異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
---リムル---
街に入るには関所という門を通らないいけないそうだ。さて、どうする。二人は身分証無しで、二人は脱走囚扱いである。
《解 お困りだと思いまして、あの方をお呼びしました》
シエル先生が余計なことを…アイツを呼びだした?呼び出し代金が、ものスゴく高そうなんだが…いや、代金の代わりに、きっと…身の危険を感じる俺。
「アレ?最強スライムで魔王のリムル君じゃないか~」
って、既にお尻を撫で回されていた。来るのが早過ぎるぞ…
「魔王だって…」
リリオの顔から血の気が失せていく。サトゥーとキリトまで、俺を警戒しているし…
「昔の話だ。今の俺は単なるヒューマンだ」
「単なる?へぇ~、神様転生の特典か?願い通り、交われるようになったじゃないか」
股間に指を這わせているエロ神様…怒ったら負けだ…ガマンガマン。
《告 大人になりましたね》
って…そうかもしれない。コイツ相手の場合は…
《告 心が読まれていますよ》
ははは…そういえば、そんな能力持ちだったなぁ。凹む俺。
「で、呼び出し賃は、リムル君の想像通りのことだ。で、お困りの用件は?って、脱走した元市兵と悪徳商人じゃないか」
エロ神様がサトゥーとリリオに気が付いた。
「悪徳商人って?」
なんか、訊いた話と違うんだが…
「リリオの友人の弟の全財産を奪い取って、旅をしていたんだよ。コイツらは」
「待て!奪っていない。あれは貰ったんだ」
「はぁ?財源を知っていて、返さない時点で、お前らは前太守と同罪なんだよ」
友人の弟の全財産を奪って、その資金で旅だって…それは、囚人行きだよな。
「リムル君、君は騙されたようだな」
「貴様、嘘を吐くな!」
「悪いけど、僕は嘘が吐けないスキルの特典付きなんだよ」
確かに、コイツは嘘が吐けない。嘘を吐きたい時は、トンズラか、ハッタリである。
「なぁ、シュウ…手を組みたい。罪人は引き渡す」
「リムル、裏切るのか?」
サトゥーが剣を手にしている。はぁ?剣士とは聞いていないぞ。
「あぁ、リムル君。ソイツは他者のスキルや魔法を見ただけでコピー出来るスキル持ちだ。気を付けろよ」
はぁ?まさか、キリトの素振りを見て…剣技を手に入れたのか。キリトが、サトゥーに警戒心を強めている。
「この中で一番のチーターは、サトゥーだよ。龍神を1発の魔法で屠ったんだし」
はぁ?!龍神を魔法1発だと…
「あれは殺すつもりじゃなかったんだ。試しに撃っただけだ」
おいおい試し撃ちで、龍神を殺したのか?ダメだろ…
「で、サトゥーとリリオは牢獄行きでいいな?」
サトゥーがアイツに斬り掛かった。だが、瞬動術でリリオの懐に入り、エグい事をしている。
「おい、サトゥー!抵抗すれば、リリオのここにナイフを突っ込むぞ!」
「貴様…」
剣をストレージにしまったサトゥー。次の瞬間、サトゥーとリリオは全裸になり、交わった状態にされ、緊縛された。
「これで抵抗出来ないだろう。抵抗すれば、リリオは…」
「貴様、卑怯なマネを…」
って、サトゥーとリリオの腰が微妙に動いていた。いいなぁ、女と出来て…
「で、リムル君、君が望むのであれば、男にしてやるぞ」
代金はアレだろうな。それしか浮かばない。
「正解だよ、リムル君。で、キリトは一人で来たのか?」
「あぁ…多分、菊岡さんにソウル・トランスレーターに掛けられているはずだ」
ソウル・トランスレーター?なんだ、それは?
「なるほど…そういうことか。原因はキリト君の世界のようだな」
何かを納得したエロ神。
「おい!分かるように説明をしてくれ」
どうせ、ヤラらるんだし、ドンドンこいつを頼る方向に傾いた俺。
「潔いねぇ。男に戻す前に喰わせてもらう。でだ、過労死とか植物状態のヤツを、そのソウル・トランスレーターに掛けると、思念波だけがVR世界へと飛ばされるんだよ。死んでも魂は初七日まで死体である器の周囲にいる。だから、死後七日以内であれば。その装置に掛ければ、魂から思念を読み取り、VR世界で生かすことが出来るんだ。但し、現実世界では死亡は確定だよ。植物状態などの脳の損傷系の者は、VR世界で活動することで、脳みそのリハビリが出来、意識を取り戻せる可能性がある。たぶん、サトゥーとキリトは同じ世界から、ここへ送り込まれたのだろう。ソウル・トランスレーターの実験台というモニターとしてな」
そんな装置があるのか…
「ただ、リムル君は違う。君は異世界転生をしたからね。ただ、ここに飛ばされたと言う事は、ソウル・トランスレーターを術式にしたヤツがいて、ソイツが君をここへ飛ばしたんだろう。もっと生きて欲しいからだ」
そうなると、俺の知り合いが、俺をここへ送り込んだのか。
「いずれ、その術者もここへ来るのだろう」
「そうなると、ここはVR世界なのか?」
キリトが質問をした。
「ここがVR世界だとすると、サトゥーはVR世界の住民になる。それは自立タイプのAIの可能性が大だよ」
自立タイプのAI?
「AIにはトップダウンタイプとボトムアップタイプがある。トップダウンタイプは、他者の質問に即答するAIと思えばいい。ボトムアップタイプは、脳を再現して知性を持たせたAIだ。これは、君のシエルがそうだ」
なるほど。
「で、自立タイプのAIとは、スタンドアップタイプと呼ばれる物で、人間を再現したAIだよ。知性だけでなく、感情も再現されているんだ。例えば、キリトのユイが当てはまる」
ユイ?キリトが頷いているけど…
「今回の僕は、サトゥーの生きていた世界で、ある人物をマークして、今ここにいる。もし、ここがVR世界であるならば、サトゥーの世界はVR世界ってことになるんだ」
なるほど…って、まさか…
「そう、そのまさかだ。スタンドアップタイプは、AI同士の交配によってのみ産み出されるんだよ。例えば知識欲を持ったAIならば、見ただけで相手の行動を実現できるようになる。サトゥーのチート性のようにね」
サトゥーの顔が固まっている。
「そこから導き出される結論は、ここはAiが作りあげたVR世界であるってことだ。それを否定するには、サトゥーの生前いた世界が、現実の世界である証明がなされれば、そういうことだ」
AIの作ったVR世界だと…
「もしここが、 AIの作ったVR世界であるならば、この世界にいる転生の神はAIである」
俺達はAIによって集められたのか?何の為に?
「娯楽だろ。AIしかいないと予定調和な世界になる。それをブレイクするには、AIではしない行動をする者を混ぜればいんだよ」
俺達は確定不能な世界を作る為の異分子なのか?
「この推論は、確定では無いけどね。そう考えると納得できることがある。ここに、僕の仲間がいないことだ。僕だけVR世界に送り込まれたのかもしれない」
って、獲物を見る目になっているアイツ…
「キリトとリムル君はお持ち帰りで、サトゥーはその状態で収監する」
◇
この世界のアイツの家に連れ込まれた。俺だけ別室に連れ込まれたし。うっ、男に戻る為の最大の試練の気がする。
「うぅ~」
俺を全裸にして、大の字拘束し、アレを観察しながら唸っているアイツ。
「この世界の神は、知識がないなぁ。これでは出来ないだろうに」
出来ない?
「割れ目があって、穴はあるが、指しか入らない穴だ。ここを創造したAIはわかっていたようだが、転生させる神は男性か?」
それは、この世界の女性とは出来るが、俺とは出来ないってことのようだ。
「まぁ、いいや。男にしてTSさせれば良いだけだし」
って、諦めないアイツ。なんて、貪欲な性欲なのだ…
「あれ?男に変更したのにスライムに戻っていやがる…」
はい?俺はスライムに戻ったのか?ウィンドウを開いて確認した。
『名前:リムル・テンペスト 種族:魔王スライム 性別:? 特技:水流刃 』
って…魔王スライムってなんだ?性別は無いのか…
「たぶん、性別は男だ。魔王スライムって男しかいないんだろうな」
って、俺以上に凹んでいるアイツ。
---シュウ---
リビングにみんなを集めた。
「方針を変える。アリサとミーア、それにリムルが転移術を覚えたら、潜る。僕とパリオンとミトは別行動をする。ナナはみんなをガードしてくれ。必要になれば呼びだすけどな。まぁ、新戦力のキリトとリムルがいれば、問題は無いと思う」
キリトとリムルに、みんなを託した。二人共、バトルジャンキー系なので、快く引き受けてくれた。まぁ、リムルの場合は、仮想エッチ能力をギフトしたけど…
「前衛はキリトを中心にチームプレイを学んでくれ。後衛はリムルがガードする」
後、なんだっけ…
「まかせなさいよ、このアリサちゃんにね」
親指をサムアップしたアリサ。まかせてみよう。
「僕達は召喚のメカニズムを探る。あぁ、夜は家で寝るから」
エネルギー補給は大事である。
「アーゼは留守番を頼む」
「はい、ダーリン♪」
いや、ダーリンになった覚えは無い。
「そんな感じだ。じゃ、散会」
おのおの鍛錬を始めた。
「手始めにどの辺りを探るの?」
童女姿に戻したパリオンに訊かれた。高校生姿は添い寝の時だけにした。ミトの双子に見えるから…ミトは一人いれば、充分である。
「どの辺りかな。まだ、誰も行っていない場所がベストだよ」
いや、この世界がVRかどうかの確認が先か?
「パリオンのロケットからにするか」
「あぁ、そうね。航行データが残っているはずよ」
◇
パリオンがこの地に降り立ったロケットに来た。ロケットと言っても、今やハイエルフの住む大樹にしか見えないけども。パリオンの案内で管制ルームへ向かった。
「じゃ、私は航行データを調べるね」
って、パリオン。彼女も気になるのだろう。この地の正体が…
「ねぇ、私って、AIなの?」
ミトが心配そうな顔で訊いてきた。
「わからない。だから、調べているんだよ」
ミトを優しく抱き締めた。ここで押し倒したい気分になるが、パリオンが仕事をしているので、耐える。耐えてみた。ちょっとなら、いいかな?いや、止めておこう。
僕も調べて見る。目の前にいるミトをだ。骨格、内臓はある。回復術も使える。生き物であるのは間違い無い。だけど…仲間に連絡が取れないのは解せない。僕の位置を把握出来ていないのか?いや、上司の声は聞こえた。問題は、あれは本物の上司かどうかだ。う~ん…
おもむろに『ヘルプ』を唱えてみた。これは、恩師に連絡が取れる呪文であるが、何の反応もない。いや、発動すらしていない気がする。となると…
「ちょっといいかな?」
パリオンが戻って来た。
「なんか、わかったか?」
「航行データが無いんだよ」
怪訝な顔のパリオン。
「記録していなかったのか?」
「いや、記録するように、設計はしたんだよ。だけど…」
つまりは、パリオン達よりも、上の存在がいるってことか。記憶を思い返す。そうだ、猿の惑星を見ているような感覚があった。って、ことは、同じ星に戻って来たんだ。そうか…猿の惑星では無く、カプリコン1かぁ…星から離れてもいない。地形データ、風景のデータの替えただけなのだろう。
だから、航行データは無い。どこにも経由せずに、0地点から0地点へ向かった。つまり、航行すらしていない。単に、データの書き換え…いや、大型アップデートがなされたのだろう。
「ここはパリオンのいた世界ってことだ」
「え…脱出出来なかったの?」
哀しそうな顔のパリオン。ミトが優しく抱きついた。
◇
次なる一手…翼を展開して上空へと飛び出した。どこまで飛べるかだな。成層圏を抜けて宇宙空間へ…大樹のハイエルフの部屋が見える。うん?それはおかしい。一体こんな巨大な物をパリオンの世界で作れたのか?衛星軌道に達する高さのロケット…いや、この星の成層圏が低い可能性がある。だから、宇宙空間が低い位置にあるのかもしれない。そもそも、そこまで考慮されていないのか。
星を取り巻くように宇宙ステーションが伸びている。そこを超えて、漆黒の世界へと飛び出した。他の星は無いのかを調べる為だ。しばらく飛んでも、他の星の息吹を感じ無い。振り返ると、飛び出した星から距離が出ていない。前に進んでいないようだ。
次に僕に掛かっているリミッタを外して、本来の姿に戻る…あれ?リミッタが無い…何故?もしかして、僕自身もアバター状態なのか?となると、ここはVR世界である。パリオン、ミト、サトゥーの産まれ育った世界もVR世界になる。
ある可能性が頭を過ぎった。鈴木一郎と高杯光子が作り上げた世界だとしたら…二人は元々ゲームプログラマーである。そういうゲームを作り、ゲーム内に自分達の分身を置いたとしたら…そして、そのシステムを、誰かがなんらかの目的で利用しているとしたら…神の正体はソイツらだ。