※この作品はR-18です。

異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか   作:もっち~!

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ムーノ男爵領 Part3

 

「少女の事は…」

 

「可哀想に、死んで仕舞いましたね」

 

ニコリと笑った御者。話がわかる人で良かった。馬車は街より高台にある男爵城へと走っていた。

 

『カリナ嬢を保護しました』

 

仲間のファルコンから念話が届いた。殺される前に、確保できたようだ。

 

『しばらく預かっていてくれ。あと、同化吸収出来たら、しておいて』

 

『了解です』

 

ファルコンとの念話を終えると、城に着いた。無駄にデッカい城である。ミトによると、市内の3割を占める敷地に、森や池まで有るらしい。占領できたら、テーマパークにでもするかな…

 

入口前のロータリーの左右に20名ずつのメイドが並んでいる。無駄に人件費が発生しているような。

 

「ようこそおいでくださいました。商人様」

 

だから、商人では無いのだが…一人だけいた執事服の青年が挨拶して来た。

 

「お招きありがとうございます」

 

挨拶を返しておく。ここでトラブルはゴメンであるから。で、持ち物は特に無いので、預ける物も無い。そのまま、城の中へと通された。執事を先頭に僕達は付いて行く。ミトが「マップ探査」をしてくれているので、少し安心である。

 

『男爵の隣に偽勇者、魔族のコピー体がいるよ』

 

ミトから探査結果が念話で届けられた。魔族の本体は、森の中にいるらしい。監視を付けているので、少し安心だ。

 

そして、男爵の待つ部屋へ…

 

--------

 

「やあ、ようやく来たね。ハトコ殿、紹介しよう、私を助けてくれた商人とそのメイドだ」

 

トルマが僕達を男爵に紹介してくれた。ミトがむっとしている。メイドだと紹介されたから。

 

「はじめまして、駆け出しの冒険者のシュウと申します。こちらは、仲間のミトです。メイドではありません」

 

身分を少し修正して、自己紹介をした。修正されたことでトルマがむっとしている。

 

部屋にはオッサンの家族の他に、3名の男女がいる。部屋の隅に2人ほどメイドさんがいるが、数には入れていない。

 

一人は口ひげに黒髪の小太りの中年男…コイツが男爵か?二人目は黒髪の女性…男爵の無娘だろうな。そうなると…三人目は細マッチョの黒髪黒目のイケメン青年…偽勇者だ。あれ?魔族はどこ?

 

「そうか君が、トルマの命を救ってくれた商人様か。ありがとう。感謝するぞ。どんなにお礼を言ってもいい足りないくらいだ。広いだけで、裕福とは言えぬ領地だが、ゆっくり羽を伸ばして、旅の疲れを癒して欲しい。たいした持て成しが出来ぬのが心苦しいが、好きなだけ滞在されるがよろしかろう」

 

おい、約束は反故か?男爵は、わざわざ立ち上がって、僕の傍まで歩み寄り、礼を言ってきた。

 

そして、僕達を蚊帳の外に置き、ムーノ一族で談笑会が開かれている。男爵の娘、ソルナは、爆乳系である。偽勇者はあの爆乳で、毎晩包まれているのか?

 

しばらくすると漸く、僕達も会話に参加でき、祝い金の徴収のことを訊いてみた。

 

「なんの事だ?執政官から今年は不作だと聞いていたからね。そんな事をしたら領民が飢えてしまうじゃないか」

 

いや、実際に飢えていますけど…

 

貧困が蔓延していることを訊くと、

 

「ふむ、どの村も裕福とはいえぬが、飢えるほど徴税はしていないよ。今年は執政官からの提案で、食料を分配したはずなんだが?」

 

事実とは違う。その執政官がガンなのか?いや、領内の視察をしない男爵の罪は消えない。

 

「今日、馬車の前に飛び出して轢かれた少女がいました。御者は、平民を轢き殺しても、馬車を止めるなと言われていたそうですが、本当なのですか?」

 

「残念ながら事実だ」

 

事実なのか…領民を何だと思っているんだ…

 

「シュウ様、それには理由があるのです。一昨年に私と妹が乗った馬車が、子供を轢いてしまった事があったのです。私達はすぐに馬車を止めて子供を介抱しようとしたのですが、瞬く間に包囲されて誘拐されそうになったのです」

 

っと、ソルナ。それにしても…

 

「俺と出会った時の話か?その時の子供や包囲した人間達は、町に潜んでいたムーノ解放軍とかいう盗賊の集団だったそうだぜ?もっとも盗賊だっていうのは、後で執政官様に教えて貰ったんだけどな」

 

「あの時は素敵でしたわ」

 

なるほど、偽勇者君がソルナに出逢う切っ掛けイベントのせいか…それにしても…

 

それに、ムーノ解放軍?解放軍なのに、盗賊?盗賊がキーワードか?

 

「国境の移民税とかも、執政官殿の提案なのですか?」

 

「実は近年、領内の村から子供や娘達が誘拐されて、別の領地で奴隷として売られるという痛ましい事件が、起こっていてね。執政官の提案で、正規の奴隷商人や村長の許可証を持たない者には、重い税金を掛けて水際で犯罪を阻止する事にしたのだ」

 

村ごと移民したくても出来ないようだが…事実が男爵まで届いていないのか?

 

「市内に潜伏した盗賊の一味は、大丈夫なのでしょうか?」

 

「執政官が大丈夫だと言っていたから大丈夫だ」

 

と男爵。いや、盗賊よりも、罰則項目のある兵が大丈夫では無いのだが…

 

「それに盗賊ごとき何人襲ってこようと、この聖剣で退治してくれるぜ」

 

偽勇者が偽の聖剣を手にして、豪語している。

 

「可能ならば、一度、その優秀な執政官様に、お会いしてみたいです」

 

「もちろんだとも、今は手が離せないらしくてね。隣の別棟で仕事中なんだよ。仕事が一段落したら来ると言っていたから、そのうち顔を出すだろう」

 

そいつが魔族か?「執政官」と言うだけで、名前が出て来ない。

 

 

「先ほどから皆様、執政官様を役職でしか呼んでおられないようですが、執政官様のお名前は何と仰るのでしょうか?」

 

「ふむ、何だったかな?すまない、いつも執政官としか呼んでいなかったから、名前をど忘れしてしまったよ。年は取りたくないものだ」

 

はぁ?普段から名前を呼んでいない?ますます怪しい。

 

「最初の頃はお名前で、お呼びしていたはずなのに、最近は執政官様としかお呼びしていなかったので、忘れてしまいましたわ」

 

と、ソルナ。おかしいだろ?お前は、老齢性健忘が、遥か遠くだろ?

 

「すまない、俺は最初から、執政官様としか呼んでいないので、知らないんだ」

 

と、偽勇者。グルのお前には訊いていない。

 

「ん?ありゃなんだ?」

 

偽勇者が声を上げた。彼の見ていた方には、バルコニーがあり、街の正門までを一望出来た。バルコニーから見えたのは、ごま粒のような人々が、中央通りに若出している光景である。

 

メイドさんの一人が、情報を収集する為に、部屋から出て行った。

 

『市内にスケルトン20、死霊魔法師1』

 

と念話で情報が入った。

 

『処分しておけ』

 

『了解!』

 

既に、市内には仲間を、展開してある。

 

バルコニーから市内の騒動を眺めているムーノ一族と偽勇者。僕とミトは室内にいて、様子を窺う。そうだ、想い出した。

 

『地下牢にいるニナを保護しておいて』

 

『了解!』

 

念話で仲間達に指示を出す僕。

 

『森に展開している魔族とゾンビ軍団の掃除が終わりました』

 

独自判断で、仲間が動いてくれたようだ。

 

『サンキュー、ジム、ネギ♪』

 

ミトは黙って「マップ探査」で、警戒をしてくれている。僕と仲間達との念話を聞きながら。

 

「男爵!執政官様がおいでです」

 

「エラル卿。私ではなく男爵様にちゃんと様を付けたまえ」

 

ノックの無しに、誰かが入って来た。入ってきた2人を見て、バルコニーから戻ってくる男爵。

 

「ああ、待っていたよ執政官。大変なんだ、城壁の外に不死の魔物が攻めてきているんだ。もしかして不死の王が復活したんじゃないのかい?」

 

「男爵様、高速馬車を用意しました。勇者様は男爵様とご一緒に、公爵領までお逃げください」

 

「だが、それでは領民が……」

 

「大丈夫です、私がこの城に残って何とかします」

 

そうして、乗っ取るのか?この領土は僕が貰うんだけど…

 

「ムーノ一族を排除して、、住民を全て不死の魔物に変えるわけだね、短角魔族の執政官殿♪」

 

驚愕に顔をゆがめて振り向く執政官。逃がさない。この部屋に結界を張る。その後で、主運動術で執務官に近寄り、ホーリーナックルを叩き込んだ。聖なるオーラに触れ、苦しみながら、その正体を露わにした。黒い肌にコウモリ羽と言う魔族の姿をね。

 

「貴様!執政官様に何をした!」

 

魔族と知っても、魔族の味方をする騎士エラルが、僕に剣を抜いて襲い掛かって来た。

 

カッキーン!

 

聖剣を手にしたミトがエラルの剣を防いだ。

 

「悪いが、彼に手出しはさせない」

 

魔族を見て叫び声をあげたソルナ。腰を抜かしたムーノ一族。ソルナを護ろうと仁王立ちしている偽勇者。

 

「聖剣ジュルラホーンよ!今こそ、俺に魔族を討伐する力を与えたまえ!」

 

偽勇者が魔族に対峙しているが、

 

「ユウシャよ、我に与えられた偽剣で、我に歯向かうか!愚かなり」

 

「ほざけ、魔族よ!本物の執政官様を、どこにやった!」

 

仲間同士の茶番か?ミトはエラルの意識を狩り終わったようだ。茶番に付き合う気は無い僕は、魔族を灰にしてあげた。

 

「執政官様が消えた…」

 

男爵が困惑している。トルマは腰を抜かしたままである。

 

「執政官様が魔族だったなんて。俺の事を、最初に勇者だと認めてくれたのは彼なのに……」

 

偽勇者が凹んでいる。これも茶番か?

 

「男爵様、ニナ・ロットルという名誉子爵を、ご存知ありませんか?」

 

ニナのことを訊いてみた。彼女は、既に保護をして、同化吸収済みである。

 

「うむ、知っているとも。5年ほど前に、公爵閣下が、我が領土に派遣してくれると手紙で寄越してくれた執政官候補だ…うん?なぜ候補なのだ。我が領土には既に執政官がいるのに。だがニナ子爵には変死した先代の執政官の代わりを頼むと……」

 

混乱する男爵。

 

『市民達は落ち着きを取り戻しました』

 

ファルコンから念話が届いた。僕の横にニナが転移してきた。

 

「シュウ様」

 

僕に跪くニナ。

 

「彼女が、本来の執務官のニナ・ロットル名誉子爵だ」

 

と、男爵に紹介した。立ち上がり、男爵を睨みつけるニナ。

 

「魔族に執務官をさせるとは無能な領主だな。これより、この領地はシュウ様の物とする。ここに契約書もある」

 

ニナが男爵にトルマのサイン入りの契約書を提示した。

 

「なんと…トルマ…貴様…」

 

「何時の間に…こんな物を…この詐欺師野郎!」

 

僕に罵声を浴びせるトルマ。

 

「無礼者め!ミト・ミツクニ公爵がおいでなのに、無様な姿を晒すな!この無能な一族め!」

 

この世界のニナは、毒舌系か?ミトが身分証明書をムーノ男爵に見せた。

 

「ミト・ミツクニ公爵様…世直し旅の…」

 

再び腰を抜かした男爵とトルマ。

 

「ミツクニ卿として、申しつける。この領地は、シュウ・ヨハネ・鬼門の領地とする。いいな!」

 

「メイドでなかったのか…」

 

トルマが呟いた。お前には、メイドって紹介はしていないぞ。

 

面倒なので、魔族の用意した高速馬車に、ムーノ一族と勇者君を強制転移した。乗車が終わると、馬車は勝手に高速で走り出した。どこへ行くだ?まぁ、いいか。

 

「じゃ、早速だがニナ、執務を頼む」

 

「わかりました。シュウ様」

 

--------

 

ミト、ニナと共に市内を視察。市民達が、何故か僕に跪いている。誰が、何を伝えたのだ?

 

「この地はムーノ一族から、シュウ様が領主になると、告げてあります。名の無き神の神官であるシュウ様がね♪」

 

って、ニナ。

 

「後、この地に、名の無き神の騎士団である幽玄龍騎士団が駐留するって、ファルコン達が、アナウンスしていたわ」

 

って、ミト。知らない間に、仲間達が動いていた。そう言えば、親衛隊のメンバー達が、市内にいるし。そういうことなのか?

 

「ボルエナンの前に王都に寄るよ。王に一言言わないと気が済まない」

 

って、ミト。20年前の王軍の暴挙の件だな。街の人達は、亜人であるリザ達に嫌悪感を持たずに接してくれた。アンデッド達から市民を護る戦いに参戦していたから。ポチとタマはアイドルのような扱いだし。

 

「ニナ、まず貧困からの脱却を目指してくれ」

 

「わかりました」

 

戦闘メイド達は領内の各集落へと放った。魔族が残っていたら、叩く為である。

 

「この世界にはサトゥーがいないの?」

 

やっと合流したカリナ。

 

「その分、僕が調教してあげる」

 

「あんたが?恐いよな…」

 

再会を祝って、胸を揉んでみる。う~ん、ソルナより、筋肉を感じる良い胸だ。

 

「往来で揉むな~!」

 

「どこならいいのかな?」

 

「どこでも…ダメ…ダメだって…」

 

ここにプレイルームを作るかな…

 

「で、父や姉はどこ?」

 

「公爵領にいるようよ」

 

って、ミト。

 

「無事なのね。それなら、それでいいわ」

 

「う~ん…先立つものが無いんだけど…」

 

って、ニナ。問題はそこだよな。何に金を使ったんだ?税収は当分無しの方向だし。どうする復興費用は?

 

-------

 

その日の夜、ささやかな夕食会という炊き出しを行った。市民の皆に食事を振る舞っていく。贅沢は敵なので、すいとん汁である。

 

「炊き出しなんか、あの男爵様が領主の時は無かったよ」

 

「さすが神官様ですわ」

 

って、好評のようだ。

 

「当分は、前領主の行ったことによる貧困が続くが、シュウ様の指導の元、復興をさせる。だから、しばらく耐えて欲しい」

 

と、ニナが熱弁を振るっている。市民達は拍手でソレの応じている。

 

「神官様が治めてくれるなら、耐えるよ」

 

「そうだそうだ」

 

問題は復興費用だ。今回稼いだ魔核を売るか。ミトは隠し財産は無いらしいし。

 

「誰か、商人スキル持ちはいないか?」

 

前回はサトゥーがいたが、今回はいない。

 

「そうね、お抱えの商人は必要よね」

 

ってミト。どこかに商人がいたような…そうだ、あの世界だ。とある世界から商人を呼び出した。

 

「商人が必要だからって、拉致ですか?」

 

灰色の髪を持った行商人であるオットー・スーウェンが、僕を睨んでいる。

 

「オットーの腕が必要なんだよ。ダメ?」

 

「う~ん…必要って言われると弱いなぁ…わかりました。この世界で辣腕を振るいますよ」

 

ヤル気になってくれて助かる。

 

「報酬は何がいい?」

 

「この先も、僕を同行させてください。色々な世界で行商人をしていきたいです」

 

「じゃ、頼むよ」

 

後はプレイルームを作って、カリナと…

 

 

 

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