの方が上なのだが…評価は如何に?
「何?」
フルカウンター持ち相手に苦戦する三人。ネギ太郎のコピー体は防御に徹するようにさせてあるので、怪我はしないだろう。
「あぁ、これはいいですね。勝てそうな気にしてくれますし」
って、主催者は許してくれた。
「で、どうすれば、ダメージが入るんですか?」
主催者の言葉に固まる僕…フルカウンター持ちにダメージなんか、入る訳が無い…ダメっぽいかな。いや、方法はある。
「1分程、呼吸をできなくすれば、ダメージは入ります。ポイントは間接的な攻撃です。例えば、アイツの周囲に炎膜を張り、酸素を無くせば、ダウンを奪えます。それに気づくかですね」
「なるほど、奥の深いボスですね」
って、納得してくれた。問題は、瞬動術を持つアイツの周囲を補足仕切れるかだな。まぁ、納品完了ってことで、帰宅した。
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サトゥーの元に寄って、リザとルルを回収しようと思ったら、女性陣が皆付いて来てしまった…ダメだと思うのだが…
「だって、サトゥーとモモンガがつるむと、私達は留守番なのよ!」
と、アリサがご立腹。気心の知れた野郎2匹だから、女子供の前で話せないことを話しているのだろう。後は、飲んだくれたり。サトゥーのストレス発散には良いのだが…
「みんな来ちゃったの?」
ミトが案の定、難色を示した。表向き、サトゥーと行動をしているはすの女子供部門が全員来てしまったから。
「人の目が気になる昼間は、狩り場に行く様にする」
「そうだね…そうしてください。イチロー兄ぃとサトルさんが迷惑をお掛けします」
って、ミトが頭を下げた。どっちの女房気取りなんだ?まぁ、いいか。
「目的地に着いたら、私達も狩り場に連れて行ってくれるの?」
って、リーン。
「まぁ、それも有りだな。ただ、今のところ、強い魔物がいないのが難点だ。なので、兎さんクマさんを狩ることになるかな」
「あの兎はうまいよな」
って、カリナ。
「他の食材も探さないと。牛とか馬がいるといいなぁ。あと恐竜系かな」
鯨さんのお肉もだいぶ消費されてきている。アリサ、ゼナが気に入ったようだし。
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目的地まで後2日くらいらしい。今日辺りに、新しい狩り場を見つけたい僕は、次の国を目指していた。次の国は、龍の国らしい。今回も入国に辺り関所があったので、『結界無効』スキルで、密入国を果たした。
で、この国は日本の文化そのものであった…日本の食材が多数ある。米もあるし、竈もある。アリサとミトが喜びそうだな。ただ、魔物がいない…狩りが出来ない。う~ん…ここを拠点にして、狩り場を探すか。龍の国の座標を取り込み、フィールドへ出ると、空には大量のドラゴンが飛んでいた。方向的には妖精の国へのようだけど。攻め込むのか?
そんな時、『助けてくれ』とツヴァイからのメッセージが念話として届いた。どんなシステムだ?ゲームと僕のスキルが融合したのか?まぁ、いいか。ツヴァイの元へと転移した。
「よく来てくれた。なぁ、ドラゴンの大群が妖精の国に侵攻してきたんだ。アースだけでは手が回らないんだ」
攻め込んできたドラゴンは妖精達をついばんでいた。妖精がエサなのか。それは危険だな。アイズが食われたら大変である。
「殲滅していいのか?」
「出来るのか?」
アイツらの肉って、美味しいのかな?まぁ、マズかったら、廃棄すれば良いか。ドラゴンキラー系の剣を手にして、瞬動術を駆使して、地面に降り立っているドラゴンを活き締めして、専用フィールドへ転送していく。大漁だな。空にいるのはどうするかな…あぁ、そうだ。『ダイヤモンドダスト』でミンチ状態にして、専用フィールドへ転送していく。ハンバーグにでもするかな。味は香辛料でごまかせるし♪
ほんの10分程度でお掃除は完了。
「え…もう殲滅したの?」
狐人の女性が呆気に取られている。誰だ?
「ツヴァイ、大漁だ。そろそろ帰るよ」
仲間の待つ世界へと転移した。