創造戦士ガンプラダイバーズ Side:JOKER 作:JNEXEL
「俺はここの捕虜って事になってるらしいけど、随分と悪くない扱いをしてくれるもんだな」
不意にジョーカーが周囲を眺めながら鼻で笑う。
「そういうものが無いからそうなるんでしょ」
レイはもうこの場にいるのが苦痛で仕方が無かった。ジョーカーがこちらを見るたび、何かしらを見透かそうとしているように感じられたからだ。自身の能力についてでは無い、別の何かを知ろうとしているのか。前から抱いていた嫌悪感が更に増していく。
「何でアンタはν-Typeを狙うか教えてくれない?実際、それだけ知れれば良いし」
しかし、レイの質問にジョーカーは肩を竦めるのみに留めた。とうとうレイも彼の態度に我慢の限界を迎え、机をバン、と叩いた。
「いい加減にしてよね...!アンタ一体何様のつもりで...!」
「俺は俺だよな?疑問の余地なんて無いだろ」
いきなりジョーカーが立ち上がったかと思うと、レイの襟首を掴んで引き寄せた。彼の目は殺意を隠していないが、レイもそれに気圧される事なく睨みつけた。しかしジョーカーはため息だけついて手を離し、レイのジャケットの襟を少し直してやると再び椅子に座り直した。
「知るわけ無いだろ...ただそうしろってさ。生まれ持った性みたいなもんだろうとしか言えない」
「訳が分からないわね....そんな分かりきった嘘ついてどうすんの?」
「信じるも信じないもお前ら次第ってとこだ。俺が言えるのはそこまでか」
最早会話を続けようと言う気を失くしてしまい、レイは足早に部屋を出ようとした。ジョーカーはその背中を愉快そうに眺めると、何かを思い出したかのように口を開いた。
「お前、久遠 怜って言うんだろ?」
唐突にジョーカーに本名を言い当てられ、レイは思わず足を止めた。現実での知り合い以外には教えたことが無いはずの本名を、ここで初めてまともに会話したであろうジョーカーに知られていた。レイはゆっくりとジョーカーへ向き直るが、彼は相も変わらず不敵な笑みを浮かべていた。
「どうしてそれを...!?一体どこで...」
「皆まで言うなよ。そういう事くらい簡単に見抜ける。何故なら、俺はJOKERだからだ。ま、お前がどう言う生い立ちか知った事じゃあないが、不幸自慢には事欠かなさそうだってのもな?」
ジョーカーの告げる言葉にレイは震えが止まらなくなった。現実でも仮想世界でも、自分が異変を見せてしまう度に周囲からそう思われているのでは無いか、という思いに苛まれる事が多々ある。自身の中にある恐ろしい想像を、ジョーカーは一言にして突きつけてきたのだ。
「あんたに何が...!!」
レイが言い返せるのはそれだけしかなかった。
「一つだけ教えてやる。お前は自分の居場所ってものに固執してんだろ?お前が今のままであるなら、それはもう望まないほうがいいぜ」
翌日。朝を迎えても家には人の気配がなかった。ジョーカーに本名を見抜かれてからの記憶は殆ど無い。恐らく怜が現実世界に戻ったのも、衝動的に意識をサルベージしたからだった。ちゃんとした睡眠を取った訳ではないので、疲労が抜けていない。ベッドから起き上がって見れば軽い目眩がした。今日は祖母が再び帰国して、怜のアイルランド短期移住の意思確認と手続きをする予定になっていた。無論この事は母の美智留は知る由も無い。怜自身が生きていく為には、今できる最善の方法が日本を離れる事しかなかった。親類が元より少なかっただけに致し方の無いことである。とは言え祖母が来るまでまだ時間があると分かると、通学カバンから財布と携帯電話を出して軽くひと着替えして家を出た。久方ぶりの快晴故か、肌を撫でる風が心地良い。自転車に跨がりペダルを踏み込んだ。薄いピンクのパーカーが風に煽られはためいた。20分程自転車を漕ぎ、辿り着いたのはややこじんまりとした模型店だった。建物自体は比較的新しいが、店そのものはかなり昔ならあると、奏から聞いたことがあった。怜も気が向いた時のみだが、ここを訪れた事がある。怜が自動ドアを潜ったのと時を同じくして、店の奥から声をかけられた。頭にバンダナを巻いた体格のいい若い男だった。
「あれ...?」
怜は見覚えのない男に戸惑いつつも、軽く会釈して棚の密集している場所へ隠れるように移動した。
「そんなに隠れることないですよ!僕、この店主の息子ですから!」
男がカウンターからやや身を乗り出した。怜は寝耳に水な話に思わず声を上げた。
「そ、そうだったんだ...?まぁ、店主さんもあの歳になると大変だろうね...」
「そういう事だから、時々ここに顔出してるんだ。知り合いにも言っといてくれよ?」
「...覚えてたら、そうする」
怜の対応が素っ気ないものだったので、店員も苦笑いして「クールだなぁ」と呟きノートマシンに向き直った。怜の方は一切気にせずガンプラの箱をずらしながら目的の品を物色する。
「あった...これかな...」
怜がカゴに入れたのは、"HG ガデッサ"と"HG ガッデス"と"HGBF 忍パルスガンダム"だった。それに加えて幾つかのビルダーズパーツと他社製のカスタムパーツを選び、最後に紫と銀のカラースプレーにメタリックブルーのガンダムマーカーを手に取った。母に部屋を荒らされて以来、ルミナクェーサーしか満足に修繕出来なかったので、このタイミングでガデッサにも改修を施したかったのだ。それらを大き目のカゴに移してレジに持っていくと、店員がスパスパとバーコードリーダーで読み取って合計金額をタブレットで計算した。
「7988円だね。中々買うけど、もしかしてガンダム好きだったりするんだ?」
「...どうだろうね、考えたことも無いかな」
「考えたことも無いって...そんなことないでしょう?君みたいな普通の女の子がって言うのもアレだけど、僕みたいなおじさんとか、せめて男が好きになるのがほとんどだから」
「どうでもいい...私には何の関係もないから」
「それは悪かったね...ごめんごめん」
ガンダムもガンプラも、美彩達とダイバーズで遊ぶ為だけに覚えた物だった。怜としてはそれ以上の思い入れは無かった。ある時に一目見て、ガデッサとG-アルケインに一目惚れしたにとどまっている。店員に丁度の金額を支払うと、急いで店を後にした。
数時間後。帰宅してから急ピッチで作業を進めた結果、ガデッサは壊されるより前の姿を取り戻した。だが、怜は砲撃のしやすさに両肩のアーマーが邪魔過ぎると見るや右肩の装甲パーツを取り外した。後は干渉しにくい装甲を用意して同じ場所に取り付ければ、不安も解消される。
「あ...パーツが足りてないんだった...まぁ、これでも戦えるし...思いついた時にでもいいかな」
既に16時を回っていたが、祖母が来る気配も無かった。アイルランドから日本へ移動するのだから、相応に時間がかかって当然であった。下手をすれば明日になったとしてもおかしくはない。それ以上に母が帰ってくる方が懸念すべき事だった。怜は玄関の鍵もシリンダーキーをかけて自分の部屋のドアも施錠した。ダイバーズに居る間は肉体は無防備になる。この間に何かをされる訳には行かなかった。
「ヘイルソーサレス...お願い、私に力を貸して....よし、GAデータ・セット...ゴー」
怜仕様のガデッサに"ヘイルソーサレス"と銘打ち、両手で優しく包み込むように持ち上げる。そのまま祈るようにして眺め、スキャナー"GDS-02"に置いた。スキャナーの天面にある液晶の中心から、同心円状の青い光の輪が広がる。そして怜はコンピュータを起動させて"意識をダイブ"させた。
レイがダイブした先は交流広場第4区画だった。一先ず最初にブルームーンの様子を知りたかったので、戦艦とリンクを繋いでそこへ転移した。しかしレイの気づかぬ間に戦闘状態に入っていたらしく、それまでいたエリアを離れ戦闘区域にやって来た事になっている。レイは急いでブリッジに入った。
「これ、どういう事...?何で知らせてくれなかったの?」
キャプテンは聞き覚えのある声にぎょっとして視線を移し、この時間にいるはずの無いレイの姿に目を丸くした。
「お前学校はどうしたァ!?何でこんな時間からここにいる!?」
「そんな事はどうだっていいでしょ...私にだって事情くらい...とにかく、私出るから...!」
「アルケインを出すってのか?」
キャプテンの問にレイはガデッサ、とだけ返してブリッジを飛び出した。オペレートに集中していたアヤカも、この時にようやくレイの存在に気づいたが、やはり今の発言には首を傾げた。
「ガデッサ?まさか急場しのぎとかじゃ、無いですよね?」
「アイツに限ってそれは無いが...」
レイがドックに入る手前、気味の悪いあの黒いコートの男と鉢合わせした。
「何か凄いことになってるな?俺を出せばすぐに片付けてやるぜ?」
「あんた何でここに...とにかく、邪魔。あんたに構ってる時間なんてない」
レイはジョーカーを押し退けてドックへ入ろうとした。しかし。
「お手並み拝見、と行かせてもらおうか。俺にあんだけデカい口叩いてんだからな...それなりに期待していいんだと思ってるぜ」
「...勝手にすれば?」
それだけ返し、ドックに入った。ジョーカーは去り行くレイの背中を見て鼻で笑う素振りを見せた。
「自信なんてないくせに、覚悟決めんのは一丁前か」
「ケイト、ケージのタイプを3にして。違う機体で出る」
ドックに入るなり、レイがパイロットスーツ姿に変わる。ケイトは大急ぎでコントロールパネルを操作してケージの形状を変えた。ガンダム作品でもよく見るような、三方を囲われた形から左右の面のみを残して上から大型の懸架アームを伸ばした独特の構造となった。ガデッサ等の通称"ガ系"と呼ばれる機体の脚部は、基本的に閉じられて杭のような形になっている。これは本来ガ系が宇宙空間での運用を主眼に置いて開発された事によるが、一応クローを展開して設置も可能だ。しかしパーツにかかる負荷もそれなりにあるため、この様に上から吊り下げるような方式を採っているのだ。
「違う機体でって、ガデッサ?私は知ってるからいいけど...他の皆は知らないでしょうに...てかどうして急に?」
懸架アームの直下に光の点と線が集まり、ヘイルソーサレスを形成した。紫と白で構成されたカラーリングに、左肩のみの装甲と背部の大型ユニットが2つ。本体の各部にも菱形のパーツが取り付けられていた。
「ルミナクェーサーの事、JOKERに読まれてた。しばらくはヘイルソーサレスでやるよ...砲撃の精度も上げたかったし丁度良いでしょ?」
レイは空中にウィンドウを表示させ、ヘイルソーサレスのコクピットの中へ転移する。レイがシートに座った瞬間に全てのモニターと計器が起動し、ヘイルソーサレス自体もアイドルモードに移行した。起動が想像よりもスムーズに行われたので、レイは若干の余裕を感じた。モニターに小さなウインドウが表示された。緊張の面持ちのアヤカが映っている。
「You have Control?」
「緊張しなくていいよ...きっちり言えてる。I have Control!レイ、ガデッサ ヘイルソーサレス。出る!」
レイはややぎこちなくウィンクしてみせると、直に表情を変えてレバーを前に倒した。ヘイルソーサレスがふわっと浮き上がり、瞬時に加速してブルームーンのカタパルトから勢い良く飛び出した。
「やるべき事をやる。ただそれだけ...」
真っ青な空にヘイルソーサレスが舞い上がる。流石ガ系と言うべきか、急な加速でもダイバーにかかるGの負荷は抑えられている。
「敵の数が...5か。シロー、このガデッサは私だからちゃんと識別して...それじゃ」
シローのEz-8の近くを通る折に左手を接触させ、手短に指示して前線に出た。
「ガデッサに乗ってるのか?レイ!....相わかったけど、ファトゥムはまだなのか!こっちも動かないとやられるぞ!」
シローもようやく戦力が整ったと見てEz-8も前線へ近付こうとした。だがEz-8では滞空時間が極端に短い。その為に用意したサブフライトシステムはまだ射出されていない。
「わがまま言うな!そっちが用意したファトゥム、デカ過ぎて射出軌道コントロール全然出来てないんだから!」
ミニウインドウ越しにケイトに怒鳴られ、シローは一瞬口を閉じた。ドダイやベースジャバーに代わる専用のサブフライトシステムとして、シローが用意したものがある。MG インフィニットジャスティスガンダムのファトゥム-01を改造した代物だが、ブルームーンの実物はHGクラスのサイズに合わせて作られていた。よってMGサイズ、挙げ句ファトゥム-01という大型ユニットは入りきるはずが無いのである。そこで急遽、外付けのコンテナをケイトが用意したが、ファトゥム-01を飛ばすのには向いていなかった。ケイトも大急ぎで弾道計測をしてEz-8がジャンプする位置に来るように合わせ、コントロールパネルのレバーを一気に前に倒した。Ez-8専用リフター"ファトゥム08"のバーニアが点火し、コンテナから飛び立った。それにタイミングを合わせてEz-8もブルームーンの主翼から飛び移った。
「ハハッ...!やればできるじゃないか!シロー・アマダ、Ez-8出る!」
ヘイルソーサレスがブルームーンから飛び出した瞬間に、敵勢力の動きに変化が生じていた。と言うより、不測の事態に戸惑いが生まれていると表現する方が正しい。
「行けッ!!」
ヘイルソーサレスの右手に携える大型のランチャー"GNハイメガランチャー"。ガンダムAGE-FXのダイダルバズーカから派生させたのか形はよく似ている。ただし、砲身上部に取り付けられた紫の水晶と側面の板状のパーツが大きな差異を作っている。レイは照準を一番近くを飛ぶデュエルガンダムアサルトシュラウドに固定し、トリガーを引いた。GNハイメガランチャーの砲口に青い粒子が集まり、次第に光球を形作った。ドォン!と言う破裂音と共に青い光の弾が風を切り、デュエルガンダム目掛け突き進む。着弾した刹那、広範囲に渡って白い冷気が発生したかと思うとデュエルガンダムの全身が凍りついていた。装甲表面やツインアイのみならず、駆動部にまで氷が付着しており機体の稼働を大きく阻害した。レイは間髪入れず、ヘイルソーサレスの左手首に備え付けのGNバルカンで氷漬けにされたデュエルガンダムを蜂の巣にした。
「またあの氷か!?チッ、どうしてこうも変な奴ばかりと当たるんだ!!」
僚機が凍らされた挙げ句に撃墜されたのを目撃したレオンは、忌々しげにヘイルソーサレスを睨んだ。アルケインに続いてガデッサまで氷を使う。ブルームーンと言う組織がますますレオンの理解の範疇を超えていた。だがレオンとて百戦錬磨の戦士である。今度こそ一矢報い、汚名返上を狙う。バイアランシュヴァールのバーニアを全開にし、一気に前線へ躍り出ると右腕にシュヴァーンを装備、拡散メガ粒子砲を放った。レイもシローもそれを目の当たりにし、それぞれシールドで防いだ。
「またアイツか...まぁいいよ、何度でも倒す!」
ヘイルソーサレスがGNバルカンを斉射しながらバイアランシュヴァールとの距離を保ちつつ、前線から引き離そうとした。だがバイアランシュヴァールは加速の勢いをそのままに距離をグイグイを詰める。Ez-8も近づけさせまいとビームライフルで牽制するが、バイアランシュヴァールの軽快な旋回に意味をなさなかった。
「どうせ前の青い奴だってんだろ、女!」
「女で悪かったわね...だったら消えろ!」
バイアランシュヴァールがシュヴァーンの先端部にブランド・マーカーを発生させ、右ストレートをぶつける。その瞬間、ヘイルソーサレスの左手首から光の刃が伸びてブランド・マーカーを弾き返した。設定上ビームサーベル機能のないであろうガデッサのGNバルカンだが、今の状況は嘘ではなかった。
「び、ビームサーベルだと!?馬鹿な!?」
「これで終わらせる...!」
確実にヘイルソーサレスの左手首からGNビームサーベルが発せられていた。レオンは面食らい機体を僅かに下がらせるが、レイの狙いはそこにあった。GNハイメガランチャーに再び青い粒子が集い、砲口から青白い光が漏れ出す。レオンはこれを見るや本能的に危険を察知して、再度シュヴァーンの拡散メガ粒子砲を発射した。だがヘイルソーサレスは僅かに位置をずらしてこれを回避、GNハイメガランチャーからスパークを纏った青く輝く粒子の奔流を叩き込んだ。雷鳴とも形容できる程の轟音が空気を揺らし、周囲が瞬く間に白い靄に包まれた。間一髪レオンの反応が先行してバイアランシュヴァールの展開したビームシールドで難を逃れたものの、発生器やシュヴァール自体が凍結させられる電気系統が不全状態に陥った。胴の陰に隠れていた左腕を除けばほぼ全身が氷に覆われていた。バーニアから噴き出す火炎によって移動だけは許されたような格好である。
「作戦は失敗か...撤退する!」
レオンはこれ以上の戦闘継続を断念し、残った僚機らを引き連れて撤退した。レイはただ無表情でそれを見送りゆっくり目を閉じて息を吐いた。
「まぁ...なるようにはなるもんだよ」
ブルームーンに機体を着艦させたレイを待っていたのは、アヤカだった。水の入ったボトルを手に待っていてくれたようだ。
「アヤカ...」
レイがスーツ姿から普段の服装に変え、機体から降りた。アヤカはそれを見るなり駆け寄り、怖ず怖ずとボトルを一本手渡した。
「お、お疲れ様でしたっ...レイさん」
「...アヤカ、さっきの通信が無かったら...多分もっとやばかったと思う。...ありがとう。あと、こないだはごめん...自分でも何故ああしたのか分からないけど...酷い事したのは確かだし」
えっ、とアヤカは目を丸くしてレイを見つめた。そしてじわじわと頬が赤く染まりあわあわと声を漏らした。謝罪等よりありがとうと言ってもらえたことがこの上なく嬉しかった。さっきの通信とは、バイアランの拡散メガ粒子砲を受ける直前にアヤカが移動方向を指示したものであった。
「そ、そんな...私、レイさんに少しでも戦いやすくなれればそれで...!」
「これから頼りにするよ、アヤカ...よろしくね」
「はっ...はいっ!」
レイが右手を差し出すと、アヤカは両手でギュッと握った。これで調子づいてしまったのか、アヤカが唐突に抱きついてきた。これでレイにとって一つはっきりしたことがあった。
(この娘も美彩と同じタイプだった...まぁ、この娘は年下だし別にいいけど)
しかし、やはり微妙な抵抗感もありレイはただ戸惑うしかなかった。
「...どうなっているんだ」
ジョーカーは居室に戻って、ヘイルソーサレスの戦闘映像を何かを確かめるかのように何度も再生と巻き戻しを繰り返した。GNハイメガランチャーについているパーツもやはり、トランジェントグレイシャーの一部だった。しかしこれもあくまでも補助的な役割に過ぎなかった。砲身側面の板状のパーツは、俯瞰する程度だとガンダムDXのラジエーターパネルによく似ていた。しかし、光を発する面を裏にした状態かつ開閉構造の無いままで取り付けられているとなれば、別の用途があると見て間違いはないだろう。だとすればルミナクェーサーの他にヘイルソーサレスでも氷結能力を使える理由は一つに絞られた。
「久遠 怜は、本人のアバターそのものに氷結能力があって、それを行使する為に機体をカスタマイズした、としか思えないんだよなぁ...だがここまで馬鹿馬鹿しい話もないぞ...ったく。何なんだ、あの女は」
ジョーカーの狙いたるν-Typeか否か。或いは別の何かか。レイと言うダイバーがますます厄介な存在に見えた。