異世界で出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:もっち~!
---シュウ---
爵位持ち故、この街の太守様へご挨拶にいかないといけないらしい。で、この街の太守、アシネン侯爵は婿養子なので、継承権を持つレーテル・アシネン侯爵夫人への挨拶をすることになった。
「手土産が必要ですよ」
っと、リーン。
「どんなのがいいんだ?」
「宝石とか貴金属で出来たアクセサリとかです」
う~ん…あぁ♪
「希少価値の物ならいいのかな?」
手元に鼈甲で出来た櫛と象牙出来たかんざしを転移させた。
「櫛と、これは何ですか?」
セーラが訊いて来た。
「これはかんざしと言って、髪飾りの一種だよ」
この世界にかんざしは無いのかな?なら、物珍しさはあるか。
「あと、これもお持ちください」
エリザベスが、珊瑚でできたブローチを持って来た。
「この3点で大丈夫かな?」
「えぇ、貴重な材質ですから」
リーンのお墨付きを貰った。次に問題になったのは服装である。普段着と戦闘用の装備しか、みんな持っていない。
「フィア、彼女達に合うドレスをイメージしてくれ」
「はい」
フィアのイメージした物を創造して、彼女達に『着衣』させた。
「私までですか?」
ゼナが驚いている。
「士爵家ですよね?」
照れているゼナ。かわいい…娘としてだけど。
「シュウ!あなたもよ!」
フィアに怒鳴られた。えっ!僕も?
「何を着ればいいんだ?」
「一番、良い物よ。そうねぇ~、王の間で着ているあれは?」
金糸と銀糸で編み込んだローブか?裏地が紅の漆黒のマントを着けて…ラスボスでは無いのか?試着をしてみんなに見せた。
「え?!それって金糸ですか?高そう…」
「漆黒のマント?一体いくらするんだ?」
妙に高額な出で立ちらしい。
「それで行ってきなさいね!」
これがフィアの趣味らしい。ファッションについて反論出来るほど興味が無いでの、これで出向くことにした。
外へ出ると、立派な馬車が待っていた。レンタルか?いや、あの馬は見覚えがある…姫とマッチーの予感…姫とはケンタウロスで、マッチーはデュラハンである。馬化することで、僕と旅する楽しみを覚えた仲間達である。
「団長♪」
僕の親衛隊の隊長であるファルコンが声を掛けてきた。
「やっと、来られました。遅れて申し訳ありません」
親衛隊のメンバー全員が、僕に跪いた。
「いや、来なくてもいいのに…」
この世界のパワーバランス的に、コイツらがいるとつまらない気がする。前衛は全員、神を一太刀で殺せる技量持ちであり、中段は魔王クラスなら殺せるし、後衛はチートと呼ばれるレベルだと思う。
「そうもいきません。団長への忠義、果たさせてください」
いや、そういうのは…馬車へ僕とリーン、セーラ、ゼナが押し込められた。リーン達は護衛では無く、爵位持ちの家出身って括りらしい。
冒険者の集まる街なのに、一際凶暴なオーラを纏う戦士達に囲まれて、目的地へと移動した。街行く冒険者達が震えてみている。身震いってやつだろう。人間にとって、本能的に恐怖を感じる存在が多いし。
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目的地、アシネン侯爵邸に着いた。馬車を降り、セーラをエスコートするように、屋敷に入っていった。リビングへ行くと、高圧的な雰囲気を纏っている女性と、マスオさんのような男性がいた。侯爵夫妻かな?
「この度、この地へまいりましたシュウ・ヨハネ・鬼門です」
リーンとゼナが夫人付きのメイドへ手土産を差し出した。
「ご趣味に合えば幸いです」
うん?見た目とは違う心が垣間見えた。彼女の望むこと…う~ん。
「レーテル様、シーナ様の元へお連れください」
侯爵夫人が驚いた表情で僕を見た。
「テニオン神殿の巫女長より、あなた様のことを聞いております。一緒に来て下さい」
夫人に、彼女の娘さんの部屋へ連れて行かれた。見るからに病弱である。土色の顔色…どうするかな。うん?巫女長から聞いていた?何かのネットワークがあるのか?
「リーン、ゼナ、この部屋に誰も入れるな!」
「「はい!」」
部屋の外で、二人に見張って貰う。
「どんな治療をされていますか?」
「この薬を服用させております」
う~ん、胡散臭い薬である。偽薬ではないけど…
「この子は治りますか?」
先程まで見せていた高圧的な雰囲気はもうない。子を想う母の顔になっている。
「これから診察して、簡単な治療を施してみます。その後、3日ほど様子を見て、方針を決めたいです。どうでしょうか?」
「はい、お願いします」
夫人が僕に跪いて祈りを捧げている。その祈りはこの世界には無いはずの祈りであった。なぜ?
「この世界にある、古くからの家系にだけに、伝わる教典があります。我らの名の無き主さま♪」
えっ!巫女長…おぃおぃ。テニオン神とは違う宗教を信じていたのか?
「表立っては敬えませんが…私達、ごく僅かな信者がおります。どうか娘をお願いします」
あぁ~…ファルコン達は過去に遡って、歴史を弄ったのかもしれない。はぁ~。
「わかりました」
「供物は…ご希望の物をご用意いたします」
「要りません。子を想う母の気持ちを、供物として受け入れます。治療が終わるまで部屋を出て行ってくれませんか?」
「わかりました」
夫人が部屋を出て行かれた。必要な仲間を強制転移させる。エリザベス、白音、めっちんだ。
「セーラは神託に耳を傾けてくれ。白音は、瘴気を浄化、気を調節して、循環器を修復してくれ。エリザベスは体力の向上、消化器官の修復だ」
皆頷き、指示の通りの行動を始めた。そして、めっちんと相談。
「ビタミン不足と繊維質不足のような気がするんだよ」
「好き嫌いが激しいんだろうね。貴族の子供だし。青汁で様子見で良いと思うわ」
リザ達と同じ対処で良いのか。
「問題はこの薬だけど…」
「蓄積した何かが毒になっている感じだわ」
めっちんが、魔導書を片手に持ち、呪文を唱えて、患者から毒を抜いていく。あぁ、顔色が良くなって来た。もう一人呼ぶか。チェインを強制転移させた。だけど…
「えっ?!仕事なんれすか…」
ヨッパだった…はぁ~。
「めっちん、悪いけど、このヨッパからアルコールを抜いて!」
「了解♪」
めっちんが魔導書を片手に呪文を唱えた。
「あぁ、楽しい時間がぁぁぁぁ~!」
素面に戻って落ち込むチェイン。
「仕事だ!この子の身体をスキャニングしてくれ」
「はい…」
チェインが患者の身体を何回か素通りしていく。
「神経に何かがいて神経信号をブロックしています」
「取り除いてくれるかな?」
「あぁ、はい…」
酔い醒めしたチェインのテンションは低い。
目の前にいるシーナ・アシネンは、寝息を立てて、静かに安眠し始めた。血色も良くなり、強張っていた筋肉も弛緩している。
「ゼナ、夫人を呼んでくれ」
ドアの外に待機しているゼナに声を掛けた。しばらくすると、ゼナと夫人が入室してきた。
「シーナ!」
子供に縋り付く夫人。夫人に青汁の粉末を1週間分手渡し、朝夕に飲ませて貰うように伝えた。
「じゃ、撤収するか。そうそう、仲間の酒好きが、この地の酒を飲みたいみたいなんだよ」
と最後に独り言を言って、住処へと戻った。その夜、夫人から酒樽が2つ送られてきた。チェインとめっちん、エリザベスなど、酒好きを酒で労う僕。
---サトゥー---
エルフの里に着いたのだが、アイツのことを話して貰えない。
「アイツはここへ何をしに来たのですか?」
「個人的なことだ。もう詮索をしないでくれるか?」
「アイツは危険人物ですよ」
「誰にとってだ?」
エルフはアイツを擁護したいようだ。何故だ?
「サトゥー、分からず屋なんか、力でねじ伏せてしまえよ!」
カリナが攻撃的になっている。手を出したら負けだ。
「今度は何だよ?」
突如、聞こえて来たアイツの声…
「シュウ様…すみません」
応対していた男のエルフが、アイツに頭を下げている。
「アーゼからエマージェンシーコールで、急いで来てみたのだが…あれ?ヤリ逃げイチロー先輩じゃないですか♪」
コイツ…言い方にトゲがあり過ぎる。
「貴様!」
カリナが襲い掛かった。
ズゴッ!
アイツの拳がカリナの鳩尾にめり込んでいる。その場に崩れていくカリナ。
「相変わらず、暴力的な女だな?これがお前の好みか?なるほど…ゼナには無い爆乳持ちが好みだったのか。ゼナにはそう伝えておく。で、どうしたんだ?」
エルフ達から事情を訊いているアイツ。
「はぁ?僕がこの地で何をしようと、イチロー先輩には関係無いでしょ?」
「お前!何を企んでいるんだ?」
ミトが訊いた。
「あぁ、後輩氏、毎晩、先輩を抱いているか♪」
真っ赤な顔で俯いたミト…
「そうだ、シュウ、取引をしたい」
「取引?それをする為に、ここでトラブルを起こしたのか?おいおい、呼ぶ度にトラブルを起こすなよ。僕もそんなに暇では無いんだよ」
「ゼナさんとアリサをトレードしたい」
「断る」
即答だ…
「お前はゼナの立場を知っていて、彼女を抱いた。その後、ゼナと話し合うなり、お前がベルトン子爵に説明するなりして街を出れば良かったんだ。そうだろ?予定の無い旅なんだから、急いで出発したお前の気がわからない」
言いたいことは分かっている。俺が悪かったんだ。あのまま、ズルズルとあの街にいそうな気がして、予定通りに旅立ってしまったのが原因だよ。だから…
「だから、なんだ?もう、ゼナは士爵家の家族としていられない。もう人間では無いからな。で、取引なんだが、ナナとアリサを交換でどうだ?ナナならEカップだから、お前の好みに合致するはずだ」
えっ!Eカップ…妄想してしまった俺…負けが決まった瞬間である。
「じゃあ、そういうことで」
アイツが転移アウトすると、僕達はオーユゴック公爵領の関所前に強制転移され、アリサのいた場所には爆乳の女性がいた。
---アリサ---
え?知らない館の中に転移した私。知らない女性達が、酒樽を囲んでパーティーをしている。
「アリサ♪」
え?ルルが抱きついて来た。見違えるように生き生きして、かわいくなっている。
「お前の『強制』は『無価値』にした。もう、奴隷では無い。ルルの妹として生きろ!」
アイツが醒めた目で私を見ながら言った。
「ここは?」
「迷宮都市にあるシュウ様のお屋敷です」
ルルが答えてくれた。お屋敷?コイツ、何者なんだ?
「アリサと同室にしてもらいました♪」
部屋を貰っているの?どんな待遇なんだ?
「ナナと交換でガキか?」
ガキ呼ばわりされた。あの女は誰?
「ルルの妹だよ。姉妹は一緒が良い。それに、ナナは僕の好みでは無いし。胸がデカ過ぎるんだよな」
えっ?!アイツ、ペチャ好きなのか?
「ナナのオーナー欄を鈴木一郎にして、渡してきたよ」
「まぁ、お前にはアーゼ様がいるしな」
拗ねるように言い放った女性。
「リーン、嫌いじゃないよ」
その女性と抱き合って…濃厚な口付けをしている。なのに、回りの女性達は、何も言わずに、平然としている。なんだ?この館の女性達は?
「ルル、アイツに何もされていないわよね?」
「たまにご寵愛を頂きに、寝床に行きますけど…」
え?
「私なんかをかわいいって言ってくれるし、抱き合っているだけで良いって…とっても優しい方なんですよ」
なんか、しばらく会わない間に、大人になっていたルル。
「たぶん、アリサは娘枠だから、相手にされないと思いますよ♪」
自信なさげだったルルが、勝ち誇ったように私を見た。屈辱だよ。
「今後はどうされますか?」
知らない男性がアイツに声を掛けた。
「リザ達と潜るかな。ファルコン達は情報収集を頼む」
「わかりました」
情報収集?何のだろうか?
---サトゥー---
気持ちいい…なんだ、この感触は…大きいのに垂れずに、形が良い。顔を埋めると至福な気分に浸れる。
取引は成功なのだろうか?
「その子、ホムンクルスだよ」
隣に寝ているミトが指摘した。そうだね。ステイタスにそう表示している。オーナー欄には鈴木一郎とあるし。う~ん、シュウに負けたのか…
「まぁ、結果的にアリサは姉の元に行けたのだから、良しにするとして、その子に溺れるのはどうかと思うんだけど」
まぁ、そうだよな。ミトとカリナの立場が…
「もっと言うとパーティーバランスは最悪だよ。全員前衛だし」
戦士1、チーター2、ホムンクルスが2だものな。
「アイツのパーティーはどんな感じだろうね?」
パーティーを組む必要が無い気がする。それ程に、強いアイツ。単体で魔王を灰にする、あの能力はなんだ?
そうだ!アリサにメッセージが送れる筈だ。
『そっちはどうだ?』
メッセージを送信した。
『カルチャーギャップ中…ルルに負けたのがくやしいです…』
なんか、凹んでいるアリサ。
『どうしたんだ?』
『ルルが大人の女性になっていたの。うっ(TT)』
泣いているようだ。
『で、アイツは何者だ?』
『爵位持ちだって。その上、現国王の孫娘二人を愛人に置いている。よくわからんヤツだよ』
国王の孫娘二人を愛人に?
『正妻は誰だ?』
『ハイエルフ様らしい』
ハイエルフを正妻に、国王の孫達は愛人枠?なんだ、それ?
「ミト…アイツの正妻はハイエルフだそうだぞ」
ミトの顔から血の気が失せている。
「それって…やはり、そういうことなんだ…イチロー兄ぃ、アイツを敵にしちゃダメだよ」
「どういうことだ?」
「この世界のハイエルフは、神の結婚相手として、創造されているんだよ。で、そんな彼女が正妻ってことは…」
アイツは神ってことか…