異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
「悪魔の眷属に鉄槌を!この聖石を、眷属に打ちつける事で、徳を積むのだぁああ!」
裏返ったようなオッサンの声、たくさんの人の罵声が聞こえて来た。ゼナと共に、声の発生源に向かうと…リザ、ポチ、タマが奴隷着を着て正座していた。そこに投石をする人々、リザの頭に当たり血が流れ出している。
何してやがる…ふざけるな…
僕は無意識のうちに、リザの元へ行き、傷を癒やしてあげていた。
「貴様!悪魔の眷属を助けるのか!」
神官らしき恰好のオッサンに言われた。
「はぁ?聖石ってなんだ?」
僕はリザに当たった石を拾い見た。単なる道ばたに落ちている石のようだ。
「聖なる力の宿った石だ!」
「どこにあった?」
「言える訳ないだろう!」
言えないよな。
「聖なる石なんか、存在はしない」
この世界にはね…
「何をバチ当たりのことを!」
「バチ当たり?それはお前らの方だろ?群衆にサクラを仕込んで、詐欺しているんじゃないぞ!」
ゼナが遅れて、僕の横に来た。
「彼は神聖魔法を使う神官です。あなたは使えるのですか?」
ゼナもオッサンを追い込む。
「そうか!お前は悪魔だな!まやかしで、このお嬢さんを騙したのだ」
騙している件は、否定はしないが、
「なら、本当の聖なる石の効果を見せてやるよ」
ぎょっとするオッサン。僕は手にした石に聖なるオーラを纏わせた。
「いいか!聖なるオーラを、この石に纏わせた。聖なる石が実在するなら、同じ感じだと思ってくれ。聖なる力は魔族を灰にする」
リザに石を当てるが変化は無い。
「次に腹黒い人間に当てると、激痛を与える」
オッサンに当てると、苦しみ藻掻き始めた。
「おぉぉぉぉぉ~!」
群衆の驚きの声。
「更に悪魔に当てると、激痛を与えるんだよ♪」
悪魔らしき物が憑依した人間に石を当てた。僕はオーラで種族が分かるんだよ~。
「貴様ぁぁぁ~!うごっ!」
苦しみ、藻掻き、宿主の身体を粉砕して現れた悪魔。
「ゼナ!彼女達を護れ!」
「はい♪」
逃げ惑う群衆。僕は悪魔に対峙した。
「貴様!何者だ!単なる神官では無いなぁ」
「聖戦士だよ♪」
聖なる拳を叩き込む。苦しみ藻掻く悪魔。
「聖戦士?」
「そうだよ。聖属性の戦士だよ~ん♪」
悪魔は僕から距離を取って、体勢を立て直そうとする。だが、瞬動術で追従し、ホーリーナックルを叩き込んだ。ナックルはインパクト時に聖なる槍を撃ち込む。
「何…何だ、その攻撃は…」
問題は、この世界の悪魔は、聖なるオーラでは屠れないことだ。そもそも神様の成り立ちが違うからだ。だかど、悪魔の身体が爆発して、更なる悪魔を産み出した。さっきのよりヤバそうだ。
「ワガハイ誕生!」
今度は徐々に大きくなっていく。本気でやらないとまずそうだ。僕は僕に掛かっているリミッターを少し緩めた。その瞬間、空気が鳴動し、建物の窓ガラスが空気振動の伝搬に耐えられなくなり、割れていく。緩め加減が難しいなぁ。
「貴様、何者だ?ワガハイびっくり」
太く大きな腕で僕を掴もうとしたので、左手で払い除けた。すると、奴の手は灰となり霧散していく。
「何?何をしたのだ?ワガハイ失禁」
片腕を無くしたことで、パニクっている悪魔。
「キサマ、何者ダ? ワガハイ不快」
毒針が飛んで来た。フルカウンター3倍返しだ♪
「はぁ?なんてことを…ワガハイ考え中」
考えた挙げ句…
「コノ地に我が巣穴を創ル。嬉シかロウ? ワガハイ勤労!」
次の瞬間、空間が揺らいだ。地面が波打つ。何をした?ゼナは無事か?リザは?タマは?ポチは?
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空間の揺らぎが収まると、洞窟の中にいた。ここって、どこの洞窟?ゼナ達、アリサ、ルルを『強奪』で手元に持って来た。全員、意識が飛んでいる。服も下着も汚れている。まぁ、驚いて生理現象が起きたのだろう。彼女達の身体をきれいにして、服と下着も新しくした。全員、長袖、長ズボン、登山靴着用である。
ここはどこの洞窟だ?奴のオーラを探ると、上の方から感じる。奴の巣穴の最下層か?この階層には出入り口は無い。閉じ込めたってことか?次、会ったら消し去ってやる。悪魔とラスボスの違いを叩き込まないとダメだな♪
「ここは?」
ゼナが目を覚ました。
「洞窟だよ。悪魔に閉じ込められた」
「そんな…あれ?服が…」
「汚れていたから、取り替えたよ」
ゼナの顔が真っ赤になっていく。なんで?
「あの…着せ替えたのですか?」
「まぁ、そうなるよね」
「え…あ…色々大変なことになっていた筈ですが…」
「あぁ、見ていないから、知らないよ」
「見て居ない?」
「着せ替え術を持っているから…生活魔法って言うのかな?」
実際は違うけど…実際は、『脱衣』『浄化』『洗浄』『服創造』『着衣』と、着せ替えコンポをしたのだが…面倒なので、生活魔法ってことにした。
「生活魔法もお持ちなんですか?」
驚くゼナ。
「はぐれ神官だから、生活に困らないようにね」
って、誤魔化す。
「なるほど…」
納得したゼナ。次は、腹ごしらえか?リザ達は、ロクな物を食べていなかっただろうし。
『到着♪』
タイミング良く、仲間から連絡が来た。やっと、救援が来てくれたようだ。
「ゼナ、食事する?」
「ここって、食料あるんですか?」
「ここは無いよ。僕の家に、ご招待して上げる」
全員で、僕の家、キャッスルドランへ転移した。高度1万メートルに浮遊するお城で異世界を移動できる能力がある。僕のバックアップ部隊である。
「ここは?」
「僕の家だ。食堂はこっち」
ゼナを食堂へ案内した。
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腹を満たしたゼナに、家の中を案内する。リザ達は目を覚まし次第、食事をさせるように、仲間に頼んで来た。
「すごい…こんな聖堂が家の中に…」
我が家ご自慢の大聖堂を気に入ってくれ、良かった♪
「ゼナさえ良ければ、ここで式を挙げたい」
「それって…ぷ、ぷ、プロポーズですか…」
更に茹で上がっていくゼナ。死亡フラグよ、立つなよ!
「そう取ってくれて、かまわないよ」
「お、お、お受けします」
「じゃ、今からするか」
「はぁい?」
驚くゼナの衣装をウェディングドレスに替え、祭司にガブリエルを呼んだ。
式はつつがなく進行し、最後にゼナの指に指輪を…僕の駒も、こっそり入れた。
「あの…夢うつつなんですが…これって、夢ですか?」
「現実かな?さて、新婚旅行は、また今度で、あの悪魔を倒しに行くよ。ゼナの夢を叶えつつね」
はて?って感じの表情のゼナ。服装をコンバットスーツに替えて、ハンガーから二人で飛び降りた。固まるゼナの表情。
「空の上でデートがしたいんだろ?」
首が上下に動いている。ゼナの手を取り、見えない翼を展開して、ゆっくりと降下していく。
「え…ぇっ!えぇぇぇぇぇ~!」
空の上にいることに驚くゼナ。
「どう?飛行魔法は♪」
いや、飛行魔法なんか持っていない。翼持ちに飛行魔法は必要が無いから…
「スゴいです。こんな魔法も出来るなんて…」
上空から見る現場は、悲惨な状況だった。奴のいた場所はクレーターのように抉れていた。その中心に穴が見える。あれが、洞窟への入り口か?兵士達が、入るかどうか揉めているようだ。奴の位置を把握する。オーラの感じ方からして、上層部にいそうだ。サトゥーのようなマップ探索が欲しい。どこに行けばいいんだ?
ゼナに抱きつき、翼をしまい、自由落下をしていく。降下スピードが上がったことで、ゼナが僕に必死にしがみ付いて来た。ゼナの胸の感触…悪くない。地面を透過して、岩盤を透過した。そして、奴のいる階層に舞い降りた。ここって、地下2階層目か?あぁ、入り口で揉めるよな。入って、ほぼスグにいるんだから。
「ゼナ、雑魚は任せたぞ」
「はい…あなた…なんて…ふふふ♪」
一人で惚気ているゼナをスルーして、速効で奴を灰にした。一瞬、リミッターを解除しただけで、この階層にいた奴も雑魚も巻き添いの人間も灰になっている。ゼナだけは無事である。僕の駒の恩恵だ。
「ゼナ、終わったよ」
奴の魔核をセナに渡した。雑魚の分は僕が貰っておく。生活費にしたいから。
「え?もうですか…早っ!」
「あれ?ゼナ…デートだったんだろ?今日は…」
リリオがやってきた。
「うん♪彼が倒したよ。これ、悪魔の魔核だって」
僕が手渡した悪魔の魔核を自慢げに見せるゼナ。その手には指輪が…きっと、自慢げに見せたかったのは、指輪だったんだろう。
「何?その指輪は…まさか…デートして、即結婚?」
それに気づくイオナ、リリオ…ゾクゾクとゼナの同僚達に衝撃が走る。悪魔を倒したことより、そっちの方が衝撃だったようだ。
「てへへへ」
嬉しそうなゼナが僕の腕に抱きついている。
「マジかよ~。で、結婚しての初めての共同作業が、悪魔退治か?」
嬉しそうに頷くゼナ。
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同僚達にアレコレ訊かれているゼナを残し、みんなの元へ帰った。
「ねぇ、どういうこと?」
アリサが訊いてきた。スルーして、リザ達の元へ。
「今日から、お前達に名前を付ける。リザ、タマ、ポチだ。いいな?」
ぽっか~んとした表情で頷く3人。
「後、もう奴隷ではない。使用人として働いてくれ。いいな」
頷く3人。尻尾が嬉しそうに踊っていた。
さて、アリサを僕の部屋に連れ込んだ。
「何が訊きたい?」
僕の部屋を興味深そうに見渡している。部屋の三方に本棚。色々な世界で集めた魔法関連の書物が並んでいる。床には書類の山がいくつも有り、机の上も書類の山であり、書類の無いのは、トリプルサイズのベッドだけだ。
「ここはどこ?」
「セーリュー市の上空、高度1万メートルだけど」
「ここは何?飛行艇?」
「僕の城、キャッスルドランだよ」
「城?あんた、王様なの?」
「う~ん…僕は否定しているけど、みんなはそう呼んでいる場合もある」
「どこの王様?」
「言って信じて貰えない場所だよ」
「信じる。だから、教えて…」
真剣な目のアリサ。
「天国と地獄の2つを統べている。信じるに値しないだろ?」
「一概には…」
「それでいんだよ。王様って器では無いからね」
「ねぇ、異世界の私はどうなったの?」
「魔王化しかけた。だけど、助けたよ。君は、チート能力を無くしたが、魔王化の心配は無い」
「ありがとう…10年後、必ずお礼をする。だから、一緒にいさせてね」
「あぁ」
アリサとみんなの元へ戻り、地上での旅の準備をする。
「シュウを一人でなんか行かせないよ!」
副官のフィンが言う。心配しているんだな。僕がやらかすことを…
「誰が行けば、暴挙を止められるかな?」
「大丈夫だよ。ゼナがいるんだからさぁ」
セーリュー市から、ゼナを連れ去る予定だ。その為の結婚だし。
「彼女じゃ止まらないだろ?この世界だとエルフ系はダメだしなぁ」
エルフは神聖な者だから、普通は旅しちゃダメらしい。
「姫とマッチーがいるから、どうにかなるだろう」
姫はケンタウロスで、マッチーはデュラハンであり、馬に擬態して馬車を引いてくれる。夜の添い寝もしてくれるし♪
「姫は常識あるが…」
マッチーも常識派では有る。この二人の問題は天然系なことだな。
「あぁ、連絡用途でエリカを連れて行く」
エリカはサイボーグである。少しおバカではあるが、強い。使い処が難しいが、AIモードにすると下手な探査装置より優秀である。
「じゃ、取り敢えず、それで。人員の手配が出来たら、交代させますから」
そして、地上へ舞い降り…街の外ではあるけど。リザ達は宿に泊まれないから。この街は亜人に優しくないのだ。
夜になり、ゼナを迎えに行った。
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マリエンテール卿に挨拶をした。彼は、ゼナの弟らしい。
「姉と結婚したって本当ですか?」
頷く僕。
「どこに住みますか?」
「これから、長いハネムーン旅行だよ♪」
「はい?」
戸惑うゼナ。
「僕達の旅に連れて行く」
「姉は、領軍の兵士です」
「だから?寿退官だろ、普通は」
「それはセーリュー伯が、決めることです」
ゼナは政争の為の駒か?
「それはセーリュー伯が認め無いと言ったら、ゼナとの結婚は無かったことになるのか?」
「そうなります。この街はセーリュー伯が、アレコレ決めますから」
「人間は愚かで醜い生き物だ。まさに、その典型だな」
「そもそも、あなたは何者ですか?」
長引きそうだ。ここは引くか。ゼナを抱き、一緒に転移をした。馬車の中に転移して、
「出せ!」
御者台にいるリザに伝えると、馬車は走り出した。