異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
街に近づくにつれて、盗賊達の装備が立派になっていく。返り討ちにして、使える物、売れる物以外は、魂に宿る者たちの糧にしていく。
「ご主人さま、ばしゃ~」
タマが壊れた馬車を見つけた。盗賊にやられたのか、草むらに横倒しになったいた。馬はいないので、戦利品として持って行かれたのだろう。
ミトと共に、現場検証をする。死体すらない。死体は食料にされたのか?場所内の装備品も剥がされ無くなっている。座席も無い。ハイエナのような盗賊である。
「凶悪そうだな」
「あぁ…」
検証が終わり、馬車に戻り、先を急ぐ。早く、この領地の体制をどうにかしないと…
「なぁ、シュウ…人間を嫌いになるなよ」
って、ミト。
「大丈夫だ。これ以上は嫌いにならない」
「そうか…」
会話は続かない。ミトは僕の本質を知っているから。
そして、30名ほどの盗賊団が襲い掛かって来た。その後から、ムーノ男爵領の騎士達が4騎ほど迫ってきた。援軍か?新敵か>取り敢えず、盗賊団はフレイとエリカにより、殲滅した。
「そこの、商人、止まれ。我輩はムーノ男爵の正騎士エラルである」
盗賊団に襲われたのに、なんだ?
「商人では、ございません。私設の騎士団で、団長のシュウと申します」
馬車から降りて、名乗ってみた。どう出るのかな?
「貴様ら、貴族が乗るような豪華な馬車を見なかったか?もしくは白い馬に乗った美女を見なかったか?」
さっきの馬車かな?
「私はクハノウ伯爵領の方から参りましたが、そういった馬車や人は見ませんでした。ですが、馬車といえば、商人が使うような馬車なら、草叢に打ち捨てられているのを、この先で見かけました」
「その言葉に嘘偽りは無いな?」
「えぇ、私設騎士団はは信用が第一ですから」
剣を手にして威嚇してきた騎士。そんな威嚇、僕達には効かないのだが。
「よし、ベッズ卿、ドノザ卿、貴殿ら2人は念の為、その馬車とやらを確認した後、領境の警備隊に、命令を伝達して来たまえ。我らは男爵様の下へ報告に戻る」
情報に対する礼の一つもなく騎士達は、二手に分かれて立ち去った。その片方が盗賊団に襲われている。そうか、だから、装備が良くなっているのか…
まぁ、盗賊団は殲滅する。結果、助けたくもない騎士達を助けてしまったが…
「良くやった商人!盗賊どもめ、ムーノ男爵の正騎士エラル様の剛剣の餌食となれ!」
だから、商人では無いって言っただろうが…コイツの耳は日曜日か?
ガサゴソ…草むらから髭ダルマのオッサンが出て来た。手下の者が旅装の女性を人質にしている。女性はロープでグルグル巻きにされている。こいつら、センスが無いなぁ。もっとエロく緊縛出来ないものかな?
「ふん、人質か」
騎士エラルが人質の女性ごと後ろの男を刺そうとする。咄嗟に『強奪』で女性を手元に呼び寄せた。その結果、男だけを刺したエラル。
「ちぃ、人質も関係無しか、それでも騎士かよ」
髭ダルマのオッサンがエラルに愚痴を溢している。
「トルマ!」
人質だった女性から、刺された男性に声が飛んだ。あぁ、あれはトルマだったのか…やつれていて分からなかったよ。まぁ、いいっか。
トルマから引き抜いた剣で、髭ダルマのオッサンを切り裂いたエラル。それを見て、逃げ出す盗賊団。ミトが女性の拘束を解くと、トルマの元へ走り寄っていく。
背中を見せた盗賊達を切り裂いて行く騎士達…そんな姿を目の当たりにして、ゼナ達が固まっている。
「ふん、盗賊など生かしておくだけ食料の無駄だ。盗賊共の装備をくれてやるから、商いに使うのだな」
だから、商人では無いって…騎士達は去って行った。トルマの元へ行くと、死んでいなかった。しょうが無い、治癒術で治療をしてやる。まだ気を失っているが、呼吸は安定して来た。
人質だった女性、ハユナの話によれば、盗賊のアジトに彼女の赤ん坊が人質に取られているそうだ。なので、『強奪』で取り戻して、彼女へ渡した。赤ん坊を抱き締め、泣いているハユナ。感謝の言葉は無いのか?まぁ、いいか。
では、盗賊のアジトに、お宝探しに行くか♪僕と、フレイ、戦闘メイド6名で、乗り込んだ。ミトとエリカは馬車のガードで置いてきた。ゼナ達が心配だから。
戦意の有る者だけを屠り、お宝っぽいアイテムを強奪していく。殺戮のプロ相手に、びびる盗賊達。命乞いの見返りに、貴重なアイテムを次々出してくれた。無益な殺生はしないタイプなので、貰える物を貰って、退散した。アジトの裏に、馬が3頭いたので、これも貰って行く。馬車に戻ると、リザ達が死体から装備品をはぎ取っておいてくれた。
ハユナ達はチート装備の無い方の馬車に収容した。ここに置き去りはダメって、ミトとゼナに言われたから。せめて、トルマだけ置き去りにしたかったのだが…
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部外者がいるので、チートな食事が出来ない。野営地周辺で狩りをする。久しぶりの狩りで嬉しそうな肉食系娘達。ゼナ達は薪を拾いにいってくれ、ミトが火を起こしている。
戦闘メイド達は、新たに手に入れた馬の乗馬術を、フレイに習っている。僕は馬具を製作中である。新しい馬の為に。
「本当にありがとうございます。トルマと娘を救っていただいて」
ハユナがようやく感謝の言葉を口にした。僕の代わりに、ミトが大人の対応をしてくれている。
「人の命には変えられませんから」
って…
「旅の途中のようですが、どちらに向かわれていたのですか?」
ミトがハユナに訊いた。
「はい、トルマとは駆け落ちだったのですが、ご実家から許しが出たので、公爵様の都に向かう所だったんです」
駆け落ち?こんな治安の悪い場所で?違和感がある。
「は、ハユナ!」
トルマが目覚めた。永眠してくれても良かったのだが…1周目でサトゥーに肩入れしていたトルマ。
「トルマ、目が覚めたのね。もう大丈夫よ。ほら、マユナも無事よ」
「よかった、よかったよ、ハユナ、マユナ。で、白い革の鞘に入った短剣なのですが……見かけなかったか?」
僕の方を見て訊いてきたトルマ。スルーする僕。
「おい!返せ!あれは私の家紋が刻んであるんだ。他人が持って良い物では無い!」
「助けたお礼も言わずに返せって何様?」
少し、キレている僕。
「君、私には尊敬の念を持って話しなさい。伯爵家の血筋の者だぞ!」
「だから?」
「貴様!」
「トルマ!止めなさい!」
ハユナの一喝で大人しくなったトルマ。
「すみません。トルマが失礼な事をいいまして…」
平謝りのハユナ。
「あなた、まず、お礼を言うべきよ。この方は、神聖魔法で、瀕死の貴方を助けてくれたの。それに私の命も救ってくれたの、騎士や盗賊の剣から守ってくれたのよ。その上、マユナまで助け出してくれたわ。さあ、感謝の言葉を言いなさい!」
「そうだね、ハユナ。私が間違っていた。商人殿、このトルマ、貴殿のご厚情に感謝いたします」
だから、商人では無いのだが…
「だが、この短剣だけは、どうしても返して頂きたい。もちろん、私にできる謝礼なら何でも差し上げる」
命でもくれるのかな?
「本当に、何でもいいんだな?」
「む、娘や妻はダメだぞ」
「この領地をくれ!」
「はい?」
「この治安の悪い領地をくれって言ったんだよ」
「どういうこと?」
「今の領主にまかせられない。だから、改革をしたいから、領地を寄こせって言っているんだ!」
「それは横暴だ!」
「なら、返さない。嘘はダメだよ。ハユナと娘以外は、なんでもいいって言ったよな?」
「常識を弁えろ!」
「嘘吐きに言われたく無い」
「なんだと!私を誰だと思っているんだ!」
「ここで死んでみるか?僕はどっちでもいいぞ」
「トルマが悪いわよ。なんでも何って言うから…」
ハユナがトルマを諭した。
「わかった…お金で解決しよう。金貨1枚でどうだ?」
「金貨30枚ほどの価値がありますよね?」
ミトもキレ始め、口を挟んできた。
「金だと、領民に掛けている税を廃止し、ムーノ卿の娘の輿入れ祝い税を廃止だな」
「無理だって…領民は税金を払う義務がある」
「どこの世界に、嫁に出すから祝い金を領民に払わせる領主がいるんだ?ムーノ卿は、ムノーか?!」
「貴様!侮辱罪に処す!」
「権限の無い奴に言われてもなぁ…」
「なんだと!このヤロー!」
僕に掴み掛かって来たトルマ。馬車から強制転移させた。
「トルマは?」
突然消えたトルマを心配するハユナ。
「で、どうなの?条件は飲んでくれるの?」
「金貨40枚でいかがですか?」
「払えないんでしょ?」
「それは…」
ハユナにナイフを返した。
「じゃ、最初の条件で、契約は締結する」
トルマのサイン入りの契約書をこっそり作った僕。
「トルマは?」
「独居房へ入れてある。着いたら、返すよ」
ドラン内にある牢へ強制転移したのだ。
「シュウ…」
ミトは何かを言いたげである。
「わかっている。あの騎士達の狙いは、トルマだろうな」
「まさか…」
ハユナの顔から血の気が失せていく。
「駆け落ちを許すって言って、呼び戻して消すって感じだろう。後、探しているのはカリナだろうな」
「そうだと思う」
って、ミト。
「何でですか?」
ハユナに訊かれた。
「魔族サイドに属していない男爵の血縁者だからだ」
「魔族?」
「そう…姉の方は、魔族の後盾がある偽勇者との結婚が決まっている。男爵は娘を人質に取られたか、魔族に協力しているか、操られているかのどれかの可能性がある」
「まさか…」
「では、行って確かめようか」
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ようやくたどり着いたムーノ市だが、正門が閉ざされていて入れない。う~ん…そうだ、トルマを転移させた。
「貴様!私を牢へ入れるとは!」
ハユナがナイフを見せると、即座に取り上げて、胸元にしまっている。
「約束を護れよ、おっさん!」
「銅貨1枚だったな」
「トルマ!」
ハユナが叱ってくれた。
「銅貨2枚だっけ?」
「あなたって人は…」
「冗談だよ。貸し借り無しだったな」
契約書を見せる。
「なんだ、この契約書は…」
「約束は果たせよ、おっさん。いい加減にしないとキレるぞ!」
「ははは、私には脅しは効かないぞ」
こいつ銅貨すら払う気は無いようだ。
「おい、トルマ!男爵に逢わせろ!」
「あぁ、その位なら、かまわないぞ!」
「フレイ…後は頼んだぞ」
フレイは頷いた。同行者はミトだけで充分なはず。
男爵からの迎えの馬車は2台来ていた。どちらも2人乗りの箱型馬車だ。ハユナ夫妻と僕達で分かれて乗車した。
市内は空き地が目立つ。雑草が生い茂っている。なんだ?これは?
「ずいぶん空き地が多いんだね」
御者に訊いてみた。
「死霊の群れを殺す為に、王軍が民家に火を付けたのです。死霊達に殺された者よりも、軍の放火で死んだ者の方が多かったです」
この国の王は、なんてことをしやがるんだ…僕が怒りを纏い始めると、ミトが抱きつき、僕を怒りから解放してくれた。
「シュウ…暴走しないで…王祖として、罰はボクが受けるから」
「ミトへの罰?そんなものは無い。ミトには陵辱だけが褒美である」
苦笑いしているミト。まだ、エロいことを考える余裕が、僕にはありそうだ。
前の馬車が何かをはねた。だけど、馬車は止まらずに進んでいる。何をしているんだ?トルマの野郎!
「おい!止めろ!」
僕達の乗った馬車は止まった。馬車から降りて、外を見回すと、少女がはねられたようだ。彼女の胸は陥没し、腕が変な方向を向いている、まずい状態である。瞬動術で少女の元へ近寄り、修復術、治癒術、回復術を掛け、少女のダメージを減らしていく。
「神聖魔法…ありがたや…」
ヤジ馬達が僕に跪き、祈りを捧げている。僕は神官では無いのだが…
「お姉ちゃんは助かったの?」
少女の妹らしい少女に訊かれた。
「ああ、もう大丈夫だ。しばらく、安静にしていれば、意識は戻る」
「神官様、ありがとうございます。ですが、私共下級市民には対価をお支払いできません」
少女の知り合いの老婆が進み出て、話し掛けてきた。
「対価?いらないよ。救える命を救うだけだ」
「ありがとうございます。どちらの神官様ですか?」
だから、神官では無いのだが…
「彼は名の無き神の遣い人様ですよ」
って、ミト。まさか、前回の謎のネットワークはミトが作ったのか…
「おぉ、そうなんですか。名の無き神様へ、より一層祈りを捧げます」
より一層?普段から信仰しているのか?
「助けても、貴族様の馬車の進行を妨害した罪で、死刑確定ですよ」
って、僕達の馬車の御者が哀しそうに、教えてくれた。
「死刑だと?そんなことはさせない。彼女をどこかに匿っておいてくれ」
老婆にお願いをして、馬車に乗り込み、トルマ達の乗った馬車を追った。
カリナと合流するまで、エロパートが無いかもorz