異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
---シュウ---
到着は明日の予定だそうなので、今日は大人しく馬車の中にいる。アリサ達は、先に転移してあっちへ連れ戻った。一緒に行くと不都合だったから。
「暇だぁ~」
何者しないのは苦痛である。
「ダメだよ~、馬車内で淫行はしちゃダメ!」
って、ミト…そうなのか…ミトを全裸にしようとして、注意された。う~ん…
しかし、こういう時に限って、アクシデントは起きやすく、僕を飽きさせないというか、困らせると言うか…
「私も同行します」
システィーナ王女を載せた馬車が僕達の旅団に追い付いたのだ。
「なんで?」
「あなたと会話していません。私はミツクニ公爵と会話をしているのです。下男はさがっていないさい」
僕は下男なのか…すねてやる!馬車を降り、どこかへ転移しようとすると、
「行かないでください。ここは我慢を。ねぇ♪」
セーラが僕に抱きついた。
「下男は公爵と同じ馬車はまずいと思うんだよ」
「私達の主です。私達は下男なんて思っていません。システィーナ叔母様には、お姉様が説明しています」
しかし、見るからに、リーンが苦戦しているように見える。お付きの者によると、縁談は不調に終わったそうだ。勇者様の好みで無い上、王女はサトゥー一筋だと言う。
サトゥーとくっつけて、エチゴヤに専念させるか。リザ達は僕が引き取って…それも有りかな。
「悪人顔に成っていますが、何を思いつきましたか?」
セーラに訊かれた。なので、閃きを教えた。
「なるほど…でもサトゥーさんが納得しますかね?」
「するように持ちかけるよ。まぁ、悪あがきをして、ダメな場合にする。サトゥーは有効利用しないとな♪」
サトゥーは僕にとっての便利グッズであるから♪
で、セーラ、リーンよりも階位は上らしいシスティーナが、僕の座っていた場所を占拠して、帯同するらしい。システィーナは、ここまで載って来た馬車を、王都へ帰るように指示して、退路を断つようだ。
表舞台的には、この旅団で一番階位の高いシスティーナ。わがままし放題らしい。裏舞台的には、雑魚に過ぎないけど。まぁ、手柄はサトゥーとシスティーナへ丸投げにしようっと♪
しかし、問題児は問題を生む…食事が合わないらしい。この旅団の食事は狩った獲物を調理であるが、王女様の口には合わないようだった。
「おい!下男よ!まともな食事を手配しなさい!」
って、無茶を言う。しかし、ここで温厚なミトがキレた。
「もういい加減にしてくれないか?彼は下男ではなく、私達の主様なのだからな」
剣を手にして、王女様に刃を向けた。それを合図に、リーン、カリナ、ゼナまでも刃を王女様に向けた。
「おい!そこの魔王よ!いい加減、洗脳を解きなさい!」
って、僕に命じてきた。魔王なんて、ちんけなジョブでは無いんだけど…
「洗脳なんてされていない。このわがまま娘が!」
ミトがヒートアップしている。
「ミト!やめろ!もういいよ。なんかキレそうだよ」
「えっ!ダメだって。キレちゃダメ!」
ミトが剣をしまい、僕に走り寄って抱きついた。
「ねっ、お願いだから…置いて行かないで…一緒に連れて行ってくれるって、言ったよね?」
「そうか、お前!ミツクニ公爵を語っているのね?」
今度はミトを誤認し始めた王女様。まぁ、公爵って見た目のイメージが違うもんな。
「おい、そこのクソ女!ミトを虐めるのであれば、お前に罰を与える。消えろ!」
王女様を全裸にして、強制転移させた。サトゥーのいる場所へ♪
「どこに飛ばしたの?」
「サトゥーの元だよ。どうせ呑み屋だろ?あの街の娼館は、好みじゃ無いって言っていたし」
「そっち方向にキレたのか。ならいいか♪」
ミトの表情からは、安堵感を感じた。
---サトゥー---
鍛冶場に突然、全裸のシスティーナが転移してきた。コイツ、シュウに何かをしたようだ。全裸で強制転移って、シュウにしか出来ない荒技だし。
「えぇぇぇぇ~、見ないで…」
システィーナがしゃがんで、身体を丸めている。鍛冶場は大騒ぎになり、鍛冶修行どころでは無くなった。バスタオルで包んで、宿屋へ連れて帰った。
「お前、何をしたんだ?」
システィーナが悔しそうに話した。シュウを下男に化けた魔王、ミトを偽公爵と言い切ったようだった。
「サトゥー、この女を死刑にしましょうよ」
って、アリサ。
「そうでうよ、許せないです」
って、温厚なルルまで…シュウのことを主と思って、慕っているからな、コイツらは…
「なんで?なんで、死刑なのよ~!」
アリサを睨むシスティーナ。アリサは仕込み杖を手にしている。ルルは捌き用のナイフを隠し持っているし、リザ達もいつでも屠れる位置に立っていた。
「お前が悪い。アイツを下男と、魔王って…シンパが怒るぞ」
「だって、そうでしょ?ハイエルフ様を騙して、婚約者にして、セーラやリーンを愛人って、魔王らしい行動じゃない」
完全に自分の説を信じているシスティーナ。
「サトゥー様、アイツを一緒に退治しましょう。この国を乗っ取られる前に」
いや、もう乗っ取っていると思う。って、言うか、アイツそういうことに興味無いし。う~ん、どうするかな。アイツがいなくなると、高級娼館へ行けなくなるし…困ったなぁ。
「王女である私の言葉は、王様の代弁です。今からサトゥー様はミツクニ公爵を名乗って下さい。私はミツクニ公爵夫人を名乗りますから♪」
え?何?ミトを排除か?って、言うか、俺の嫁さんに成っているのは何故だ?
---シュウ---
暴走姫対策で、王様の元へ転移したのだが…事態は急展開しているし…
「王女って、王様の代弁者なのか?」
「システィーナが、何かしましたか?」
王様の顔から血の気が失せている。
「全裸で演説しているから、民衆が集まってきているんだけど、その前で、サトゥーは今後、ミツクニ公爵を名乗って、自分はミツクニ公爵夫人を名乗るって、王様の代弁って形で宣言したんだよ。どうする?」
ミトは呆れた顔をしている。まぁ、そうだよな。
「おぉ~、ボルエハルト自治領の領主と連盟で、宣言文にサインしているし…」
ナナの視覚、聴覚を通して、あちらの状況を実況中継している僕。
「領主と宣言文ですか?それだと公文書で、宣言は正当性を帯びるか、サインした者達は反逆罪になります」
王様付きの大臣が困った顔をした。
「で、ミトと僕は、偽ミツクニ公爵ってことで、指名手配されたみたい…」
「はぁ?何でよ?」
ミトは呆れている。怒りを通り越して…
「すみません…娘が暴走をしまして…」
王様が土下座をしている。
「謝罪はいいから、処遇を改善してくれない?王様次第で、この世界は無くすから」
珍しくミトが「ダメだよ~」って、引き留めない。それ程、キレているようだ。
「困ります…」
あたふたする王様。
「しょうがないなぁ」
システィーナとサトゥーを『強制転移』させた。王様の前に転移してきた二人。
「シュウ…俺は…ダメだって言ったぞ」
僕を見て言い訳をするサトゥー。突然王の間に転移してことで、固まっている全裸のシスティーナ王女。
「どうして…お父様…」
王様は僕達に土下座をしている。
「貴様!お父様を洗脳してのね!許せない。サトゥー、ここでアイツらを倒すのよ」
『催淫』で喘いでいて貰う。
「で、サトゥーよ。僕達にケンカを売るってことでいいんだな?」
「落ち着いて話そう」
無表情スキルで冷静そうな男を演じているサトゥー。
「兄ぃ…ヤルなら、討ってやる♪」
無表情ではあるが、ミトの気迫で後ずさりしていくサトゥー。
「ヒカル…話し合おう。俺は…敵対心は無い。それは事実だ」
「公爵夫人だけ悪者か?」
「だから、夫人にした覚えは無い!」
「ペンドラゴン男爵…申し上げにくいのですが…あの宣言文は生きています」
って、王様付きの大臣がサトゥーに。事態の深刻さを説明した。
「えっ!俺の知らないうちに…結婚したことになっているのか?」
無表情ではあるが、凹んでいるサトゥー。まぁ、凹むよな。
「どうすれば無かったことに?」
「申し上げにくいのですが…男爵と領主と王女が反逆罪になれば…」
「罪人か、結婚承諾なのか?」
「兄ぃ!違うって。この世界は消えるか、宣言を無効にするかだよ。ふふふ♪」
キレたミトは恐い…
「そこまでキレているんか?お前達…」
頷く僕とミト。目を見開いて驚いているサトゥー。無表情スキルが解除されたようだ。
「で、どうするんだ?僕はどっちでもいいよ。仲間達を連れて帰るだけだし♪」
ドアの外では、シガ八剣のメンバーが固まっている。僕とミトと王女を天秤に掛けているのかもしれない。
「わかりました。システィーナは病気療養させます。あの地を訪れたシスティーナはニセモノってことで、どうでしょうか?」
王様が代案をひねり出した。
「それが通るのであれば、それでいいけど…」
当のシスティーナは絶頂の彼方へ旅立って、意識は無い。
「では、大臣よ、そのように、通達を各地へ流してくれ」
「はっ!」
ドアの向こうのシガ八剣の方々から、安堵感が漏れている。
「ちょっと。待ってくれ!」
僕の待ったで、場の緊張が一気に高まった。
「今回の不始末の賠償は何だ?」
「え?」
固まる王様…
「決めてないなら、僕から要求をする。システィーナ王女は、ペンドラゴン男爵の妻にしてくれ。で、僕達が居なくなったら、サトゥーを王家で面倒見てやってくれないか?」
ミト以外が、固まった。
「ちょっと待て!どういうことだ?」
サトゥーから異議申し立てのようだ。折り込み済みだけどね♪
「離脱時にリザ達も連れて帰る。だから、僕達がいなくなったら、冒険はせずにエチゴヤ一本で生きろってことだ。システィーナは、名ばかりの妻で、王家からの人質扱いで良い」
「いや、しかしだな…」
「高級娼館は離脱時にエチゴヤに譲渡する。それで手を打て!」
サトゥーはにんまりした。だけど、僕達が離脱したら、あの大陸に行けないんだけどね♪まぁ、箱物だけ、譲渡でもいいかな。
「じゃ、これでシスティーナ問題は閉幕でいいな?」
「はい…」
王様は納得の上、凹んだようだ。近い将来、僕達が離脱する意志があることが、判明したからのようだ。
--------
サトゥーを街へ帰し、僕とミトは馬車へと戻った。
「どうなりましたか?」
セーラが効いてきた。推移と結論をみんなに話した。
「サトゥーさんは結婚されたんですね」
って、ゼナ。
「そういうこと。まぁ、結婚してもアイツのことだ、娼館通いを続けるだろうけどな」
「ですね」
ゼナの中でも『サトゥー=娼館大好き』ってイメージのようだ。
「で、今後はどうなるんだ?」
リーンに訊かれた。
「こっちは予定通りの行動をする。この世界の鍛冶に興味あるし♪」
そして、中断していた食事を始めた僕達。